おまけ
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125
最初に動いたのは指だった。
ピクリと小さく薬指が動き、次に鼻が微かに、そして唇が…
花の匂いがする…そよそよと心地好い風に乗ってふわりと優しく香る。
何かに頰を擽られて重たい瞼を押し上げた。
木漏れ日の中、そよぐ風…揺れる木々の向こうに青い空が見えた。
綺麗。
そう言った筈なのに、それは声にはならなかった。
息だけが洩れ、開いた口をそっと閉じだ。
視界の端に広がる白い花…頰をくすぐっていたのはコレだろう。
ゴロンと横に転がり腕にグッと全ての力を込めて力の入らない重たい体を起こす。
森の中に広がる白い花畑…
何でこんなところに花が…そう思った瞬間、花畑の向こうに見覚えのある黒と金を見付けた。
猫みたいにじゃれ合ってる姿は、何度も何度も見た姿だ。
『、……、…』
手を伸ばして…立ち上がろうとして転んだ。
花の上に倒れ込んで、長い金髪が遅れてきて視界を染める。
『……、………、…』
涙がボロボロ溢れて、自分に呆れた。
泣けなかったのが不思議なくらい…私がこんなに泣き虫だったなんて…
『、…、…』
声が出ない。足が動かない。
走って行って、抱き締めて、何度も何度も名前を呼びたいのに…
『っ…』
もう一度、グッと腕に力を込めて体を起こす。
動け、動け動け動け動け動け動け動け動け。
動け!!!!
『デ、ト……、ロ…』
「「レイ!!!」」
瞬間、グッと掴まれた腕を引かれて無理矢理立たされた。
『デビ…ト、ジャスデ、ロ…』
くしゃっと顔を歪めた二人に抱き締められて、思わず泣きながら笑った。
『二人、共…泣き虫だなぁ』
二人に支えられながら痛い程抱き締められて、涙が次々と溢れた。
『ただいまぁ』
=どこまでも=
困っていた。
逸 れ迷子になり、確かに私は困っていた。
声を掛けてくれたのは嬉しかったし、一緒に探してくれると言われて本当にありがとうと思った。
けど今は一番、この状況に困っている。
近道だと路地裏に連れ込まれ、壁に押し付けられて、退路を塞がれた。
これはアレだ追い剥ぎだ。
「ダメだよ〜?ふらふら付いてきちゃ」
「そうだよ〜悪〜いお兄さんもいるんだからさ」
「でも俺ら良いお兄さんだから、連れ探すの手伝ってあげるよ。だからちょ〜っと遊ぼうか」
「ギャハハ!そうそう、ちょ〜っと付き合ってよ」
あ、違うこれ追い剥ぎじゃない。もっとヤバイやつだ。
あ──、散々皆に…特にラビに護られてたのを痛感する。
ラビと一緒に居る時にはこんな事一回も無かったし。
ユウは特にヤバかったなぁ……いや、今回もヤバイか。
「ねぇ、聞いてんの?」
『あの…』
「ヒヒ、ねぇ何やってんの?」
「そいつ、俺等の連れなんだけど」
『ぁ──…』
殴り倒されていく男二人を助けようにも、デビットとジャスデロに睨み付けられて威嚇される。
男二人を気がすむまで殴って蹴って…序でに“くれるのか?ありがとうな”と怖い笑顔で財布の中身までいただいた二人にズルズル引き摺られる様に手を引かる。
漸く二人の機嫌が良くなったのは、二人が好きな屋台の前まで来た時だった。
『えっと、二つくださいな』
「お、兄ちゃんと買い物かい?お嬢ちゃん可愛いからサービスするよ!」
『ぁ、いえ』
「「レイは僕等の恋人だよ」」
そう言って両脇から頰にキスが落ち、レイは思わず固まった。
『あの、お気になさらず』
「ぉ、おう」
二人はそれぞれ右手と左手に商品を持ち、空いた手でレイの手を取った。
「次はどこに行く、レイ」
「海を渡ってもいいよー」
『海!そんな遠く大丈夫かなぁ…もう方舟も使えないし』
「どこでも連れてくって言ったろ?」
「大丈夫、大丈夫!どこまでも行けるよ〜!」
二人がそう言ってくれるのが嬉しかった。
二人は私を一か所には留めず色々な所に連れて行こうとしてくれる。
『じゃあ、先に教団に寄っても良い?』
「「え──」」
『だって皆に会っておきたいし、ヘブラスカもね…あの子はいつまで持つか誰にも分からないし』
ヘブラスカは長い間イノセンスと共にあった。いつ命を落としても不思議ではない。
『あとシェリルの所に寄って、ロードに』
「「え゛ぇえー!!!」」
「シェリルなんかんとこ寄ったら煩ぇよ!」
「ヒヒ、抜け出すのに数日かかる」
『まぁ…ね』
シェリルの事だから仕事サボって家に入り浸るだろうしなぁ…
『でもね、出掛ける前に皆に会っとかないと』
もう直ぐに帰ってこれる力が無いのだから。
「「レイ」」
『んー?』
「レイ、力なんか無くても大丈夫だよ」
「不便だけどな。力なんか無くても守ってやる」
「ジャスデビ、力無くても強いしね!」
「世界中、どこでも連れてってやるよ」
「そうそう!取り敢えず…移動遊園地来てるっていうからそれ寄ってから教団行こ!」
「正直教団は行きたくねぇけどな」
「ぁ、それはデロも〜」
食べならが話してた二人は“でもまぁ”と言って一際楽しそうに笑った。
「「どこまでも付き合ってやるよ」」
『うん!』
あの広くも狭い部屋の中で。
私の全てだったあの部屋で…
三人で夢に見た分を全部全部…
今度こそ三人にで…
どこまでも…
どこまでも行こう──…
ending1
最初に動いたのは指だった。
ピクリと小さく薬指が動き、次に鼻が微かに、そして唇が…
花の匂いがする…そよそよと心地好い風に乗ってふわりと優しく香る。
何かに頰を擽られて重たい瞼を押し上げた。
木漏れ日の中、そよぐ風…揺れる木々の向こうに青い空が見えた。
綺麗。
そう言った筈なのに、それは声にはならなかった。
息だけが洩れ、開いた口をそっと閉じだ。
視界の端に広がる白い花…頰をくすぐっていたのはコレだろう。
ゴロンと横に転がり腕にグッと全ての力を込めて力の入らない重たい体を起こす。
森の中に広がる白い花畑…
何でこんなところに花が…そう思った瞬間、花畑の向こうに見覚えのある黒と金を見付けた。
猫みたいにじゃれ合ってる姿は、何度も何度も見た姿だ。
『、……、…』
手を伸ばして…立ち上がろうとして転んだ。
花の上に倒れ込んで、長い金髪が遅れてきて視界を染める。
『……、………、…』
涙がボロボロ溢れて、自分に呆れた。
泣けなかったのが不思議なくらい…私がこんなに泣き虫だったなんて…
『、…、…』
声が出ない。足が動かない。
走って行って、抱き締めて、何度も何度も名前を呼びたいのに…
『っ…』
もう一度、グッと腕に力を込めて体を起こす。
動け、動け動け動け動け動け動け動け動け。
動け!!!!
『デ、ト……、ロ…』
「「レイ!!!」」
瞬間、グッと掴まれた腕を引かれて無理矢理立たされた。
『デビ…ト、ジャスデ、ロ…』
くしゃっと顔を歪めた二人に抱き締められて、思わず泣きながら笑った。
『二人、共…泣き虫だなぁ』
二人に支えられながら痛い程抱き締められて、涙が次々と溢れた。
『ただいまぁ』
=どこまでも=
困っていた。
声を掛けてくれたのは嬉しかったし、一緒に探してくれると言われて本当にありがとうと思った。
けど今は一番、この状況に困っている。
近道だと路地裏に連れ込まれ、壁に押し付けられて、退路を塞がれた。
これはアレだ追い剥ぎだ。
「ダメだよ〜?ふらふら付いてきちゃ」
「そうだよ〜悪〜いお兄さんもいるんだからさ」
「でも俺ら良いお兄さんだから、連れ探すの手伝ってあげるよ。だからちょ〜っと遊ぼうか」
「ギャハハ!そうそう、ちょ〜っと付き合ってよ」
あ、違うこれ追い剥ぎじゃない。もっとヤバイやつだ。
あ──、散々皆に…特にラビに護られてたのを痛感する。
ラビと一緒に居る時にはこんな事一回も無かったし。
ユウは特にヤバかったなぁ……いや、今回もヤバイか。
「ねぇ、聞いてんの?」
『あの…』
「ヒヒ、ねぇ何やってんの?」
「そいつ、俺等の連れなんだけど」
『ぁ──…』
殴り倒されていく男二人を助けようにも、デビットとジャスデロに睨み付けられて威嚇される。
男二人を気がすむまで殴って蹴って…序でに“くれるのか?ありがとうな”と怖い笑顔で財布の中身までいただいた二人にズルズル引き摺られる様に手を引かる。
漸く二人の機嫌が良くなったのは、二人が好きな屋台の前まで来た時だった。
『えっと、二つくださいな』
「お、兄ちゃんと買い物かい?お嬢ちゃん可愛いからサービスするよ!」
『ぁ、いえ』
「「レイは僕等の恋人だよ」」
そう言って両脇から頰にキスが落ち、レイは思わず固まった。
『あの、お気になさらず』
「ぉ、おう」
二人はそれぞれ右手と左手に商品を持ち、空いた手でレイの手を取った。
「次はどこに行く、レイ」
「海を渡ってもいいよー」
『海!そんな遠く大丈夫かなぁ…もう方舟も使えないし』
「どこでも連れてくって言ったろ?」
「大丈夫、大丈夫!どこまでも行けるよ〜!」
二人がそう言ってくれるのが嬉しかった。
二人は私を一か所には留めず色々な所に連れて行こうとしてくれる。
『じゃあ、先に教団に寄っても良い?』
「「え──」」
『だって皆に会っておきたいし、ヘブラスカもね…あの子はいつまで持つか誰にも分からないし』
ヘブラスカは長い間イノセンスと共にあった。いつ命を落としても不思議ではない。
『あとシェリルの所に寄って、ロードに』
「「え゛ぇえー!!!」」
「シェリルなんかんとこ寄ったら煩ぇよ!」
「ヒヒ、抜け出すのに数日かかる」
『まぁ…ね』
シェリルの事だから仕事サボって家に入り浸るだろうしなぁ…
『でもね、出掛ける前に皆に会っとかないと』
もう直ぐに帰ってこれる力が無いのだから。
「「レイ」」
『んー?』
「レイ、力なんか無くても大丈夫だよ」
「不便だけどな。力なんか無くても守ってやる」
「ジャスデビ、力無くても強いしね!」
「世界中、どこでも連れてってやるよ」
「そうそう!取り敢えず…移動遊園地来てるっていうからそれ寄ってから教団行こ!」
「正直教団は行きたくねぇけどな」
「ぁ、それはデロも〜」
食べならが話してた二人は“でもまぁ”と言って一際楽しそうに笑った。
「「どこまでも付き合ってやるよ」」
『うん!』
あの広くも狭い部屋の中で。
私の全てだったあの部屋で…
三人で夢に見た分を全部全部…
今度こそ三人にで…
どこまでも…
どこまでも行こう──…
ending1