第2章 出会いと別れ
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「何か知ってるようですネ、ジャスデビ♡」
そう問い掛ければ、ジャスデビはビクリと肩を震わせた。
何て分かりやすい…
「ティキぽんも何故かレイと顔見知りみたいデスし…」
「…俺等知らないよ、千年公」
「ヒヒ、何の事ぉ社長!」
今更繕っても遅い…相変わらず詰めが甘い子達ですね。
「我輩に嘘を吐くんですカ?」
「「ごめんなさい」」
「フフ、詮索は後にしまショウ♡今はレイの奪還とネズミの排除が先決ですかラ♡」
全く…目障りな。
執拗に追いかけてくる悪魔め…
「レイはティキぽんに任せテ…君達はクロス・マリアンの所へ行きなさい♡」
「でも…」
「行きなさイ♡」
「「………」」
クロスの元へ向かったジャスデビを見送った千年伯爵は、遠くの方でティキと対峙しているレイをジッと見据えた。
「レイがエクソシスト…♡」
=化物=
「ミランダ!!」
ラビに抱き締められたままキラ…ティキと対峙していたら、そうリナリーの悲鳴の様な声がした。
振り返ると黒い包みを抱えたミランダが、青い顔でぐったりと倒れていた。
口許から血が溢れている。
『ミランダ…ミランダ!!』
そう叫びながらラビの腕から抜け出したレイは、直ぐにミランダとそれを抱え起こすリナリーの元へ向かって駆け出したが、その足は直ぐに立ち止まった。
「エネルギー切れ?」
先にリナリーの後ろに回り込んだティキが、リナリーの首に腕を回してリナリーを引っ張り上げたからだ。
直ぐに後を追ってきたラビがレイを庇う様に前に立って構える。
『ッ…ティキ』
「貧弱そうな彼女大丈夫か?無理しすぎちゃった?」
ティキの腕にはリナリー…足元にミランダ…
「さぁ、眼帯くん。レイを返してもらおうか」
「ッ…」
もう…ラビは手出し出来無い。
『ティキ…そんな事しなくて良いよ』
「レイ!!」
ティキに向かって歩き出せば、ラビがそう声を荒げて私の腕を掴んでくれた。
でも私はそれを振り解いた。
『ラビ…ごめんね』
護ろうとしてくれたのに…
ごめんね…
『私は戻る』
そう言ってティキの隣に行けば、ティキは微笑み、ティキの腕の中のリナリーは青ざめた。
「駄目よレイ、貴女は…」
「お帰り姫さん…後…“初めまして”…レイ」
リナリーの言葉を遮ってそう言ったティキに、レイは困った様に微笑む。
『ただいま…快楽 』
「もう人質は要らない訳だ」
『…ティキ?』
何だか様子が違う…
唯返すんじゃなくて…まさか…
「女は無理しないで…」
『ティキ止めて!!』
「綺麗に死ねよ」
そう殺気を剥き出しにした彼を止めたのは私の悲鳴でもラビでも無かった。
ティキの視線の先には、握り締められたら手が体を通り抜けて突き出ていた。
「は…ッ、なせ……」
ティキを殴っていたのはアニタの船の乗組員の男だった。
「エクソシスト様を放せ、化け物!」
「チャオジー…さん…ダメ…」
リナリーがそう言ったが、それはティキの笑い声で掻き消された。
「レイ、今の聞いたか?“化け物”だってよ」
レイは応えなかった。
応えようが無かった…
「なぁ…俺を化け物って言うって事はレイにも化け物って言ってるって事だぜ?どうするよ、人間」
男は何も応えなかった。
でも目はしっかりとティキを睨み付けている。
「シラけんなぁ…散々助けてもらったくせに、レイがノアだと知ったらそれかよ?もうレイに用は無いんだ?」
ティキの言葉に目の前が真っ暗になった。
私は……
「ティーズ、喰っちまえ」
「チャオジー!!」
誰かがそう叫んだのは聞こえた…瞬間、ドンッという爆発音の様な物が響き、私は吹き飛ばされた。
ティキが私の名を呼ぶ声が遠くに聞こえた。
『用…無し…』
やっぱり人間にはノアじゃ駄目なんだ…
私…どうでも良い存在なんだ…
そんな事を考えていたら、ふと抱き締められた。
視線を動かすと、自分を抱き起こす人物には見覚えがあった。
一つに結われた長い黒髪…
不機嫌そうに寄せられたら眉にキツイ…けど凄く優しい目許。
『……………ユウ…?』
そう名を口にすると、ユウの後ろからひょっこりとツインテールの可愛らしい少女が顔を出した。
後ろには肩に烏を乗せた銀髪の青年も見えた。
「大丈夫、レイ?」
「怪我は無い様だな」
「シャール…ユエ…」
「後は任せろ、レイ」
「大丈夫!足止めするだけだから」
シャールは楽しそうに微笑み、ユエは優しく頭を撫でてくれた。
そしてパールは私の胸元へ降り立つと、私の額にそっとその小さな額を当てた。
「シカタのないヤツだ」
『ごめんね…パール』
小さく喉を鳴らしたパールがシャールの肩に乗ると、ユエとシャールはティキ達に向き合った。
「ティキ・ミック卿、御相手しよう」
「じゃあ、ボクとパールはスキン・ボリック様だね」
立ちはだかる二体のアクマに、ティキは苦虫を噛み潰した様に顔を歪めた。
「レイの次はアクマがそっちにね…一体全体どうなってんだか」
「ボク等はレイ直属のレイ専用のアクマですから!」
「他のノア様…伯爵様よりもレイを優先します」
コンバートした二人とイノセンスを解放したパールは真っ直ぐにティキとスキンに突っ込んで行った。
『皆…』
私の所為で…私があの部屋を出たから…
でも…でも私は…
「レイ」
選べない…
『ユウ…』
そう呼び返すと、ユウは優しく私を抱き締めてくれた。
「大丈夫…じゃなさそうだな」
ユウの存在に酷く安心し…
“どうした”と問われれば同時に胸が苦しくなった。
『私はノア…イノセンスを排除し世界に終焉を与える者』
人を悲しみと魂でもってしてアクマに変える世界の破壊者…
『でも私はエクソシストになった』
確かにチィ達が言ってた通りの人間もいた…けど私は人間が好きだから。
アクマとなった魂が苦しんでいると知ったから…
『私、両方大事なんだ。どっちかなんて…選べないよ』
我が儘なのは分かってる。
でも選べなかった…
どちらも大事な家族だと思ってるし、こんな私を家族だと言ってくれたから…
あーぁ…
何で“こんな事”になっちゃったんだろ。
私は唯、私を囮に皆を逃がしたかっただけなのに…
アクマを壊したかっただけなのに。
あの部屋を…
出たかっただけなのに…
唯…
私は…私は……
「俺が攫ってやる」
『……ぇ』
届いた言葉に耳を疑って思わずそう聞き返した。
「奴等からお前を奪ってやる。それならお前は選ばない」
『……ユウ…』
「許しませんヨ」
一瞬の出来事だった…そう耳元でチィの声が聞こえた気がしてビクリと肩を震わせた瞬間、私はティキに横抱きにされていた。
「レイ!!」
ユウの叫び声と共に直ぐに六玄に手を掛けたユウがティキに蹴り飛ばされ、続いて突っ込んできたラビもティーズに吹き飛ばされた。
「ウチの可愛いレイを誑かそうだなんてなんてヤツでしょウ♡」
城の上に浮かぶ千年伯爵に向かって走り出すティキの腕の中で、レイは青ざめた。
『駄目…駄目、チィ!!』
「あぁコラ、じっとしてろよレイ」
私はティキの両肩に手を置くと、一気に飛び上がった。
「チョコザイナ♡」
『ヤメテェェエェ!!』
両方失いたく無かった──…
「何か知ってるようですネ、ジャスデビ♡」
そう問い掛ければ、ジャスデビはビクリと肩を震わせた。
何て分かりやすい…
「ティキぽんも何故かレイと顔見知りみたいデスし…」
「…俺等知らないよ、千年公」
「ヒヒ、何の事ぉ社長!」
今更繕っても遅い…相変わらず詰めが甘い子達ですね。
「我輩に嘘を吐くんですカ?」
「「ごめんなさい」」
「フフ、詮索は後にしまショウ♡今はレイの奪還とネズミの排除が先決ですかラ♡」
全く…目障りな。
執拗に追いかけてくる悪魔め…
「レイはティキぽんに任せテ…君達はクロス・マリアンの所へ行きなさい♡」
「でも…」
「行きなさイ♡」
「「………」」
クロスの元へ向かったジャスデビを見送った千年伯爵は、遠くの方でティキと対峙しているレイをジッと見据えた。
「レイがエクソシスト…♡」
=化物=
「ミランダ!!」
ラビに抱き締められたままキラ…ティキと対峙していたら、そうリナリーの悲鳴の様な声がした。
振り返ると黒い包みを抱えたミランダが、青い顔でぐったりと倒れていた。
口許から血が溢れている。
『ミランダ…ミランダ!!』
そう叫びながらラビの腕から抜け出したレイは、直ぐにミランダとそれを抱え起こすリナリーの元へ向かって駆け出したが、その足は直ぐに立ち止まった。
「エネルギー切れ?」
先にリナリーの後ろに回り込んだティキが、リナリーの首に腕を回してリナリーを引っ張り上げたからだ。
直ぐに後を追ってきたラビがレイを庇う様に前に立って構える。
『ッ…ティキ』
「貧弱そうな彼女大丈夫か?無理しすぎちゃった?」
ティキの腕にはリナリー…足元にミランダ…
「さぁ、眼帯くん。レイを返してもらおうか」
「ッ…」
もう…ラビは手出し出来無い。
『ティキ…そんな事しなくて良いよ』
「レイ!!」
ティキに向かって歩き出せば、ラビがそう声を荒げて私の腕を掴んでくれた。
でも私はそれを振り解いた。
『ラビ…ごめんね』
護ろうとしてくれたのに…
ごめんね…
『私は戻る』
そう言ってティキの隣に行けば、ティキは微笑み、ティキの腕の中のリナリーは青ざめた。
「駄目よレイ、貴女は…」
「お帰り姫さん…後…“初めまして”…レイ」
リナリーの言葉を遮ってそう言ったティキに、レイは困った様に微笑む。
『ただいま…
「もう人質は要らない訳だ」
『…ティキ?』
何だか様子が違う…
唯返すんじゃなくて…まさか…
「女は無理しないで…」
『ティキ止めて!!』
「綺麗に死ねよ」
そう殺気を剥き出しにした彼を止めたのは私の悲鳴でもラビでも無かった。
ティキの視線の先には、握り締められたら手が体を通り抜けて突き出ていた。
「は…ッ、なせ……」
ティキを殴っていたのはアニタの船の乗組員の男だった。
「エクソシスト様を放せ、化け物!」
「チャオジー…さん…ダメ…」
リナリーがそう言ったが、それはティキの笑い声で掻き消された。
「レイ、今の聞いたか?“化け物”だってよ」
レイは応えなかった。
応えようが無かった…
「なぁ…俺を化け物って言うって事はレイにも化け物って言ってるって事だぜ?どうするよ、人間」
男は何も応えなかった。
でも目はしっかりとティキを睨み付けている。
「シラけんなぁ…散々助けてもらったくせに、レイがノアだと知ったらそれかよ?もうレイに用は無いんだ?」
ティキの言葉に目の前が真っ暗になった。
私は……
「ティーズ、喰っちまえ」
「チャオジー!!」
誰かがそう叫んだのは聞こえた…瞬間、ドンッという爆発音の様な物が響き、私は吹き飛ばされた。
ティキが私の名を呼ぶ声が遠くに聞こえた。
『用…無し…』
やっぱり人間にはノアじゃ駄目なんだ…
私…どうでも良い存在なんだ…
そんな事を考えていたら、ふと抱き締められた。
視線を動かすと、自分を抱き起こす人物には見覚えがあった。
一つに結われた長い黒髪…
不機嫌そうに寄せられたら眉にキツイ…けど凄く優しい目許。
『……………ユウ…?』
そう名を口にすると、ユウの後ろからひょっこりとツインテールの可愛らしい少女が顔を出した。
後ろには肩に烏を乗せた銀髪の青年も見えた。
「大丈夫、レイ?」
「怪我は無い様だな」
「シャール…ユエ…」
「後は任せろ、レイ」
「大丈夫!足止めするだけだから」
シャールは楽しそうに微笑み、ユエは優しく頭を撫でてくれた。
そしてパールは私の胸元へ降り立つと、私の額にそっとその小さな額を当てた。
「シカタのないヤツだ」
『ごめんね…パール』
小さく喉を鳴らしたパールがシャールの肩に乗ると、ユエとシャールはティキ達に向き合った。
「ティキ・ミック卿、御相手しよう」
「じゃあ、ボクとパールはスキン・ボリック様だね」
立ちはだかる二体のアクマに、ティキは苦虫を噛み潰した様に顔を歪めた。
「レイの次はアクマがそっちにね…一体全体どうなってんだか」
「ボク等はレイ直属のレイ専用のアクマですから!」
「他のノア様…伯爵様よりもレイを優先します」
コンバートした二人とイノセンスを解放したパールは真っ直ぐにティキとスキンに突っ込んで行った。
『皆…』
私の所為で…私があの部屋を出たから…
でも…でも私は…
「レイ」
選べない…
『ユウ…』
そう呼び返すと、ユウは優しく私を抱き締めてくれた。
「大丈夫…じゃなさそうだな」
ユウの存在に酷く安心し…
“どうした”と問われれば同時に胸が苦しくなった。
『私はノア…イノセンスを排除し世界に終焉を与える者』
人を悲しみと魂でもってしてアクマに変える世界の破壊者…
『でも私はエクソシストになった』
確かにチィ達が言ってた通りの人間もいた…けど私は人間が好きだから。
アクマとなった魂が苦しんでいると知ったから…
『私、両方大事なんだ。どっちかなんて…選べないよ』
我が儘なのは分かってる。
でも選べなかった…
どちらも大事な家族だと思ってるし、こんな私を家族だと言ってくれたから…
あーぁ…
何で“こんな事”になっちゃったんだろ。
私は唯、私を囮に皆を逃がしたかっただけなのに…
アクマを壊したかっただけなのに。
あの部屋を…
出たかっただけなのに…
唯…
私は…私は……
「俺が攫ってやる」
『……ぇ』
届いた言葉に耳を疑って思わずそう聞き返した。
「奴等からお前を奪ってやる。それならお前は選ばない」
『……ユウ…』
「許しませんヨ」
一瞬の出来事だった…そう耳元でチィの声が聞こえた気がしてビクリと肩を震わせた瞬間、私はティキに横抱きにされていた。
「レイ!!」
ユウの叫び声と共に直ぐに六玄に手を掛けたユウがティキに蹴り飛ばされ、続いて突っ込んできたラビもティーズに吹き飛ばされた。
「ウチの可愛いレイを誑かそうだなんてなんてヤツでしょウ♡」
城の上に浮かぶ千年伯爵に向かって走り出すティキの腕の中で、レイは青ざめた。
『駄目…駄目、チィ!!』
「あぁコラ、じっとしてろよレイ」
私はティキの両肩に手を置くと、一気に飛び上がった。
「チョコザイナ♡」
『ヤメテェェエェ!!』
両方失いたく無かった──…