ここはあるビリヤード場「ブルーパロット」。
その店のカウンターに高校2年生の少年、黒羽快斗が1人頭をかきながら手に持つ新聞に大きく掲載されている「怪盗キッド」の記事を読んでいた。


「なんだ？この『怪盗キッド復活‼怪盗ローズは姿を見せないのか⁉』って記事。
俺の記事に繋がってるみたいだけど…まぁいいか」


快斗がそんな独り言を口に出した時、この店のカウンター側に1人立っていた老人は一瞬であったが、その快斗の言葉にピクリと反応していた。
しかし、この事は本人以外 誰も気づきはしなかった。

するとしばらくして、快斗はその老人に声をかけた。


「それよりもさジイちゃん。俺はあの子の事まだ思い出せないのかな…。
早く俺はあの子の事思い出して会いたいんだよ…///」

「昔からおっしゃってた、あの快斗ぼっちゃまの大切な娘さんですか…」

「…ああ///」


―快斗くん、だーいすき/// いつも一緒だよ‼―

―私、快斗くんのお嫁さんになるね///―


ハッキリとは思い出せないが自分にとってはとても大切な人だと想い続けているある少女を考えながら少し頬を染めて遠くを見ているような快斗。
そんな快斗を寺井はなぜか嬉しそうに微笑みながら声をかける。


「きっと会えますよ。会いたいと強く想っていらっしゃれば(*^^*)」

「///…じゃあ、学校行ってくるな」


快斗が「ブルーパロット」に来ていた時刻はとても早い朝方だったため、寺井からの言葉をもらった後、また少し快斗は頬を染めながら学校へと登校していった。


「怪盗ローズ様ですか…。盗一様が今頃になって快斗ぼっちゃまに怪盗キッドについてを知らせる用意をしていたとなると、きっとあの方も…」


快斗が店を出ていった後、寺井は何かを思い出すように1人小さな声で口に出していたのだった。