第1章 ノアの少女
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2
良いか、レイ…
俺達は何があっても──…
「レイ、着いた」
『ぇ…あー……』
ボーッとユエの後ろを歩いていたレイは、目の前のそれを目で追いながら、あーっと小さく声を出し続けた。
『何これ』
=灰色=
チィの元を離れて一年と二週間。
黒の教団本部の真下に来ていたレイは、絶壁の先を目で追った後、呆れた様に溜め息を吐いた。短くなった黒髪が風に揺れる。
『何なの、これは…』
屋敷を飛び出してチィの元から離れた私は、ユエと共に気の向くまま旅をした。別に本当に家出をしたつもりは無かった。
“ちょっと”出掛けたつもりだった。長くて一週間、長くて一週間と頭で繰り返しながら気の向くままに歩き、馬車に乗り、汽車にも乗った。何に呼ばれているかも知らず、ただ歩き続ける。
しかし三日程経ったある日、私は出会ってはいけないモノに出会ってしまった。イノセンスに。
そして選ばれてしまったのだ。
ノアなのに。
三日間で人間はロードやチィが言っていたモノと違う様な気がしていた私は途方に暮れた…だって三日で出会った人間は皆、良い人だったから。
しかし三日では人間というモノを理解出来無いのも事実だ。
ノアとしてこのイノセンスを破壊、あるいはチィに持って帰るか。それとも──…
答えは更に一週間後に出た。
私はクロス・マリアンという…一応は黒の教団の元帥である男と出会ったのだ。
クロスは私をノアだと知った上で、一年の歳月を掛けて私をエクソシストとして鍛えた…そして今日、一人前と認められた私は本部の真下に来ている。
クロスは一緒にはいない。
レイはユエに捕まって一気に絶壁の頂上に聳 え立つ教団本部の門の近くまで飛ぶと、一人だけ門の前に立ち、側を飛ぶコウモリの様な機械に向かって話しかけた。
『ねぇ、クロス・マリアンの紹介で来たレイ・アストレイだけど』
〔……クロス……あ゙──…後ろの門番の身体検査を受けてくれる?〕
『門番…あぁ、コイツね』
コウモリから発せられた声に従い、レイは大人しく顔の付いた門の身体検査を受けた。
あっさりと検査を通過したレイは、堂々と場内に足を踏み入れた。コウモリを引き連れ、頭の中に響き渡る声に従って場内を歩き続ける。
着いた先は、黒の教団本部の科学班室長室だった。
扉を開くと、室内には白い団服に、白い帽子を被った眼鏡の青年と白衣を着た人間が数人居た。傍らには自分に付いて来たコウモリと同じ形のコウモリが飛んでいる。
「何故迷わずに来れたんだい?」
帽子を被った青年がそう口にした。
当たり前だが何かを疑っている瞳だった。
『秘密。それよりさぁ、あんなのが門番で良いの?』
「あの門番はちゃんとアクマと人間を判別する優秀な門番だよ」
レイは可笑しそうにクスクス笑い出すと、真っ直ぐに帽子の青年を見据えた。
『ねぇ、コムイって人はクロスからの手紙を読んで無いの?』
白衣の人間達は、一斉に帽子の青年を呆れた様な目で見据えた。
一方帽子の青年は、自分の左隣に居た男を見据え、口を開いた。
「君、ちょっと僕の机探して」
…本当に読んで無かったんだ。しかも貴方が“コムイ”だったのね。
「ありました、室長!!」
「読んで!!」
色々な書類が山積みにされた机の上から一通の手紙を見つけ出した男が声を上げ、帽子の青年…コムイがコーヒーを飲みながら読む様に足した。
「“近々レイ・アストレイという綺麗なノアの女をそっちに送るから宜しくな”」
「ブッ…はぁ?!!」
コムイが飲んでたコーヒーを吹いた…汚い。驚くのも仕方無いが口に含んだものを出さないでほしい。
「“イノセンスを持っているし元帥並の力もある。何よりアクマを破壊しようとしているから、じじい共を騙くらかして入団させろ。因みに俺の女がレイを溺愛してるから手ぇ出すんじゃねぇぞ……byクロス”」
「ノア…」
『そーだよ』
レイは一方前に踏み出すと綺麗に一礼して見せた。
『私はノアの一族のレイ・アストレイ』
クスリと口角を上げて笑ったレイの肌が白から褐色に変わり、額には十字架が刻まれる。
短かった黒髪は身丈程に伸び、服も漆黒のドレスへと変わった。
レイは長い黒髪を揺らして楽しそうにクスクス笑う。
『千年伯爵の家族だよ』
さあ…どう出る?
私は敵の一族。
私は彼等の…
「……イノセンスを持っているのは本当なんだね?」
コーヒー塗れの口元をハンカチで拭ったコムイがそう問い掛け、レイは笑うのを止めた。
『クロスを信じないの?私はイノセンスを持ってるし、人間を攻撃する気も無い。私が攻撃し、破壊するのはアクマだけだよ』
「……分かった。君の入団を許可するよ」
「「「「「室長?!!」」」」」
『あ、ちょっと待って』
周りの面々を無視して、コムイは不思議そうに“何?”と声を洩らした。
瞬間、レイの影から銀髪碧眼の青年が浮き出る様に姿を現し、レイの隣に並んだ。
『この子は私の護衛のユエ!優秀なレベル4のアクマだよ』
「アクマ?!」
コムイや科学班の顔が引きつっていく。
全く、臆病だな…
『大丈夫、この子もアクマしか攻撃しないよ。私の言う事を聞いてくれる私の護衛でクロスのお墨付き!』
「……分かった。彼の入城を許可するよ」
レイはユエの手を取ると嬉しそうに微笑み、ユエはそれに応える様に優しく微笑んだ。
『一緒に来てね、ユエ』
「あぁ、護り続けてやるさ」
チィ、ごめんね…
ノアを攻撃するつもりは無いけど…アクマは破壊させてもらう。
ごめんね…
ごめんね…皆──……
良いか、レイ…
俺達は何があっても──…
「レイ、着いた」
『ぇ…あー……』
ボーッとユエの後ろを歩いていたレイは、目の前のそれを目で追いながら、あーっと小さく声を出し続けた。
『何これ』
=灰色=
チィの元を離れて一年と二週間。
黒の教団本部の真下に来ていたレイは、絶壁の先を目で追った後、呆れた様に溜め息を吐いた。短くなった黒髪が風に揺れる。
『何なの、これは…』
屋敷を飛び出してチィの元から離れた私は、ユエと共に気の向くまま旅をした。別に本当に家出をしたつもりは無かった。
“ちょっと”出掛けたつもりだった。長くて一週間、長くて一週間と頭で繰り返しながら気の向くままに歩き、馬車に乗り、汽車にも乗った。何に呼ばれているかも知らず、ただ歩き続ける。
しかし三日程経ったある日、私は出会ってはいけないモノに出会ってしまった。イノセンスに。
そして選ばれてしまったのだ。
ノアなのに。
三日間で人間はロードやチィが言っていたモノと違う様な気がしていた私は途方に暮れた…だって三日で出会った人間は皆、良い人だったから。
しかし三日では人間というモノを理解出来無いのも事実だ。
ノアとしてこのイノセンスを破壊、あるいはチィに持って帰るか。それとも──…
答えは更に一週間後に出た。
私はクロス・マリアンという…一応は黒の教団の元帥である男と出会ったのだ。
クロスは私をノアだと知った上で、一年の歳月を掛けて私をエクソシストとして鍛えた…そして今日、一人前と認められた私は本部の真下に来ている。
クロスは一緒にはいない。
レイはユエに捕まって一気に絶壁の頂上に
『ねぇ、クロス・マリアンの紹介で来たレイ・アストレイだけど』
〔……クロス……あ゙──…後ろの門番の身体検査を受けてくれる?〕
『門番…あぁ、コイツね』
コウモリから発せられた声に従い、レイは大人しく顔の付いた門の身体検査を受けた。
あっさりと検査を通過したレイは、堂々と場内に足を踏み入れた。コウモリを引き連れ、頭の中に響き渡る声に従って場内を歩き続ける。
着いた先は、黒の教団本部の科学班室長室だった。
扉を開くと、室内には白い団服に、白い帽子を被った眼鏡の青年と白衣を着た人間が数人居た。傍らには自分に付いて来たコウモリと同じ形のコウモリが飛んでいる。
「何故迷わずに来れたんだい?」
帽子を被った青年がそう口にした。
当たり前だが何かを疑っている瞳だった。
『秘密。それよりさぁ、あんなのが門番で良いの?』
「あの門番はちゃんとアクマと人間を判別する優秀な門番だよ」
レイは可笑しそうにクスクス笑い出すと、真っ直ぐに帽子の青年を見据えた。
『ねぇ、コムイって人はクロスからの手紙を読んで無いの?』
白衣の人間達は、一斉に帽子の青年を呆れた様な目で見据えた。
一方帽子の青年は、自分の左隣に居た男を見据え、口を開いた。
「君、ちょっと僕の机探して」
…本当に読んで無かったんだ。しかも貴方が“コムイ”だったのね。
「ありました、室長!!」
「読んで!!」
色々な書類が山積みにされた机の上から一通の手紙を見つけ出した男が声を上げ、帽子の青年…コムイがコーヒーを飲みながら読む様に足した。
「“近々レイ・アストレイという綺麗なノアの女をそっちに送るから宜しくな”」
「ブッ…はぁ?!!」
コムイが飲んでたコーヒーを吹いた…汚い。驚くのも仕方無いが口に含んだものを出さないでほしい。
「“イノセンスを持っているし元帥並の力もある。何よりアクマを破壊しようとしているから、じじい共を騙くらかして入団させろ。因みに俺の女がレイを溺愛してるから手ぇ出すんじゃねぇぞ……byクロス”」
「ノア…」
『そーだよ』
レイは一方前に踏み出すと綺麗に一礼して見せた。
『私はノアの一族のレイ・アストレイ』
クスリと口角を上げて笑ったレイの肌が白から褐色に変わり、額には十字架が刻まれる。
短かった黒髪は身丈程に伸び、服も漆黒のドレスへと変わった。
レイは長い黒髪を揺らして楽しそうにクスクス笑う。
『千年伯爵の家族だよ』
さあ…どう出る?
私は敵の一族。
私は彼等の…
「……イノセンスを持っているのは本当なんだね?」
コーヒー塗れの口元をハンカチで拭ったコムイがそう問い掛け、レイは笑うのを止めた。
『クロスを信じないの?私はイノセンスを持ってるし、人間を攻撃する気も無い。私が攻撃し、破壊するのはアクマだけだよ』
「……分かった。君の入団を許可するよ」
「「「「「室長?!!」」」」」
『あ、ちょっと待って』
周りの面々を無視して、コムイは不思議そうに“何?”と声を洩らした。
瞬間、レイの影から銀髪碧眼の青年が浮き出る様に姿を現し、レイの隣に並んだ。
『この子は私の護衛のユエ!優秀なレベル4のアクマだよ』
「アクマ?!」
コムイや科学班の顔が引きつっていく。
全く、臆病だな…
『大丈夫、この子もアクマしか攻撃しないよ。私の言う事を聞いてくれる私の護衛でクロスのお墨付き!』
「……分かった。彼の入城を許可するよ」
レイはユエの手を取ると嬉しそうに微笑み、ユエはそれに応える様に優しく微笑んだ。
『一緒に来てね、ユエ』
「あぁ、護り続けてやるさ」
チィ、ごめんね…
ノアを攻撃するつもりは無いけど…アクマは破壊させてもらう。
ごめんね…
ごめんね…皆──……