第6章 EGOIST
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「炎羽!!!」
アレン・ウォーカーとブラックパールと神田ユウはどこに行ってしまったんだろうか。
ウォーカーとブラックパールはノアに連れ去られたのをこの目で見たが、神田ユウは?
残された第7使徒“恤 ”との交戦を続けながら神田ユウと探索部隊の居る拠点まで戻って来たが、そこには探索部隊の死体しか残っていなかった。
やはり神田ユウもノアに連れて行かれたと考えるのが妥当だろうか…
困った。
私ではノアに止めを刺す事が出来ない上に、エクソシストである二人と一羽は行方不明。
そもそも監視対象であるウォーカーを見失うとは…
「任務どころではないな」
炎羽の炎の中から歩いて出てくるノアには、やはり私の攻撃など効いていない様だ。
「切りが無い…」
そう舌打ちをした瞬間、背後に気配を感じて振り向くと、そこには見知らぬ少女が立っていた。
「貴女は…」
「こんにちは」
=本当の悪魔=
「これが使徒…?」
それが僕の口から思わずもれた素直な感想だった。
僕等を悪魔だという神様の使いがコレ?
意味が分からない。
いくらレイがノアだと言ってもこれは無いだろう…
人間の為に戦っているレイに目隠しをして鎖で拘束…自我まで奪うなんて。
どちらが悪魔か分かったもんじゃない。
見るからに禍々しいソレは、ジャスデビを投げ飛ばし、ぬいぐるみの姿の僕を抱えたワイズリーを蹴り飛ばした。
雨の様に噴水の水が降る瓦礫の山の中に倒れたワイズリーの腕の隙間から顔を出して空を見上げると、ソレは今度は千年公に襲い掛かっていた。
「意味…分かんないよ、レイ…」
何で…何でそんな扱いを受けてまでそっちに行るの?
何でそんなになってまで人間を護るの?
意味が分からないよ。
「ロード…大丈夫か?」
「…僕は大丈夫だよぉ、ワイズリーは?」
「ん──…随分酷く叩き付けられたからの…かなり痛いわ」
「頭も…痛いんでしょ?暫く気絶したふりして休んでなよ」
「そうもいかんだろ」
頭を抱えてゆっくりと体を起こしたワイズリーの顔がその時初めて見えた。
さっきまで痛みで歪んでいたワイズリーの顔は、悲しそうに歪んでいた。
「ワイズリー…」
「ん?」
「何でこんな事になっちゃったんだろ…」
悲しませたく無かった。
苦しませたくなかった。
傷付けたく無かった。
昔みたいに笑っていてほしかっただけなのに…また一緒に外に出たかっただけなのに…
全部全部…
僕の所為だ…
「ロードの所為じゃない」
ワイズリーはそう言ってぬいぐるみの僕の頭を撫でた。
「昔が懐かしかったんじゃろ?ロードがやってなかったらワシがレイを外に出してたさ」
“流れは違っても結果はこうなった筈だ”そう言うワイズリーは本当にそう思っているんだろうか…
そう一瞬思ったが、すぐに考えるのを止めた。
だってワイズリーに読まれちゃうから。
「僕等ここで死ぬのかな」
「さぁな…」
僕等はレイを攻撃できない。
レイは家族だし、替えのきかない方舟 だし…第一、力で敵わないのを“知っている”
唯一レイを殺せる千年公も、大事なレイに手を出せるわけないし…
イノセンスの勝ちだ。
遠くで手にした黒い何かで千年公を弾き飛ばしたレイが一瞬で僕等の前に立った。
カツン…とレイのヒールの音がやけに耳に響いた。
「やぁ、レイ」
ぬいぐるみの姿から元の姿へと戻ったロードは、ワイズリーを庇う様に両腕を広げると、困った様眉を垂れて笑った。
「やっぱり、僕。人間が嫌いで憎くて…許せないよ」
大きな破壊音と共に噴水が全壊し、地にめり込む様に陥没した。
その中心でロードとワイズリーがぐったりと倒れているのが見える。
傍に佇んでいたアルマ=カルマを拘束した道管が折られる様に潰され、レイはアルマの名前を口にしながら突っ込んで来た神田と、神田に続いたアレンとラビを手にしていた黒い鞭を振るって弾き飛ばした。
そしてもう一度鞭を振るうと、鞭は剣へと姿を変え、レイはそれをアルマ=カルマへ突き立てた。
神田のレイを止める声と、アルマ=カルマの地に響く様な叫び声。
レイの耳にはそれが届いていない様だった。
『戦エヌ挙句、敵二利用サレルダケノ使徒ナラバ滅ビヨ』
パキパキと音を立てて石化したアルマ=カルマの体は、レイが“解放シテヤル”と口にした瞬間、弾ける様に砂となって風に流された。
それぞれの対アクマ武器を手に突っ込んでくる神田、アレン、ラビを前に、レイは首を傾げた。
『オ前達ハ、エクソシスト…ダロウ?』
ニヤリと口角を上げて笑う唇からもれる声は、レイの声なのに酷く冷たい。
『アァ、咎落チヲ希望カ』
それぞれの武器がレイに届く瞬間、三人は下から伸びた金の槍を避ける為にとっさに武器を盾にした。
槍に押される様にして空中に押し上げられる。
「レイ」
『オ前モ目ガ覚メチャッタノ?駄目ダヨ、念ノ為ニ皆同時ニ殺スンダカラ、ソレマデ寝テテクレナキャ』
金の槍が縮み次第にサラサラと綺麗な金の髪へと姿を変えてゆく。
金髪の持ち主であるジャスデビは、右手をレイに差し出した。
「イノセンス、僕等のレイを返せ」
“じゃないと”と続けたジャスデビは、レイを…レイの姿をしたものを睨み付けた。
「テメェ以外のイノセンスをぶち壊して人間を皆殺しにする」
ジャスデビの言葉にピタリと動きを止めたレイは、次の瞬間弾かれた様に笑い出した。
『アハハハハ!!!オ好キニドウゾ、コチラハ私トハートガ居レバ十分ダ!!』
「なッ!!」
『私ハ強イ!ハートダッテソウ簡単二壊サレヤシナイ!!人間ナンテイクラデモ居ル、替エハ沢山アルンダヨ!』
飛び掛かるレイと応戦するアレン、神田、ラビとジャスデビ。
レイをこんなにしたのはクロスだと、クロスに襲い掛かる千年伯爵。
『最悪…』
アイリーンがそう呟いた瞬間、それは降って来た。
アイリーンが触れた地に魔法陣が広がり、半円を描いて辺りに結界が張られる。
「痛…っ」
「ちょっと豪快過ぎたかな?」
落ちて来たのは昔のレイである少女とハワード・リンクだった。
「な…何で監査官が?」
「コイツ、降って来たぞ」
「いや、あの…レイ・アストレイ元元帥に良く似た少女に白い扉に引き摺り込まれまして…で、落下を」
『呼び立てて御免なさいね、ハワード』
そう声を掛けられて初めてアイリーンを視界に入れたリンクは目を見開いた。
「なッ、どうしたんですか、アイリーン元帥!!」
『修行不足かしらねぇ』
「馬鹿言うな!そんなわけ無いだろう」
「一種の…咎落ちだと思う。大分落ち着いてきたが…それが逆に不安な所で…」
『ハワードを連れて来てくれて有難う、御嬢さん』
「別に。彼を連れて来る結果が私に有益だと思っただけだよ」
少女は地に横になって眠るユエを一撫ですると、結界を抜けて人形を差し出す様に抱き上げた。
「フランソワーズ、“私”と遊んであげなさい」
グンッと巨大化して少女を肩に乗せた人形が、アレンやジャスデビ達に牙を向けるレイに襲い掛かる。
「…レイ・アストレイ元元帥の記憶は戻りませんでしたか」
「いや、戻ったんだよ」
「戻った?戻って…あれですか?」
「アイツはイノセンスを解放して…体をイノセンスに乗っ取られたんだ」
「な…」
『ハワード』
アイリーンの力で外の音が響かない結界内は、弱ったアイリーン小さな声でも良く響いた。
『話の前に…私の御願いを聞いて頂戴』
「…はい、アイリーン元帥」
“有難う”そう言って笑ったアイリーンは、リンクの手にそっと自分の手を重ねた。
『私の力、貴方にあげるわ』
きっと適合するから──…
「炎羽!!!」
アレン・ウォーカーとブラックパールと神田ユウはどこに行ってしまったんだろうか。
ウォーカーとブラックパールはノアに連れ去られたのをこの目で見たが、神田ユウは?
残された第7使徒“
やはり神田ユウもノアに連れて行かれたと考えるのが妥当だろうか…
困った。
私ではノアに止めを刺す事が出来ない上に、エクソシストである二人と一羽は行方不明。
そもそも監視対象であるウォーカーを見失うとは…
「任務どころではないな」
炎羽の炎の中から歩いて出てくるノアには、やはり私の攻撃など効いていない様だ。
「切りが無い…」
そう舌打ちをした瞬間、背後に気配を感じて振り向くと、そこには見知らぬ少女が立っていた。
「貴女は…」
「こんにちは」
=本当の悪魔=
「これが使徒…?」
それが僕の口から思わずもれた素直な感想だった。
僕等を悪魔だという神様の使いがコレ?
意味が分からない。
いくらレイがノアだと言ってもこれは無いだろう…
人間の為に戦っているレイに目隠しをして鎖で拘束…自我まで奪うなんて。
どちらが悪魔か分かったもんじゃない。
見るからに禍々しいソレは、ジャスデビを投げ飛ばし、ぬいぐるみの姿の僕を抱えたワイズリーを蹴り飛ばした。
雨の様に噴水の水が降る瓦礫の山の中に倒れたワイズリーの腕の隙間から顔を出して空を見上げると、ソレは今度は千年公に襲い掛かっていた。
「意味…分かんないよ、レイ…」
何で…何でそんな扱いを受けてまでそっちに行るの?
何でそんなになってまで人間を護るの?
意味が分からないよ。
「ロード…大丈夫か?」
「…僕は大丈夫だよぉ、ワイズリーは?」
「ん──…随分酷く叩き付けられたからの…かなり痛いわ」
「頭も…痛いんでしょ?暫く気絶したふりして休んでなよ」
「そうもいかんだろ」
頭を抱えてゆっくりと体を起こしたワイズリーの顔がその時初めて見えた。
さっきまで痛みで歪んでいたワイズリーの顔は、悲しそうに歪んでいた。
「ワイズリー…」
「ん?」
「何でこんな事になっちゃったんだろ…」
悲しませたく無かった。
苦しませたくなかった。
傷付けたく無かった。
昔みたいに笑っていてほしかっただけなのに…また一緒に外に出たかっただけなのに…
全部全部…
僕の所為だ…
「ロードの所為じゃない」
ワイズリーはそう言ってぬいぐるみの僕の頭を撫でた。
「昔が懐かしかったんじゃろ?ロードがやってなかったらワシがレイを外に出してたさ」
“流れは違っても結果はこうなった筈だ”そう言うワイズリーは本当にそう思っているんだろうか…
そう一瞬思ったが、すぐに考えるのを止めた。
だってワイズリーに読まれちゃうから。
「僕等ここで死ぬのかな」
「さぁな…」
僕等はレイを攻撃できない。
レイは家族だし、替えのきかない
唯一レイを殺せる千年公も、大事なレイに手を出せるわけないし…
イノセンスの勝ちだ。
遠くで手にした黒い何かで千年公を弾き飛ばしたレイが一瞬で僕等の前に立った。
カツン…とレイのヒールの音がやけに耳に響いた。
「やぁ、レイ」
ぬいぐるみの姿から元の姿へと戻ったロードは、ワイズリーを庇う様に両腕を広げると、困った様眉を垂れて笑った。
「やっぱり、僕。人間が嫌いで憎くて…許せないよ」
大きな破壊音と共に噴水が全壊し、地にめり込む様に陥没した。
その中心でロードとワイズリーがぐったりと倒れているのが見える。
傍に佇んでいたアルマ=カルマを拘束した道管が折られる様に潰され、レイはアルマの名前を口にしながら突っ込んで来た神田と、神田に続いたアレンとラビを手にしていた黒い鞭を振るって弾き飛ばした。
そしてもう一度鞭を振るうと、鞭は剣へと姿を変え、レイはそれをアルマ=カルマへ突き立てた。
神田のレイを止める声と、アルマ=カルマの地に響く様な叫び声。
レイの耳にはそれが届いていない様だった。
『戦エヌ挙句、敵二利用サレルダケノ使徒ナラバ滅ビヨ』
パキパキと音を立てて石化したアルマ=カルマの体は、レイが“解放シテヤル”と口にした瞬間、弾ける様に砂となって風に流された。
それぞれの対アクマ武器を手に突っ込んでくる神田、アレン、ラビを前に、レイは首を傾げた。
『オ前達ハ、エクソシスト…ダロウ?』
ニヤリと口角を上げて笑う唇からもれる声は、レイの声なのに酷く冷たい。
『アァ、咎落チヲ希望カ』
それぞれの武器がレイに届く瞬間、三人は下から伸びた金の槍を避ける為にとっさに武器を盾にした。
槍に押される様にして空中に押し上げられる。
「レイ」
『オ前モ目ガ覚メチャッタノ?駄目ダヨ、念ノ為ニ皆同時ニ殺スンダカラ、ソレマデ寝テテクレナキャ』
金の槍が縮み次第にサラサラと綺麗な金の髪へと姿を変えてゆく。
金髪の持ち主であるジャスデビは、右手をレイに差し出した。
「イノセンス、僕等のレイを返せ」
“じゃないと”と続けたジャスデビは、レイを…レイの姿をしたものを睨み付けた。
「テメェ以外のイノセンスをぶち壊して人間を皆殺しにする」
ジャスデビの言葉にピタリと動きを止めたレイは、次の瞬間弾かれた様に笑い出した。
『アハハハハ!!!オ好キニドウゾ、コチラハ私トハートガ居レバ十分ダ!!』
「なッ!!」
『私ハ強イ!ハートダッテソウ簡単二壊サレヤシナイ!!人間ナンテイクラデモ居ル、替エハ沢山アルンダヨ!』
飛び掛かるレイと応戦するアレン、神田、ラビとジャスデビ。
レイをこんなにしたのはクロスだと、クロスに襲い掛かる千年伯爵。
『最悪…』
アイリーンがそう呟いた瞬間、それは降って来た。
アイリーンが触れた地に魔法陣が広がり、半円を描いて辺りに結界が張られる。
「痛…っ」
「ちょっと豪快過ぎたかな?」
落ちて来たのは昔のレイである少女とハワード・リンクだった。
「な…何で監査官が?」
「コイツ、降って来たぞ」
「いや、あの…レイ・アストレイ元元帥に良く似た少女に白い扉に引き摺り込まれまして…で、落下を」
『呼び立てて御免なさいね、ハワード』
そう声を掛けられて初めてアイリーンを視界に入れたリンクは目を見開いた。
「なッ、どうしたんですか、アイリーン元帥!!」
『修行不足かしらねぇ』
「馬鹿言うな!そんなわけ無いだろう」
「一種の…咎落ちだと思う。大分落ち着いてきたが…それが逆に不安な所で…」
『ハワードを連れて来てくれて有難う、御嬢さん』
「別に。彼を連れて来る結果が私に有益だと思っただけだよ」
少女は地に横になって眠るユエを一撫ですると、結界を抜けて人形を差し出す様に抱き上げた。
「フランソワーズ、“私”と遊んであげなさい」
グンッと巨大化して少女を肩に乗せた人形が、アレンやジャスデビ達に牙を向けるレイに襲い掛かる。
「…レイ・アストレイ元元帥の記憶は戻りませんでしたか」
「いや、戻ったんだよ」
「戻った?戻って…あれですか?」
「アイツはイノセンスを解放して…体をイノセンスに乗っ取られたんだ」
「な…」
『ハワード』
アイリーンの力で外の音が響かない結界内は、弱ったアイリーン小さな声でも良く響いた。
『話の前に…私の御願いを聞いて頂戴』
「…はい、アイリーン元帥」
“有難う”そう言って笑ったアイリーンは、リンクの手にそっと自分の手を重ねた。
『私の力、貴方にあげるわ』
きっと適合するから──…