第5章 二人の女王
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「皆さん知っていると思いますが、元帥の一人、レイ・アストレイはノアでした。
そして新たな事実としまして…アレン・ウォーカーが“14番目”というノアの“記憶 ”を持つ宿主である事が判明しました」
白い出窓を赤黒く染める大量の血液…
見慣れた仮面にポッカリと空いた穴。
「表向きは今後も彼は教団本部に在籍し、エクソシストの役務を続行…中央庁は暫くノアを飼う結論に至りました。レイ・アストレイを確保した場合も同じ対処となります。
尚この件は中央庁及び教団幹部そしてエクソシストのみ知るものとします……コムイ室長」
割れた窓硝子…
消えた死体…
「…只今を持ってエクソシストに教団司令官として無期限の任務を言い渡します」
あの日、師匠は消え去った。
「今後、レイ・アストレイに遭遇した際に彼女に記憶が戻らなかった場合…並びにアレン・ウォーカーが14番目に覚醒し、我々を脅かす存在と判断が下された場合は…ッ」
死んでいるのか生きているのかも分からない…
「その時は僕等を殺して下さい」
でも…
あの出窓にこびり付いた…
「教団を襲おうとすれば僕が止める。それでもどうにもならなくなったら…殺して下さい。
だって教団を襲うだなんて…ましてや皆を殺すだなんて…」
あのおびただしい量の赤黒い血が示す意味は…
「僕等はそんな事望んでない」
=ひとときの=
『たっだいま~♪』
そう元気良く自室に入って来たレイを迎えたのは、千年伯爵とレイの二人の護衛アクマだった。
「御帰りなさイ、レイ♡」
「…おかえり」
「お帰りなさいませ、姫様」
両腕を広げて待っている千年公に飛び付く様に抱き付いたレイは、クルクルとその場を回る千年公に振り回されながら再度“ただいま~♪”と言って笑った。
「ウフフ♡今日も可愛いデス♡」
「楽しんで参りましたか?」
『うん、楽しかったよ!』
「服だ」
『ありがと~、ユエ』
千年公から離れたレイは、着ていたドレスを手早く脱ぎ、コルセットを外すと、ユエの持つ部屋着のドレスと交換した。
頭から被ってモゾモゾしているレイをアグスティナが手伝う。
「姫様、お買い物はどうでした?」
『良いのいっぱい見つけちゃった♪ティキが沢山奢ってくれたよ!』
「まあ、良かったですね」
「次は我輩とお出掛けしましょうネ♡シェリルの誘いなんか断ってしまいなさイ♡」
『アハハ、ダメだよ~ロードと三人で出掛けるんだから!でも、チィを先にするね』
「姫様、お荷物は?」
『ティキが持ってくれてるよ!ティキは優しいね』
「……そのティキ様はどこに?」
そうユエが口にした瞬間、ゴンゴンと扉を蹴る様な音がした。
「お~い、レイ!!」
『……あぁ!!』
部屋の外から聞えた声に顔色を悪くしたレイはそう叫ぶと慌てて駆けてって扉を開けた。
『ティキ、ごめん!!』
「姫さん酷ぇよ~目の前で扉閉めるんだもんな」
両手いっぱいの荷物を持ったティキは、部屋に入るとベッドの上に荷物を降ろした。
「ティキぽん、御苦労様デス♡」
「いいえ~楽しかったっすよ」
「何もしてないでショウね?♡」
『手ぇ、繋いだよ♪』
「…何デスッテ?」
「繋いだだけ!はぐれない様に手ぇ繋いだだけ!!」
二人の遣り取りを見て楽しそうに笑ったレイは、荷物の山の中から箱を二つ取ると、ユエとアグスティナに手渡した。
『お土産だよ~♪』
「ん…」
「有難う御座います、姫様」
「レイ♡我輩の分ハ…♡♡♡」
『ぁ、チィの分忘れた』
瞬間、チィは膝から崩れた。
床に両手両膝を付いたチィは何だか凄く真ん丸に見えた。
「お~い、千年公…大丈夫か?」
「何てコト…我輩にお土産が無いだナンテ…」
「あの…姫様?この山の中には…」
『あぁ、それ殆どシャールの』
そう聞いて千年公は更に丸くなった。
「シャール…動かないシャールのが一番多くテ、我輩のが無いだナンテ…」
レイは千年公の隣にしゃがみ込むと、ポンポンと千年公の背を叩いた。
『ごめんね、チィ…次はお土産買ってくるから』
「レイ…♡」
『ティキが♡』
「俺?!!」
千年公の目からブワッと涙が溢れ、レイはハンカチを噛みながら泣く千年公を見て楽しそうに笑った。
「ちょ、レイ!俺、男に物買う趣味ないよ?!」
“土産の一つがユエのだって知って少しショックなのに”と言うティキを見て、レイは更に楽しそうに笑った。
「我輩だって、ティキポンにお土産貰ったって、嬉しいけど嬉しく無いデスヨ!!」
「どっちだよ!」
『エヘヘ、冗談だよ~』
“次は買ってくるね”と言いながら、レイはシャールへのお土産を山積みにして持つと、シャールの身体が眠る隣の部屋へ向かい、棚の上に置いた。
後でシャールに着せて…残りはクローゼットにしまわないと…
「姫様、先程ジャスデビ様がいらっしゃいましたよ」
『ジャスデビが~?』
何か用事があったのかな?
……まあ、用事が無くても来る子達だけど。
「何ですかねェ。もぅ…我輩以外との外出を禁止しまショウかねぇ」
『え、ヤダよぉ』
「じゃあ…外出はOKで、入室禁止はどうデスか?」
『却下ぁ!!』
「ちぇ…ッ♡」
『可愛く舌打ちしてもダメです~』
正直あんまり可愛くないし。チィ標準だと可愛いだけで…
「千年公も大変だな」
「自分が原因の一つダッテ事忘れないでクダサイよ、ティキポン♡」
「はいはい」
レイはふと“そうだ…”ともらすと、ティキの腕に抱き付いた。
『次は遊園地というものに行きたいです!』
「え、俺と行くの?」
“双子じゃなくて”と問いながら目をキラキラとさせたティキの隣で千年公はハンカチを振った。
「レイ、我輩と…」
『ティキと行きたい』
「マジで?!」
“じゃあ行こうぜ”と言って笑うティキの隣で千年公はぷぅ…っと膨れた。
「ティキポン出禁♡」
「えぇ?!そりゃねぇよ、千年公!」
『チィの意地悪~』
ギャアギャア騒ぐ三人の様子を窓際のテーブルの近くに立って見ていたユエの隣で、アグスティナはクスリと笑った。
「ユエ様」
「何だ」
「姫様…アレはわざとですかね?」
「……違うだろ」
「まあ…姫様は罪な方ですね」
「……今だけだ」
「え?」
「もう直ぐ聖戦は加速するだろう…誰かが必ず死ぬ。記憶が戻ろうと戻らなかろうと、アイツが悲しむのは目に見えている」
「……姫様は…」
『あ…ねぇ、チィ』
ユエと小声で話していたアグスティナは、レイがそう口にすると、口を閉じた。
「何ですカ?」
『そろそろ最後の子が目覚めると思うよ』
「ナルホド…」
『これでこの間死んじゃった“怒 ”以外の全員が揃うよ』
「そうデスネ♡デハそろそろ始めましょうカ…」
『皆…殺しちゃって良いの?』
「アレン・ウォーカー以外は殺してイイですヨ♡」
『分かった、始めよう』
戦争と復讐を──…
「皆さん知っていると思いますが、元帥の一人、レイ・アストレイはノアでした。
そして新たな事実としまして…アレン・ウォーカーが“14番目”というノアの“
白い出窓を赤黒く染める大量の血液…
見慣れた仮面にポッカリと空いた穴。
「表向きは今後も彼は教団本部に在籍し、エクソシストの役務を続行…中央庁は暫くノアを飼う結論に至りました。レイ・アストレイを確保した場合も同じ対処となります。
尚この件は中央庁及び教団幹部そしてエクソシストのみ知るものとします……コムイ室長」
割れた窓硝子…
消えた死体…
「…只今を持ってエクソシストに教団司令官として無期限の任務を言い渡します」
あの日、師匠は消え去った。
「今後、レイ・アストレイに遭遇した際に彼女に記憶が戻らなかった場合…並びにアレン・ウォーカーが14番目に覚醒し、我々を脅かす存在と判断が下された場合は…ッ」
死んでいるのか生きているのかも分からない…
「その時は僕等を殺して下さい」
でも…
あの出窓にこびり付いた…
「教団を襲おうとすれば僕が止める。それでもどうにもならなくなったら…殺して下さい。
だって教団を襲うだなんて…ましてや皆を殺すだなんて…」
あのおびただしい量の赤黒い血が示す意味は…
「僕等はそんな事望んでない」
=ひとときの=
『たっだいま~♪』
そう元気良く自室に入って来たレイを迎えたのは、千年伯爵とレイの二人の護衛アクマだった。
「御帰りなさイ、レイ♡」
「…おかえり」
「お帰りなさいませ、姫様」
両腕を広げて待っている千年公に飛び付く様に抱き付いたレイは、クルクルとその場を回る千年公に振り回されながら再度“ただいま~♪”と言って笑った。
「ウフフ♡今日も可愛いデス♡」
「楽しんで参りましたか?」
『うん、楽しかったよ!』
「服だ」
『ありがと~、ユエ』
千年公から離れたレイは、着ていたドレスを手早く脱ぎ、コルセットを外すと、ユエの持つ部屋着のドレスと交換した。
頭から被ってモゾモゾしているレイをアグスティナが手伝う。
「姫様、お買い物はどうでした?」
『良いのいっぱい見つけちゃった♪ティキが沢山奢ってくれたよ!』
「まあ、良かったですね」
「次は我輩とお出掛けしましょうネ♡シェリルの誘いなんか断ってしまいなさイ♡」
『アハハ、ダメだよ~ロードと三人で出掛けるんだから!でも、チィを先にするね』
「姫様、お荷物は?」
『ティキが持ってくれてるよ!ティキは優しいね』
「……そのティキ様はどこに?」
そうユエが口にした瞬間、ゴンゴンと扉を蹴る様な音がした。
「お~い、レイ!!」
『……あぁ!!』
部屋の外から聞えた声に顔色を悪くしたレイはそう叫ぶと慌てて駆けてって扉を開けた。
『ティキ、ごめん!!』
「姫さん酷ぇよ~目の前で扉閉めるんだもんな」
両手いっぱいの荷物を持ったティキは、部屋に入るとベッドの上に荷物を降ろした。
「ティキぽん、御苦労様デス♡」
「いいえ~楽しかったっすよ」
「何もしてないでショウね?♡」
『手ぇ、繋いだよ♪』
「…何デスッテ?」
「繋いだだけ!はぐれない様に手ぇ繋いだだけ!!」
二人の遣り取りを見て楽しそうに笑ったレイは、荷物の山の中から箱を二つ取ると、ユエとアグスティナに手渡した。
『お土産だよ~♪』
「ん…」
「有難う御座います、姫様」
「レイ♡我輩の分ハ…♡♡♡」
『ぁ、チィの分忘れた』
瞬間、チィは膝から崩れた。
床に両手両膝を付いたチィは何だか凄く真ん丸に見えた。
「お~い、千年公…大丈夫か?」
「何てコト…我輩にお土産が無いだナンテ…」
「あの…姫様?この山の中には…」
『あぁ、それ殆どシャールの』
そう聞いて千年公は更に丸くなった。
「シャール…動かないシャールのが一番多くテ、我輩のが無いだナンテ…」
レイは千年公の隣にしゃがみ込むと、ポンポンと千年公の背を叩いた。
『ごめんね、チィ…次はお土産買ってくるから』
「レイ…♡」
『ティキが♡』
「俺?!!」
千年公の目からブワッと涙が溢れ、レイはハンカチを噛みながら泣く千年公を見て楽しそうに笑った。
「ちょ、レイ!俺、男に物買う趣味ないよ?!」
“土産の一つがユエのだって知って少しショックなのに”と言うティキを見て、レイは更に楽しそうに笑った。
「我輩だって、ティキポンにお土産貰ったって、嬉しいけど嬉しく無いデスヨ!!」
「どっちだよ!」
『エヘヘ、冗談だよ~』
“次は買ってくるね”と言いながら、レイはシャールへのお土産を山積みにして持つと、シャールの身体が眠る隣の部屋へ向かい、棚の上に置いた。
後でシャールに着せて…残りはクローゼットにしまわないと…
「姫様、先程ジャスデビ様がいらっしゃいましたよ」
『ジャスデビが~?』
何か用事があったのかな?
……まあ、用事が無くても来る子達だけど。
「何ですかねェ。もぅ…我輩以外との外出を禁止しまショウかねぇ」
『え、ヤダよぉ』
「じゃあ…外出はOKで、入室禁止はどうデスか?」
『却下ぁ!!』
「ちぇ…ッ♡」
『可愛く舌打ちしてもダメです~』
正直あんまり可愛くないし。チィ標準だと可愛いだけで…
「千年公も大変だな」
「自分が原因の一つダッテ事忘れないでクダサイよ、ティキポン♡」
「はいはい」
レイはふと“そうだ…”ともらすと、ティキの腕に抱き付いた。
『次は遊園地というものに行きたいです!』
「え、俺と行くの?」
“双子じゃなくて”と問いながら目をキラキラとさせたティキの隣で千年公はハンカチを振った。
「レイ、我輩と…」
『ティキと行きたい』
「マジで?!」
“じゃあ行こうぜ”と言って笑うティキの隣で千年公はぷぅ…っと膨れた。
「ティキポン出禁♡」
「えぇ?!そりゃねぇよ、千年公!」
『チィの意地悪~』
ギャアギャア騒ぐ三人の様子を窓際のテーブルの近くに立って見ていたユエの隣で、アグスティナはクスリと笑った。
「ユエ様」
「何だ」
「姫様…アレはわざとですかね?」
「……違うだろ」
「まあ…姫様は罪な方ですね」
「……今だけだ」
「え?」
「もう直ぐ聖戦は加速するだろう…誰かが必ず死ぬ。記憶が戻ろうと戻らなかろうと、アイツが悲しむのは目に見えている」
「……姫様は…」
『あ…ねぇ、チィ』
ユエと小声で話していたアグスティナは、レイがそう口にすると、口を閉じた。
「何ですカ?」
『そろそろ最後の子が目覚めると思うよ』
「ナルホド…」
『これでこの間死んじゃった“
「そうデスネ♡デハそろそろ始めましょうカ…」
『皆…殺しちゃって良いの?』
「アレン・ウォーカー以外は殺してイイですヨ♡」
『分かった、始めよう』
戦争と復讐を──…