第4章 最後の元帥
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86
「ねぇ、ティッキー」
割れた窓、壊れた家具や調度品…硝子の散らばる部屋は酷く…悲惨だ。
まあ、ここは方舟の中だから直ぐに元に戻せるんだけど。
それにしたって暴れ過ぎだ。
「…ど~したの?」
「傷が疼くんだよ」
傷ねぇ…メモリーの所為もあるかもだけど…それよりも気になるのはティッキーが今もノアである事だ。
アレンの退魔の剣に斬り付けられた体…まさかノアの力が残ってるとは思わなかった。
てっきり、唯の人間に戻ったかと…
「ティッキー、久し振りに人間に…」
「いい、戻れなくても良い」
「……本気で言ってんの?」
気晴らしにって思ったのに。人間が好きなティッキーが人間の中に戻れなくても良いだなんて…
「それより…」
「ん?」
「ラゼルに…」
「ぇ?」
今、何て言…
「レイに会いたい」
人間の…白いティッキーと家出をしたレイがお互いが…
ティッキーがノアだと、レイがノアでありエクソシストだと知らずに出会ったであろう事は誰もが想像がついてる事だが、誰もそれには触れなかった。
千年公以外は。
ジャスデビも何か隠してる様だったが、それも知っているのは千年公だけだ。
「ロード」
「ん~?」
「アイツは元気か?」
「ん~…外傷は無いよ。唯、疲れて寝てるだけ~」
千年公は何をする気なんだろ…
千年公に隠し事をしたジャスデビにはてっきりキツイお仕置きがあると思ったのにそれも無い……どういう事?
本当の“本格始動”って事・・?
「…ティッキー」
「ん…?」
「良い話と悪い話…教えてあげるからどっちから聞きたい~?」
=メモリー=
「仕方無いですヨ、ルル=ベル」
気が付いたら二人の声がした。
「いいえ、主!直ぐに教団に戻って奴等を殲滅します!!」
「ルル…」
「あそこはもう壊滅しかかっている…今戻れば!」
「レイが寝てるんデスヨ」
「……申し訳ありません、主」
「部屋に戻って休みなさイ♡」
「はい…」
ルルが部屋を出て行ったのを確認してそっと起き上がると、窓際のテーブルの脇に立つユエとティナが目に入った。
「レイ…!」
「まあ、姫様!お目覚めになったんですね!!」
「まー♡レイ──!!!♡♡♡♡♡」
涙と鼻水でビショビショの顔のチィが飛び掛る様に抱き付いてきて少し困った。
第一に重たいし…涙は兎も角、鼻水はやめてほしい。
でも口にはしなかった。
心配を掛けてしまったのは私なのだから・・
『チィ、おはよ~』
「遅いですヨ!!♡我輩は寂しくて寂しくてもう!!」
『ごめんね~?』
“アァ、もう可愛イ♡”とレイをぎゅうぎゅう抱き締める千年公を見て、アグスティナは楽しそうにクスクス笑った。
「伯爵様、あまり愛でると姫様が潰れてしまいますわ」
「我輩としたことガ♡」
『チィはティナに優しいね』
「側近を他のアクマと同じ扱いをするとレイは怒るじゃなイですカ♡」
『うん、だからありがと~』
「ハイハイ♡それよりどこか調子の悪イ所は無いですカ?♡」
『大丈夫だけど…治ったんじゃなくて“慣れた”って感じかな』
「卵が壊されてしまったんデス…ルル=ベルが取り返しに行ってくれたんですガ」
だからルルはさっきあんなに怒ってたんだ…
誰に怒ってるのか不思議だったけど…卵を取り戻せなかった自分に怒ってたんだ。
「卵が破壊された影響でメモリーに余波ガ…デモ影響を受けただけでどこかに異常があるわけじゃないデスから直ぐ治りますヨ♡」
『軽い麻痺状態なのね?じゃあどこも問題無いよ、チィ』
「ウフフ♡」
『ぁ、ねえ、チィ…』
「ハイ?♡」
『デビットとジャスデロは?』
同じベッドで寝ていたデビットとジャスデロの姿が部屋のどこにも見当たらないのに気付いてそう問い掛けると、チィは一瞬固まってから部屋の隅で丸まってしまった。
『チィ?』
「ジャスデビ…」
『えっと……チィ?』
「ナンデ、ジャスデビなんデスかぁぁ!!!」
ドバーと大量の涙を流し、ハンカチを噛みながら飛び上がった千年公に、レイはビクリと肩を震わせた。
「ユエ、アグスティナ、聞きましたカ?!」
び…ビックリした…
『チィ、一体どうし』
「我輩と一緒に居るのにジャスデビですッテ!!」
「…はい、今確かに」
「しっかりと聞きました、伯爵様!フフ、姫様もレディーに成長なされてきましたね」
『……どういう事』
「伯爵様は娘を持った父親の気分なんですわ。愛娘ポジションとして察して差し上げて下さいな、姫様」
理由は分かったけど、そこまでテンションが上がったり下がったりする理由が分からない。
『……ティキの事も気になってるんだけど』
怪我とか色々…
「ティキポンまでデスカ?!!」
「まあ、隅に置けませんね」
怪我とか…色々……
「ティキぽんは方舟の中デス♡ロードが見てくれてるから大丈夫デスヨ♡」
『ロードが…』
「一応回復はしたんデスが、傷が疼くみたいデ♡」
方舟の中って事は…物に当たってるのかな…
あの中は壊れても直ぐに修復が出来るから…
『…あの子は強い子?』
「エェ、大丈夫デス♡」
初めて会った時にメモリーに呑まれそうになってたから少し不安だったけど…チィがそう言うなら大丈夫かな…
ロードが一緒に居るのだからフォローしてくれる筈だし。
『チィ…あのね、お願いがあるんだけど…』
「何ですカ?♡」
『デビットとジャスデロ…二人共酷い怪我してたから心配なの』
二人の身体を駆け巡ってたイノセンス は私が吐き出したけど、アレは応急処置に過ぎなかった。
『二人に会いたい』
元気な二人に会いたい。目が覚めてる二人に会いたい。
このベッドに居ないという事は二人は回復した筈だ。
「良いデスヨ♡」
『………………え?』
…聞き間違い?
「良いんデスよ♡この部屋から出る事を…この屋敷から出る事を許可シマス♡」
『なん…で……?』
あれだけ何度もお願いしたのに駄目だった。
何度も脱走しては屋敷の敷地内でチィやユエ達に掴って連れ戻された。
なのに何で…
「ジャスデビに頼まれマシタ。自分達が護るから外に出してやってくれッテ♡」
二人が…?
二人が私の為にチィに…?
「これだけ皆ニ見られてしまったんですカラ、もう隠してる意味ガ殆ど無いんデスヨ♡」
“殆どネ”と言ってチィは優しく頭を撫でた。
『…お外出ていいの?』
「お嫁に出したくないんで社交界には出しませんガ♡外には出て良いデスよ♡」
何か引っ掛かるワードがあったけど…今はどうでもいい!
『色んな所に行ってもいい?買い物したりして遊んでいい?』
「良いデスヨ♡タダシ、絶対に誰かと一緒に行動なさイ♡」
『…っ』
ベッドに座っていたレイは、飛び上がると千年公に抱き付いた。
『ありがと、チィ!!!』
「ウフフ♡」
千年公は首に抱き付いたレイと一緒に部屋の中をクルクルと回った。
「でもマズは近くの町から初めましょうネ♡」
『それでもいい!』
「我輩とも沢山出掛けまショ♡」
『行くー!!!』
千年公はレイとキャーキャー騒ぎながら楽しそうに回っていたが、それはレイの一言で止まる事となった。
『でも最初はジャスデビね』
レイを抱き上げてストンと床に降ろした千年公は、また部屋の隅で丸まった。
『……チィ…』
「ジャスデビばっかズルイですヨ…」
と、言われてもなぁ…大事な三人の約束だし。
『二人が最初!』
めそめそと泣き出した千年公はを前に、アグスティナは小さく笑った。
「姫様は無敵ですね」
「むぅ、勝てませんネ」
『ごめんね♪』
千年公は、噛んでいたハンカチで涙を拭き、鼻をかむと、レイの頭をポンポンと優しく叩いた。
「ジャスデビは部屋をひっくり返してお金を探してマス」
『お金?』
「姫様、伯爵様は明日姫様を外出に御連れなさろうと考えてます」
『明日?』
「えぇ、ですからジャスデビ様は姫様の御召物を…自分達で買おうと」
───全部教えてあげるよ…
俺達がお前に……
『まだ…部屋に居るかな?』
「えぇ、いらっしゃると思いますよ」
『チィ!!私、さっそく出掛けてくる!』
レイは衣裳部屋に飛び込むと、ブラウスと黒いスカートを引っ掴んだ。
「姫様」
部屋を飛び出そうした私を止めたのはティナだった。
ティナはいつも通りにニッコリと優しく微笑んでいた。
「ジャスデビ様は姫様の為に頑張っていらっしゃいました。どうぞ、労って差し上げて下さいな」
レイは裸足のまま屋敷の中を駆け抜けた。
昔、教えてもらったデビットとジャスデロの部屋を目指して…
───全部教えてあげるよ!
そうだぞ、レイ!
俺達がお前に教えてやる…
楽しいものも…
綺麗なものも…
カッコイイものも…
全部、全部…
いっぱい、いっぱい…
持ってきてやる!
想像してあげる!
千年公にも話す…
外に出れる様に…
だから話すだけじゃなくて色んな事しようぜ!
ヒヒ、楽しい事をさ!
『デビット、ジャスデロ!!』
───隣の町にも…どの国にだって連れて行ってあげるよ!
世界中の楽しい事を満喫して、世界中の綺麗なものを見せてやる!
『私も連れて行って!』
どこまでもどこまでも三人で──…
「ねぇ、ティッキー」
割れた窓、壊れた家具や調度品…硝子の散らばる部屋は酷く…悲惨だ。
まあ、ここは方舟の中だから直ぐに元に戻せるんだけど。
それにしたって暴れ過ぎだ。
「…ど~したの?」
「傷が疼くんだよ」
傷ねぇ…メモリーの所為もあるかもだけど…それよりも気になるのはティッキーが今もノアである事だ。
アレンの退魔の剣に斬り付けられた体…まさかノアの力が残ってるとは思わなかった。
てっきり、唯の人間に戻ったかと…
「ティッキー、久し振りに人間に…」
「いい、戻れなくても良い」
「……本気で言ってんの?」
気晴らしにって思ったのに。人間が好きなティッキーが人間の中に戻れなくても良いだなんて…
「それより…」
「ん?」
「ラゼルに…」
「ぇ?」
今、何て言…
「レイに会いたい」
人間の…白いティッキーと家出をしたレイがお互いが…
ティッキーがノアだと、レイがノアでありエクソシストだと知らずに出会ったであろう事は誰もが想像がついてる事だが、誰もそれには触れなかった。
千年公以外は。
ジャスデビも何か隠してる様だったが、それも知っているのは千年公だけだ。
「ロード」
「ん~?」
「アイツは元気か?」
「ん~…外傷は無いよ。唯、疲れて寝てるだけ~」
千年公は何をする気なんだろ…
千年公に隠し事をしたジャスデビにはてっきりキツイお仕置きがあると思ったのにそれも無い……どういう事?
本当の“本格始動”って事・・?
「…ティッキー」
「ん…?」
「良い話と悪い話…教えてあげるからどっちから聞きたい~?」
=メモリー=
「仕方無いですヨ、ルル=ベル」
気が付いたら二人の声がした。
「いいえ、主!直ぐに教団に戻って奴等を殲滅します!!」
「ルル…」
「あそこはもう壊滅しかかっている…今戻れば!」
「レイが寝てるんデスヨ」
「……申し訳ありません、主」
「部屋に戻って休みなさイ♡」
「はい…」
ルルが部屋を出て行ったのを確認してそっと起き上がると、窓際のテーブルの脇に立つユエとティナが目に入った。
「レイ…!」
「まあ、姫様!お目覚めになったんですね!!」
「まー♡レイ──!!!♡♡♡♡♡」
涙と鼻水でビショビショの顔のチィが飛び掛る様に抱き付いてきて少し困った。
第一に重たいし…涙は兎も角、鼻水はやめてほしい。
でも口にはしなかった。
心配を掛けてしまったのは私なのだから・・
『チィ、おはよ~』
「遅いですヨ!!♡我輩は寂しくて寂しくてもう!!」
『ごめんね~?』
“アァ、もう可愛イ♡”とレイをぎゅうぎゅう抱き締める千年公を見て、アグスティナは楽しそうにクスクス笑った。
「伯爵様、あまり愛でると姫様が潰れてしまいますわ」
「我輩としたことガ♡」
『チィはティナに優しいね』
「側近を他のアクマと同じ扱いをするとレイは怒るじゃなイですカ♡」
『うん、だからありがと~』
「ハイハイ♡それよりどこか調子の悪イ所は無いですカ?♡」
『大丈夫だけど…治ったんじゃなくて“慣れた”って感じかな』
「卵が壊されてしまったんデス…ルル=ベルが取り返しに行ってくれたんですガ」
だからルルはさっきあんなに怒ってたんだ…
誰に怒ってるのか不思議だったけど…卵を取り戻せなかった自分に怒ってたんだ。
「卵が破壊された影響でメモリーに余波ガ…デモ影響を受けただけでどこかに異常があるわけじゃないデスから直ぐ治りますヨ♡」
『軽い麻痺状態なのね?じゃあどこも問題無いよ、チィ』
「ウフフ♡」
『ぁ、ねえ、チィ…』
「ハイ?♡」
『デビットとジャスデロは?』
同じベッドで寝ていたデビットとジャスデロの姿が部屋のどこにも見当たらないのに気付いてそう問い掛けると、チィは一瞬固まってから部屋の隅で丸まってしまった。
『チィ?』
「ジャスデビ…」
『えっと……チィ?』
「ナンデ、ジャスデビなんデスかぁぁ!!!」
ドバーと大量の涙を流し、ハンカチを噛みながら飛び上がった千年公に、レイはビクリと肩を震わせた。
「ユエ、アグスティナ、聞きましたカ?!」
び…ビックリした…
『チィ、一体どうし』
「我輩と一緒に居るのにジャスデビですッテ!!」
「…はい、今確かに」
「しっかりと聞きました、伯爵様!フフ、姫様もレディーに成長なされてきましたね」
『……どういう事』
「伯爵様は娘を持った父親の気分なんですわ。愛娘ポジションとして察して差し上げて下さいな、姫様」
理由は分かったけど、そこまでテンションが上がったり下がったりする理由が分からない。
『……ティキの事も気になってるんだけど』
怪我とか色々…
「ティキポンまでデスカ?!!」
「まあ、隅に置けませんね」
怪我とか…色々……
「ティキぽんは方舟の中デス♡ロードが見てくれてるから大丈夫デスヨ♡」
『ロードが…』
「一応回復はしたんデスが、傷が疼くみたいデ♡」
方舟の中って事は…物に当たってるのかな…
あの中は壊れても直ぐに修復が出来るから…
『…あの子は強い子?』
「エェ、大丈夫デス♡」
初めて会った時にメモリーに呑まれそうになってたから少し不安だったけど…チィがそう言うなら大丈夫かな…
ロードが一緒に居るのだからフォローしてくれる筈だし。
『チィ…あのね、お願いがあるんだけど…』
「何ですカ?♡」
『デビットとジャスデロ…二人共酷い怪我してたから心配なの』
二人の身体を駆け巡ってた
『二人に会いたい』
元気な二人に会いたい。目が覚めてる二人に会いたい。
このベッドに居ないという事は二人は回復した筈だ。
「良いデスヨ♡」
『………………え?』
…聞き間違い?
「良いんデスよ♡この部屋から出る事を…この屋敷から出る事を許可シマス♡」
『なん…で……?』
あれだけ何度もお願いしたのに駄目だった。
何度も脱走しては屋敷の敷地内でチィやユエ達に掴って連れ戻された。
なのに何で…
「ジャスデビに頼まれマシタ。自分達が護るから外に出してやってくれッテ♡」
二人が…?
二人が私の為にチィに…?
「これだけ皆ニ見られてしまったんですカラ、もう隠してる意味ガ殆ど無いんデスヨ♡」
“殆どネ”と言ってチィは優しく頭を撫でた。
『…お外出ていいの?』
「お嫁に出したくないんで社交界には出しませんガ♡外には出て良いデスよ♡」
何か引っ掛かるワードがあったけど…今はどうでもいい!
『色んな所に行ってもいい?買い物したりして遊んでいい?』
「良いデスヨ♡タダシ、絶対に誰かと一緒に行動なさイ♡」
『…っ』
ベッドに座っていたレイは、飛び上がると千年公に抱き付いた。
『ありがと、チィ!!!』
「ウフフ♡」
千年公は首に抱き付いたレイと一緒に部屋の中をクルクルと回った。
「でもマズは近くの町から初めましょうネ♡」
『それでもいい!』
「我輩とも沢山出掛けまショ♡」
『行くー!!!』
千年公はレイとキャーキャー騒ぎながら楽しそうに回っていたが、それはレイの一言で止まる事となった。
『でも最初はジャスデビね』
レイを抱き上げてストンと床に降ろした千年公は、また部屋の隅で丸まった。
『……チィ…』
「ジャスデビばっかズルイですヨ…」
と、言われてもなぁ…大事な三人の約束だし。
『二人が最初!』
めそめそと泣き出した千年公はを前に、アグスティナは小さく笑った。
「姫様は無敵ですね」
「むぅ、勝てませんネ」
『ごめんね♪』
千年公は、噛んでいたハンカチで涙を拭き、鼻をかむと、レイの頭をポンポンと優しく叩いた。
「ジャスデビは部屋をひっくり返してお金を探してマス」
『お金?』
「姫様、伯爵様は明日姫様を外出に御連れなさろうと考えてます」
『明日?』
「えぇ、ですからジャスデビ様は姫様の御召物を…自分達で買おうと」
───全部教えてあげるよ…
俺達がお前に……
『まだ…部屋に居るかな?』
「えぇ、いらっしゃると思いますよ」
『チィ!!私、さっそく出掛けてくる!』
レイは衣裳部屋に飛び込むと、ブラウスと黒いスカートを引っ掴んだ。
「姫様」
部屋を飛び出そうした私を止めたのはティナだった。
ティナはいつも通りにニッコリと優しく微笑んでいた。
「ジャスデビ様は姫様の為に頑張っていらっしゃいました。どうぞ、労って差し上げて下さいな」
レイは裸足のまま屋敷の中を駆け抜けた。
昔、教えてもらったデビットとジャスデロの部屋を目指して…
───全部教えてあげるよ!
そうだぞ、レイ!
俺達がお前に教えてやる…
楽しいものも…
綺麗なものも…
カッコイイものも…
全部、全部…
いっぱい、いっぱい…
持ってきてやる!
想像してあげる!
千年公にも話す…
外に出れる様に…
だから話すだけじゃなくて色んな事しようぜ!
ヒヒ、楽しい事をさ!
『デビット、ジャスデロ!!』
───隣の町にも…どの国にだって連れて行ってあげるよ!
世界中の楽しい事を満喫して、世界中の綺麗なものを見せてやる!
『私も連れて行って!』
どこまでもどこまでも三人で──…