第3章 封印された箱
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「俺は触れたいものを自由に“選べる”」
少年達と“遊ぶ”のにのった理由は単純明快だった。
暇だった。
少しむしゃくしゃしてた。
闘うのが好きだった。
殺すのが好きだった。
月への衝動を抑えたかった。
レイがどこに居るべきかを知らしめたかった。
「言い換えりゃ空気だって踏みつけられる。この世の万物すべてに対して俺は“選べる”権利を持ってんのさ」
もう一度、少年の心臓に穴を空けよう。
いや…二度と復活出来無いように握り潰そう。
「つっても、お前等の“イノセンス”は別だが?それ“この世の万物”じゃねーし」
そして選ぶんじゃなくて壊そう。
もう二度と…
人間としてもエクソシストとしてもかえってこれ無い様に──…
=人間=
押しては押され、押されては押し返す。
ティキ・ミックとアレン・ウォーカーは、ティーズと神の道化 を手にそんな戦いを続けていた。
と言っても対等に闘っていたわけでは無かった。
どんどんダメージが蓄積されていくアレンに比べ、遊んでいるティキには余裕がある。
「キツそうだな少年、大丈夫か?」
「余計な御世話です!」
「双子に遊ばれた様だな」
「ッ…遊ばれてません!」
イノセンスが進化して闘い方が変わっただろうに、良く動けている。
中国で修行でもしたんだろうか?
でもいくら良く動けていると言っても、これくらいの力じゃ俺には勝てな…
「わぉ♪」
瞬間、そうロードの声が耳についた。
チラリとロードを盗み見ると、目をキラキラさせたロードが楽しそうに笑っていた。
ロードの奴、眼帯君で遊んでんな…
「どうした、ロード?」
少年と闘いながら、そう声を上げた。
まぁ大体想像はつくけど。
どうせ眼帯君の過去を引っ張り出して精神を抉…
「僕の中でブックマンがレイとラブラブ……っていうかぁ…エロエロ?♡」
ぇ…えろえろ?
えろえろってエロエロえろえ…
「はあぁぁああ?!!」
思わずそう叫んだら、少年と綺麗にハモった。
「キャー♡♡♡」
頬に手を当てて楽しそうにそう叫ぶロードの脇の巨大な透明のサイコロにチャオジーと共に囚われたリナリーは、顔色を真っ青に染めた。
「こら、ロード!お前、レイに何したんだ!!」
ラブラブならまだしもエロエロって…!
いや、ラブラブも駄目だけども!!
「場合によっちゃ怒りますよ!」
「ロード!」
「ろーとタマ!」
チャオジー以外の全員にそう怒鳴られたロードは、アハハと笑うと腰掛けていたレロの上に立ち、スカートの裾を摘むとクルリと回った。
あぁ…凄く嫌な予感がする……
「ブックマンの夢の中のレイを裸にしてみたんだぁ~…動揺するかな、って思ってぇ♪」
そう口にしたロードを前に誰もが黙り込み、今度はリナリーだけではなく全員が顔色を真っ青に染めた。
「見せちゃったの?!眼帯君にレイの裸!!」
「ろーとタマ、レイタマに何してるレロ!怒られるレロロ!!」
「でもブックマン動揺してるよぉ?これから落とすし~」
「駄目レロ!」
「直ぐ止めろ!」
「ぶぅ、分かったよぉ」
頬を膨らませてそう不服そうにそう口にしたロードは、分かってるんだか分かってないんだか分からない。
「全く…集中して闘ってらんねぇな」
「じゃあ、集中させてあげる♪」
「はぁ?」
「あの…僕ら急いでるんですけど」
「ねぇ、レロぉ」
「はい、ろーとタマ」
「無視ですか」
少年を無視したロードは、ニッコリと笑って俺の方を見た。
「ティッキーはジャスデビを警戒すべきだよねぇ実際」
「そうレロね」
「双子ぉ?」
俺はどっちかってぇとレイの護衛アクマとエクソシストの方が気になってんだけど…
自由になって解放されたレイと居たわけだし。
「三人は仲良しさんレロロ」
「それにジャスデビ、今頃屋敷に帰ってるも~ん。レイがあんな状態の二人が帰ったのに気付かない筈無いしぃ」
「え、何?じゃあ下手したら今、三人っきりって事?!」
「今屋敷に居てレイに会っていいのは後は伯爵タマだけレロ」
「じゃあ思う存分三人っきりだし手ぇ出し放題だねぇ」
「手ぇ出し放題ってお前…」
「既成事実があれば千年公は絆 とレイをくっつけるよ」
そうロードの言葉を聞いた瞬間、カチッとスイッチが入った様な音がした気がした。
俺と組み合って押し合いをしていた顔色を青くした少年を弾き飛ばすと、力を両手に集中した。
「とっとと終わらせて帰るか」
既成事実?そんなもの作らせるか。
突き出した腕に圧縮した力を集める俺に迷い無く突っ込んでくる少年は、道化師というより悪魔の様だった。
「帰らせません!既成事実だって作らせてたまるか!!!」
「ハハ、それは無理だ少年!大人しく俺に任せときな」
そう言って突っ込んでくるアレンに向かったティキは、黒い禍々しいそれを纏った両腕をアレンに突き出し、アレンは両手で止める様にしてそれを受けた。
「受け止められやしないぜ?これは絶対の力だ。レイは任せて大人しく死…」
「いいえ」
苦しそうな顔でそうティキの声を遮ったアレンは、攻撃を受けたまま真っ直ぐにティキを睨み付けた。
「レイは僕達が連れて帰ります!!」
「砕け散れ、アレン・ウォーカー!!」
瞬間、弾けたティキ・ミックの力で吹き飛ばされた身体は、リナリー達が閉じ込められたサイコロに当たって止まった。
サイコロにヒビを入れてめり込む程の衝撃に、体が悲鳴を上げる。
「一度じゃ無理だったか…進化しただけあってなかなか頑丈だね」
「ティッキー…」
「次で終わらせる。もう抵抗すんなよ、少年?」
「ティッキーってば!僕のアレン、ボロボロにしすぎぃ~」
「…大目にみろよ」
体の内から口内に溢れた血を吐き出すと、サイコロの中のリナリーが悲鳴にも似た声で何か言っていたが、頭がグワングワンと揺れて何を言ったか良く分からなかった。
目をギュッと閉じて力を入れると、明らかに心配をしているリナリーを少しでも安心させる為に笑って見せた。
「ティキ・ミック…貴方はエクソシストのことを誤解してますよ」
そう、誤解している。
「対アクマ武器のイノセンスさえ壊せば、エクソシストはただの人間だと思ってる。何の力も持たない“ただの人間”だとね」
確かにイノセンスを持たない人間はただの無力な人だ。
だって人間が作り出した武器なんかじゃアクマは壊せないし、救済なんてもってのほかだ。でも…
「貴方達が本当に恐れるべき相手は」
貴方達を貶めるのは…
「その人間ですよ」
無力だけど決して弱くはない人間だ。
「アレン…くん?」
“キイイィ”と、耳に痛い音を立てながら光を増すアレンを左腕を見てリナリーは目を見開いた。
対アクマ武器であるアレンの左腕が自己修復を始めたからだった。
「力はイノセンスから与えられたものであっても、それを扱うのは人間であるエクソシストの心だ」
扱うのが心だからノアであるレイもが選ばれたと僕は信じてる。
だからこそ元帥になりうるまでイノセンスとシンクロ率を高められたと…
「僕の心がイノセンスと結ばれてる限り」
だから…
「その器である体が滅びない限り、僕がエクソシストで在る限り…僕の大事なものがこの世界に在る限り…」
僕はイノセンスを信じる。
「そう簡単に、この“神の道化 ”は砕けません」
そのイノセンスに選ばれたレイも…
だから絶対に、家族であるレイを教団 に連れ帰る。
「ティキ・ミック、貴方達は人間をナメすぎてる」
完全に修復した手を握り締めてそうアレンが言った瞬間、ティキが弾かれた様に大声で笑い出し、ロードは目を見開いた。
「OK、よーくわかった。まず少年を殺さねぇと、そのイノセンスは死なねぇってことか」
狂った様に笑い続けていたティキがそう口にした瞬間、宙に浮くレロの上に座って事の成り行きを見ていたロードは慌てて立ち上がった。
「どうしたレロ、ロートたま!?」
「ティッキーがキレたぁ~」
意識の無いラビをリナリー達を捕らえているサイコロと同じ類の物で包んだロードが、その二つの箱と共に天井ギリギリまで飛び上がった瞬間、それは起きた。
「説教の礼だ、エクソシスト…俺の能力をプレゼントしてやるよ」
ティッキーの手から発せられた衝撃波の様なそれは、全てを拒絶するものだった。
「危なかった~」
「あと一秒、ロートたまが気付くのが遅かったら、レロもこいつらも巻き込まれてたレロ!」
リナリー達とブックマンを拾うので精一杯だったけど…
アレン、どうしよぅ…
「ティッキー、まじレロ」
「ちょっとぉ~ここ壊す気かよぉ~」
“ゴゴゴゴゴ…”という地響きの様な音と共に、塔はどんどん崩れていく…このままじゃダウンロードが早まっちゃうじゃん。
予定外の事、起きすぎ~
レイが起きるまでの暇潰しのつもりだったのにぃ。
「ロード!」
「なぁに~、リナリー」
「あれは何?アレンくんはどうしたの?!」
「……アレンはあの内 。あれはちょっとヤバイよ~」
ティッキーは万物を選択する事ができる“快楽”のノアだ。
アレンの周囲の空間が蒸発してるところを見ると…
「たぶん大気を拒絶して真空を造ってるんだ。息ができないどころか、このままだとアレンの肉体が消滅しちゃうよぉ」
このままじゃ、息が止まって、骨が砕けて、臓器が破裂して、肉が潰れる。
跡形も無く…
「アレン…ダメ?」
アレン…防げない?
脱出できない?
「アレン…」
死んじゃうの──…?
「俺は触れたいものを自由に“選べる”」
少年達と“遊ぶ”のにのった理由は単純明快だった。
暇だった。
少しむしゃくしゃしてた。
闘うのが好きだった。
殺すのが好きだった。
月への衝動を抑えたかった。
レイがどこに居るべきかを知らしめたかった。
「言い換えりゃ空気だって踏みつけられる。この世の万物すべてに対して俺は“選べる”権利を持ってんのさ」
もう一度、少年の心臓に穴を空けよう。
いや…二度と復活出来無いように握り潰そう。
「つっても、お前等の“イノセンス”は別だが?それ“この世の万物”じゃねーし」
そして選ぶんじゃなくて壊そう。
もう二度と…
人間としてもエクソシストとしてもかえってこれ無い様に──…
=人間=
押しては押され、押されては押し返す。
ティキ・ミックとアレン・ウォーカーは、ティーズと
と言っても対等に闘っていたわけでは無かった。
どんどんダメージが蓄積されていくアレンに比べ、遊んでいるティキには余裕がある。
「キツそうだな少年、大丈夫か?」
「余計な御世話です!」
「双子に遊ばれた様だな」
「ッ…遊ばれてません!」
イノセンスが進化して闘い方が変わっただろうに、良く動けている。
中国で修行でもしたんだろうか?
でもいくら良く動けていると言っても、これくらいの力じゃ俺には勝てな…
「わぉ♪」
瞬間、そうロードの声が耳についた。
チラリとロードを盗み見ると、目をキラキラさせたロードが楽しそうに笑っていた。
ロードの奴、眼帯君で遊んでんな…
「どうした、ロード?」
少年と闘いながら、そう声を上げた。
まぁ大体想像はつくけど。
どうせ眼帯君の過去を引っ張り出して精神を抉…
「僕の中でブックマンがレイとラブラブ……っていうかぁ…エロエロ?♡」
ぇ…えろえろ?
えろえろってエロエロえろえ…
「はあぁぁああ?!!」
思わずそう叫んだら、少年と綺麗にハモった。
「キャー♡♡♡」
頬に手を当てて楽しそうにそう叫ぶロードの脇の巨大な透明のサイコロにチャオジーと共に囚われたリナリーは、顔色を真っ青に染めた。
「こら、ロード!お前、レイに何したんだ!!」
ラブラブならまだしもエロエロって…!
いや、ラブラブも駄目だけども!!
「場合によっちゃ怒りますよ!」
「ロード!」
「ろーとタマ!」
チャオジー以外の全員にそう怒鳴られたロードは、アハハと笑うと腰掛けていたレロの上に立ち、スカートの裾を摘むとクルリと回った。
あぁ…凄く嫌な予感がする……
「ブックマンの夢の中のレイを裸にしてみたんだぁ~…動揺するかな、って思ってぇ♪」
そう口にしたロードを前に誰もが黙り込み、今度はリナリーだけではなく全員が顔色を真っ青に染めた。
「見せちゃったの?!眼帯君にレイの裸!!」
「ろーとタマ、レイタマに何してるレロ!怒られるレロロ!!」
「でもブックマン動揺してるよぉ?これから落とすし~」
「駄目レロ!」
「直ぐ止めろ!」
「ぶぅ、分かったよぉ」
頬を膨らませてそう不服そうにそう口にしたロードは、分かってるんだか分かってないんだか分からない。
「全く…集中して闘ってらんねぇな」
「じゃあ、集中させてあげる♪」
「はぁ?」
「あの…僕ら急いでるんですけど」
「ねぇ、レロぉ」
「はい、ろーとタマ」
「無視ですか」
少年を無視したロードは、ニッコリと笑って俺の方を見た。
「ティッキーはジャスデビを警戒すべきだよねぇ実際」
「そうレロね」
「双子ぉ?」
俺はどっちかってぇとレイの護衛アクマとエクソシストの方が気になってんだけど…
自由になって解放されたレイと居たわけだし。
「三人は仲良しさんレロロ」
「それにジャスデビ、今頃屋敷に帰ってるも~ん。レイがあんな状態の二人が帰ったのに気付かない筈無いしぃ」
「え、何?じゃあ下手したら今、三人っきりって事?!」
「今屋敷に居てレイに会っていいのは後は伯爵タマだけレロ」
「じゃあ思う存分三人っきりだし手ぇ出し放題だねぇ」
「手ぇ出し放題ってお前…」
「既成事実があれば千年公は
そうロードの言葉を聞いた瞬間、カチッとスイッチが入った様な音がした気がした。
俺と組み合って押し合いをしていた顔色を青くした少年を弾き飛ばすと、力を両手に集中した。
「とっとと終わらせて帰るか」
既成事実?そんなもの作らせるか。
突き出した腕に圧縮した力を集める俺に迷い無く突っ込んでくる少年は、道化師というより悪魔の様だった。
「帰らせません!既成事実だって作らせてたまるか!!!」
「ハハ、それは無理だ少年!大人しく俺に任せときな」
そう言って突っ込んでくるアレンに向かったティキは、黒い禍々しいそれを纏った両腕をアレンに突き出し、アレンは両手で止める様にしてそれを受けた。
「受け止められやしないぜ?これは絶対の力だ。レイは任せて大人しく死…」
「いいえ」
苦しそうな顔でそうティキの声を遮ったアレンは、攻撃を受けたまま真っ直ぐにティキを睨み付けた。
「レイは僕達が連れて帰ります!!」
「砕け散れ、アレン・ウォーカー!!」
瞬間、弾けたティキ・ミックの力で吹き飛ばされた身体は、リナリー達が閉じ込められたサイコロに当たって止まった。
サイコロにヒビを入れてめり込む程の衝撃に、体が悲鳴を上げる。
「一度じゃ無理だったか…進化しただけあってなかなか頑丈だね」
「ティッキー…」
「次で終わらせる。もう抵抗すんなよ、少年?」
「ティッキーってば!僕のアレン、ボロボロにしすぎぃ~」
「…大目にみろよ」
体の内から口内に溢れた血を吐き出すと、サイコロの中のリナリーが悲鳴にも似た声で何か言っていたが、頭がグワングワンと揺れて何を言ったか良く分からなかった。
目をギュッと閉じて力を入れると、明らかに心配をしているリナリーを少しでも安心させる為に笑って見せた。
「ティキ・ミック…貴方はエクソシストのことを誤解してますよ」
そう、誤解している。
「対アクマ武器のイノセンスさえ壊せば、エクソシストはただの人間だと思ってる。何の力も持たない“ただの人間”だとね」
確かにイノセンスを持たない人間はただの無力な人だ。
だって人間が作り出した武器なんかじゃアクマは壊せないし、救済なんてもってのほかだ。でも…
「貴方達が本当に恐れるべき相手は」
貴方達を貶めるのは…
「その人間ですよ」
無力だけど決して弱くはない人間だ。
「アレン…くん?」
“キイイィ”と、耳に痛い音を立てながら光を増すアレンを左腕を見てリナリーは目を見開いた。
対アクマ武器であるアレンの左腕が自己修復を始めたからだった。
「力はイノセンスから与えられたものであっても、それを扱うのは人間であるエクソシストの心だ」
扱うのが心だからノアであるレイもが選ばれたと僕は信じてる。
だからこそ元帥になりうるまでイノセンスとシンクロ率を高められたと…
「僕の心がイノセンスと結ばれてる限り」
だから…
「その器である体が滅びない限り、僕がエクソシストで在る限り…僕の大事なものがこの世界に在る限り…」
僕はイノセンスを信じる。
「そう簡単に、この“
そのイノセンスに選ばれたレイも…
だから絶対に、家族であるレイを
「ティキ・ミック、貴方達は人間をナメすぎてる」
完全に修復した手を握り締めてそうアレンが言った瞬間、ティキが弾かれた様に大声で笑い出し、ロードは目を見開いた。
「OK、よーくわかった。まず少年を殺さねぇと、そのイノセンスは死なねぇってことか」
狂った様に笑い続けていたティキがそう口にした瞬間、宙に浮くレロの上に座って事の成り行きを見ていたロードは慌てて立ち上がった。
「どうしたレロ、ロートたま!?」
「ティッキーがキレたぁ~」
意識の無いラビをリナリー達を捕らえているサイコロと同じ類の物で包んだロードが、その二つの箱と共に天井ギリギリまで飛び上がった瞬間、それは起きた。
「説教の礼だ、エクソシスト…俺の能力をプレゼントしてやるよ」
ティッキーの手から発せられた衝撃波の様なそれは、全てを拒絶するものだった。
「危なかった~」
「あと一秒、ロートたまが気付くのが遅かったら、レロもこいつらも巻き込まれてたレロ!」
リナリー達とブックマンを拾うので精一杯だったけど…
アレン、どうしよぅ…
「ティッキー、まじレロ」
「ちょっとぉ~ここ壊す気かよぉ~」
“ゴゴゴゴゴ…”という地響きの様な音と共に、塔はどんどん崩れていく…このままじゃダウンロードが早まっちゃうじゃん。
予定外の事、起きすぎ~
レイが起きるまでの暇潰しのつもりだったのにぃ。
「ロード!」
「なぁに~、リナリー」
「あれは何?アレンくんはどうしたの?!」
「……アレンはあの
ティッキーは万物を選択する事ができる“快楽”のノアだ。
アレンの周囲の空間が蒸発してるところを見ると…
「たぶん大気を拒絶して真空を造ってるんだ。息ができないどころか、このままだとアレンの肉体が消滅しちゃうよぉ」
このままじゃ、息が止まって、骨が砕けて、臓器が破裂して、肉が潰れる。
跡形も無く…
「アレン…ダメ?」
アレン…防げない?
脱出できない?
「アレン…」
死んじゃうの──…?