第1章 ノアの少女
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3
初めて君と会ったのは、荒れ果てた教会だった──…
=呪ワレタ少年ト黒服ノ少女 =
「おーい、ティムキャンピー!」
アレンは荒れ果てた教会の中をティムキャンピーを食べてしまったノラ猫を探して歩き回っていた。しかしそれも先程までの話だ。今は何故か大量のコウモリに追い掛けられている。
アレンは纏わりつくコウモリ達を叩いて追い払いながら猫を探して教会内を走り回っていた。
「どこ行ったんだよ…痛ッ!!このコウモリ、どこまでついてくるんだろ‥」
早く探さないと…ティムキャンピーは師匠であるクロスから預かったものだ。失くすわけにはいかない。いや、失くせない。
失くしたらどうなる事か……最後までは想像出来無いし、想像したくも無い。
「ん‥?」
前方の床に白い物体…確か猫の大きさがちょうどあんな感じだった筈だ。
アレンはコウモリを纏った様な状態のまま猫を掴むと、コウモリを振り払いながら近くの部屋に入り、猫を椅子に押し付けた。
「捕まえた‥今度こそ逃がさないぞ」
周りでは振りきれなかったコウモリがバサバサと羽音を立てながら羽ばたいている。
その中に響くゲホゲホという噎せかえった声が…‥声‥?
「に、人間!?」
どうやら猫と一緒に側にいた人間まで捕まえて来てしまったらしい。
「どうしてこんな所に…」
そう口にした瞬間“ガチャッ”という音が耳に響き、音のした方を見ると左手に手錠がかけられていた。
「こいつよくも…」
そう呟いた相手‥女性は警官の格好をしている。まぁ、一般人が手錠なんか持ってるわけ無いか…
「何者だ!!」
警官が俯いていた顔を上げ、そう叫んだ。
「ご、ごめんなさい!つい夢中で気付かなくて…猫を捕まえようとしただけでして」
猫を捕まえようとしていたのは事実だ。
アレンは降参した様に両手を上げると再び口を開いた。
「その、ただの…旅人です」
そうは言ったものの警官は一向に信じてくれなかった。アレンは両腕を手錠で窓に固定されながら町の奇妙な噂を聞いた。
その所為で僕が犯人扱いされているわけだ。
「僕…今朝この町に来たんですけど、ここの前を通りかかった時、ノラ猫に大事なものを喰われちゃって…」
“ずっと探し回ってたんです”と言うアレンは警官は黙ったまま見据えた。
「ほ、本当です!師からの預かり物で失くすわけにはいかないんです!!」
「師…じゃあその人はどこにいるの?」
「それがインドで失踪して…」
警官のお姉さんの視線が痛い。でもこれ本当の事だし…‥
取り合えず猫に“お前の所為だぞっ”と当たってみる。しかし猫は馬鹿にした様に笑うだけだ。
「兎に角、仲間を連れてくるから待ってなさい」
そう言ってお姉さんが僕を指差した瞬間‥
崩れかけたこの教会に、断末魔の悲鳴が響き渡った。
それと同時に地響きの様に低い音が響く‥
「な、何なの?!」
「あの‥」
「君はここにいて!」
警官はそう言い残すと扉を押し開けて部屋を後にしてしまい、残されたアレンはイノセンスを発動させて手錠を壊すと、慌てて後を追い掛けた。
警官に追い付いてみると‥
行き着いた部屋の柱には、血と張り付いた警官の制服しか残っていなかった。
アレンはとっさに頭に巻いていた布で床に座り込んでいる警官の口を塞いだ。辺りに死臭が充満している。
「気を付けて‥この死体の死臭 は有毒です」
多量に吸えば只では済ま無い。
だってあの死体 は‥
「アクマに殺されてる」
「何でこうなるかな‥」
アレンに手錠を掛けた警官、モアの家の一室でアレンはそう呟いた。
「僕、倒れたモアさんを警察署に運んだだけなのに‥」
容疑者扱いされるし、イカレ野郎とか言われて追い出されるし、アクマの話も信じてもらえ無い……アクマは仕方無いけど。
それは兎も角、教会が気になる。アクマがまだいるかもしれない。
「行ってみようかな」
アレンは猫を抱き上げてそっと玄関へ向かったが、廊下に出た所で猫が暴れだし、足を滑らせて階段から落ちてしまった。
猫を抱え、体中を打ち付けながら一階へと転がり落ちたアレンは、写真の入った額が次々と壁から落ちてくるのを見て青ざめた。
部屋を出たのがバレた上にこの惨状…挙げ句額はゴンッと音をたてアレンの頭に落ちてくる始末だ。
アレンは“ぷぎー”と鳴く猫を怨めしそうに見た。
「コラ、何やってんの!!部屋から出るなって言ったでしょ!!」
モアの怒鳴り声が家中に響き渡る。
「いや、その…」
「教会に行く気だったわね!」
「ちょ、ちょっとだけ!」
「ダメ!!」
アレンはモアから逃げようとしたが、襟を掴まれてしまい動きが取れない。そんな中、警部を思いだし二人は深く溜め息を吐いた。
軽くあしらわれたアレン、そして見張りという名の自宅謹慎を命じられたモア……二人とも決して良い状況では無い。
教会は目の前なのに…警部さん達大丈夫かな…
襟を捕まれたまま近くの部屋に連れて来られたアレンは、窓から教会の様子を伺った。唯の人間がアクマに適う筈が無い。
「アレン君…君、ホントに犯人が悪魔だと思ってるの?」
「はい?」
「悪魔というのは古代の人間が病や禍に対する恐怖心から創り出した空想のキャラクターよ。言葉や思想の中だけで現実には存在しないの…私は呪いや悪魔なんて信じて無いわ」
アレンは黙ってモアの話を聞いた。
確かに悪魔というものはそうだが、僕が言っているのは“AKUMA”だ。
「そういうのキライなの」
「えっと…僕の言っているアクマはそういうもの事じゃ無いです」
「え‥?」
「“AKUMA”とは兵器の名称です。人類を標的に造られた悪性兵器…‥それが“AKUMA”です。普段は人の形をしてるので人間と区別しにくいんですが」
話をしているといきなり扉が開いた。
「マルク義兄さん!?」
モアが義兄さんと呼んだ車椅子の男に近付く中、アレンは男を見据えたまま固まった。
「どうしたの、義兄さん?」
この男の人は…
「モアさん!離れて!!」
「オ、オナカガ減ッタ…殺サセテ」
「え?」
キンッという音と共にマルクの体が兵器へ姿を変えていく‥
「義兄さん…?」
“キィィィィィィ”という音が痛い程耳に響いた。
「何よ…これ」
瞬間アクマが大量の弾丸を放ち、アレンは猫とモアを庇いながら弾丸を受けとめた。
しかし、そんな踏ん張りのきかない状態で弾丸の威力にかなう筈も無く…アレンはモアと猫を抱き締めたまま弾丸の威力に負けて、弾丸を受け止めたまま吹き飛ばされてしまった。
見事に…家の壁どころか道の反対側の協会の壁までもを突き破って着地…いや、どちらかと言えば落ちた。
「っ…だ、大丈夫モアさん?」
「ここ、どこ…?」
「お向かいの教会…吹っ飛ばされまし…た…」
アレンが顔を上げるとモアともう一人…
短い黒髪の綺麗な少女が目を丸くしてアレン達の前に立っていた。
『あ‥えっと…‥大丈夫?』
アレンが少女に見とれていると、少女がそう声を掛けた。
「あ、はい‥大丈夫です!」
『そう、良かった』
「っ…」
少女がニッコリ微笑む。
僕の顔は赤くなっているのだろう‥モアさんが呆れた様に溜め息を吐いた。
「アレン君ってこういう子がタイプなのね」
『何か言った…?』
少女が首を傾げ、アレンは首をブンブンと横に振った。
「な、何でも無いですよ!!モアさん、変な事言わ無いで下さいよ!」
「図星のクセに」
「そ、それは‥」
ふと少女がアレンを見てクスクス笑い出した。
『君、表情がコロコロ変わって面白い』
「面白い‥?」
『そう、可愛い』
「可愛い?!」
少女がまた微笑み、アレンの顔も自然と赤味を増した。
それを見たモアはアレンの膝に乗ったまま笑いを堪えた。
「モアさん、笑わないで下さいよ…」
「ごめん、ごめん」
「レイ、時間だ!!」
知らぬ男の呼び声が微かに耳に届き、少女は教会の入口の方に顔を向けた。
『分かった!!』
レイとは少女の事らしく、少女は声を上げてそう返事をすると、アレンを見据えた。
『ここは君に任せるね』
「え…?」
意味が分からずアレンは首を傾げる。
この子に何を任されたのか全くもって分からない。
『アレンが君に助けを求めている』
「ぇ…」
『救って上げて』
そう残すと、レイという名の少女は黒いワンピースを翻し、その場を立ち去った。
貴女は何者だったんですか…?
アクマを破壊している間もその後も…
貴女が気になって仕方無い…
黒服を着た黒髪の美しい少女。
僕はまた…
貴女に会えるでしょうか…?
いや…
きっと…必ずどこかで──…
初めて君と会ったのは、荒れ果てた教会だった──…
=
「おーい、ティムキャンピー!」
アレンは荒れ果てた教会の中をティムキャンピーを食べてしまったノラ猫を探して歩き回っていた。しかしそれも先程までの話だ。今は何故か大量のコウモリに追い掛けられている。
アレンは纏わりつくコウモリ達を叩いて追い払いながら猫を探して教会内を走り回っていた。
「どこ行ったんだよ…痛ッ!!このコウモリ、どこまでついてくるんだろ‥」
早く探さないと…ティムキャンピーは師匠であるクロスから預かったものだ。失くすわけにはいかない。いや、失くせない。
失くしたらどうなる事か……最後までは想像出来無いし、想像したくも無い。
「ん‥?」
前方の床に白い物体…確か猫の大きさがちょうどあんな感じだった筈だ。
アレンはコウモリを纏った様な状態のまま猫を掴むと、コウモリを振り払いながら近くの部屋に入り、猫を椅子に押し付けた。
「捕まえた‥今度こそ逃がさないぞ」
周りでは振りきれなかったコウモリがバサバサと羽音を立てながら羽ばたいている。
その中に響くゲホゲホという噎せかえった声が…‥声‥?
「に、人間!?」
どうやら猫と一緒に側にいた人間まで捕まえて来てしまったらしい。
「どうしてこんな所に…」
そう口にした瞬間“ガチャッ”という音が耳に響き、音のした方を見ると左手に手錠がかけられていた。
「こいつよくも…」
そう呟いた相手‥女性は警官の格好をしている。まぁ、一般人が手錠なんか持ってるわけ無いか…
「何者だ!!」
警官が俯いていた顔を上げ、そう叫んだ。
「ご、ごめんなさい!つい夢中で気付かなくて…猫を捕まえようとしただけでして」
猫を捕まえようとしていたのは事実だ。
アレンは降参した様に両手を上げると再び口を開いた。
「その、ただの…旅人です」
そうは言ったものの警官は一向に信じてくれなかった。アレンは両腕を手錠で窓に固定されながら町の奇妙な噂を聞いた。
その所為で僕が犯人扱いされているわけだ。
「僕…今朝この町に来たんですけど、ここの前を通りかかった時、ノラ猫に大事なものを喰われちゃって…」
“ずっと探し回ってたんです”と言うアレンは警官は黙ったまま見据えた。
「ほ、本当です!師からの預かり物で失くすわけにはいかないんです!!」
「師…じゃあその人はどこにいるの?」
「それがインドで失踪して…」
警官のお姉さんの視線が痛い。でもこれ本当の事だし…‥
取り合えず猫に“お前の所為だぞっ”と当たってみる。しかし猫は馬鹿にした様に笑うだけだ。
「兎に角、仲間を連れてくるから待ってなさい」
そう言ってお姉さんが僕を指差した瞬間‥
崩れかけたこの教会に、断末魔の悲鳴が響き渡った。
それと同時に地響きの様に低い音が響く‥
「な、何なの?!」
「あの‥」
「君はここにいて!」
警官はそう言い残すと扉を押し開けて部屋を後にしてしまい、残されたアレンはイノセンスを発動させて手錠を壊すと、慌てて後を追い掛けた。
警官に追い付いてみると‥
行き着いた部屋の柱には、血と張り付いた警官の制服しか残っていなかった。
アレンはとっさに頭に巻いていた布で床に座り込んでいる警官の口を塞いだ。辺りに死臭が充満している。
「気を付けて‥この死体の
多量に吸えば只では済ま無い。
だってあの
「アクマに殺されてる」
「何でこうなるかな‥」
アレンに手錠を掛けた警官、モアの家の一室でアレンはそう呟いた。
「僕、倒れたモアさんを警察署に運んだだけなのに‥」
容疑者扱いされるし、イカレ野郎とか言われて追い出されるし、アクマの話も信じてもらえ無い……アクマは仕方無いけど。
それは兎も角、教会が気になる。アクマがまだいるかもしれない。
「行ってみようかな」
アレンは猫を抱き上げてそっと玄関へ向かったが、廊下に出た所で猫が暴れだし、足を滑らせて階段から落ちてしまった。
猫を抱え、体中を打ち付けながら一階へと転がり落ちたアレンは、写真の入った額が次々と壁から落ちてくるのを見て青ざめた。
部屋を出たのがバレた上にこの惨状…挙げ句額はゴンッと音をたてアレンの頭に落ちてくる始末だ。
アレンは“ぷぎー”と鳴く猫を怨めしそうに見た。
「コラ、何やってんの!!部屋から出るなって言ったでしょ!!」
モアの怒鳴り声が家中に響き渡る。
「いや、その…」
「教会に行く気だったわね!」
「ちょ、ちょっとだけ!」
「ダメ!!」
アレンはモアから逃げようとしたが、襟を掴まれてしまい動きが取れない。そんな中、警部を思いだし二人は深く溜め息を吐いた。
軽くあしらわれたアレン、そして見張りという名の自宅謹慎を命じられたモア……二人とも決して良い状況では無い。
教会は目の前なのに…警部さん達大丈夫かな…
襟を捕まれたまま近くの部屋に連れて来られたアレンは、窓から教会の様子を伺った。唯の人間がアクマに適う筈が無い。
「アレン君…君、ホントに犯人が悪魔だと思ってるの?」
「はい?」
「悪魔というのは古代の人間が病や禍に対する恐怖心から創り出した空想のキャラクターよ。言葉や思想の中だけで現実には存在しないの…私は呪いや悪魔なんて信じて無いわ」
アレンは黙ってモアの話を聞いた。
確かに悪魔というものはそうだが、僕が言っているのは“AKUMA”だ。
「そういうのキライなの」
「えっと…僕の言っているアクマはそういうもの事じゃ無いです」
「え‥?」
「“AKUMA”とは兵器の名称です。人類を標的に造られた悪性兵器…‥それが“AKUMA”です。普段は人の形をしてるので人間と区別しにくいんですが」
話をしているといきなり扉が開いた。
「マルク義兄さん!?」
モアが義兄さんと呼んだ車椅子の男に近付く中、アレンは男を見据えたまま固まった。
「どうしたの、義兄さん?」
この男の人は…
「モアさん!離れて!!」
「オ、オナカガ減ッタ…殺サセテ」
「え?」
キンッという音と共にマルクの体が兵器へ姿を変えていく‥
「義兄さん…?」
“キィィィィィィ”という音が痛い程耳に響いた。
「何よ…これ」
瞬間アクマが大量の弾丸を放ち、アレンは猫とモアを庇いながら弾丸を受けとめた。
しかし、そんな踏ん張りのきかない状態で弾丸の威力にかなう筈も無く…アレンはモアと猫を抱き締めたまま弾丸の威力に負けて、弾丸を受け止めたまま吹き飛ばされてしまった。
見事に…家の壁どころか道の反対側の協会の壁までもを突き破って着地…いや、どちらかと言えば落ちた。
「っ…だ、大丈夫モアさん?」
「ここ、どこ…?」
「お向かいの教会…吹っ飛ばされまし…た…」
アレンが顔を上げるとモアともう一人…
短い黒髪の綺麗な少女が目を丸くしてアレン達の前に立っていた。
『あ‥えっと…‥大丈夫?』
アレンが少女に見とれていると、少女がそう声を掛けた。
「あ、はい‥大丈夫です!」
『そう、良かった』
「っ…」
少女がニッコリ微笑む。
僕の顔は赤くなっているのだろう‥モアさんが呆れた様に溜め息を吐いた。
「アレン君ってこういう子がタイプなのね」
『何か言った…?』
少女が首を傾げ、アレンは首をブンブンと横に振った。
「な、何でも無いですよ!!モアさん、変な事言わ無いで下さいよ!」
「図星のクセに」
「そ、それは‥」
ふと少女がアレンを見てクスクス笑い出した。
『君、表情がコロコロ変わって面白い』
「面白い‥?」
『そう、可愛い』
「可愛い?!」
少女がまた微笑み、アレンの顔も自然と赤味を増した。
それを見たモアはアレンの膝に乗ったまま笑いを堪えた。
「モアさん、笑わないで下さいよ…」
「ごめん、ごめん」
「レイ、時間だ!!」
知らぬ男の呼び声が微かに耳に届き、少女は教会の入口の方に顔を向けた。
『分かった!!』
レイとは少女の事らしく、少女は声を上げてそう返事をすると、アレンを見据えた。
『ここは君に任せるね』
「え…?」
意味が分からずアレンは首を傾げる。
この子に何を任されたのか全くもって分からない。
『アレンが君に助けを求めている』
「ぇ…」
『救って上げて』
そう残すと、レイという名の少女は黒いワンピースを翻し、その場を立ち去った。
貴女は何者だったんですか…?
アクマを破壊している間もその後も…
貴女が気になって仕方無い…
黒服を着た黒髪の美しい少女。
僕はまた…
貴女に会えるでしょうか…?
いや…
きっと…必ずどこかで──…