白雪姫
むかしむかし、あるところに、とても美しい王妃がいました。
ある雪の日、王妃が黒檀の嵌まった窓際で針仕事をしていた時のこと。
彼女は誤って自分の指に針を刺してしまいました。
王妃には、ぽたり、と真っ白な雪の上に落ちた赤が、とても綺麗に見えました。
(雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒檀のように黒い髪――そして、夜と朝が混じる瞬間の空のような、綺麗な灰色の瞳を持った子が生まれますように…)
王妃は柔らかく笑んで、膨らんだお腹を撫でました。
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その後、王妃が願った通りの、それはそれは美しい――男の子が、生まれました。
男の子は、あまりにも美しく、肌は透き通るような白でした。
それゆえ、いつからか彼には本名とは別に「白雪」という呼び名がつきました。
しかし王妃はその子を産んですぐに亡くなってしまいました。
数年後、王様は新しい妃を娶(めと)りましたが、彼女は、ひどく白雪のことを忌み嫌いました。
白雪の継母にあたるその女は、魔法の鏡を持っていました。
そして、毎晩鏡にこう聞くのです。
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
すると鏡は決まってこう答えるのです。
「あなたに決まっています、この国の新しい王妃さま」
ところが、白雪が生まれてから12年経ったある日のこと。
いつものように、継母は鏡に尋ねました。
「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」
すると、鏡はこう答えたのです。
「この国の王子、白雪です。彼がこの世で一番美しい」
この答えに、継母は激怒しました。
なぜ、どうして、女である私よりも男である白雪の方が美しいと言うのか――と。
継母はそのときから、憎しみを込めて、白雪のことを『ネズミ』と呼ぶようになりました。
そして彼女は、猟師である力河に、ネズミを森に連れて行き殺すように命じました。
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「ねぇあんた、おれを殺すの?」
「王妃さまの命令だから…な」
「いやだよ、おれ、死にたくないよ」
森の奥、人の気配が全くない場所で、ネズミは涙を流しました。
まだ幼い少年からぼろぼろと流れ落ちる涙と、その美しさに惑わされ、力河は彼を殺すことが出来ませんでした。
「ったく…仕方ないな、殺さない…殺せねぇよ…。おいネズミ、二度と国に戻るなよ。王妃には上手くごまかしておくさ」
「ありがとう、力河さん。おれ…生き延びてみせるから」
先程の涙をすぐに引っ込めたネズミは、笑顔で走り去って行きました。
「……くそ、相変わらず可愛いな」
力河はそう呟いて、国へ戻って行きました。
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「…くそっ、ここどこだよ」
その頃、ネズミは森の奥深くを彷徨っていました。
力河に言われずとも、彼は国に戻る気はありませんでした。
「…腹、減ったな…それに眠い…」
ぐぅ、と鳴る腹を宥(なだ)めながら歩いていると、遠くに小屋が見えました。
近付いてみると、運よくその家の窓は開け放たれていました。
ネズミは、信じていない神様に感謝しながら、窓から家の中に飛び込みました。
つづく…?
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なぜこんなにも中途半端かと言いますと。
紫苑の役が決まらなかったからでございます(笑)
CP的設定重視なら王子=紫苑なのでしょうが…
白雪姫の王子ってあんまり出番ないよなあ、とか、そしたら小人はイヌカシか?とか考えていたら、小人=紫苑の方がいいのかなと思い始め。
小人=紫苑だと王子は誰なんだ、となり(笑)
そんなこんなで話が続かなくなりました←
宜しければ意見を聞かせて下さい(´`)
2012.11.18
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