第1章 ノアの少女
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5
「こいつアウトォォォオオ!!」
=再会=
『び、ビックリした…』
レイはそう呟くと、慌てて落として破れてしまったティーカップの破片を拾い集めにかかった。
『今の門番の声だよね?』
「そうだな」
ユエは後片付けを手伝いながらそう淡々と返事を返した。
門番の声+アウト=アクマ?
まさかねぇ…わざわざ教団本部に来て身体検査を受ける間抜けなアクマ何ている筈が無い。
………アウトって…まさか‥
『……少年?!』
レイは勢い良く立ち上がると自室の窓を開け放ち、門に向かって跳び降りた。ユエの制止の声が聞こえた気がしたがそれどころでは無い。
うちには一人、物凄くせっかちな人がいるのだから…
「この六幻 で斬り裂いてやる」
長い黒髪を高い位置に結った青年がそう言ってアレンに斬り掛り、アレンは応戦しながらどうするか途方に暮れていた。
このままでは殺られてしまう。でも反撃するわけにも……いかないよなぁ…
振り翳された刀にアレンが思わず目を瞑った瞬間、二人の間で“キンッ”という金属がぶつかった様な音がした。
アレンがゆっくりと目を開くと、一人の少女が自分と青年の間に入り、六幻 を素手で止めていた。
この前、崩れかけた教会で出会った少女だった。
「この前の…」
この子素手で刀を…と、最初はびっくりしたが、良く見ると黒い影の様なものが刀を受け止めた少女の手を取り巻いていた。多分イノセンスだろう。
『ユウ、ハウス!!!』
「犬じゃねぇ!」
少女は黒髪の少年に向かってニッコリ微笑んだ。
『駄目だよ、ユウ。この子はちゃんとしたエクソシストだから』
「………」
少女の言葉に青年は黙って刀を納めた。
「僕はホントに敵じゃないです!クロス師匠から紹介状が送られてる筈です!!」
『クロス?』
この子がクロスの弟子?
「元帥から…紹介状?」
レイがアレンを振り向き、神田が問掛けとは思えない形相でそう問い掛けた。
「そ、そう、紹介状…コムイって人宛てに」
〔…………〕
まさか…数年前の私と同じ状況かしら?
レイはユウとアレンに自分の表情が見えない様に移動すると、側を飛ぶゴーレムを見据え、怖いくらいにニッコリと微笑んだ。
『…………コムイ?』
〔は、ははは、ハイ!!〕
『クロスの手紙は読むまでも無いとでも?』
〔ヒッ…い、いやその〕
ゆっくりと開かれたレイの瞳は見詰められただけで殺されそうな代物だったし、口角を上げてニヤリと笑ったレイはとても恐ろしかった。
この世のモノとは思え無いくらいに…
『机の上、片付けなさいね』
〔ヒィッ…は、はい!!え、えっと…入城を許可します、アレン・ウォーカーくん!〕
〔そんな室長、確認もしないで…〕
〔あ、ありました班長!室長のデスクにクロス元帥の手紙!!〕
〔……お前後で覚えてろよ〕
〔や、やだなぁ、リーバー班長ったら〜〕
「おい、コムイ…どういう事だ」
黙っていた神田が口を開く。低い声が短く響いた。
〔ごめんね~、早とちり!その子クロス元帥の弟子だった。ほら、謝ってリーバー班長!〕
〔なッ、俺の所為みたいな言い方!〕
『コムイ、貴方の所為でしょ?』
〔か、神田くん!ティムキャンピーが付いてるのが何よりの証拠だよ、彼はボク等の仲間だ〕
コムイはそう言うが、神田は中々アレンを睨むのを止め無い。
瞬間“ぱこっ”と可愛らしい音が一つした。
城内から出て来た少女が神田の頭をバインダーで叩いたのだ。
「も~‥早く入らないと門閉めちゃうわよ?とっとと入んなさい!」
長い黒髪の少女が何とも可愛らしく神田を睨み付ける。
『いいねリナリー、タイミング良いわ』
「レイもユエが迎えに降りて来てるわよ」
『ユエが?ほら、ユウと…アレン?中に入るよ!』
レイはアレンと、まだアレンを睨み付けている神田を引っ張って城内に入って行った。
『あ、アレン…私はレイ・アストレイ!貴方の師匠、クロスの弟子よ』
「師匠の?!」
『そうだよ~!はい、リナリーも自己紹介!』
レイにそう言われ、リナリーはアレンと向き合った。
「室長助手のリナリーです。室長の所まで案内するわね」
「よろしく」
リナリーが柔らかく微笑み、アレンもそう言って微笑み返した。
そんな中、神田は立ち去ろうと方向を変える。
「あ、カンダ」
アレンがそう神田を呼び止め、振り返った神田は再びアレンを睨み付けた。
「……って名前でしたよね…あの…よろしく」
アレンが握手を求めて手を差し出すが、神田はアレンを一別すると…
「呪われてる奴と握手なんかするかよ」
と言い立ち去ってしまった。
アレンの表情が引きつる…が、仕方が無い事だ。
『もー、ユウは…』
レイが呆れた様に溜め息を吐き、リナリーは困った様に手にしたバインダーを抱えた。
「ごめんね…任務から戻ったばかりで気が立ってるの」
『ユウを庇わなくても良いんだよ、リナリー』
“全く仕方の無い人”と呟くレイにリナリーは苦笑するしか無かった。
『リナリー、アレンをお願いね…ユウに話があるの。あの事も…クロスの事だからきっと何も話してないから話しておいて』
「でも…」
『アレンは大丈夫…クロスの弟子だしね。ユエには部屋で待つ様に言い付けて』
「…分かったわ」
「あ、レイ!!」
神田を追い掛けて立ち去ろうとしたレイの腕をアレンは慌ててとった。
「あの、師匠の…」
『四年前に一年だけ一緒にいた。アレン、貴方はきっと特別なエクソシスト……仲間を護ってね』
レイはそれだけ言うと神田の後を追って行ってしまった。
「アレンくん、いくらレイが姉弟子でもいきなり呼び捨てにしちゃ駄目よ」
リナリーの言葉にアレンは首を傾げた。
「何でですか?」
「何でって…」
「……?」
「レイは元帥の一人だもの」
「元帥?!」
「そうよ。アレンくんが聞いていないのはレイの家の事だけだと思ってたわ」
「家の事…?」
「レイはね───…」
困った様に眉を寄せたリナリーは話し出した。
レイが千年伯爵の家族である事を…
護衛であるユエというアクマの男についても…
アレンは耳を疑った。
伯爵の家族が伯爵を裏切り黒の教団にいる。
それだけでビックリなのに、元帥の一人だと言う。
彼女は…
隠されたノアの元帥──…
コンコンコン…
神田の後を追ったレイは神田の部屋の前まで来ていた。
部屋の扉をノックすると扉に向かって問掛ける。
『ユウ、入って良い?』
「……」
返事をしないのは入って良い証拠…嫌なら怒鳴り散らしてくるからだ。
レイは部屋に入ると真っ直ぐ神田の所に向かった。
「何の用だ‥」
レイは返事をせずに神田に歩み寄ると、神田の団服を捲り上げた。
「な…ッ?!!」
『やっぱり…』
レイは神田の体に巻いてある包帯の上に手を当てると哀しそうに眉を寄せた。
『怪我をしない様に言ったでしょ?』
「チッ…」
『舌打ちしない!全く…いくらでも治るってもんじゃ無いんだから』
「分かってる…」
レイは胸に顔を埋める様に神田に抱き付くと、戒める様に呟いた。
『計り間違えないでね…ユウ』
「……分かってる」
無茶ばっかりする貴方が…
私は心配で…
心配で…仕方無い──…
アレン…
貴方も無茶ばっかりするタイプなんだろうね──…
「こいつアウトォォォオオ!!」
=再会=
『び、ビックリした…』
レイはそう呟くと、慌てて落として破れてしまったティーカップの破片を拾い集めにかかった。
『今の門番の声だよね?』
「そうだな」
ユエは後片付けを手伝いながらそう淡々と返事を返した。
門番の声+アウト=アクマ?
まさかねぇ…わざわざ教団本部に来て身体検査を受ける間抜けなアクマ何ている筈が無い。
………アウトって…まさか‥
『……少年?!』
レイは勢い良く立ち上がると自室の窓を開け放ち、門に向かって跳び降りた。ユエの制止の声が聞こえた気がしたがそれどころでは無い。
うちには一人、物凄くせっかちな人がいるのだから…
「この
長い黒髪を高い位置に結った青年がそう言ってアレンに斬り掛り、アレンは応戦しながらどうするか途方に暮れていた。
このままでは殺られてしまう。でも反撃するわけにも……いかないよなぁ…
振り翳された刀にアレンが思わず目を瞑った瞬間、二人の間で“キンッ”という金属がぶつかった様な音がした。
アレンがゆっくりと目を開くと、一人の少女が自分と青年の間に入り、
この前、崩れかけた教会で出会った少女だった。
「この前の…」
この子素手で刀を…と、最初はびっくりしたが、良く見ると黒い影の様なものが刀を受け止めた少女の手を取り巻いていた。多分イノセンスだろう。
『ユウ、ハウス!!!』
「犬じゃねぇ!」
少女は黒髪の少年に向かってニッコリ微笑んだ。
『駄目だよ、ユウ。この子はちゃんとしたエクソシストだから』
「………」
少女の言葉に青年は黙って刀を納めた。
「僕はホントに敵じゃないです!クロス師匠から紹介状が送られてる筈です!!」
『クロス?』
この子がクロスの弟子?
「元帥から…紹介状?」
レイがアレンを振り向き、神田が問掛けとは思えない形相でそう問い掛けた。
「そ、そう、紹介状…コムイって人宛てに」
〔…………〕
まさか…数年前の私と同じ状況かしら?
レイはユウとアレンに自分の表情が見えない様に移動すると、側を飛ぶゴーレムを見据え、怖いくらいにニッコリと微笑んだ。
『…………コムイ?』
〔は、ははは、ハイ!!〕
『クロスの手紙は読むまでも無いとでも?』
〔ヒッ…い、いやその〕
ゆっくりと開かれたレイの瞳は見詰められただけで殺されそうな代物だったし、口角を上げてニヤリと笑ったレイはとても恐ろしかった。
この世のモノとは思え無いくらいに…
『机の上、片付けなさいね』
〔ヒィッ…は、はい!!え、えっと…入城を許可します、アレン・ウォーカーくん!〕
〔そんな室長、確認もしないで…〕
〔あ、ありました班長!室長のデスクにクロス元帥の手紙!!〕
〔……お前後で覚えてろよ〕
〔や、やだなぁ、リーバー班長ったら〜〕
「おい、コムイ…どういう事だ」
黙っていた神田が口を開く。低い声が短く響いた。
〔ごめんね~、早とちり!その子クロス元帥の弟子だった。ほら、謝ってリーバー班長!〕
〔なッ、俺の所為みたいな言い方!〕
『コムイ、貴方の所為でしょ?』
〔か、神田くん!ティムキャンピーが付いてるのが何よりの証拠だよ、彼はボク等の仲間だ〕
コムイはそう言うが、神田は中々アレンを睨むのを止め無い。
瞬間“ぱこっ”と可愛らしい音が一つした。
城内から出て来た少女が神田の頭をバインダーで叩いたのだ。
「も~‥早く入らないと門閉めちゃうわよ?とっとと入んなさい!」
長い黒髪の少女が何とも可愛らしく神田を睨み付ける。
『いいねリナリー、タイミング良いわ』
「レイもユエが迎えに降りて来てるわよ」
『ユエが?ほら、ユウと…アレン?中に入るよ!』
レイはアレンと、まだアレンを睨み付けている神田を引っ張って城内に入って行った。
『あ、アレン…私はレイ・アストレイ!貴方の師匠、クロスの弟子よ』
「師匠の?!」
『そうだよ~!はい、リナリーも自己紹介!』
レイにそう言われ、リナリーはアレンと向き合った。
「室長助手のリナリーです。室長の所まで案内するわね」
「よろしく」
リナリーが柔らかく微笑み、アレンもそう言って微笑み返した。
そんな中、神田は立ち去ろうと方向を変える。
「あ、カンダ」
アレンがそう神田を呼び止め、振り返った神田は再びアレンを睨み付けた。
「……って名前でしたよね…あの…よろしく」
アレンが握手を求めて手を差し出すが、神田はアレンを一別すると…
「呪われてる奴と握手なんかするかよ」
と言い立ち去ってしまった。
アレンの表情が引きつる…が、仕方が無い事だ。
『もー、ユウは…』
レイが呆れた様に溜め息を吐き、リナリーは困った様に手にしたバインダーを抱えた。
「ごめんね…任務から戻ったばかりで気が立ってるの」
『ユウを庇わなくても良いんだよ、リナリー』
“全く仕方の無い人”と呟くレイにリナリーは苦笑するしか無かった。
『リナリー、アレンをお願いね…ユウに話があるの。あの事も…クロスの事だからきっと何も話してないから話しておいて』
「でも…」
『アレンは大丈夫…クロスの弟子だしね。ユエには部屋で待つ様に言い付けて』
「…分かったわ」
「あ、レイ!!」
神田を追い掛けて立ち去ろうとしたレイの腕をアレンは慌ててとった。
「あの、師匠の…」
『四年前に一年だけ一緒にいた。アレン、貴方はきっと特別なエクソシスト……仲間を護ってね』
レイはそれだけ言うと神田の後を追って行ってしまった。
「アレンくん、いくらレイが姉弟子でもいきなり呼び捨てにしちゃ駄目よ」
リナリーの言葉にアレンは首を傾げた。
「何でですか?」
「何でって…」
「……?」
「レイは元帥の一人だもの」
「元帥?!」
「そうよ。アレンくんが聞いていないのはレイの家の事だけだと思ってたわ」
「家の事…?」
「レイはね───…」
困った様に眉を寄せたリナリーは話し出した。
レイが千年伯爵の家族である事を…
護衛であるユエというアクマの男についても…
アレンは耳を疑った。
伯爵の家族が伯爵を裏切り黒の教団にいる。
それだけでビックリなのに、元帥の一人だと言う。
彼女は…
隠されたノアの元帥──…
コンコンコン…
神田の後を追ったレイは神田の部屋の前まで来ていた。
部屋の扉をノックすると扉に向かって問掛ける。
『ユウ、入って良い?』
「……」
返事をしないのは入って良い証拠…嫌なら怒鳴り散らしてくるからだ。
レイは部屋に入ると真っ直ぐ神田の所に向かった。
「何の用だ‥」
レイは返事をせずに神田に歩み寄ると、神田の団服を捲り上げた。
「な…ッ?!!」
『やっぱり…』
レイは神田の体に巻いてある包帯の上に手を当てると哀しそうに眉を寄せた。
『怪我をしない様に言ったでしょ?』
「チッ…」
『舌打ちしない!全く…いくらでも治るってもんじゃ無いんだから』
「分かってる…」
レイは胸に顔を埋める様に神田に抱き付くと、戒める様に呟いた。
『計り間違えないでね…ユウ』
「……分かってる」
無茶ばっかりする貴方が…
私は心配で…
心配で…仕方無い──…
アレン…
貴方も無茶ばっかりするタイプなんだろうね──…