第1章 ノアの少女
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17
「レイはまだ見付からないんですカ?」
そう言う千年伯爵の言葉にティキ・ミック卿の表情が歪んだ。
「顔が分かんないとどうしようもねぇよ、千年公」
「エー、ダメダメですネ♡」
「いやいや、こっちから姫さん感知とか無理っしょ。向こうから感知出来るなら尚見付からなそうだし」
力を使っても同じだ。直ぐに見付かって逃げられる。
「モー♡ちょっとだけデスよ♡」
そう言うとティキの目の前を一枚の写真が勢い良く通過した。
「早ッ」
「ダッテ〜、レイ可愛いですもん、ティッキー手ぇ出しそうデ♡」
「信用無ぇ!」
「ティキぃ~レイ、可愛かったでしょぉ」
ティキは少し考えてから口を開いた。
「…まぁ、一瞬見た感じだとな」
ほんと一瞬で雰囲気レベルの問題だけど。
「ジャスデビくん達の方はどうでしたカ?」
千年伯爵の問い掛けに、大人しくケーキを食べていた双子が顔を上げる。
「収穫無しだな」
「ヒヒ…社長!ジャスデビ、クロス殺しに行かなきゃ」
「それはそうですケド、レイの捜索の方も頼みましたヨ?」
「はぃよ」
「ヒヒ、任せろ社長!!」
「そういや、甘党は?」
「ティエドールとかいう元帥を殺しに行ってもらってマス♡」
「ふ~ん…」
「そういえば元帥が二人分からないんデスよv」
「分からない?」
千年伯爵はケーキを一口で口に放り込むと話し出す。
「元帥の残りは全部で六人…四人は分かってるんですガ、後の二人が分からないんデス…一人は一番若い元帥、もう一人は元帥並みの力を持っていても、教団に正式に属して無いらしいデスよ♡」
「へ~」
「まぁ、それよりレイが先です♡レイがエクソシスト共に盗られたら大変な事になりますからネ♡」
「「「「は~ぃ」」」」
=吸血鬼=
移動中の汽車の中…
レイに膝枕をしてもらいながら移動を楽しんでいたラビは、ブックマンに連れ出され、風の煩い汽車の狭いデッキに立たされた。
ブックマンに引き摺られるラビを見ていたらなんか嫌な予感がした。
「俺っすか」
どうやらアレンがいないらしい。
ラビがデッキで汽車から蹴り落とされそうになっているのを、レイはラビに貰った棒付キャンディーを舐めながら見ていた。
「お願い、ラビ!アレン君きっとさっきの駅で乗りそびれちゃったんだわ、戻って捜してきて!!」
「ガキかアイツは…」
リナリーの言葉に、ラビは呆れた様にそう返した。
「行け。今ならお前の如意棒でひとっ飛びだろ」
「槌だよ、パンダ~♡」
あ、ちょっと怒ってる…ラビは分かりやすいなぁ。
「良いけどさぁ~なぁんか嫌な予感すんなぁ~」
嫌な予感?
レイは口に含んだキャンディーを噛み砕くと、棒を近くのゴミ箱へと投げ入れた。
『じゃあ、私が行く!』
私はある意味ラビの嫌な予感が大好きだ。
一部嫌いだけど…
「なら一緒に行くさ!」
「ボクも行く~」
ラビがレイに抱き付き、負けじとどこからか現れたシャールもレイに抱き付いた。
『ダ〜メ、ユエとシャールはリナリーとブックマンと一緒にいて』
「やだよ~」
『直ぐ帰って来るから』
レイはニッコリ微笑むとシャールの頭を優しく撫でた。
『ユエ、シャールの事頼むね』
「…分かった」
『イノセンス発動“黒キ舞姫”』
レイの団服から溶け出た様に伸びた影が、レイを包み込む。
その影が飛び散った後には、レイの背にコウモリの翼の様な形の影だけが残った。
大きな満月が綺麗な夜空をレイは槌に乗ったラビと共に飛ぶ。
『ねぇ、ラビ…アレンに会った感想は?』
「ん~……まだまだガキさ、アイツは」
『そっかぁ…』
「いつかヘマしそうさ」
レイは“でも~”と呟くとニッコリ微笑んだ。
『あの子だからこそ護れるモノもあるんじゃない?』
あの子だからこそ…あの子だからこそ救えるモノがある。
ラビは月を見るレイを不思議そうに見据えた。
『まぁ、アレン次第だけどね』
ねぇ、貴女もそう思うよね?
貴女ならきっと──…‥
『「嘘ぉ」』
村長の話を聞いていたら、いきなりラビとレイが現れた…何故か樽の中から。
アレンは驚いて椅子ごと倒れそうになった。
「なっ、何奴!?」
「ラビ、レイ!!どうしてここに?!」
というか…何で樽から?
『やっほぉ、アレン』
レイが可愛らしい無邪気な笑顔を向けてきて一瞬幸せを覚えたが…答えになって無い。
「お前を捜しに来たんさぁ…そっちこそ何やってんだ?」
「それが…」
「ハッ…村長、あの少年達の胸…!!」
「ハッ、あれは…!黒の修道士様がもう二人ぃいぃぃぃぃぃ!!!」
『へ?』
「やった!」
「押さえろ」
村人はそう言うと、一斉にレイとラビに襲い掛った。
「ラビ!レイ!!」
無数の村人に飛びかかられたレイとラビは、狭いタルに二人で入っていた為、直ぐに身動きがとれずにあっさりと捕まった。何て間抜けな…
『ラビとアレン、グルグル巻きだねぇ』
村人に捕まったラビは、アレンと同様に椅子にグルグル巻きに縛りつけられ、レイは楽しそうに笑いながらラビの膝に座っていた。
「俺の勘は当たるんさぁ…まぁ、レイがいるから良いさ!」
「レイ、ラビより僕の方が安全ですよ」
『あ、そうかも』
「酷いさぁ~」
拗ねた様に頬を膨らませたラビの頬をレイは笑いながら突っついていたが、良く考えて欲しい。
ラビの性別と歳を…そいつは全然可愛く無いですよ、レイ。
「てか何でレイは縛られて無いんさ?」
『へ……レディーだから?』
ラビの問い掛けにレイは首を傾げながらそう答えたが、それは可笑しいと思う。
僕達は椅子にグルグル巻きだというのに、レイは身体どころか手さえ縛られていない。アレンは村長を睨み付けた。
「で…何なんですか一体」
「じ、実はクロウリーが暴れ出す少し前に、村に一人の旅人が訪れたのです。旅人は神父と…」
『ストップ!』
レイはそう村長の話を遮るとラビの膝から飛び降りた。
「どこへ行かれるのですか、黒の修道士様!」
『ちょっと下見ぃ』
「俺も行くさぁ!」
「僕も行…」
『二人とも何が起こってるか良く分かって無いでしょ?村長さんの話を聞いて考えをまとめてから来なさい』
レイがイノセンスを発動させると背中に黒い影の鳥の様な翼が生えた。
レイのイノセンスはあんなだっただろうか?
『後ね、アレン…私もリナリーと同じ意見だよ。一緒に戦わせなさい。じゃなきゃ何の為に私はここにいて、何の為に貴方の仲間になっているのか分からない』
レイは少し飛び上がると、村長の方を見てニッコリと微笑んだ。
『村長さん、二人に話の続きをどうぞ』
そう言い残して飛び去ったレイをぼーっと見ていた村長は、暫くすると急に慌て出した。
「きゅきゅきゅきゅきゅ…吸血鬼なんですか!?あの黒の修道士様は!!」
「…は?何言ってるさ、村長」
「だだだだって翼が!!」
あぁもう…吸血鬼とエクソシストの力を混合しちゃって…
「あれは神様に頂いた力で…」
「レイは吸血鬼っていうより天使さ!」
ラビの言葉に“はぁ…”と声を漏らした村長は、少し困った様に頭を掻いた。
「話の続きなんですが…あ!そういえば女の子一人で行かせて大丈夫なんですか?!」
「心配無いさぁ~レイは俺らの上司さ、俺らの何倍も強いさぁ…それにあの翼を見ただろ?ああいう不思議な力がある者こそ神に選ばれた最強の修道士なんさ!!」
変なキラキラしたものを振りまきながら笑顔で何を言い出すのか…いくらあの翼を見たからといって、いきなりそんな話をしてもこの人達は…
「な…なるほど!!」
信じた。貴方達、そんなに単純な人達だったんですか…
「えっと…じゃあ普通の修道士の御二人様、旅人の事なんですが…旅人は神父と名乗り、クロウリー城への道を聞いてきました。私は死ぬかもしれないと…」
村長が話し出す。
神父と名乗った、僕らの良く知る…
一人のエクソシストの話を──…
「レイはまだ見付からないんですカ?」
そう言う千年伯爵の言葉にティキ・ミック卿の表情が歪んだ。
「顔が分かんないとどうしようもねぇよ、千年公」
「エー、ダメダメですネ♡」
「いやいや、こっちから姫さん感知とか無理っしょ。向こうから感知出来るなら尚見付からなそうだし」
力を使っても同じだ。直ぐに見付かって逃げられる。
「モー♡ちょっとだけデスよ♡」
そう言うとティキの目の前を一枚の写真が勢い良く通過した。
「早ッ」
「ダッテ〜、レイ可愛いですもん、ティッキー手ぇ出しそうデ♡」
「信用無ぇ!」
「ティキぃ~レイ、可愛かったでしょぉ」
ティキは少し考えてから口を開いた。
「…まぁ、一瞬見た感じだとな」
ほんと一瞬で雰囲気レベルの問題だけど。
「ジャスデビくん達の方はどうでしたカ?」
千年伯爵の問い掛けに、大人しくケーキを食べていた双子が顔を上げる。
「収穫無しだな」
「ヒヒ…社長!ジャスデビ、クロス殺しに行かなきゃ」
「それはそうですケド、レイの捜索の方も頼みましたヨ?」
「はぃよ」
「ヒヒ、任せろ社長!!」
「そういや、甘党は?」
「ティエドールとかいう元帥を殺しに行ってもらってマス♡」
「ふ~ん…」
「そういえば元帥が二人分からないんデスよv」
「分からない?」
千年伯爵はケーキを一口で口に放り込むと話し出す。
「元帥の残りは全部で六人…四人は分かってるんですガ、後の二人が分からないんデス…一人は一番若い元帥、もう一人は元帥並みの力を持っていても、教団に正式に属して無いらしいデスよ♡」
「へ~」
「まぁ、それよりレイが先です♡レイがエクソシスト共に盗られたら大変な事になりますからネ♡」
「「「「は~ぃ」」」」
=吸血鬼=
移動中の汽車の中…
レイに膝枕をしてもらいながら移動を楽しんでいたラビは、ブックマンに連れ出され、風の煩い汽車の狭いデッキに立たされた。
ブックマンに引き摺られるラビを見ていたらなんか嫌な予感がした。
「俺っすか」
どうやらアレンがいないらしい。
ラビがデッキで汽車から蹴り落とされそうになっているのを、レイはラビに貰った棒付キャンディーを舐めながら見ていた。
「お願い、ラビ!アレン君きっとさっきの駅で乗りそびれちゃったんだわ、戻って捜してきて!!」
「ガキかアイツは…」
リナリーの言葉に、ラビは呆れた様にそう返した。
「行け。今ならお前の如意棒でひとっ飛びだろ」
「槌だよ、パンダ~♡」
あ、ちょっと怒ってる…ラビは分かりやすいなぁ。
「良いけどさぁ~なぁんか嫌な予感すんなぁ~」
嫌な予感?
レイは口に含んだキャンディーを噛み砕くと、棒を近くのゴミ箱へと投げ入れた。
『じゃあ、私が行く!』
私はある意味ラビの嫌な予感が大好きだ。
一部嫌いだけど…
「なら一緒に行くさ!」
「ボクも行く~」
ラビがレイに抱き付き、負けじとどこからか現れたシャールもレイに抱き付いた。
『ダ〜メ、ユエとシャールはリナリーとブックマンと一緒にいて』
「やだよ~」
『直ぐ帰って来るから』
レイはニッコリ微笑むとシャールの頭を優しく撫でた。
『ユエ、シャールの事頼むね』
「…分かった」
『イノセンス発動“黒キ舞姫”』
レイの団服から溶け出た様に伸びた影が、レイを包み込む。
その影が飛び散った後には、レイの背にコウモリの翼の様な形の影だけが残った。
大きな満月が綺麗な夜空をレイは槌に乗ったラビと共に飛ぶ。
『ねぇ、ラビ…アレンに会った感想は?』
「ん~……まだまだガキさ、アイツは」
『そっかぁ…』
「いつかヘマしそうさ」
レイは“でも~”と呟くとニッコリ微笑んだ。
『あの子だからこそ護れるモノもあるんじゃない?』
あの子だからこそ…あの子だからこそ救えるモノがある。
ラビは月を見るレイを不思議そうに見据えた。
『まぁ、アレン次第だけどね』
ねぇ、貴女もそう思うよね?
貴女ならきっと──…‥
『「嘘ぉ」』
村長の話を聞いていたら、いきなりラビとレイが現れた…何故か樽の中から。
アレンは驚いて椅子ごと倒れそうになった。
「なっ、何奴!?」
「ラビ、レイ!!どうしてここに?!」
というか…何で樽から?
『やっほぉ、アレン』
レイが可愛らしい無邪気な笑顔を向けてきて一瞬幸せを覚えたが…答えになって無い。
「お前を捜しに来たんさぁ…そっちこそ何やってんだ?」
「それが…」
「ハッ…村長、あの少年達の胸…!!」
「ハッ、あれは…!黒の修道士様がもう二人ぃいぃぃぃぃぃ!!!」
『へ?』
「やった!」
「押さえろ」
村人はそう言うと、一斉にレイとラビに襲い掛った。
「ラビ!レイ!!」
無数の村人に飛びかかられたレイとラビは、狭いタルに二人で入っていた為、直ぐに身動きがとれずにあっさりと捕まった。何て間抜けな…
『ラビとアレン、グルグル巻きだねぇ』
村人に捕まったラビは、アレンと同様に椅子にグルグル巻きに縛りつけられ、レイは楽しそうに笑いながらラビの膝に座っていた。
「俺の勘は当たるんさぁ…まぁ、レイがいるから良いさ!」
「レイ、ラビより僕の方が安全ですよ」
『あ、そうかも』
「酷いさぁ~」
拗ねた様に頬を膨らませたラビの頬をレイは笑いながら突っついていたが、良く考えて欲しい。
ラビの性別と歳を…そいつは全然可愛く無いですよ、レイ。
「てか何でレイは縛られて無いんさ?」
『へ……レディーだから?』
ラビの問い掛けにレイは首を傾げながらそう答えたが、それは可笑しいと思う。
僕達は椅子にグルグル巻きだというのに、レイは身体どころか手さえ縛られていない。アレンは村長を睨み付けた。
「で…何なんですか一体」
「じ、実はクロウリーが暴れ出す少し前に、村に一人の旅人が訪れたのです。旅人は神父と…」
『ストップ!』
レイはそう村長の話を遮るとラビの膝から飛び降りた。
「どこへ行かれるのですか、黒の修道士様!」
『ちょっと下見ぃ』
「俺も行くさぁ!」
「僕も行…」
『二人とも何が起こってるか良く分かって無いでしょ?村長さんの話を聞いて考えをまとめてから来なさい』
レイがイノセンスを発動させると背中に黒い影の鳥の様な翼が生えた。
レイのイノセンスはあんなだっただろうか?
『後ね、アレン…私もリナリーと同じ意見だよ。一緒に戦わせなさい。じゃなきゃ何の為に私はここにいて、何の為に貴方の仲間になっているのか分からない』
レイは少し飛び上がると、村長の方を見てニッコリと微笑んだ。
『村長さん、二人に話の続きをどうぞ』
そう言い残して飛び去ったレイをぼーっと見ていた村長は、暫くすると急に慌て出した。
「きゅきゅきゅきゅきゅ…吸血鬼なんですか!?あの黒の修道士様は!!」
「…は?何言ってるさ、村長」
「だだだだって翼が!!」
あぁもう…吸血鬼とエクソシストの力を混合しちゃって…
「あれは神様に頂いた力で…」
「レイは吸血鬼っていうより天使さ!」
ラビの言葉に“はぁ…”と声を漏らした村長は、少し困った様に頭を掻いた。
「話の続きなんですが…あ!そういえば女の子一人で行かせて大丈夫なんですか?!」
「心配無いさぁ~レイは俺らの上司さ、俺らの何倍も強いさぁ…それにあの翼を見ただろ?ああいう不思議な力がある者こそ神に選ばれた最強の修道士なんさ!!」
変なキラキラしたものを振りまきながら笑顔で何を言い出すのか…いくらあの翼を見たからといって、いきなりそんな話をしてもこの人達は…
「な…なるほど!!」
信じた。貴方達、そんなに単純な人達だったんですか…
「えっと…じゃあ普通の修道士の御二人様、旅人の事なんですが…旅人は神父と名乗り、クロウリー城への道を聞いてきました。私は死ぬかもしれないと…」
村長が話し出す。
神父と名乗った、僕らの良く知る…
一人のエクソシストの話を──…