taste of kiss



「…っ!」
「どうした、ネズミ?」



ネズミの小さな呻きを耳にした紫苑が、心配そうにネズミに近寄ってきた。
ネズミの視線を追うと、そこには。



「だ、大丈夫か!?」
「気にするな。ちょっと切っただけ」



綺麗な指先からぽたたっ、と滴る赤。
血が出ているのとは反対の手には、裁縫針が握られている。
どうやらネズミは、破れた服を直そうとしていたらしい。


「貸して、ネズミ」
「大丈夫だから触るな」


紫苑は嫌がるネズミの手を半ば無理矢理にとり――


「ッな、」


柔らかそうなピンク色の唇に指先が飲み込まれる。
ちゅ、と時折音を立てながら血を舌先で舐めとっていく。


「…っ、ん」


ネズミがため息に似たものを吐き出す。
唇が離された指先には、再びぷくりと血が浮き上がった。


「…血、止まらないね」
「放せってば。ほっとけば止まる」


そんなネズミの言葉も聞かず、紫苑は指先に唇を近づけた。
今度は咥内に含まず、舌先でペロペロと舐める。


(おいおい)


伏せられた瞼、ほんのりと色づく頬。
様々な角度から指先を舐めるその様はまるで――。


(わざとか?…いや、まさか……でも、こいつの顔は)


ふるふると揺れる睫毛。時折漏れるため息。
そして何よりもその証拠が。


(…紫苑のズボン、膨らんでないか)


そんな紫苑の行動を意識した途端、ネズミのそこにも血が一気に集まるのを感じる。


(やばいな)








「紫苑、もういい」
「…うん」


心なしか残念そうな表情をする紫苑。


「…あんた、何考えてた?」
「な…なに、って」
「何を考えながら、おれの指、舐めてた?」
「……血が、早く止まれば…いいな、って」


後ろめたそうな色が見え隠れするその表情。
心配するような言葉と裏腹に、赤く色づく耳。


「うそつき」


ネズミは紫苑の耳に手をやり、ゆっくりとその溝をなぞる。
くすぐったそうに笑いながら身を捩る紫苑だが、瞳の奥は既に欲に濡れていた。
誘われるように唇が重なる。

ネズミの血を舐めていたその舌は、鉄の味がした。








end


+++

中途半端!笑

なんとなく書きたくなってやってみました。
三人称目線の練習も兼ねて。

しかも今回、初めてPCにて執筆!
いかかでしょうか。
あんまり変わらないかなー?

指舐めってエロいですよね。←



2013.03.06
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