第5章 二人の女王
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「何だ…クソ女じゃねぇな」
「ヒヒ、また違う奴だね」
デビットと二人、石柱の上に座ってエクソシスト共を見下ろした。
元帥が一人に男が一人に、女が一人…ハッキリとは見えないが、旧方舟の中で見た女とは違う様だ。
なんだ…折角、この間逃げられた分いたぶろうと思ったのに。
「何だ、三人しか居ないな」
「あぁ、詰まんねぇな~…て……おい、ジャスデロ見ろよ!」
そう言われてデビットが指差す先を見ると、見知った顔が一つあった。
「餓鬼、ども…?」
「よお、吸血鬼」
「本当に生きてるよ」
レイから生きてるって聞いてたけど…ピンピンしてらぁ。
完全に回復しやがった…ウゼ。
「何だお前ら…殺り損ねたのか」
傍らに立ったトライドにそう言われ、デビットは不機嫌そうに舌打ちした。
「死んだと思ったんだよ」
「メイデンで挟んだのに血だけで動いたんだよ?!ホントさ、マジ化け物だよ」
「血だけで…な」
ふんっと鼻を鳴らしたトライドは瞬間、飛んできた元帥の対アクマ武器を、自身の武器で弾き返した。
「始めるぞ」
「指図すんな。俺等、吸血鬼殺っから」
「じゃあ元帥は俺だな」
「じゃあ、ジャスデビは女も一緒だ」
「今度は完璧に殺 るぞ」
「「もちろん」」
=戦いの歌=
「まあまあ、いらっしゃいませ!」
そう言って笑ったシギュンは、両腕を広げてクルクルと回った。
相変わらず真っ赤なドレスと真っ赤な口紅が目に痛い。
「貴方の方からいらしてくれくれるだなんて…思ってもみなかったわ」
首に巻いた黒い羽飾りに口元を埋めて嬉しそうにクスクス笑ったシギュン“でも”と続けてトールを見据えた。
「トール様も一緒とは更に思ってませんでしたけど」
「それは失礼したな」
「いいえ、トール様。二人きりではないですが、私には充分ですわ。
漸くロ…いえ……イアン様が私の元に来てくれたのだから!」
シギュンは上機嫌で魔法でテーブルにティーセットを用意すると、イアンとトールに椅子に座る様に足した。
しかし二人は一歩も動く事無く、シギュンは今度は不機嫌そうに眉を寄せた。
「……違うのね」
シギュンはティーカップを手に取ると、二人の足許に投げ付けた。
上品なティーカップは、高い音を立てて砕ける様に割れ、辺りに飛び散った。
「貴方は私に会いに来たのでは無いのですね。最低です…私を愚弄する気ですか」
シギュンが手を付いていたテーブルがビシッと悲鳴を上げ、割れた。
「何をしにいらっしゃったんですの」
嫉妬で醜く歪んだ表情で二人を睨み付けるシギュンから目を逸らしたイアンは不機嫌そうに眉を寄せた。
「シギュン…全て知っている。下手に隠しても無駄だ」
そう言うトールの言葉を聞いて、シギュンは弾かれた様に声を上げて笑い出した。
暫く狂った様に笑っていたシギュンは、瞬間、その赤い唇を噛んだ。
「あの小娘を取り戻しに来たわけですね」
シギュンの足許に魔方陣が浮かび上がり、景色がグニャリと歪んだ。
テーブル、椅子、ティーポット…その場にあった全ての物が歪んで消え去り、次の瞬間、三人は草木の一本も生えていない荒地に立っていた。
茶色い地にシギュンの魔方陣だけが怪しく輝いている。
「良くお解りになりましたわね。私が絡んでいると…」
「貴様は爪が甘いんだ」
そこで漸く、ずっと黙っていたイアンが口を開いた。
「盗んだ手帳を持っているのをトールに見られた時点で貴様の負けだ、阿呆め」
“とっとと術式を教えろ”と言うイアンを憎々しげに睨み付けたシギュンは、口元を伝う血を指の腹で拭うと、魔方陣に垂らした。
「ヒドラ」
シギュンがそう口にした瞬間、光を増した魔方陣から、七つの頭を持ったドラゴンが姿を現した。
「あの小娘が居なくなれば貴方の運命は私の手に戻る…」
ギョロリと見開かれた黄色い目玉に、鋭い牙の並ぶ大きな口。
その頭の一つの上にシギュンは立っていた。
「もう直ぐあの世界は壊れる!それまでここで大人しくしてて頂きます!!」
遥か頭上で楽しそうに笑うシギュンの声を聞きながら、イアンは身丈以上ある装飾の美しい杖を。
トールは巨大な槌を手元に魔法で出した。
「おい、大丈夫なのか…お前、戦闘苦手だろ」
「…問題無い」
そう口にしたイアンが杖を構えると、地にスッと魔方陣が浮かび上がった。
「もっと面倒な龍を知ってる」
九つの頭の…
美しく凶暴な龍を──…
「何だ…クソ女じゃねぇな」
「ヒヒ、また違う奴だね」
デビットと二人、石柱の上に座ってエクソシスト共を見下ろした。
元帥が一人に男が一人に、女が一人…ハッキリとは見えないが、旧方舟の中で見た女とは違う様だ。
なんだ…折角、この間逃げられた分いたぶろうと思ったのに。
「何だ、三人しか居ないな」
「あぁ、詰まんねぇな~…て……おい、ジャスデロ見ろよ!」
そう言われてデビットが指差す先を見ると、見知った顔が一つあった。
「餓鬼、ども…?」
「よお、吸血鬼」
「本当に生きてるよ」
レイから生きてるって聞いてたけど…ピンピンしてらぁ。
完全に回復しやがった…ウゼ。
「何だお前ら…殺り損ねたのか」
傍らに立ったトライドにそう言われ、デビットは不機嫌そうに舌打ちした。
「死んだと思ったんだよ」
「メイデンで挟んだのに血だけで動いたんだよ?!ホントさ、マジ化け物だよ」
「血だけで…な」
ふんっと鼻を鳴らしたトライドは瞬間、飛んできた元帥の対アクマ武器を、自身の武器で弾き返した。
「始めるぞ」
「指図すんな。俺等、吸血鬼殺っから」
「じゃあ元帥は俺だな」
「じゃあ、ジャスデビは女も一緒だ」
「今度は完璧に
「「もちろん」」
=戦いの歌=
「まあまあ、いらっしゃいませ!」
そう言って笑ったシギュンは、両腕を広げてクルクルと回った。
相変わらず真っ赤なドレスと真っ赤な口紅が目に痛い。
「貴方の方からいらしてくれくれるだなんて…思ってもみなかったわ」
首に巻いた黒い羽飾りに口元を埋めて嬉しそうにクスクス笑ったシギュン“でも”と続けてトールを見据えた。
「トール様も一緒とは更に思ってませんでしたけど」
「それは失礼したな」
「いいえ、トール様。二人きりではないですが、私には充分ですわ。
漸くロ…いえ……イアン様が私の元に来てくれたのだから!」
シギュンは上機嫌で魔法でテーブルにティーセットを用意すると、イアンとトールに椅子に座る様に足した。
しかし二人は一歩も動く事無く、シギュンは今度は不機嫌そうに眉を寄せた。
「……違うのね」
シギュンはティーカップを手に取ると、二人の足許に投げ付けた。
上品なティーカップは、高い音を立てて砕ける様に割れ、辺りに飛び散った。
「貴方は私に会いに来たのでは無いのですね。最低です…私を愚弄する気ですか」
シギュンが手を付いていたテーブルがビシッと悲鳴を上げ、割れた。
「何をしにいらっしゃったんですの」
嫉妬で醜く歪んだ表情で二人を睨み付けるシギュンから目を逸らしたイアンは不機嫌そうに眉を寄せた。
「シギュン…全て知っている。下手に隠しても無駄だ」
そう言うトールの言葉を聞いて、シギュンは弾かれた様に声を上げて笑い出した。
暫く狂った様に笑っていたシギュンは、瞬間、その赤い唇を噛んだ。
「あの小娘を取り戻しに来たわけですね」
シギュンの足許に魔方陣が浮かび上がり、景色がグニャリと歪んだ。
テーブル、椅子、ティーポット…その場にあった全ての物が歪んで消え去り、次の瞬間、三人は草木の一本も生えていない荒地に立っていた。
茶色い地にシギュンの魔方陣だけが怪しく輝いている。
「良くお解りになりましたわね。私が絡んでいると…」
「貴様は爪が甘いんだ」
そこで漸く、ずっと黙っていたイアンが口を開いた。
「盗んだ手帳を持っているのをトールに見られた時点で貴様の負けだ、阿呆め」
“とっとと術式を教えろ”と言うイアンを憎々しげに睨み付けたシギュンは、口元を伝う血を指の腹で拭うと、魔方陣に垂らした。
「ヒドラ」
シギュンがそう口にした瞬間、光を増した魔方陣から、七つの頭を持ったドラゴンが姿を現した。
「あの小娘が居なくなれば貴方の運命は私の手に戻る…」
ギョロリと見開かれた黄色い目玉に、鋭い牙の並ぶ大きな口。
その頭の一つの上にシギュンは立っていた。
「もう直ぐあの世界は壊れる!それまでここで大人しくしてて頂きます!!」
遥か頭上で楽しそうに笑うシギュンの声を聞きながら、イアンは身丈以上ある装飾の美しい杖を。
トールは巨大な槌を手元に魔法で出した。
「おい、大丈夫なのか…お前、戦闘苦手だろ」
「…問題無い」
そう口にしたイアンが杖を構えると、地にスッと魔方陣が浮かび上がった。
「もっと面倒な龍を知ってる」
九つの頭の…
美しく凶暴な龍を──…