第1章 ノアの少女
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15
「ノアの一族って…一体何なんですか?」
扉越しに聞こえたその声に…
直ぐに扉を開く事が出来なかった。
開けるのが怖かった…
=裏歴史の記録者=
何をするでも無い。
ただ冷たい風にあたりながら、ノアの家族を思っていた。
大事な大事な。魂が繋がった家族達を…
「レイ~」
オレンジ混じりの赤髪が綺麗な右目に眼帯をした青年は、そうレイの名を口にしながら、バルコニーで空を眺めていたレイに後ろから抱き付いた。
レイの身体はすっぽりと青年の腕の中に収まってしまった。
「会いたかったさぁ~、今度レイは俺達と一緒に」
『何かあったの?ラビ』
レイは青年…ラビの言葉を遮ると、自分を抱き締めているラビの腕にそっと手を掛けた。
「何言ってるさぁ、何もな」
『…おつかれ、ラビ』
レイはラビの腕の中で態勢を変えて振り返り、ラビを抱き締め返した。
「……何で分かったさ」
『何となく?心ここに在らずな感じがして』
ラビは軽く息を吐くとレイを抱き締め直した。
「レイには敵わないさぁ……ダグが死んだ。アクマになったから俺が壊った…それだけさ」
ダグが死んだ…?
ダグは一般人では無く探索部隊…教団の人間なのだからチィの事を知ってるのに。アクマになってまで会いたい人が居たのか…
「俺はブックマンの継承者さ。ダグ何かどうでも良い…もう忘れ」
『ラビ』
レイに口を挟まれたラビは困った様に笑った。
「レイ、今日は良く口挟むさ…」
『ラビが下らない事言うからよ』
レイは手を伸ばし、ラビの頭を優しく撫でた。
『送って上げれたんだね…』
「あぁ…」
『良かったね』
他の奴に壊られるくらいなら…
自分の手で──…
「あぁ…良かったさ…」
『忘れちゃ駄目だよ。そしたらダグが可哀想だもん』
「分かったさ。なぁ…さっき下でシャールって奴に会ったさ…レイの家族のアクマの女の子。男なんだってな…何か脅されたさ」
ラビが困った様に笑うと、レイはクスクスと楽しそうに笑った。
『ちょっと恐かったでしょ?でも可愛い子だよ』
ラビはレイの頬を愛しそうに撫でるとレイの耳元に唇を寄せ、呟く。
「全てが終わったら…ユエとシャールはどうするんさ?」
『……私の手で逝かせる』
誰にも壊らせない。
二人は私に付いて来てくれたんだから、私が壊す。
私の手で…
私と共に───…
瞬間“カタッ”と室内の方から小さな物音がし、振り向くとミランダが驚いた表情で立っていた。
「ご、ごご、ごめんなさい!!わ、私ったら人様に迷惑かけてばっかり…」
ミランダの顔がどんどん青くなっていくのが良く分かった。人の顔ってあんなに青くなるんだね…と言うか何か誤解してる?
「あ、お邪魔虫さ~」
「ヒィイィィィ!ごめんなさいぃいぃぃ!!」
『ラビ、からかわないの!中入ってて』
「はいはい、分かったさ」
ラビはレイから離れるとバルコニーから宿の中に入って行き、レイはそれを見送るとミランダを手招きした。
「レイさん…その…」
『レイで良いよ、ミランダ・ロットー』
「ぁ…私もミランダで」
『…ミランダ、言っておくけどさっきのは誤解だよ?』
「へ…?」
誤解しても無理無いが、今のがユウの耳に届くのは厄介だ。あの人は色恋的なものを不快に感じるタイプだから…不安の種は取り除かなくてはならない。
『ラビは大事な家族だもん』
「ぁ…そうだったの?ごめんなさい、私てっきり」
『ミランダも家族だよ』
「……私も…?」
『教団の人は皆、家族!!』
レイはニッコリ微笑みミランダの髪に触れると、そのしっかりと結い上げられた髪を何の躊躇も無く解いた。
『ミランダはおろしてる方が可愛いよ!』
「ぁ…ありがとう……あの…レイ」
頬を赤く染めたミランダが怖々と私の名前を口にした。
「私…やっていけるかしら…私って何やっても駄目だし…」
小さく震えながら“イノセンス…使いこなせ無いかも”と言うミランダの手をレイは優しく握り締めた。
『大丈夫だよ、ミランダ…私もあの人達がいなきゃ今頃何も出来ずにいたし…それにミランダはやれば出来る人だもん、イノセンスは貴女に協力してくれるよ』
ミランダは“あの人達?”と首を傾げつつ照れた様に微笑んだ。
レイはニッコリ笑うと口笛を吹き、烏を呼び寄せて自分の腕に止まらせた。
『この子も適合者なの』
「烏が?」
『そうだよ~この子も新人でね、訓練の真っ最中なの』
「そ、そうなの…偉いのね、烏さん」
『“ブラックパール”って言うんだよ!パールって呼んでごらん』
「パール…」
ミランダが名前を呼ぶと、パールは甘える様に嘴をミランダの手に擦り寄せた。
「私、そろそろ行くわね…次に会った時はきっと貴女の力になってみせるわ」
ミランダはそう残すと、パールを連れて、アレン達が目を覚ます前に行ってしまった。ミランダはこれから訓練を受けて立派なエクソシストとなるのだ。
バルコニーに一人残されたレイは、アレンの様子を見にアレンの眠っている部屋に向かった。
しかし途中でリナリーの部屋にアレンが入るのを見て後に続こうと部屋の取っ手に手を掛けた瞬間だった。
「ノアの一族って何ですか?」
室内からそうアレンの声が聞こえて、中に入る事が出来無かった。
タイミングを失った私は、じっと手を掛けた取っ手を見詰めていた。
アレン…ノアの一族は…私は…
「コムイはそれを俺等に聞きに来たんさ」
リナリー以外、自分とコムイの二人しかいない筈の部屋に、先程“ラビ”と名のった青年がいつの間にか入って来ていて、部屋中に散乱した本の山の中から顔を出していた。
え、何この人…いつ入って来たんだろ?
いきなり現われたブックマン見習い事、ラビにアレンとラビは驚きを隠せ無かった。
「まぁ…正確にはブックマンのジジィにだけど」
そう言うとラビは、ニコッと笑って見せた。
「そうだよ…ボクはノアという存在を全然知らないんだ。レイはノアや伯爵の話をしないしね」
「ノアは歴史の“裏”にしか語られない無痕の一族の名だ。歴史の分岐点に度々出現してたんだが、どの文献や書物にも記されてねぇ…そんな不明がレイ以外にも現れた。
だから態々来たんしょ、コムイは…この世で唯一、裏歴史を記録しているブックマンとノアであるレイのと」
ラビの声はそこで途切れた。
ドゴッと鈍い音を立てて、どこからか現れたブックマンがラビを……ラビの顔を蹴り飛ばしたからだ。
「喋りめが!何度注意すれば分かるのだ。ブックマンの情報はブックマンしか口外してはならんつってんだろ!!」
「いーじゃんよ~俺ももうすぐアンタの跡、継ぐんだしさぁ」
蹴りで吹っ飛ばされたラビは、蹴られた頬を手で押さえながら不気味に笑っている。蹴られた事を多少怒っている様だ。
「お前の様なジュクジュクの未熟者にはまだ継がせんわバァーカ」
「この、パンダジジィ♡」
恨み掛かったラビの言葉を無視したブックマンは、部屋の扉を見据えると口を開いた。
「…入って来るが良い、レイ嬢」
ゆっくりと部屋の扉が開き、そこには黒いワンピース姿のレイが立っていた。
レイは部屋に入るとアレンと向き合い口を開く。
『アレン…質問~、私がノアなのが信じられない?』
「……はい…レイはアクマを壊すしエクソシストですから……だからリナリーからノアという存在も…レイがそうだという事も聞いてはいたけど…信じられない」
だって君は優しいから…
ノアは…ロードは優しさ何て無かったも同然だった。
レイは微笑み一歩前へ踏み出すと再び口を開いた。
『見ててね、アレン…』
そっと目を閉じたレイの白い肌が褐色に変わり、額に複数の十字架が刻まれる。
短い黒髪は長く伸び、黒いワンピースは黒いドレスに姿を変えた。
その姿は、姿を変えたロードそっくりだった。
『見ての通り…私はノアの一族の娘だよ。酷く無知なノアだけどね』
「……そう…ですか」
『じゃあ、もう一つ質問』
「はい…」
『ノアである私が信じられない?』
アレンは直ぐに首を横に振った。
「いいえ…僕は貴女を信じています」
もう疑わないって決めたんだ。
大切な仲間だから。大切な家族だから。
レイはいつもの姿に戻ると嬉しそうに微笑んだ。
『私もアレンを信じてるよ』
私は…
“家族”を信じてる──…
「ノアの一族って…一体何なんですか?」
扉越しに聞こえたその声に…
直ぐに扉を開く事が出来なかった。
開けるのが怖かった…
=裏歴史の記録者=
何をするでも無い。
ただ冷たい風にあたりながら、ノアの家族を思っていた。
大事な大事な。魂が繋がった家族達を…
「レイ~」
オレンジ混じりの赤髪が綺麗な右目に眼帯をした青年は、そうレイの名を口にしながら、バルコニーで空を眺めていたレイに後ろから抱き付いた。
レイの身体はすっぽりと青年の腕の中に収まってしまった。
「会いたかったさぁ~、今度レイは俺達と一緒に」
『何かあったの?ラビ』
レイは青年…ラビの言葉を遮ると、自分を抱き締めているラビの腕にそっと手を掛けた。
「何言ってるさぁ、何もな」
『…おつかれ、ラビ』
レイはラビの腕の中で態勢を変えて振り返り、ラビを抱き締め返した。
「……何で分かったさ」
『何となく?心ここに在らずな感じがして』
ラビは軽く息を吐くとレイを抱き締め直した。
「レイには敵わないさぁ……ダグが死んだ。アクマになったから俺が壊った…それだけさ」
ダグが死んだ…?
ダグは一般人では無く探索部隊…教団の人間なのだからチィの事を知ってるのに。アクマになってまで会いたい人が居たのか…
「俺はブックマンの継承者さ。ダグ何かどうでも良い…もう忘れ」
『ラビ』
レイに口を挟まれたラビは困った様に笑った。
「レイ、今日は良く口挟むさ…」
『ラビが下らない事言うからよ』
レイは手を伸ばし、ラビの頭を優しく撫でた。
『送って上げれたんだね…』
「あぁ…」
『良かったね』
他の奴に壊られるくらいなら…
自分の手で──…
「あぁ…良かったさ…」
『忘れちゃ駄目だよ。そしたらダグが可哀想だもん』
「分かったさ。なぁ…さっき下でシャールって奴に会ったさ…レイの家族のアクマの女の子。男なんだってな…何か脅されたさ」
ラビが困った様に笑うと、レイはクスクスと楽しそうに笑った。
『ちょっと恐かったでしょ?でも可愛い子だよ』
ラビはレイの頬を愛しそうに撫でるとレイの耳元に唇を寄せ、呟く。
「全てが終わったら…ユエとシャールはどうするんさ?」
『……私の手で逝かせる』
誰にも壊らせない。
二人は私に付いて来てくれたんだから、私が壊す。
私の手で…
私と共に───…
瞬間“カタッ”と室内の方から小さな物音がし、振り向くとミランダが驚いた表情で立っていた。
「ご、ごご、ごめんなさい!!わ、私ったら人様に迷惑かけてばっかり…」
ミランダの顔がどんどん青くなっていくのが良く分かった。人の顔ってあんなに青くなるんだね…と言うか何か誤解してる?
「あ、お邪魔虫さ~」
「ヒィイィィィ!ごめんなさいぃいぃぃ!!」
『ラビ、からかわないの!中入ってて』
「はいはい、分かったさ」
ラビはレイから離れるとバルコニーから宿の中に入って行き、レイはそれを見送るとミランダを手招きした。
「レイさん…その…」
『レイで良いよ、ミランダ・ロットー』
「ぁ…私もミランダで」
『…ミランダ、言っておくけどさっきのは誤解だよ?』
「へ…?」
誤解しても無理無いが、今のがユウの耳に届くのは厄介だ。あの人は色恋的なものを不快に感じるタイプだから…不安の種は取り除かなくてはならない。
『ラビは大事な家族だもん』
「ぁ…そうだったの?ごめんなさい、私てっきり」
『ミランダも家族だよ』
「……私も…?」
『教団の人は皆、家族!!』
レイはニッコリ微笑みミランダの髪に触れると、そのしっかりと結い上げられた髪を何の躊躇も無く解いた。
『ミランダはおろしてる方が可愛いよ!』
「ぁ…ありがとう……あの…レイ」
頬を赤く染めたミランダが怖々と私の名前を口にした。
「私…やっていけるかしら…私って何やっても駄目だし…」
小さく震えながら“イノセンス…使いこなせ無いかも”と言うミランダの手をレイは優しく握り締めた。
『大丈夫だよ、ミランダ…私もあの人達がいなきゃ今頃何も出来ずにいたし…それにミランダはやれば出来る人だもん、イノセンスは貴女に協力してくれるよ』
ミランダは“あの人達?”と首を傾げつつ照れた様に微笑んだ。
レイはニッコリ笑うと口笛を吹き、烏を呼び寄せて自分の腕に止まらせた。
『この子も適合者なの』
「烏が?」
『そうだよ~この子も新人でね、訓練の真っ最中なの』
「そ、そうなの…偉いのね、烏さん」
『“ブラックパール”って言うんだよ!パールって呼んでごらん』
「パール…」
ミランダが名前を呼ぶと、パールは甘える様に嘴をミランダの手に擦り寄せた。
「私、そろそろ行くわね…次に会った時はきっと貴女の力になってみせるわ」
ミランダはそう残すと、パールを連れて、アレン達が目を覚ます前に行ってしまった。ミランダはこれから訓練を受けて立派なエクソシストとなるのだ。
バルコニーに一人残されたレイは、アレンの様子を見にアレンの眠っている部屋に向かった。
しかし途中でリナリーの部屋にアレンが入るのを見て後に続こうと部屋の取っ手に手を掛けた瞬間だった。
「ノアの一族って何ですか?」
室内からそうアレンの声が聞こえて、中に入る事が出来無かった。
タイミングを失った私は、じっと手を掛けた取っ手を見詰めていた。
アレン…ノアの一族は…私は…
「コムイはそれを俺等に聞きに来たんさ」
リナリー以外、自分とコムイの二人しかいない筈の部屋に、先程“ラビ”と名のった青年がいつの間にか入って来ていて、部屋中に散乱した本の山の中から顔を出していた。
え、何この人…いつ入って来たんだろ?
いきなり現われたブックマン見習い事、ラビにアレンとラビは驚きを隠せ無かった。
「まぁ…正確にはブックマンのジジィにだけど」
そう言うとラビは、ニコッと笑って見せた。
「そうだよ…ボクはノアという存在を全然知らないんだ。レイはノアや伯爵の話をしないしね」
「ノアは歴史の“裏”にしか語られない無痕の一族の名だ。歴史の分岐点に度々出現してたんだが、どの文献や書物にも記されてねぇ…そんな不明がレイ以外にも現れた。
だから態々来たんしょ、コムイは…この世で唯一、裏歴史を記録しているブックマンとノアであるレイのと」
ラビの声はそこで途切れた。
ドゴッと鈍い音を立てて、どこからか現れたブックマンがラビを……ラビの顔を蹴り飛ばしたからだ。
「喋りめが!何度注意すれば分かるのだ。ブックマンの情報はブックマンしか口外してはならんつってんだろ!!」
「いーじゃんよ~俺ももうすぐアンタの跡、継ぐんだしさぁ」
蹴りで吹っ飛ばされたラビは、蹴られた頬を手で押さえながら不気味に笑っている。蹴られた事を多少怒っている様だ。
「お前の様なジュクジュクの未熟者にはまだ継がせんわバァーカ」
「この、パンダジジィ♡」
恨み掛かったラビの言葉を無視したブックマンは、部屋の扉を見据えると口を開いた。
「…入って来るが良い、レイ嬢」
ゆっくりと部屋の扉が開き、そこには黒いワンピース姿のレイが立っていた。
レイは部屋に入るとアレンと向き合い口を開く。
『アレン…質問~、私がノアなのが信じられない?』
「……はい…レイはアクマを壊すしエクソシストですから……だからリナリーからノアという存在も…レイがそうだという事も聞いてはいたけど…信じられない」
だって君は優しいから…
ノアは…ロードは優しさ何て無かったも同然だった。
レイは微笑み一歩前へ踏み出すと再び口を開いた。
『見ててね、アレン…』
そっと目を閉じたレイの白い肌が褐色に変わり、額に複数の十字架が刻まれる。
短い黒髪は長く伸び、黒いワンピースは黒いドレスに姿を変えた。
その姿は、姿を変えたロードそっくりだった。
『見ての通り…私はノアの一族の娘だよ。酷く無知なノアだけどね』
「……そう…ですか」
『じゃあ、もう一つ質問』
「はい…」
『ノアである私が信じられない?』
アレンは直ぐに首を横に振った。
「いいえ…僕は貴女を信じています」
もう疑わないって決めたんだ。
大切な仲間だから。大切な家族だから。
レイはいつもの姿に戻ると嬉しそうに微笑んだ。
『私もアレンを信じてるよ』
私は…
“家族”を信じてる──…