第5章 二人の女王
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「おい、しっかりしろ」
警官はそう声を掛けて道端に倒れた浮浪者の少年を抱き起こしたが、反応は無かった。
だらんと垂れた頭が上がる事さえ無い。
「困ったなぁ、おい」
「あぁ……お~い、金はあるかい?医者に運んでも金がなきゃ…」
そう話ながらもう一人の警官が声を掛けると、少年の頭が力無く上を向いた。
「な、何だコイツは…ッ」
「わぁあぁっ!!!め、眼が五個もあるぞオイ!」
少年の額に浮き出た三つの目玉に驚いた警官が少年を離した瞬間、警官は脳が揺れる様な感覚を感じて頭を抑え…驚愕した。
「人間じゃね…ぇ……ガ、っ」
「なん…だ?」
ぬるっとした感触に驚いて手を見ると血がついていた。
顔を見合わせると、互いに目から涙の様に血が溢れている。
「血…ガぁ」
二人の警官は目、耳、鼻、口…血を流して最後に“パンッ”という脳が破裂した様な音と共に倒れた。
「35年か…随分席を空けてしまったのう」
そう口にして起き上がった少年は、首に手を当てると肩凝りをとる様に首を“コキンッ”と鳴らした。
まさかこんなに時間が経ってしまうとは思わなかった。
「35年前…“14番目”に殺害された貴方達はメモリーにダメージを受け、次の転生に大きなタイムラグが生じてしまったのでス♡」
闇から這い出る様に現れたこの丸い物体をワタシは知っていた。
遠い昔から…ずっと…ずっと……
「ウフ♡やっと見付けましタ♡♡♡」
=十三人の使徒=
「ウフ♡おハヨウ、兄弟♡」
そういう千年公の声は、寝起きの俺の頭によく響いた。
寝てた所をロードに起こされて支度する様に言われて…何が始まるのかと思ったら、最後の一人が目覚めたって事か。
「よく戻ってきてくれましタ──♡♡♡」
スキンが死んだから“怒”は居ねぇけど、取り敢えずは全員揃ったって事なんだろうな。
「第1使徒“千年伯爵”、第2使徒“裁 ”、第3使徒“快楽 ”、第4使徒“欲 ”、第6使徒“蝕 ”、第7使徒“恤 ”、第9使徒“夢 ”、第10・11使徒“絆 ”、第12使徒“色 ”、第13使徒“能 ”」
千年公に呼ばれる一人一人のメモリーと…メモリーの名前。
「第8使徒“怒 ”は転生したものの死んでしまったか…むむぅ…第5使徒この魔眼の“智 ”が遅れをとるとは…悔しいのう」
第3使徒“快楽 ”耳慣れない響きなのに、何故か凄く懐かしい気がする…
「それがおぬしの所有するノアメモリーの本当の名だからだ、ティキ・ミック」
そうか……て…はあ?!
「だから懐かしく思う」
ニコッと笑うワイズリー…コイツは今何と言った?
口に出してねぇのに…さてはコイツ、人の心読め…
「いや、おぬしの顔が分かりやすいだけだのう…魔眼でもちゃぁんとプライバシー守るぞ、ワタシはぁ~」
ウソくせぇ!!!
話し方の所為で余計嘘くさい。
「本当の名?ノアメモリーにそれぞれ人の名前のようなものがあるのかい?」
シェリルはそう気にせず話し出した。
「我々は七千年前現れた一人の“ノア”のメモリーを分け持っているのだと思っていたんだが」
「一人?使徒“ノア”は13人出現したのだ。ワタシらは第2から第13使徒までのメモリーを各々所有している」
ワイズリーと千年公の話だと“ノア”は十三人いて、七千年前に“ハート”との戦いで千年公が倒れた後、大洪水で滅びた世界で第二のアダムとなり人類の祖先となった。
だから人間は全員“ノア”の遺伝子を持った子孫であり、一つの時代に十二人が遺伝子の覚醒でノア化するのは千年公と姫を守る為に12使徒のメモリーが転生するからだと言う。
「自覚が無いのはおぬしらがメモリーを無意識に抑えとるからだ。
七千年生き続けとる“千年伯爵”や脳を覗ける魔眼のワタシと違い“ノア”の使命を受諾はしていても己の自我がメモリーに飲まれる事は拒絶しておる…人間らしい反応だがな。
まあ、同じく七千年同じ身体のレイは千年公と違ってメモリーの引継ぎに制限があるがな」
……は?
レイが七千年生きてる?
「生きてるとは言ってないぞ。同じ身体なだけだ…姫たるレイは死ぬと命では無く、それまでのメモリーを落とすんだ」
死ぬと…命では無くメモリーを落とす…同じ身体?
身体は千年公と同じ時を生きてるが記憶は無い…俺達みたいに転生する事もなきゃ、千年公やワイズリーみたいに覚えている事も出来無いって事か…
「そういう事だのう…そういえばレイは?」
「もう直ぐ来るよぉ~」
「おぉ、久し振りだのう、ロード……変わり無いのぉ」
「この姿気に入ってるのぉ」
「さあ!残る使徒は“怒 ”のみですヨ♡スキン・ボリックの肉体から次はどこのダレちゃんに転生しますか~捜さなきゃ捜さなキャ♡♡♡」
“グズグズしていられませン♡”と言って千年公は気持ち悪いくらいニヤリと口角を上げて笑った。
「そして、このクソ長き聖戦の終止符 をうつは我等の代にならんことヲ♡」
その言葉で本格的に始めるんだと再確認した。
しかし千年公は何故か急に苦しみだした。
頭を抱え、丸い身体を更に丸くする…
「千年公?!」
駆け寄ったロードは何に驚いてるのか、千年公に手を貸す事は無かった。
ロードが手を出せないとなるとこれは…
「アイツが…アイツの呼 がスル…我輩を…まタ…アイツの呼 が」
『どうしたの、チィ?』
居ない筈の者の声だった。
声のした方を振り返ると、そこにはレイが立っていた。
「レイ♡」
緩く巻かれた長い黒髪…肩と背中の開いた白いドレスの胸元と腰周りには縁取る様に黒いファーが付いて、胸元には小さなティアラが光っていた。
腕にはロードの様に黒いリボンの様な物が巻かれている。
「もット…ッ♡もット闇ををを…広げマショウゥゥ♡♡♡」
『そうだね、チィ…仕掛けよう』
ニッコリ笑ったレイが引っ張る様にして千年公を立たせ、双子がレイの側に歩み寄った。
「レイに会うのは初めての子もいましたネ♡この子はレイ・アストレイ♡」
「「第0使徒“方舟 ”」」
姫ですヨ──…
「おい、しっかりしろ」
警官はそう声を掛けて道端に倒れた浮浪者の少年を抱き起こしたが、反応は無かった。
だらんと垂れた頭が上がる事さえ無い。
「困ったなぁ、おい」
「あぁ……お~い、金はあるかい?医者に運んでも金がなきゃ…」
そう話ながらもう一人の警官が声を掛けると、少年の頭が力無く上を向いた。
「な、何だコイツは…ッ」
「わぁあぁっ!!!め、眼が五個もあるぞオイ!」
少年の額に浮き出た三つの目玉に驚いた警官が少年を離した瞬間、警官は脳が揺れる様な感覚を感じて頭を抑え…驚愕した。
「人間じゃね…ぇ……ガ、っ」
「なん…だ?」
ぬるっとした感触に驚いて手を見ると血がついていた。
顔を見合わせると、互いに目から涙の様に血が溢れている。
「血…ガぁ」
二人の警官は目、耳、鼻、口…血を流して最後に“パンッ”という脳が破裂した様な音と共に倒れた。
「35年か…随分席を空けてしまったのう」
そう口にして起き上がった少年は、首に手を当てると肩凝りをとる様に首を“コキンッ”と鳴らした。
まさかこんなに時間が経ってしまうとは思わなかった。
「35年前…“14番目”に殺害された貴方達はメモリーにダメージを受け、次の転生に大きなタイムラグが生じてしまったのでス♡」
闇から這い出る様に現れたこの丸い物体をワタシは知っていた。
遠い昔から…ずっと…ずっと……
「ウフ♡やっと見付けましタ♡♡♡」
=十三人の使徒=
「ウフ♡おハヨウ、兄弟♡」
そういう千年公の声は、寝起きの俺の頭によく響いた。
寝てた所をロードに起こされて支度する様に言われて…何が始まるのかと思ったら、最後の一人が目覚めたって事か。
「よく戻ってきてくれましタ──♡♡♡」
スキンが死んだから“怒”は居ねぇけど、取り敢えずは全員揃ったって事なんだろうな。
「第1使徒“千年伯爵”、第2使徒“
千年公に呼ばれる一人一人のメモリーと…メモリーの名前。
「第8使徒“
第3使徒“
「それがおぬしの所有するノアメモリーの本当の名だからだ、ティキ・ミック」
そうか……て…はあ?!
「だから懐かしく思う」
ニコッと笑うワイズリー…コイツは今何と言った?
口に出してねぇのに…さてはコイツ、人の心読め…
「いや、おぬしの顔が分かりやすいだけだのう…魔眼でもちゃぁんとプライバシー守るぞ、ワタシはぁ~」
ウソくせぇ!!!
話し方の所為で余計嘘くさい。
「本当の名?ノアメモリーにそれぞれ人の名前のようなものがあるのかい?」
シェリルはそう気にせず話し出した。
「我々は七千年前現れた一人の“ノア”のメモリーを分け持っているのだと思っていたんだが」
「一人?使徒“ノア”は13人出現したのだ。ワタシらは第2から第13使徒までのメモリーを各々所有している」
ワイズリーと千年公の話だと“ノア”は十三人いて、七千年前に“ハート”との戦いで千年公が倒れた後、大洪水で滅びた世界で第二のアダムとなり人類の祖先となった。
だから人間は全員“ノア”の遺伝子を持った子孫であり、一つの時代に十二人が遺伝子の覚醒でノア化するのは千年公と姫を守る為に12使徒のメモリーが転生するからだと言う。
「自覚が無いのはおぬしらがメモリーを無意識に抑えとるからだ。
七千年生き続けとる“千年伯爵”や脳を覗ける魔眼のワタシと違い“ノア”の使命を受諾はしていても己の自我がメモリーに飲まれる事は拒絶しておる…人間らしい反応だがな。
まあ、同じく七千年同じ身体のレイは千年公と違ってメモリーの引継ぎに制限があるがな」
……は?
レイが七千年生きてる?
「生きてるとは言ってないぞ。同じ身体なだけだ…姫たるレイは死ぬと命では無く、それまでのメモリーを落とすんだ」
死ぬと…命では無くメモリーを落とす…同じ身体?
身体は千年公と同じ時を生きてるが記憶は無い…俺達みたいに転生する事もなきゃ、千年公やワイズリーみたいに覚えている事も出来無いって事か…
「そういう事だのう…そういえばレイは?」
「もう直ぐ来るよぉ~」
「おぉ、久し振りだのう、ロード……変わり無いのぉ」
「この姿気に入ってるのぉ」
「さあ!残る使徒は“
“グズグズしていられませン♡”と言って千年公は気持ち悪いくらいニヤリと口角を上げて笑った。
「そして、このクソ長き聖戦の
その言葉で本格的に始めるんだと再確認した。
しかし千年公は何故か急に苦しみだした。
頭を抱え、丸い身体を更に丸くする…
「千年公?!」
駆け寄ったロードは何に驚いてるのか、千年公に手を貸す事は無かった。
ロードが手を出せないとなるとこれは…
「アイツが…アイツの
『どうしたの、チィ?』
居ない筈の者の声だった。
声のした方を振り返ると、そこにはレイが立っていた。
「レイ♡」
緩く巻かれた長い黒髪…肩と背中の開いた白いドレスの胸元と腰周りには縁取る様に黒いファーが付いて、胸元には小さなティアラが光っていた。
腕にはロードの様に黒いリボンの様な物が巻かれている。
「もット…ッ♡もット闇ををを…広げマショウゥゥ♡♡♡」
『そうだね、チィ…仕掛けよう』
ニッコリ笑ったレイが引っ張る様にして千年公を立たせ、双子がレイの側に歩み寄った。
「レイに会うのは初めての子もいましたネ♡この子はレイ・アストレイ♡」
「「第0使徒“
姫ですヨ──…