第1章 ノアの少女
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12
『分かったわ。今度会合を開きましょう』
「んん、いりいりココまで来させられる某の身にもなってくれろ?」
相変わらず頰を赤く染めている所を見ると、あまり呑む量は変わっていない様だ。
『あの子達の揉め事なんていつもの事じゃない』
「──が居ない時はほんろにも〜、手が付かられないんらよ!もっろ、一人ずつに構ってやっれくれ」
『…そうね、分かったわ』
確かに最近皆に会う回数が少し減っていた様な気がする。
『取り敢えず社の子達に準備させて頂戴。日は追って伝えるわ』
「あぃよ〜」
酒の匂いを残して帰ったのを見送ると、本棚の次の本へと手を伸ばした。
『あら…此の本…』
=月=
世界とは…時とはとても脆い。
私は何年も何十年も…数えきれ無い時を同じ仕事を繰り返して過ごしてきた。
だが今日は違った。
時の管理の為、作業場にいた私を…あの事も突然伸びた“闇”が何処かの世界に引き摺り込んだのだ。
『うわぁ…人が出てきた!!』
可愛らしい声が聞こえて、何時の間にか閉じていた目を開くと、長い黒髪に褐色の肌の額に十字架の痕のある可愛らしい少女が私を見上げていた。
十字架の痕……聖痕…
『あのね、チィに貰った本にお姉さんの手帳が挟まってたの!』
少女は嬉しそうに、手にした黒革に銀の文字の入った手帳を見せてくる。
見覚えがあった。
遠い昔に私が魔法で造った記憶と記録の一つだ…
私はアレに引き寄せられたのだろう。そう認識して直ぐにこの場所が気になった。だが一番気になったのは目の前の少女だった。
黒髪、褐色、聖痕…もしや…
『そうだな、それは私のモノだ。ところでチィとは…?』
『千年伯爵!皆は千年公って呼ぶよ』
千年伯爵…
『ノアか』
『うん、そうだよ!』
やはり…だが可笑しい。私の記憶では、ノアの一族の中にこんな子はいない筈だ。
『…そなた、名は何という?』
取り敢えず屈むと、少女と目線を合せる。
『私はレイだよ』
レイ…やはりこの様な少女は記憶に無い。
他者に手をつけられなければの話だが、私は記憶力が良い。まさか“メイン”を忘れる筈は無い。
そして私は此の世界に来た事が無い…因って此の世界に私の影響での歪みは無い筈だし、見た所歪みは無かった筈だ。
異端の少女か…?
────なぁ、──…お前は本来、あの世界には存在しない者だ。再認識しろ…お前は異端の存在なんだと……
『……』
私を導いた者の声…昔の記憶が甦る。
成り方は違くても、この少女は私と同じ存在かもしれない。
もし、この少女が異端者なら…
此の世界の物語をなるべく元に戻さなくてはならない。
或いは…
『…レイ、その手帳はそなたが持っていろ。今、此の時より私がそなたに力を貸してやる。もう少し成長してからで良い……世界の在り方を見て、自分が何者なのかを導き出せ』
幼いレイは首を傾げた。
いまいち私が言っている意味が分からない様だ。
『自分が何者なのか導き出す?』
『そうだ、レイ…導き出せ。そして一つ約束だ』
『約束?』
『私の存在は誰にも秘密だ』
『秘密…チィ達にも?』
『私が良いといった者以外には秘密だ……レイは良い子だから私との約束を守れるだろう?』
“うん”と誇らし気に頷いた少女は再度私を見ると目を丸く見開いた。私の身体が徐々に消えていっているからだろう。
『さぁ、レイ…そなたに加護をやろう』
秘密よ───…
「何しに行ってたんだ…?」
レイと別れて自分の在るべき所へ戻り、考え事をしていた私に、快晴の空の様な長髪に青い瞳の美青年が髪をかき上げながら近付いて来た。
青年は私の隣りに腰掛けると、私の長い銀髪に指を絡める。
『連れて行かれたのよ…私の手帳が異世界である筈の世界に流れ着いていた』
「…何だと?」
無表情の青年だが、長い付き合いの私には多少驚いているのが良く分かる。
『後ね…もしかしたら異端者かも知れない子にあったよ』
「ッ…そんな筈は無い。異端者を造れる のは俺、唯一人だ。俺はお前以外を造って 無い」
───選べ…好きに選ばせてやる…
そう、異端者を生み出す事が出来るのは…生み出す権利を持っているのはたった一人だけ。
そして世界の均衡を保つ為にその数も限られている。
『結界を見直さなくてはいけないわね』
私の知らない所で何かが起きている。
知っていなくてはいけないのに…
其れは造られたモノなのか、自然に起きてしまったのか…
私にはまだ解らない──…
『分かったわ。今度会合を開きましょう』
「んん、いりいりココまで来させられる某の身にもなってくれろ?」
相変わらず頰を赤く染めている所を見ると、あまり呑む量は変わっていない様だ。
『あの子達の揉め事なんていつもの事じゃない』
「──が居ない時はほんろにも〜、手が付かられないんらよ!もっろ、一人ずつに構ってやっれくれ」
『…そうね、分かったわ』
確かに最近皆に会う回数が少し減っていた様な気がする。
『取り敢えず社の子達に準備させて頂戴。日は追って伝えるわ』
「あぃよ〜」
酒の匂いを残して帰ったのを見送ると、本棚の次の本へと手を伸ばした。
『あら…此の本…』
=月=
世界とは…時とはとても脆い。
私は何年も何十年も…数えきれ無い時を同じ仕事を繰り返して過ごしてきた。
だが今日は違った。
時の管理の為、作業場にいた私を…あの事も突然伸びた“闇”が何処かの世界に引き摺り込んだのだ。
『うわぁ…人が出てきた!!』
可愛らしい声が聞こえて、何時の間にか閉じていた目を開くと、長い黒髪に褐色の肌の額に十字架の痕のある可愛らしい少女が私を見上げていた。
十字架の痕……聖痕…
『あのね、チィに貰った本にお姉さんの手帳が挟まってたの!』
少女は嬉しそうに、手にした黒革に銀の文字の入った手帳を見せてくる。
見覚えがあった。
遠い昔に私が魔法で造った記憶と記録の一つだ…
私はアレに引き寄せられたのだろう。そう認識して直ぐにこの場所が気になった。だが一番気になったのは目の前の少女だった。
黒髪、褐色、聖痕…もしや…
『そうだな、それは私のモノだ。ところでチィとは…?』
『千年伯爵!皆は千年公って呼ぶよ』
千年伯爵…
『ノアか』
『うん、そうだよ!』
やはり…だが可笑しい。私の記憶では、ノアの一族の中にこんな子はいない筈だ。
『…そなた、名は何という?』
取り敢えず屈むと、少女と目線を合せる。
『私はレイだよ』
レイ…やはりこの様な少女は記憶に無い。
他者に手をつけられなければの話だが、私は記憶力が良い。まさか“メイン”を忘れる筈は無い。
そして私は此の世界に来た事が無い…因って此の世界に私の影響での歪みは無い筈だし、見た所歪みは無かった筈だ。
異端の少女か…?
────なぁ、──…お前は本来、あの世界には存在しない者だ。再認識しろ…お前は異端の存在なんだと……
『……』
私を導いた者の声…昔の記憶が甦る。
成り方は違くても、この少女は私と同じ存在かもしれない。
もし、この少女が異端者なら…
此の世界の物語をなるべく元に戻さなくてはならない。
或いは…
『…レイ、その手帳はそなたが持っていろ。今、此の時より私がそなたに力を貸してやる。もう少し成長してからで良い……世界の在り方を見て、自分が何者なのかを導き出せ』
幼いレイは首を傾げた。
いまいち私が言っている意味が分からない様だ。
『自分が何者なのか導き出す?』
『そうだ、レイ…導き出せ。そして一つ約束だ』
『約束?』
『私の存在は誰にも秘密だ』
『秘密…チィ達にも?』
『私が良いといった者以外には秘密だ……レイは良い子だから私との約束を守れるだろう?』
“うん”と誇らし気に頷いた少女は再度私を見ると目を丸く見開いた。私の身体が徐々に消えていっているからだろう。
『さぁ、レイ…そなたに加護をやろう』
秘密よ───…
「何しに行ってたんだ…?」
レイと別れて自分の在るべき所へ戻り、考え事をしていた私に、快晴の空の様な長髪に青い瞳の美青年が髪をかき上げながら近付いて来た。
青年は私の隣りに腰掛けると、私の長い銀髪に指を絡める。
『連れて行かれたのよ…私の手帳が異世界である筈の世界に流れ着いていた』
「…何だと?」
無表情の青年だが、長い付き合いの私には多少驚いているのが良く分かる。
『後ね…もしかしたら異端者かも知れない子にあったよ』
「ッ…そんな筈は無い。異端者を
───選べ…好きに選ばせてやる…
そう、異端者を生み出す事が出来るのは…生み出す権利を持っているのはたった一人だけ。
そして世界の均衡を保つ為にその数も限られている。
『結界を見直さなくてはいけないわね』
私の知らない所で何かが起きている。
知っていなくてはいけないのに…
其れは造られたモノなのか、自然に起きてしまったのか…
私にはまだ解らない──…