第1章 ノアの少女
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7
『ユエ』
そう口にしてアクマの背に足を掛けて飛び上がったレイは、空中で静止していたアクマにニッコリと笑みを向けた。
『受け止めなさい』
スッと差し出された手にふわりと着地したレイは、その長い指から赤い石の付いた腕輪を抜き取ると、ヴァイオリンの弓に付いた不釣り合いな刃をアクマの首筋に当てた。
「ア…ア゛ァァ、ナンデ…コンナ」
『ごめんね』
ヴァイオリンにそうする様に引かれた弓にアクマの首は刎ねられた。
『十三個目…イノセンス確保』
=闇をかける翼=
ドイツ/ベルリン 5:20
薄暗い裏路地を黒服の二人が上を見上げながら走り抜けた。
一人はスリットの入った丈の短いワンピースに同じく丈の短い教団の紋章の入ったジャケットを着た黒髪の少女。もう一人は黒いロングコートを着た長髪の青年だ。
二人の視線の先には空…を飛ぶ黒い鳥。
『全く、別に逃げなくても良いじゃない!』
「撃ち落としては駄目か?」
『駄目!!』
標的の鳥…烏は小さな鉄の箱を加えて逃げている。話し掛けたら箱を加えて逃げてしまったのだ。
話くらい聞いてくれても良いのに…
『箱に当たったらどうするの?あの箱はイノセンスなのよ…それに烏が可哀想でしょ!』
ユエの攻撃なんかが当たったら烏が死んでしまう。
「じゃあ飛んで取ってくる」
『よっしゃ!行っけぇ〜ユエ!!』
急ブレーキをかけて立ち止まったレイが空を飛ぶ烏に向け指を指すと、ユエが直ぐにコンパートメントした。
そして烏目掛けてふわりと飛び上がる…が、直ぐにレイに脚を掴まれ、空中で止まってしまった。
「どうした?」
ユエが不思議そうに振り返ると、レイは別の方を向いていた。
『人が‥来る……やっぱ私がやるよ』
今まで人気が無かったこの裏路地に、ふと人の気配を感じた。
恐らく人間だろうが…人間にしろアクマにしろ、飛んでいるユエを人に見られてはマズイ。私がやった方が安全だろう。
ユエが人の姿に戻りながら地へ降りる中、レイは自分の影に手を沈めると、漆黒のヴァイオリンを取り出した。
『“イノセンス発動”』
イノセンスを発動すると、弦を張っていなかったヴァイオリンと弓にキラキラと光る弦が現れた。
レイは烏をしっかりと見据えると、ヴァイオリンを弾き始めた。
すると、ヴァイオリンの音色に合わせて路地に生えていた植物の蔦がシュルシュルと伸び出した。
『もう逃げられ無いわよ』
一瞬だった。
勢い良く伸びた蔦が烏に絡み付き、烏はふり解こうとするが解けず、蔦によってレイの元へ運ばれてしまった。
『ん…?』
レイは運ばれてきた烏を見て首を傾げた。
「どうした?」
レイは烏を覗き込み、暫し見詰めると顔を上げた。
『この子…変じゃない?』
「変?」
『なんだか大きいし、嘴もここの所が角みたいな……もしかして適合してる?』
ユエが目を見開き、レイは再度烏の顔を覗き込んだ。
『ん──…ねぇ烏君、蔦を取って上げるわ…その代わり逃げないでくれる?別に取って食いやしないわ』
烏がゆっくりと頷き、それを見たレイは微笑むと再びヴァイオリンを弾いて蔦を解き元あった通りに戻した。そして弾くのを止めたヴァイオリンを自分の影へと落とす。ヴァイオリンは水に投げ込んだようにスッと姿を消した。
『烏君…名前はあるのかしら』
レイが訪ねると烏は首を横に振った。
どうも言葉が分かっている様だ。
『無いのね…じゃあ、次。その箱が普通じゃないって気付いているかしら?』
「………キヅいている」
少し間を開けて烏がそう答え、レイは再び微笑んだ。
『そう、なら話は早いわ…』
話せるのは恐らくイノセンスの影響だろう。
『私と来なさい、烏君』
「…ドコヘだ」
烏がそう問い掛けた瞬間、レイの腕から黒い影の様なモノが伸び、烏の脇に突き刺さった。
驚いた烏は後ろを振り返ると更に驚いて目を真ん丸に見開いた。
そこには機械仕掛けの人間がレイの腕から伸びた影によって突き抜かれていたからだ。
「ナンだ、コレは?!」
『アクマよ…見た事無いの?貴方、今までよく無事だったわね』
レイはアクマから影の様なモノを引き抜くとアクマの額にそっと口付けた。
『安らかに…縛り付けてごめんなさいね』
「ノア‥サマ…ナン…デ…」
瞬間、アクマはシュッと音を立てて蒸発した様に消え去った。
「オマエ…ナニモノだ‥?」
レイはアクマを見送る様に空を眺めながら口を開いた。
『私はアレを造っているノアの一族の娘…そして今はノアの一族を裏切り人間に加担する異端のエクソシスト』
「…エクソシスト?」
『エクソシストとはアクマを破壊する神の使徒』
果して神は誰なのか…私はあの人が良いけど、あの人は違うと言っていた。
「…カミのシト」
『そう、神の使徒だ。そして君はその神の使徒』
嬉しそうに微笑んだレイは烏に向かって手を差し出した。
『私と戦ってくれない?』
暫らくレイを見ていた烏は、飛び上がるとレイの腕に止まった。
「…オレは…ジカンイドウがデキる」
レイは微笑みながら烏を撫で、大人しく待っていたユエと視線を合わせた。
『私は‥私達は君を護るよ、烏君』
そうレイが口にした瞬間…
「エクソシスト死ねぇ!!!」
本日、二体目のアクマがレイに襲いかかった。
「オンナ!!」
『………』
レイを庇う様に烏がレイの前に出、更にその前にユエが立ちはだかった。
「失せろ雑魚」
そういってアクマに向かって手を伸ばしたユエは目を見開いた。
「な…‥っ」
自分は何もしていないのに目の前のアクマが爆発音と共に吹き飛んだからだった。
アクマが吹き飛んだ為に出来た砂煙りの中から一人の人が姿を現した。
十二歳くらいのメイドの様な服を着た少女だった。
「コドモ…?」
「シャールか‥」
「このクソアクマ!!ボクのレイに何するんだ!!弱いくせに威勢だけは良いんだから!」
シャールと呼ばれた少女は、レイと目が合うと満面の笑みでレイに駆け寄り、抱き付いた。
「レイ!!」
『久しぶり、シャール』
レイは弱々しく微笑むと、シャールの頭を優しく撫でた。
再会してしまった…
「レイ、もうボクを置いて行かないで!!」
シャールは私の側近。それなのに家を出る時にユエをだけを連れ、シャールを置いてきてしまった。
直ぐに戻るつもりだったし、何より力だけで精神的に未熟なアクマであるシャールを外に連れ出すのが嫌だった。
エクソシストに壊されたら絶対に嫌だから…
「ユエは一緒に居られる様にレイが何かしたんでしょ?ボクにもして!ボク、レイと居たいんだ!」
確にユエには色々と手を加えてある。
人を襲わない様に、アクマを食べない様に、アクマを消滅させない様に…そう“改造”してある。
それが一緒にいられる方法だから‥
それが‥
壊されない術だから。
『…だけど……』
同胞に対する罪悪感を伴う‥
何より痛みを伴う…
「レイ、レイと居れないならボクを壊して」
『それは‥』
「レイと居れないなら意味無い!ボクを壊して!!」
私は‥
シャールを壊せ無い──…
『ユエ、イノセンスは回収した。帰ろう…コムイに道具を借りないといけない』
「…分かった」
『シャール…もう、チィの所には戻れないよ?』
「じゃあ…良いの?」
涙目でレイを見上げるシャールの瞳は幼い子のモノだった。
『おいで、シャール』
レイは微笑むとシャールに手を差し出した。
「レイ!」
シャールは手を取らずに勢い良くレイに抱き付き、レイはそれに答える様にゆっくりとシャールを抱き締めた。
『おかえり』
今‥私の手で壊すくらいなら…
それならいっそ‥
この子の望む様に──…‥
「「「えぇええぇ?!!」」」
シャールの改造終了後…教団内にコムイ達、科学班の悲鳴にも似た声が響き渡った。
離れた所にいたレイは声を聞き付けて人だかりに近付いた。
『コムイうるさ~い…手術で疲れてんだよ~…って、変な顔~どうしたの?』
「だ、だってさぁ!シャールちゃんが自分は男の子だなんて言うから‥」
『シャールは男の子だよ』
「えぇえ!!?」
机に座っていたシャールはクスクス笑うと地に飛び下りた。
「このボディはボクのお姉ちゃんのだもん。中身は男だよ!洋服だってレイが可愛いって言うから着てるだけだし~」
『だってシャール可愛いじゃん』
「レイに言われるんなら嬉しいよ!」
可愛らしく微笑んだシャールはレイの近くの机に飛び乗ると、後ろから両手でレイの耳を塞ぎ、ニヤリと口角を上げて笑った。
「レイは俺のだ‥テメェ等、手ぇ出すなよな」
シャールの冷たい笑みに、科学班の一同は顔を青く染めて冷や汗を流した。
『どうしたの?』
レイの耳から手を離して机から飛び降りたシャールは、可愛らしくニッコリと微笑んだ。
「何でもないよ、レイ!」
君は‥
こんなボクを知らなくていい──…
『ユエ』
そう口にしてアクマの背に足を掛けて飛び上がったレイは、空中で静止していたアクマにニッコリと笑みを向けた。
『受け止めなさい』
スッと差し出された手にふわりと着地したレイは、その長い指から赤い石の付いた腕輪を抜き取ると、ヴァイオリンの弓に付いた不釣り合いな刃をアクマの首筋に当てた。
「ア…ア゛ァァ、ナンデ…コンナ」
『ごめんね』
ヴァイオリンにそうする様に引かれた弓にアクマの首は刎ねられた。
『十三個目…イノセンス確保』
=闇をかける翼=
ドイツ/ベルリン 5:20
薄暗い裏路地を黒服の二人が上を見上げながら走り抜けた。
一人はスリットの入った丈の短いワンピースに同じく丈の短い教団の紋章の入ったジャケットを着た黒髪の少女。もう一人は黒いロングコートを着た長髪の青年だ。
二人の視線の先には空…を飛ぶ黒い鳥。
『全く、別に逃げなくても良いじゃない!』
「撃ち落としては駄目か?」
『駄目!!』
標的の鳥…烏は小さな鉄の箱を加えて逃げている。話し掛けたら箱を加えて逃げてしまったのだ。
話くらい聞いてくれても良いのに…
『箱に当たったらどうするの?あの箱はイノセンスなのよ…それに烏が可哀想でしょ!』
ユエの攻撃なんかが当たったら烏が死んでしまう。
「じゃあ飛んで取ってくる」
『よっしゃ!行っけぇ〜ユエ!!』
急ブレーキをかけて立ち止まったレイが空を飛ぶ烏に向け指を指すと、ユエが直ぐにコンパートメントした。
そして烏目掛けてふわりと飛び上がる…が、直ぐにレイに脚を掴まれ、空中で止まってしまった。
「どうした?」
ユエが不思議そうに振り返ると、レイは別の方を向いていた。
『人が‥来る……やっぱ私がやるよ』
今まで人気が無かったこの裏路地に、ふと人の気配を感じた。
恐らく人間だろうが…人間にしろアクマにしろ、飛んでいるユエを人に見られてはマズイ。私がやった方が安全だろう。
ユエが人の姿に戻りながら地へ降りる中、レイは自分の影に手を沈めると、漆黒のヴァイオリンを取り出した。
『“イノセンス発動”』
イノセンスを発動すると、弦を張っていなかったヴァイオリンと弓にキラキラと光る弦が現れた。
レイは烏をしっかりと見据えると、ヴァイオリンを弾き始めた。
すると、ヴァイオリンの音色に合わせて路地に生えていた植物の蔦がシュルシュルと伸び出した。
『もう逃げられ無いわよ』
一瞬だった。
勢い良く伸びた蔦が烏に絡み付き、烏はふり解こうとするが解けず、蔦によってレイの元へ運ばれてしまった。
『ん…?』
レイは運ばれてきた烏を見て首を傾げた。
「どうした?」
レイは烏を覗き込み、暫し見詰めると顔を上げた。
『この子…変じゃない?』
「変?」
『なんだか大きいし、嘴もここの所が角みたいな……もしかして適合してる?』
ユエが目を見開き、レイは再度烏の顔を覗き込んだ。
『ん──…ねぇ烏君、蔦を取って上げるわ…その代わり逃げないでくれる?別に取って食いやしないわ』
烏がゆっくりと頷き、それを見たレイは微笑むと再びヴァイオリンを弾いて蔦を解き元あった通りに戻した。そして弾くのを止めたヴァイオリンを自分の影へと落とす。ヴァイオリンは水に投げ込んだようにスッと姿を消した。
『烏君…名前はあるのかしら』
レイが訪ねると烏は首を横に振った。
どうも言葉が分かっている様だ。
『無いのね…じゃあ、次。その箱が普通じゃないって気付いているかしら?』
「………キヅいている」
少し間を開けて烏がそう答え、レイは再び微笑んだ。
『そう、なら話は早いわ…』
話せるのは恐らくイノセンスの影響だろう。
『私と来なさい、烏君』
「…ドコヘだ」
烏がそう問い掛けた瞬間、レイの腕から黒い影の様なモノが伸び、烏の脇に突き刺さった。
驚いた烏は後ろを振り返ると更に驚いて目を真ん丸に見開いた。
そこには機械仕掛けの人間がレイの腕から伸びた影によって突き抜かれていたからだ。
「ナンだ、コレは?!」
『アクマよ…見た事無いの?貴方、今までよく無事だったわね』
レイはアクマから影の様なモノを引き抜くとアクマの額にそっと口付けた。
『安らかに…縛り付けてごめんなさいね』
「ノア‥サマ…ナン…デ…」
瞬間、アクマはシュッと音を立てて蒸発した様に消え去った。
「オマエ…ナニモノだ‥?」
レイはアクマを見送る様に空を眺めながら口を開いた。
『私はアレを造っているノアの一族の娘…そして今はノアの一族を裏切り人間に加担する異端のエクソシスト』
「…エクソシスト?」
『エクソシストとはアクマを破壊する神の使徒』
果して神は誰なのか…私はあの人が良いけど、あの人は違うと言っていた。
「…カミのシト」
『そう、神の使徒だ。そして君はその神の使徒』
嬉しそうに微笑んだレイは烏に向かって手を差し出した。
『私と戦ってくれない?』
暫らくレイを見ていた烏は、飛び上がるとレイの腕に止まった。
「…オレは…ジカンイドウがデキる」
レイは微笑みながら烏を撫で、大人しく待っていたユエと視線を合わせた。
『私は‥私達は君を護るよ、烏君』
そうレイが口にした瞬間…
「エクソシスト死ねぇ!!!」
本日、二体目のアクマがレイに襲いかかった。
「オンナ!!」
『………』
レイを庇う様に烏がレイの前に出、更にその前にユエが立ちはだかった。
「失せろ雑魚」
そういってアクマに向かって手を伸ばしたユエは目を見開いた。
「な…‥っ」
自分は何もしていないのに目の前のアクマが爆発音と共に吹き飛んだからだった。
アクマが吹き飛んだ為に出来た砂煙りの中から一人の人が姿を現した。
十二歳くらいのメイドの様な服を着た少女だった。
「コドモ…?」
「シャールか‥」
「このクソアクマ!!ボクのレイに何するんだ!!弱いくせに威勢だけは良いんだから!」
シャールと呼ばれた少女は、レイと目が合うと満面の笑みでレイに駆け寄り、抱き付いた。
「レイ!!」
『久しぶり、シャール』
レイは弱々しく微笑むと、シャールの頭を優しく撫でた。
再会してしまった…
「レイ、もうボクを置いて行かないで!!」
シャールは私の側近。それなのに家を出る時にユエをだけを連れ、シャールを置いてきてしまった。
直ぐに戻るつもりだったし、何より力だけで精神的に未熟なアクマであるシャールを外に連れ出すのが嫌だった。
エクソシストに壊されたら絶対に嫌だから…
「ユエは一緒に居られる様にレイが何かしたんでしょ?ボクにもして!ボク、レイと居たいんだ!」
確にユエには色々と手を加えてある。
人を襲わない様に、アクマを食べない様に、アクマを消滅させない様に…そう“改造”してある。
それが一緒にいられる方法だから‥
それが‥
壊されない術だから。
『…だけど……』
同胞に対する罪悪感を伴う‥
何より痛みを伴う…
「レイ、レイと居れないならボクを壊して」
『それは‥』
「レイと居れないなら意味無い!ボクを壊して!!」
私は‥
シャールを壊せ無い──…
『ユエ、イノセンスは回収した。帰ろう…コムイに道具を借りないといけない』
「…分かった」
『シャール…もう、チィの所には戻れないよ?』
「じゃあ…良いの?」
涙目でレイを見上げるシャールの瞳は幼い子のモノだった。
『おいで、シャール』
レイは微笑むとシャールに手を差し出した。
「レイ!」
シャールは手を取らずに勢い良くレイに抱き付き、レイはそれに答える様にゆっくりとシャールを抱き締めた。
『おかえり』
今‥私の手で壊すくらいなら…
それならいっそ‥
この子の望む様に──…‥
「「「えぇええぇ?!!」」」
シャールの改造終了後…教団内にコムイ達、科学班の悲鳴にも似た声が響き渡った。
離れた所にいたレイは声を聞き付けて人だかりに近付いた。
『コムイうるさ~い…手術で疲れてんだよ~…って、変な顔~どうしたの?』
「だ、だってさぁ!シャールちゃんが自分は男の子だなんて言うから‥」
『シャールは男の子だよ』
「えぇえ!!?」
机に座っていたシャールはクスクス笑うと地に飛び下りた。
「このボディはボクのお姉ちゃんのだもん。中身は男だよ!洋服だってレイが可愛いって言うから着てるだけだし~」
『だってシャール可愛いじゃん』
「レイに言われるんなら嬉しいよ!」
可愛らしく微笑んだシャールはレイの近くの机に飛び乗ると、後ろから両手でレイの耳を塞ぎ、ニヤリと口角を上げて笑った。
「レイは俺のだ‥テメェ等、手ぇ出すなよな」
シャールの冷たい笑みに、科学班の一同は顔を青く染めて冷や汗を流した。
『どうしたの?』
レイの耳から手を離して机から飛び降りたシャールは、可愛らしくニッコリと微笑んだ。
「何でもないよ、レイ!」
君は‥
こんなボクを知らなくていい──…