第2章 出会いと別れ
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35
“嫌な予感”
俺は知っている。
それは不吉な物だと…
それは突然起きると…
それは全てを奪い去るかもしれないと…
俺は知っている。
俺の“悪い予感”が…
酷く良く当たる事を──…
=白と黒=
「うぇ…吐きそうさ…気分悪ぃ…」
まさか東の最果ての“閉ざされた国”と呼ばれる日本にアクマの製造工場があったなんて…
しかし“誰も入れず、誰も出て来ない”国ならば、工場としての条件には都合が良いか。
でも、アクマ同士で共食いしあってるなんてな…
辺りに広がるアクマの死骸の山が気持ち悪い…
「気持ち悪いなんて言ったらレイに怒られるわよ、ラビ」
「そうだな…」
いっそ怒られても良い…怒られても良いからレイに会いたかった。
アレンを追い掛けて船を飛び出したレイは、ティムキャンピーの記録には写っていなかった。
アレンと一緒に消えたレイ…
あぁ、今直ぐ会いたい。
会って抱き締めて、亡くさない様に絶対に離したくない。
なぁ、レイ…
俺、嫌な予感がするんさ…
酷く…酷く嫌な予感が…
早く…早く…今直ぐに会いたい。
「ゥ゛……ッ…」
ふとそう小さく呻く様な声がした。
壊滅状態の船に現れて日本まで生き残った皆を運んでくれた、クロス元帥の改造アクマ、ちょめ助こと“サチコ”の声だった。
「どうしたさ、サチコ?」
「ちょめ助でいいっちょ」
青い顔をして“ややこしいから”と続けたサチコの動きが瞬間、ピタリと止まり、苦しそうに呻きながらバランスを崩した。
咄嗟にラビはサチコを受け止める。
「どうしたさ、サチコ!」
「コンニャロ…ちょめ助でいいって言ってんだろ…ッ…は…伯爵様からの送信っちょ」
「伯爵から!?」
「私達の侵入がバレたの!?」
「い、いやそうじゃないと思うっちょ…」
良かった…もし伯爵にバレていたら大変な事になる。
「メチャメチャでかい送信っちょ…制御がきかな…アカン頭がクラクラしてキタ…」
「ちょめす」
「オイラ誰…ここドコ?」
「しっかりしろ、ちょめ助ぇぇ!」
俺の言葉を遮ってボケをかましたちょめ助に、思わずそう叫んだ。
「…この送信範囲は……伯爵様が日本すべてのアクマを呼び集め様としてるっちょ、ッ…ア゛アァァ」
そう言って苦しそうに叫ぶちょめ助は酷く辛そうだった。
「しっかりしろ、ちょめ助!」
「どうしたというであるか?」
「伯爵が日本中のアクマを呼んでるってどういう事だ」
「おい、ちょめ助!」
「オ、オイラは…アクマだけど…っマリアンの改造で伯爵様の命令を聞かなくても行動出来る様になったっちょ……ッ…でも…この伯爵様からの送信は…つ…強…すぎ…る…」
強過ぎる‥?
もしかして…
「ごめんちょ、ラビ…オイラ…伯爵様の元に行かなきゃ…」
瞬間、ゆっくりと立ち上がったちょめ助はフラフラと歩き出した。
「待って!伯爵の元ってまさか…」
「江戸帝都に…今…千年伯爵様が来てるっちょ」
「懐かしいね」
何百という数の肖像画に見詰められるその道を歩きながらジャスデロはそう呟いた。
「あぁ、まだ数回しか来た事ねぇのに…ここ来るといつも何故かそう思う。生まれた場所でもねぇのにな」
「あぁ、それは己にもあるぞ」
「こんな辛気臭いぇとこ趣味じゃねぇんだけどよ」
ティキとスキンの言葉に、デビットはそう洩らした。
「俺は…」
「キミ達の中のノアの遺伝子が懐かしがってるんですヨ♡」
そう響き渡った千年伯爵の声に、デビットは口を噤んだ。
「これはノアが大洪水を逃れ第二人類の祖先を造りだした場所…キミ達のオリジナルの生まれ故郷なのですかラ♡以前にも話してあげたでショ?」
デビットは小さな銀の包みを取り出すと、包みをといてガムを口に放り込んだ。
「ここ、ノアの方舟こそが人類の故郷 なのだトッ♡」
何度も聞いた。
けど、毎回毎回…そこにレイは居なかった。
「故郷ね…それが今じゃアクマの生成工場だ」
「人間とアクマが実は同郷だなんて笑えるぜ」
「ヒヒッ、ウける!!」
“フフ♡”と笑った千年公は、そっと方舟の“鍵盤”を撫でた。
「ですがもうじきこの方舟ともお別れしなければなりませン……グッバイ、江戸♡」
レイがいない所で話はどんどん進んで行く…
「来るべき破滅的な運命 の為に、新たな資格を持つ舟に乗り換えるのでス♡」
破滅的な運命 …方舟を乗り換えるとこまできたなら…
レイ、そろそろ戻ってこねぇとヤバいぞ、こりゃ…
「ところでキミ達は仕事もしないで何しに来たんですカ?♡」
「「「「おぅ、直球」」」」
話さずにはいられない…そんな状況の中で、それぞれ順番に千年公に理由を話した。
「え~元帥が二人も入り込んじゃったんですカ~?」
困った様にそう洩らした千年公は、何か思いついた様にポンッと手を叩いた。
「ジャスデビ、ティキぽん♡レイの行方はどうでしたカ?♡」
「見ての通り手ぶらだよ」
「ヒヒッ!見付けたら捕まえとくよ」
って言ってもまぁ…見付かってはいるんだけど。
一応嘘は吐いて無い。連れてきて無いから“手ぶら”捕まえて無いから“捕まえとく”だから嘘じゃない。
屁理屈もいいとこだけど…
「俺もな~……千年公、似た子を虱潰しに調べたけど姫さんは見つかんなかったよ」
「似た子ぉ?」
「容姿がいまいち分かんねぇから長い黒髪の子を虱潰しにな」
「姫か…己も見た事は無いな」
今のレイの髪はショートだっつうのにロングを虱潰しだなんて…
「ギャハハハハ!!!ティキ、か~わいそ~!」
「ヒー!!!ヒッヒッヒッ、悲惨だな!」
「ぇ、何…そんな面白い?」
「ダウンロードも開始しましたし…そろそろ自分で探しますカ♡」
悲惨過ぎるティキが面白くてゲラゲラと笑っている中響いた声に、俺達は思わず笑うのを止めた。
「え…?」
「キミ達は仕事に専念しなさイ♡レイは我輩が探しマス♡」
千年公が直接レイを…?
「ヒ…ヒヒ…社長、仕事は?」
「大体済ませましたヨ♡それに我輩なら効率も良いし取り逃がしは無いデスし♡」
ヤバい…
ヤバいぜ、レイ…
「さぁ、行きましょうカ♡」
もう時間が無い──…
“嫌な予感”
俺は知っている。
それは不吉な物だと…
それは突然起きると…
それは全てを奪い去るかもしれないと…
俺は知っている。
俺の“悪い予感”が…
酷く良く当たる事を──…
=白と黒=
「うぇ…吐きそうさ…気分悪ぃ…」
まさか東の最果ての“閉ざされた国”と呼ばれる日本にアクマの製造工場があったなんて…
しかし“誰も入れず、誰も出て来ない”国ならば、工場としての条件には都合が良いか。
でも、アクマ同士で共食いしあってるなんてな…
辺りに広がるアクマの死骸の山が気持ち悪い…
「気持ち悪いなんて言ったらレイに怒られるわよ、ラビ」
「そうだな…」
いっそ怒られても良い…怒られても良いからレイに会いたかった。
アレンを追い掛けて船を飛び出したレイは、ティムキャンピーの記録には写っていなかった。
アレンと一緒に消えたレイ…
あぁ、今直ぐ会いたい。
会って抱き締めて、亡くさない様に絶対に離したくない。
なぁ、レイ…
俺、嫌な予感がするんさ…
酷く…酷く嫌な予感が…
早く…早く…今直ぐに会いたい。
「ゥ゛……ッ…」
ふとそう小さく呻く様な声がした。
壊滅状態の船に現れて日本まで生き残った皆を運んでくれた、クロス元帥の改造アクマ、ちょめ助こと“サチコ”の声だった。
「どうしたさ、サチコ?」
「ちょめ助でいいっちょ」
青い顔をして“ややこしいから”と続けたサチコの動きが瞬間、ピタリと止まり、苦しそうに呻きながらバランスを崩した。
咄嗟にラビはサチコを受け止める。
「どうしたさ、サチコ!」
「コンニャロ…ちょめ助でいいって言ってんだろ…ッ…は…伯爵様からの送信っちょ」
「伯爵から!?」
「私達の侵入がバレたの!?」
「い、いやそうじゃないと思うっちょ…」
良かった…もし伯爵にバレていたら大変な事になる。
「メチャメチャでかい送信っちょ…制御がきかな…アカン頭がクラクラしてキタ…」
「ちょめす」
「オイラ誰…ここドコ?」
「しっかりしろ、ちょめ助ぇぇ!」
俺の言葉を遮ってボケをかましたちょめ助に、思わずそう叫んだ。
「…この送信範囲は……伯爵様が日本すべてのアクマを呼び集め様としてるっちょ、ッ…ア゛アァァ」
そう言って苦しそうに叫ぶちょめ助は酷く辛そうだった。
「しっかりしろ、ちょめ助!」
「どうしたというであるか?」
「伯爵が日本中のアクマを呼んでるってどういう事だ」
「おい、ちょめ助!」
「オ、オイラは…アクマだけど…っマリアンの改造で伯爵様の命令を聞かなくても行動出来る様になったっちょ……ッ…でも…この伯爵様からの送信は…つ…強…すぎ…る…」
強過ぎる‥?
もしかして…
「ごめんちょ、ラビ…オイラ…伯爵様の元に行かなきゃ…」
瞬間、ゆっくりと立ち上がったちょめ助はフラフラと歩き出した。
「待って!伯爵の元ってまさか…」
「江戸帝都に…今…千年伯爵様が来てるっちょ」
「懐かしいね」
何百という数の肖像画に見詰められるその道を歩きながらジャスデロはそう呟いた。
「あぁ、まだ数回しか来た事ねぇのに…ここ来るといつも何故かそう思う。生まれた場所でもねぇのにな」
「あぁ、それは己にもあるぞ」
「こんな辛気臭いぇとこ趣味じゃねぇんだけどよ」
ティキとスキンの言葉に、デビットはそう洩らした。
「俺は…」
「キミ達の中のノアの遺伝子が懐かしがってるんですヨ♡」
そう響き渡った千年伯爵の声に、デビットは口を噤んだ。
「これはノアが大洪水を逃れ第二人類の祖先を造りだした場所…キミ達のオリジナルの生まれ故郷なのですかラ♡以前にも話してあげたでショ?」
デビットは小さな銀の包みを取り出すと、包みをといてガムを口に放り込んだ。
「ここ、ノアの方舟こそが人類の
何度も聞いた。
けど、毎回毎回…そこにレイは居なかった。
「故郷ね…それが今じゃアクマの生成工場だ」
「人間とアクマが実は同郷だなんて笑えるぜ」
「ヒヒッ、ウける!!」
“フフ♡”と笑った千年公は、そっと方舟の“鍵盤”を撫でた。
「ですがもうじきこの方舟ともお別れしなければなりませン……グッバイ、江戸♡」
レイがいない所で話はどんどん進んで行く…
「来るべき
レイ、そろそろ戻ってこねぇとヤバいぞ、こりゃ…
「ところでキミ達は仕事もしないで何しに来たんですカ?♡」
「「「「おぅ、直球」」」」
話さずにはいられない…そんな状況の中で、それぞれ順番に千年公に理由を話した。
「え~元帥が二人も入り込んじゃったんですカ~?」
困った様にそう洩らした千年公は、何か思いついた様にポンッと手を叩いた。
「ジャスデビ、ティキぽん♡レイの行方はどうでしたカ?♡」
「見ての通り手ぶらだよ」
「ヒヒッ!見付けたら捕まえとくよ」
って言ってもまぁ…見付かってはいるんだけど。
一応嘘は吐いて無い。連れてきて無いから“手ぶら”捕まえて無いから“捕まえとく”だから嘘じゃない。
屁理屈もいいとこだけど…
「俺もな~……千年公、似た子を虱潰しに調べたけど姫さんは見つかんなかったよ」
「似た子ぉ?」
「容姿がいまいち分かんねぇから長い黒髪の子を虱潰しにな」
「姫か…己も見た事は無いな」
今のレイの髪はショートだっつうのにロングを虱潰しだなんて…
「ギャハハハハ!!!ティキ、か~わいそ~!」
「ヒー!!!ヒッヒッヒッ、悲惨だな!」
「ぇ、何…そんな面白い?」
「ダウンロードも開始しましたし…そろそろ自分で探しますカ♡」
悲惨過ぎるティキが面白くてゲラゲラと笑っている中響いた声に、俺達は思わず笑うのを止めた。
「え…?」
「キミ達は仕事に専念しなさイ♡レイは我輩が探しマス♡」
千年公が直接レイを…?
「ヒ…ヒヒ…社長、仕事は?」
「大体済ませましたヨ♡それに我輩なら効率も良いし取り逃がしは無いデスし♡」
ヤバい…
ヤバいぜ、レイ…
「さぁ、行きましょうカ♡」
もう時間が無い──…