優しくしてください
「しーおん」
「何?ネズミ」
昼休み。紫苑とネズミはいつもの通り屋上で昼御飯を食べていた。菓子パンを美味しそうに食べる紫苑に寄り添い、ネズミは甘ったるい声で紫苑の名前を呼ぶ。
紫苑が振り向けば息がかかるような距離にネズミの美しい顔があったため、ドキッと胸が高鳴り思わず持っていたパンを落としそうになった。
そんな紫苑の反応を楽しんでいたネズミはくすくす笑い、紫苑の左頬を優しく撫でる。
「キスしたい。ていうか、させて。」
ネズミは淡く微笑み、その顔に似合わない台詞をしれっと放った。
「なっ?!ここは学校なんだ。いつ他の生徒が来るのかも分からないのにき、ききキスなんて出来るわけないだろっ!」
「……けち」
「けちじゃない。それに休みの日はいつも………」
そこまで言い、紫苑はぽふんと頭から湯気を出しそうな勢いで赤面する。
「いつも?なに?」
ネズミはにやにやと意地悪な笑みを浮かべながら紫苑の顔を覗き込むが、恥ずかしさからか紫苑は顔を背けた。
「あれ?続きが気になるんですが、紫苑さん。休みの日はいつも……?」
「君って本当に意地悪だ。わかってて言ってるだろ。」
「もしかして拗ねた?まぁ、拗ねた紫苑も好きだけど。でも、そんな意地悪でどうしようもない男に夢中になってるのは、一体何処の誰だろうな。」
ネズミは紫苑の顎に手をかけると、無理矢理自分の方に顔を向け得意気に笑ってみせた。
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