第1章 ノアの少女
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8
《良いねぇ…青い空、エメラルドグリーンの海…ベルファヴォーレ イタリアン!!》
「だから何だ」
コムイの間抜けな声に、神田は溜め息混じりにそう口にした。
《何だ?フフン…羨ましいんだい、ちくしょーめっ!!アクマ退治の報告からもう三日!何してんのさ!!ボクなんかみんなにコキ使われて外にも出れない…まるでお城に幽閉されたプリンセ》
「喚くな、煩ぇな!!文句はアイツに言えよ!」
何でこいつはこんなに煩いんだろうか…いちいちイライラする。
「つかコムイ…俺、アイツと合わねぇ」
《神田くんは誰とも合わないじゃないの》
「…レイとは合う」
《それは神田くんがレイの事を好きで、それと同じくらいレイが君を大事にしているからだよ》
ユウ、大好き…
《で、アレンくんは?》
「チッ…アイツはまだあの都市で人形と一緒にいる」
モヤシの事何かどうでも良い。
俺は…
《今回の怪我は時間かかったね、神田くん》
「でも治った」
《でも時間がかかってきたって事は、ガタが来始めてるって事だ。計り間違えちゃいけないよ…君の命の残量をね》
計り間違えないでね、ユウ──…
「チッ…同じ事言ってんじゃねぇよ」
=護る手=
十三個目のイノセンスを確保し、ユエに違う任務を頼んで…迷宮のある街へと向かった。
気掛かりな事があって。
二人が心配で…私は二人の元に向かったのだ。
──ありがとう…壊れるまで歌わせてくれて…これで約束が守れるわ──…
そう言って、壊れた人形は最後に笑った…
二人を探して街を彷徨い、漸く二人の元に辿り着いたレイは人形の最後を見た。
「おい、どうした」
レイは建物の入口に立ってそうアレンに問い掛ける神田と、その隣に控えるトマに近付き、神田の手を取った。
「おい…ッ、…お前ッ」
急に現れたレイに、ビクリと肩を震わせて驚いたトマにニッコリ笑うと、レイは神田の手を握り締めると口許に人指し指を当てて、驚いて声を出そうとする神田を黙らせた。
アレンはまだ私の存在に気付いていなかった。
「神田…それでも僕は……誰かを救える破壊者になりたいです」
ユウがアレンに何を言ったかは想像がつく。これがアレンの答えなのだろう。
そして私の答えは…
いつか示す時が来る筈だ。
三人と合流して早々、本部へ戻るアレンとトマを見送る為に、レイは二人と駅に向かった。
『じゃあ頼むね、アレン、トマ!私が所持しているイノセンスはまとめて持って帰ってヘブを驚かせたいから秘密ね』
汽車の窓から身を乗り出したアレンとトマに、レイはそう言って笑った。
帰りの汽車がもう直ぐ出る。本当は一度一緒に帰ろうと思ったが、マテールのイノセンスの持ち帰りはアレンとトマに任せる事にした。
ユウと私には次の任務がある。
「はい、レイ殿」
「はい、レイ元帥」
レイは改まったアレンの反応を見て弾かれた様に笑い出した。
『レイで良いんだよ、アレン』
「でも…」
『教団の皆は私のもう一つの家族なの…だから呼び捨てで良いんだ』
「スミマセン、レイ殿…」
『良いよ、トマ。トマのは癖だ…好きに呼ぶと良いよ』
「はい、レイ殿」
『アレンは?』
「えっと…じゃあ、レイ」
アレンが自分の名を呼ぶのを聞くとレイは嬉しそうに微笑んだ。
『この間は聞き忘れちゃったけど…クロスは元気だった?』
クロスの名前を出した瞬間、アレンの表情があからさまに曇った。触れてはいけなかった様だ。
「元気ですよ…本部に行く際、僕を殴って逃走するくらいには」
殴って…って……可愛い弟子に何してんのクロス…
『クロスは本部が嫌いだから…』
あの人の事だ。
多分そんな理由だろう。
「え…もしかしてレイの入団の時も師匠はいなかったんですか?」
『いなかったよ。アレンみたいに手紙が一通コムイ宛てに届いてただけ……まぁ、コムイは読んでなかったけど』
成長しない人だ…まぁ、仕事頑張り過ぎて片付けに手が回らないんだろうけど。
そうだ、今度あの人直伝の料理とケーキと紅茶を差入れよう。
そんな事を考えていたら、汽車の汽笛が耳障りな程の音を立てて鳴り響いた。もう、出発の時間だ。
『アレン、トマ、また今度ね!』
レイは汽車の窓から顔と手を出した二人の手をとる。少し寂しい…
「はい!レイ殿、お気を付けて!!」
『あ、本部に私の家族のシャールっていう子がお留守番してるから、仲良くしてあげてね!』
「ユエはどうしたんですか?」
『ユエは別任務』
レイは繋いでいた二人の手を離すと微笑みながら手を振った。
また、無事に会えます様に…
そう願いを込めて…‥
『貴方達に女神の加護を』
そう言ってアレンとトマを送り出し、二人の乗った汽車を見送ったレイは、直ぐに駅近くの路地に向かった。神田を待たせてあるのだ。
路地の階段に怠そうに座っていた神田は、レイを見付けると立ち上がった。
「レイ、話って‥」
パンッ
そう路地に乾いた音が響き渡ったのは、神田が立ち上がって直ぐの事だった。
直ぐに神田の頬に赤味が広がる…レイが神田の頬を叩いたのだ。
何で叩かれたのか分からない神田は不機嫌そうに眉間に皺を寄せると、レイを睨み付けた。
「おい、お前…」
『間違えないでって言ったじゃない!!何で…何で言ったそばから怪我してるの‥』
神田にはどうしたら良いかが分からなかった。
レイは泣いてはいないが、今にも泣きそうな顔をしている。
『わ…たし…ユウの言った事、守ってる…よ……何で…何でユウは私の言った事…守ってくれないの?何で‥私のお願いキイテクレナイの?』
ちゃんと、ちゃんと守ってるのに…
『心配するでしょ…』
レイは唇を噛み締めると拳をギュッと握り締めた。爪が掌に食い込んで血が出たが、そんな事どうでも良かった。
悔しくて‥
哀しくて…仕方無い…‥
何で…
何で‥何で…
「……悪かった」
神田は唯一言、囁く様にそう言うとレイを精一杯優しく抱き締めた。
その行動一つ一つもレイには傷が開かないか心配で仕方無かった。
『…叩いたりしてごめんなさい』
「叩かれるような事したのは俺だからな」
私は…ユウが死んだら泣クノカナ…?
泣ケルト良イナ…
だけどそんな事には…
何をしてでも絶対にさせ無い。
皆は私が護るんだ──…‥
《良いねぇ…青い空、エメラルドグリーンの海…ベルファヴォーレ イタリアン!!》
「だから何だ」
コムイの間抜けな声に、神田は溜め息混じりにそう口にした。
《何だ?フフン…羨ましいんだい、ちくしょーめっ!!アクマ退治の報告からもう三日!何してんのさ!!ボクなんかみんなにコキ使われて外にも出れない…まるでお城に幽閉されたプリンセ》
「喚くな、煩ぇな!!文句はアイツに言えよ!」
何でこいつはこんなに煩いんだろうか…いちいちイライラする。
「つかコムイ…俺、アイツと合わねぇ」
《神田くんは誰とも合わないじゃないの》
「…レイとは合う」
《それは神田くんがレイの事を好きで、それと同じくらいレイが君を大事にしているからだよ》
ユウ、大好き…
《で、アレンくんは?》
「チッ…アイツはまだあの都市で人形と一緒にいる」
モヤシの事何かどうでも良い。
俺は…
《今回の怪我は時間かかったね、神田くん》
「でも治った」
《でも時間がかかってきたって事は、ガタが来始めてるって事だ。計り間違えちゃいけないよ…君の命の残量をね》
計り間違えないでね、ユウ──…
「チッ…同じ事言ってんじゃねぇよ」
=護る手=
十三個目のイノセンスを確保し、ユエに違う任務を頼んで…迷宮のある街へと向かった。
気掛かりな事があって。
二人が心配で…私は二人の元に向かったのだ。
──ありがとう…壊れるまで歌わせてくれて…これで約束が守れるわ──…
そう言って、壊れた人形は最後に笑った…
二人を探して街を彷徨い、漸く二人の元に辿り着いたレイは人形の最後を見た。
「おい、どうした」
レイは建物の入口に立ってそうアレンに問い掛ける神田と、その隣に控えるトマに近付き、神田の手を取った。
「おい…ッ、…お前ッ」
急に現れたレイに、ビクリと肩を震わせて驚いたトマにニッコリ笑うと、レイは神田の手を握り締めると口許に人指し指を当てて、驚いて声を出そうとする神田を黙らせた。
アレンはまだ私の存在に気付いていなかった。
「神田…それでも僕は……誰かを救える破壊者になりたいです」
ユウがアレンに何を言ったかは想像がつく。これがアレンの答えなのだろう。
そして私の答えは…
いつか示す時が来る筈だ。
三人と合流して早々、本部へ戻るアレンとトマを見送る為に、レイは二人と駅に向かった。
『じゃあ頼むね、アレン、トマ!私が所持しているイノセンスはまとめて持って帰ってヘブを驚かせたいから秘密ね』
汽車の窓から身を乗り出したアレンとトマに、レイはそう言って笑った。
帰りの汽車がもう直ぐ出る。本当は一度一緒に帰ろうと思ったが、マテールのイノセンスの持ち帰りはアレンとトマに任せる事にした。
ユウと私には次の任務がある。
「はい、レイ殿」
「はい、レイ元帥」
レイは改まったアレンの反応を見て弾かれた様に笑い出した。
『レイで良いんだよ、アレン』
「でも…」
『教団の皆は私のもう一つの家族なの…だから呼び捨てで良いんだ』
「スミマセン、レイ殿…」
『良いよ、トマ。トマのは癖だ…好きに呼ぶと良いよ』
「はい、レイ殿」
『アレンは?』
「えっと…じゃあ、レイ」
アレンが自分の名を呼ぶのを聞くとレイは嬉しそうに微笑んだ。
『この間は聞き忘れちゃったけど…クロスは元気だった?』
クロスの名前を出した瞬間、アレンの表情があからさまに曇った。触れてはいけなかった様だ。
「元気ですよ…本部に行く際、僕を殴って逃走するくらいには」
殴って…って……可愛い弟子に何してんのクロス…
『クロスは本部が嫌いだから…』
あの人の事だ。
多分そんな理由だろう。
「え…もしかしてレイの入団の時も師匠はいなかったんですか?」
『いなかったよ。アレンみたいに手紙が一通コムイ宛てに届いてただけ……まぁ、コムイは読んでなかったけど』
成長しない人だ…まぁ、仕事頑張り過ぎて片付けに手が回らないんだろうけど。
そうだ、今度あの人直伝の料理とケーキと紅茶を差入れよう。
そんな事を考えていたら、汽車の汽笛が耳障りな程の音を立てて鳴り響いた。もう、出発の時間だ。
『アレン、トマ、また今度ね!』
レイは汽車の窓から顔と手を出した二人の手をとる。少し寂しい…
「はい!レイ殿、お気を付けて!!」
『あ、本部に私の家族のシャールっていう子がお留守番してるから、仲良くしてあげてね!』
「ユエはどうしたんですか?」
『ユエは別任務』
レイは繋いでいた二人の手を離すと微笑みながら手を振った。
また、無事に会えます様に…
そう願いを込めて…‥
『貴方達に女神の加護を』
そう言ってアレンとトマを送り出し、二人の乗った汽車を見送ったレイは、直ぐに駅近くの路地に向かった。神田を待たせてあるのだ。
路地の階段に怠そうに座っていた神田は、レイを見付けると立ち上がった。
「レイ、話って‥」
パンッ
そう路地に乾いた音が響き渡ったのは、神田が立ち上がって直ぐの事だった。
直ぐに神田の頬に赤味が広がる…レイが神田の頬を叩いたのだ。
何で叩かれたのか分からない神田は不機嫌そうに眉間に皺を寄せると、レイを睨み付けた。
「おい、お前…」
『間違えないでって言ったじゃない!!何で…何で言ったそばから怪我してるの‥』
神田にはどうしたら良いかが分からなかった。
レイは泣いてはいないが、今にも泣きそうな顔をしている。
『わ…たし…ユウの言った事、守ってる…よ……何で…何でユウは私の言った事…守ってくれないの?何で‥私のお願いキイテクレナイの?』
ちゃんと、ちゃんと守ってるのに…
『心配するでしょ…』
レイは唇を噛み締めると拳をギュッと握り締めた。爪が掌に食い込んで血が出たが、そんな事どうでも良かった。
悔しくて‥
哀しくて…仕方無い…‥
何で…
何で‥何で…
「……悪かった」
神田は唯一言、囁く様にそう言うとレイを精一杯優しく抱き締めた。
その行動一つ一つもレイには傷が開かないか心配で仕方無かった。
『…叩いたりしてごめんなさい』
「叩かれるような事したのは俺だからな」
私は…ユウが死んだら泣クノカナ…?
泣ケルト良イナ…
だけどそんな事には…
何をしてでも絶対にさせ無い。
皆は私が護るんだ──…‥