第3章 封印された箱
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月は大丈夫だろうか…?
そう思ったが、あの日…中国でアレン・ウォーカーから奪った団服のボタンを弾きながらロードには違う事を問い掛けた。
「千年公…黙ってるって事は怒ってねぇのかな?」
「おこんないよぉ~千年公はさぁ、僕らをあんまり危険にさらしたくないだけぇ…特にレイはねぇ♡」
千年公が俺等を…
レイを大事にする理由…それは…
「僕らは神に捧げるダーイジな“子羊”だから」
そう…子羊だからだ。
でもレイと俺達で何が違う?姫って何だ?
「でも仕様が無いのもわかってる…僕らの危なーい性をね」
そうひたすら考えた。
さっきから止まらないこの感情を抑える為に…
ひたすら…ひたすら考え続けた。
「でもね、ティッキー」
そう俺を呼んでロードは楽しそうに口角を上げた。
「ティッキーは…」
あぁ…この気持ちは可笑しい…
可笑しいんだ。
血塗れの月を見てから少年達エクソシストだけじゃなく…
月も壊したいなんて──…
=籠の中の鳥=
「己はノア一族スキン・ボリックだ…お前はティエドール部隊のなんて奴だ?」
神田がアレン達を追い払い世界に二人だけとなった瞬間、ノア…スキン・ボリックはそう問い掛けた。
「神田だ」
淡々と答える神田に“そうか”と返したスキンは、ニヤリとどこか嬉しそうに笑った。
「何故一人で残った?」
「…レイを取り戻すのに邪魔な奴を片っ端から自分で倒そうと思っただけだ」
「レイ…?あぁ、姫のことか」
そう自問自答した瞬間、スキンは不思議そうに首を傾げた。
「姫を狙ってるのか」
散々レイを奪い合ってアクマとも天パのノアとも戦ったし、さっきは“取り戻す”とも言ったのに…アホだったか。
「無理だぞ、無理」
「決めつけてんじゃねぇよ」
「無理なもんは無理だ」
「テメ…」
「姫はまた閉じ込められる」
ユウ…
閉じ込められる…
また…窓に切り取られた世界へ…
ユウ…世界って…綺麗だね……
「姫は“唯一”だからな」
「姫、姫、煩ぇ…」
瞬間、そう神田の低音の声が小さく響いた。
「アイツは姫なんて柄じゃねぇ」
ユウ…
「要領も調子も良くて、楽しい事が好きで…」
私も皆もユウが大好きだよ…
「強いクセに弱くて、凄ぇ寂しがりで、我が儘で…」
だから一人で行かないで…
「やたら心配症なくせに自分の事には強がりで」
ねぇ、ユウ…
「自分を犠牲に他人を護る」
頼ってよ…
「姫じゃない…」
私達は家族なんだから──…
「アイツはレイだ!!」
そう叫んだ瞬間、地が激しく揺れた。
また地震…ここもそう長くはもたない。
…やるしかないか…
私…ユウの言った事守ってるよ…
何で…何でユウは私の言った事守ってくれないの?
何で…私のお願いキイテクレナイの?
「……悪い…レイ…」
「ん?何か言ったか?」
「何でも無ぇよ…」
そう不機嫌そうに口にした神田は、六幻をギュッと握り締めた。
ユウ…
「二幻昇華」
いくらでも治るってもんじゃ無いのよ…
「俺の命を吸い高まれ…」
計り間違え無いでね…
「“禁忌三幻式”」
ユウ──…
「どうだ、居るか?」
そう小声でレイの部屋のテラスへとよじ登ったジャスデロに問い掛ければ、ジャスデロはテラスから身を乗り出す様にしてブンブンと手を振った。
「ヒヒ、居ないよ!」
「よっしゃ!」
そう言って小さくガッツポーズをしたデビットは、桟や柱を足場にジャスデロの所まで飛び上がると、そっと脇の窓を開けてレイの部屋へと入った。
「ホントに居ないな」
「ヒヒッ、社長留守だよ!」
静かに窓を閉めると真っ直ぐにベッドへと向かった。
天蓋付きのキングサイズの大きなベッドには、長い黒髪に聖痕の刻まれた褐色の肌に戻ったレイが、眠っていた。
「レイ寝てるね」
「あぁ」
「これ、デロ達がプレゼントしたドレスだね」
「そうだな」
ベッドに腰を下ろしたデビットは、黒いドレスを纏って眠りについているレイの頬にそっと触れた。
「何でエクソシストなんかに…」
「ヒ…あの日外に出たレイに何があったんだろうね」
デビットとは反対側からベッドに腰掛けたジャスデロは、そう問い掛けながらレイの手を取った。
しかしその問いにデビットが応える事は無かった。
「レイ…起きないかな…」
「…そうだな」
早く…早く目覚めれば良いのに…
そして“僕ら”と一緒に──…
「モゥ、すっ…ごく!可愛い子なんですカラ♡♡♡」
瞬間、扉の外からそう千年公の楽しそうな声がした。
「やべ、帰って来た!」
「社長のお帰りだ!」
廊下を千年公を含め数人が歩いて来る足音がした。
「行くぞ、ジャスデロ!」
そう小声でジャスデロを呼ぶと、二人でテラスに飛び出した。
そしてそっと侵入した窓を閉めると、裏庭に向かって飛び降りた。
遠くに千年公の楽しそうな声を聞きながら、俺達は見つからない様に庭を駆け抜けた。
「天使ですヨ、天使♡」
そう言いながら扉を開けた伯爵様は、嬉しそうにクルクルと回転しながら部屋へ入った。
それに続く様に長い黒髪を一つに結った女性のノア…ルル=ベル様が部屋に入り、それに続いた俺は静かに扉を閉めた。
「一目惚れしますヨ♡」
「主、私は女です」
“そういう意味じゃありませン♡”という伯爵様が何故機嫌がここまで良いのか、俺にはさっぱり解らなかった。
「ウフフ♡良く眠ってますネ♡」
そう言って伯爵様は、ベッドで眠り続けるレイを覗き込んだ。
「この方が姫様ですか」
「そうです、レイですヨ♡すっごく可愛いでショウ♡」
「主…今まで絶対に会わせようとしなかったのに何故今更会わせるのですか?」
ルル=ベル様がそう思うのも無理は無かった。
アレだけ…アレだけ外に出す所か、自分とロード様とジャスデビ様以外の他者を近付け様としなかったのに何故今更…
「いつもはロードとジャスデビに相手をしてもらってるんデスが…ジャスデビは仕事中デスし、ロードはティキぽんと一緒に前の方舟でエクソシストと遊んでるんですヨ♡」
「私に護衛をしろと?」
「イイエ、話し相手ヲ♡護衛はユエで充分です♡」
それだけでは無いと思った。
しかし口にはせず“ユエは口数が少ないですかラ”と言って笑う伯爵様をよそに、俺は唯…ルル=ベル様に挨拶をする様に頭を下げた。
今は…目覚めたレイと二人切りになる瞬間を待つしかない。
全てはまたそこから動き出す筈だから。
また…そこから……
「さぁ、レイ…もう直ぐ目覚めの時間ですヨ♡」
動き出すと信じているから…
月は大丈夫だろうか…?
そう思ったが、あの日…中国でアレン・ウォーカーから奪った団服のボタンを弾きながらロードには違う事を問い掛けた。
「千年公…黙ってるって事は怒ってねぇのかな?」
「おこんないよぉ~千年公はさぁ、僕らをあんまり危険にさらしたくないだけぇ…特にレイはねぇ♡」
千年公が俺等を…
レイを大事にする理由…それは…
「僕らは神に捧げるダーイジな“子羊”だから」
そう…子羊だからだ。
でもレイと俺達で何が違う?姫って何だ?
「でも仕様が無いのもわかってる…僕らの危なーい性をね」
そうひたすら考えた。
さっきから止まらないこの感情を抑える為に…
ひたすら…ひたすら考え続けた。
「でもね、ティッキー」
そう俺を呼んでロードは楽しそうに口角を上げた。
「ティッキーは…」
あぁ…この気持ちは可笑しい…
可笑しいんだ。
血塗れの月を見てから少年達エクソシストだけじゃなく…
月も壊したいなんて──…
=籠の中の鳥=
「己はノア一族スキン・ボリックだ…お前はティエドール部隊のなんて奴だ?」
神田がアレン達を追い払い世界に二人だけとなった瞬間、ノア…スキン・ボリックはそう問い掛けた。
「神田だ」
淡々と答える神田に“そうか”と返したスキンは、ニヤリとどこか嬉しそうに笑った。
「何故一人で残った?」
「…レイを取り戻すのに邪魔な奴を片っ端から自分で倒そうと思っただけだ」
「レイ…?あぁ、姫のことか」
そう自問自答した瞬間、スキンは不思議そうに首を傾げた。
「姫を狙ってるのか」
散々レイを奪い合ってアクマとも天パのノアとも戦ったし、さっきは“取り戻す”とも言ったのに…アホだったか。
「無理だぞ、無理」
「決めつけてんじゃねぇよ」
「無理なもんは無理だ」
「テメ…」
「姫はまた閉じ込められる」
ユウ…
閉じ込められる…
また…窓に切り取られた世界へ…
ユウ…世界って…綺麗だね……
「姫は“唯一”だからな」
「姫、姫、煩ぇ…」
瞬間、そう神田の低音の声が小さく響いた。
「アイツは姫なんて柄じゃねぇ」
ユウ…
「要領も調子も良くて、楽しい事が好きで…」
私も皆もユウが大好きだよ…
「強いクセに弱くて、凄ぇ寂しがりで、我が儘で…」
だから一人で行かないで…
「やたら心配症なくせに自分の事には強がりで」
ねぇ、ユウ…
「自分を犠牲に他人を護る」
頼ってよ…
「姫じゃない…」
私達は家族なんだから──…
「アイツはレイだ!!」
そう叫んだ瞬間、地が激しく揺れた。
また地震…ここもそう長くはもたない。
…やるしかないか…
私…ユウの言った事守ってるよ…
何で…何でユウは私の言った事守ってくれないの?
何で…私のお願いキイテクレナイの?
「……悪い…レイ…」
「ん?何か言ったか?」
「何でも無ぇよ…」
そう不機嫌そうに口にした神田は、六幻をギュッと握り締めた。
ユウ…
「二幻昇華」
いくらでも治るってもんじゃ無いのよ…
「俺の命を吸い高まれ…」
計り間違え無いでね…
「“禁忌三幻式”」
ユウ──…
「どうだ、居るか?」
そう小声でレイの部屋のテラスへとよじ登ったジャスデロに問い掛ければ、ジャスデロはテラスから身を乗り出す様にしてブンブンと手を振った。
「ヒヒ、居ないよ!」
「よっしゃ!」
そう言って小さくガッツポーズをしたデビットは、桟や柱を足場にジャスデロの所まで飛び上がると、そっと脇の窓を開けてレイの部屋へと入った。
「ホントに居ないな」
「ヒヒッ、社長留守だよ!」
静かに窓を閉めると真っ直ぐにベッドへと向かった。
天蓋付きのキングサイズの大きなベッドには、長い黒髪に聖痕の刻まれた褐色の肌に戻ったレイが、眠っていた。
「レイ寝てるね」
「あぁ」
「これ、デロ達がプレゼントしたドレスだね」
「そうだな」
ベッドに腰を下ろしたデビットは、黒いドレスを纏って眠りについているレイの頬にそっと触れた。
「何でエクソシストなんかに…」
「ヒ…あの日外に出たレイに何があったんだろうね」
デビットとは反対側からベッドに腰掛けたジャスデロは、そう問い掛けながらレイの手を取った。
しかしその問いにデビットが応える事は無かった。
「レイ…起きないかな…」
「…そうだな」
早く…早く目覚めれば良いのに…
そして“僕ら”と一緒に──…
「モゥ、すっ…ごく!可愛い子なんですカラ♡♡♡」
瞬間、扉の外からそう千年公の楽しそうな声がした。
「やべ、帰って来た!」
「社長のお帰りだ!」
廊下を千年公を含め数人が歩いて来る足音がした。
「行くぞ、ジャスデロ!」
そう小声でジャスデロを呼ぶと、二人でテラスに飛び出した。
そしてそっと侵入した窓を閉めると、裏庭に向かって飛び降りた。
遠くに千年公の楽しそうな声を聞きながら、俺達は見つからない様に庭を駆け抜けた。
「天使ですヨ、天使♡」
そう言いながら扉を開けた伯爵様は、嬉しそうにクルクルと回転しながら部屋へ入った。
それに続く様に長い黒髪を一つに結った女性のノア…ルル=ベル様が部屋に入り、それに続いた俺は静かに扉を閉めた。
「一目惚れしますヨ♡」
「主、私は女です」
“そういう意味じゃありませン♡”という伯爵様が何故機嫌がここまで良いのか、俺にはさっぱり解らなかった。
「ウフフ♡良く眠ってますネ♡」
そう言って伯爵様は、ベッドで眠り続けるレイを覗き込んだ。
「この方が姫様ですか」
「そうです、レイですヨ♡すっごく可愛いでショウ♡」
「主…今まで絶対に会わせようとしなかったのに何故今更会わせるのですか?」
ルル=ベル様がそう思うのも無理は無かった。
アレだけ…アレだけ外に出す所か、自分とロード様とジャスデビ様以外の他者を近付け様としなかったのに何故今更…
「いつもはロードとジャスデビに相手をしてもらってるんデスが…ジャスデビは仕事中デスし、ロードはティキぽんと一緒に前の方舟でエクソシストと遊んでるんですヨ♡」
「私に護衛をしろと?」
「イイエ、話し相手ヲ♡護衛はユエで充分です♡」
それだけでは無いと思った。
しかし口にはせず“ユエは口数が少ないですかラ”と言って笑う伯爵様をよそに、俺は唯…ルル=ベル様に挨拶をする様に頭を下げた。
今は…目覚めたレイと二人切りになる瞬間を待つしかない。
全てはまたそこから動き出す筈だから。
また…そこから……
「さぁ、レイ…もう直ぐ目覚めの時間ですヨ♡」
動き出すと信じているから…