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春山

【つまりはきみのことが】

事務所の不味いコーヒーを事務所のソファで嗜んでいると、急に冷えた空気がやってきた。理由は明快、わかざとがレッスンから帰ってきて扉を開けたからだ。そのまま当たり前の様に自分の隣に座る。なぁ、山下先生、と瞳を輝かせて今日の出来事を語るその姿は眩しい。今日のコーヒーは美味しいよ、わかざと。


【コーヒーと砂糖と素敵なもの】

自分はきっと苦い苦いコーヒーで出来てる。でも若里は砂糖で出来てる。あと多分この世の素敵なものとかも入っているんだろうなと思う。コーヒーが苦手な若里にとって自分は到底飲み込めないほど苦いに違いない。でも彼は出来る限りの背伸びをして飲もうとする。それが嫌じゃない自分が確かにいるのだ。


【今年最後の願い】

例年通りS.E.Mの3人で過ごす大晦日でいつも通りじゃないことが1つだけある。こたつ机に置いてあるスマートフォンが実はわかざととのチャット画面が真っ先に開けるようにしてあることだ。年甲斐もなく期待しているのだ、自分は。彼から新年の挨拶を貰うことを。挨拶がきたらきっと良い年になる!

【だってふたりのこころはもう】
学校の成績が悪いMr.わかざとの勉強をMr.やましたが付きっきりで面倒しはじめたのはいつの頃からか。もうだいぶ昔のように思う。手のかかる子ほど可愛いという体はどこへやら。今や出来の悪い生徒の面倒を見てる表情ではない。いつか、その優しくとろけている瞳にどうか彼が気づきますように。

診断メーカーお題【高鳴るままに】

わかざとが足りない単位を補うのに生物に関するレポートを書くためのレポート用紙を抱えて泣きついてきたのが三日前。水族館に付き添いで行く事が決まったのが昨日。今日は、鮪が泳ぐ水槽の前で静かに掌が重なった。なんとなく目を伏せながら掌を握り返す。たまには、心のゆくままも悪くないかもね?


診断メーカーお題【夜闇にとけて】

あ、という声がわかざとと俺から漏れた。失敗した。そういえば賢から今日は計画停電があるから早く帰るように言われてたのに。もう課題を見るどころではない。どうしようかと考えているとわかざとがソファの空いてたスペースを埋めるように座る。寄り添う体温だけが側にいる証拠。夜闇で二人ぼっちだ。


【その一時が幸せ】

るいが笑顔を振り撒きまながら近づいてきた。こっちに顔を寄せて小声で、Mr.わかざとのことどう思う?なんて聞いてくる。るいに頼んだであろう張本人が、影で様子を伺ってるようなので声をちょっと張って言ってあげようか?永遠に学生でいられたら、お勉強会ずっと続けられるのにね。
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