第5章 二人の女王
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
104
『順調そうだね』
聞き覚えのある声だった。
耳に馴染んだ声だった…
声をした方を見ると、長い黒髪を緩く巻き、小さなティアラと黒いファーをあしらった白いドレスを身に纏った少女が居た。
見た目も雰囲気も大分変わっていたが、見間違える事何て絶対無い。
あれはレイだ。
間違える筈無い…
俺に目的を与えた女の事を…
「レイ~♡」
「やっと来たね、レイ♡聞いてよ、僕のロードをワイズリーが巻き込んじゃってさ~」
「アレン・ウォーカーもな」
『え~?何やってんの、ワイズリぃ~』
「むぅ、レイまでそんな事言うのか」
楽しそうに笑うレイの目は俺を映さない。
俺達を・・誰一人映さない。
それが腹立たしかった。
「レイ!!」
気付いたらそう叫びながらレイに突っ込んで行っていた。
信じない。信じたくない。
アイツが俺を覚えていないなんて…
アイツが俺を…アイツの瞳が俺を映さないなんて…
信じない。
叫びながら自分の元に突っ込んでくる俺を漸くレイはその目に映した。
そして…
ニッコリと微笑んだ。
=黒真珠=
気付いたら床に寝ていた。
レイの元に突っ込んで行って…レイがそんな俺を見てニッコリ笑って……
殴り飛ばされて、壁に叩き付けられて、気付いたら床に寝ていた。
歪む世界が逆さに見える中、ズキンズキンと酷く体中が痛んだ。
酷く酷く…
胸が痛んだ。
“大丈夫か”と叫ぶ様に声を掛け続けるバク支部長の声が殆ど音を捉えていない耳に小さく届いた。
あぁ…ここに連れて来られる前に既に消費してたとはいえ、これは少し…かなり不味い。
徐々に聞こえる様になってきたが…どうやらラビは快楽のノアと、レイはあの女と戦っている様だ。
『何…馬鹿にしてんのぉ?』
頭は相変わらずクラクラしているが、視界も段々冴えてきた。
変わっていくあの女の姿を見て不機嫌そうに顔を歪めたレイの表情も見えた。
『あら、何が?』
『その姿がよ!!』
フフフとウザったしく笑ったあの女の姿は、もう先程までのものとは違っていた。
“永久ノ魔女”を纏ったものでも無い。
「アイリーン、その格好は…」
「僕が作った団服?」
『リーバー…私にあぁ言った貴方は、私がレイと戦うのを見るのはキツイだろうと思ってね…』
またムカツク事を言っている。
本当に…癇に障る女だ。
『これは私の十三の時の姿…』
女が手を振ると、床に逆さに倒れていた俺の体がふわっと浮かび上がり、空中を移動して女の腕に納まった。
長い銀髪は肩よりも短く、体に張り付く様なズボンにロングブーツだった団服も、ショート丈のジャケットとワンピースになっている。
何よりその姿は…
幼くなっていた。
「フユ…カ、イだ…ハナせ」
『そんな事言わないの、パール』
クスリと笑って傷付いた身体をそっと撫でられると、傷口がジュッと音を立てて消え去った。
ダルさは残るが、痛みは随分消えた。
『姉妹喧嘩でも見てる気でいなさい』
リーバーに“大丈夫、何とかするから”と言う女を前に不機嫌そうにギリッと歯を噛み締めたレイが突っ込んで来るのと同時に、女は“ラビを”と言って俺を宙に放った。
直ぐに天井近くまで飛び上がる。
腹立たしい事だが…今は従うしかない。
この事態を何とか出来るとしたら、それはあの女なのだから…
《イノセンス発動“聖騎士ノ鋼鎧 ”》
そう叫ぶ様に鳴くと“バキン”という音と共に羽一本一本が厚みと硬度を増し、目元以外を鎧の様に包んだ。
「おや、随分重たそうになったねぇ」
「ソレがどうした」
デザイアスにそう返したブラックパールは“一雫ノ支配者 ”を使って少し前に飛ぶと、ティキに向かって一気に急降下した。
この姿が重いだなんて…そんなのは俺には知った事では無い。
“聖騎士ノ鋼鎧 ”は俺の羽を強化し、外敵から護ってくれるが、決して俺の負担にはならないのだから。
俺はいつも通り、自由に飛べる。
「ティキ!!!」
デザイアスの声にティキは直ぐに反応したが、それでも俺を避ける事は完璧には出来無かった。
対峙していたラビを突き飛ばす様にして突き放し、体勢を傾ける。
「ガッ…グ、ぅ…ッ」
狙い通り嘴を刺す事は出来無かったが、コイツには俺の体が酷く重く感じる筈だ。
重力も加わってかなりの負担がコイツの体には掛かっている。
体を伝って聞こえてきた骨を砕く音が耳に心地好い。
「パール!!」
そう声を掛けられてティキの元を離れたブラックパールは、ラビの所へ飛んで行くと、槌に止まった。
「助かったさ…今、俺ちょ~とヤバかったから」
「キをヌくなよ。あのオンナはツカえない…ジョリョクはナイとオモえ」
「…どういう意味さ」
「ジブンでカンガえろ。あのオンナ、イノセンスもツカわないキらしいからな、オレたちにカマってるヒマなどないだろ」
ふわりと飛び上がったブラックパールは、再びティキへと突っ込んで行き、ラビもそれに続いた。
あの女はきっと力を使い過ぎている。
だって…
あの女が万全であれば、ここに居る全員今頃…
揃って床に転がっているだろうから。
という事はだ。
あの女は力を使い過ぎている…その上、イノセンスを使おうとしていない。
それはレイを傷付けてしまう事を危惧しているのか…それとも力を消耗し過ぎて使えないのかは分からないが、あの女が今使えるのは体術のみという事になる。
それではレイをねじ伏せるのは…
レイを止める事は出来無い。
「何考えてんだ?」
瞬間、そういう声と共にティキの顔が目の前に現れ、ブラックパールはビクリと体を振るわせた。
しまった…!
「戦いながら考え事してたら死ぬぜ」
“じゃあな”と言ってニヤリと笑ったティキの手が体に触れた瞬間、俺の体は横殴りに飛ばされた。
「ガッ…ッ!!」
殴り飛ばされた体を空中で立て直して大きく翼を羽ばたかせる。
「大丈夫か、パール!」
空中で速度を殺して止まったパールに、ラビはそう声を上げた。
「あぁ…」
「済まねぇさ、間に合いそうに無かったから槌で殴らせてもらった!」
ダメージはあるが、殺されるよりは全然良い。
ティキから距離を取る様に跳んだラビは、パールの側まで来ると声を落とした。
「何考えてたかは知らねぇけど…後にするさ」
「あぁ…」
「相手はノアだ。一筋縄じゃいかねぇぞ」
「……あぁ」
ブラックパールは、ラビの肩にそっと足を掛けた。
瞬間、景色が一変してラビとブラックパールはティキの真上に居た。
ティキの槌が巨大化してその重さで一気に落ちる。
「お、話は終わったか?」
数歩後退ったティキが後方に跳ぼうとした瞬間、ティキはトンッと背中を押された感覚を覚えた。
槌がティキの足許に叩き付けられた瞬間、ラビはニヤリと口角を上げて笑った。
「“火判!!!”」
「ッ…!!」
足許から炎が燃え上がった瞬間、ティキの背後から飛び出したブラックパールがラビの腕に足を掛けた。そして飛ぶ。
次の瞬間目の前に広がったのは、巨大な火の蛇だった。
しかしその蛇は一瞬で消え去ってしまった。
「な…ナンだと」
「調子に乗るな、雑魚が」
そう声がした方を見ると、デザイアスがニヤリと笑っていた。
ふと隣を見ると、ラビが自分の首に両手を回していた。
クソ、デザイアスの能力に…
「ティキ~、大丈夫かい?」
「あぁ、さんきゅー」
あちこち燃えてしまったボロボロの服を“あ~ぁ”と摘んでいるティキをデザイアスが見ている隙に、ブラックパールは再び飛んだ。
デザイアスの目と鼻の先に飛ぶと、硬度を増した翼でデザイアスに襲い掛かる。
『“護れ!!!”』
瞬間、そう悲鳴にも似たアイリーンの声が響き、ブラックパールはピタリと動きを止めた。
とっさに目を向けてみれば、デザイアスの能力で壁に貼り付けになった科学班達の目の前に、捲り上がった床が壁の様に聳えていて、そこにはレイを囲う様に浮かぶ黒い穴から伸びた道管が何本も突き刺さる様にしてぶつかっていた。
そして床には…
「オンナ…」
「捕まえた」
そう低い声が響いたと同時に首を掴まれた。
視線を向けると、デザイアスが俺の首を掴んでニッコリと笑っていた。
イノセンスを使って飛ぼうとした瞬間、バキンッと音を立てて“聖騎士ノ鋼鎧”が砕けた。
「ナ…ッ!!?」
「ッ、パール!!」
ギリギリと首が絞まり、意識が遠退いてゆく…
「オマエの能力は厄介なんだよね…ワイズリーが取り込んでる今、オマエがどこに飛ぶかなんて分からないし、翼を硬くするイノセンスを発動してると僕の能力が効きにくい」
話しながら両方の翼を折られた。
首を絞められている所為で行き場を失った声が小さく…そして醜くノドからもれた。
「オマエは厄介だ、実にね」
そう言ってデザイアスはただニッコリと笑った。
《イ゛ノセ…ス、解…ほ…ぅ゙…》
「おや、カァカァ言っても僕には何の事だかさっぱりだよ」
俺はどうやっても嫌いだが…お前は大好きなんだろ?
大丈夫だ…レイ…
「さようなら、カラスくん」
《“一雫ノ支配者 ”》
ゴキッ…
きっとあの女が助けてくれる──…
『順調そうだね』
聞き覚えのある声だった。
耳に馴染んだ声だった…
声をした方を見ると、長い黒髪を緩く巻き、小さなティアラと黒いファーをあしらった白いドレスを身に纏った少女が居た。
見た目も雰囲気も大分変わっていたが、見間違える事何て絶対無い。
あれはレイだ。
間違える筈無い…
俺に目的を与えた女の事を…
「レイ~♡」
「やっと来たね、レイ♡聞いてよ、僕のロードをワイズリーが巻き込んじゃってさ~」
「アレン・ウォーカーもな」
『え~?何やってんの、ワイズリぃ~』
「むぅ、レイまでそんな事言うのか」
楽しそうに笑うレイの目は俺を映さない。
俺達を・・誰一人映さない。
それが腹立たしかった。
「レイ!!」
気付いたらそう叫びながらレイに突っ込んで行っていた。
信じない。信じたくない。
アイツが俺を覚えていないなんて…
アイツが俺を…アイツの瞳が俺を映さないなんて…
信じない。
叫びながら自分の元に突っ込んでくる俺を漸くレイはその目に映した。
そして…
ニッコリと微笑んだ。
=黒真珠=
気付いたら床に寝ていた。
レイの元に突っ込んで行って…レイがそんな俺を見てニッコリ笑って……
殴り飛ばされて、壁に叩き付けられて、気付いたら床に寝ていた。
歪む世界が逆さに見える中、ズキンズキンと酷く体中が痛んだ。
酷く酷く…
胸が痛んだ。
“大丈夫か”と叫ぶ様に声を掛け続けるバク支部長の声が殆ど音を捉えていない耳に小さく届いた。
あぁ…ここに連れて来られる前に既に消費してたとはいえ、これは少し…かなり不味い。
徐々に聞こえる様になってきたが…どうやらラビは快楽のノアと、レイはあの女と戦っている様だ。
『何…馬鹿にしてんのぉ?』
頭は相変わらずクラクラしているが、視界も段々冴えてきた。
変わっていくあの女の姿を見て不機嫌そうに顔を歪めたレイの表情も見えた。
『あら、何が?』
『その姿がよ!!』
フフフとウザったしく笑ったあの女の姿は、もう先程までのものとは違っていた。
“永久ノ魔女”を纏ったものでも無い。
「アイリーン、その格好は…」
「僕が作った団服?」
『リーバー…私にあぁ言った貴方は、私がレイと戦うのを見るのはキツイだろうと思ってね…』
またムカツク事を言っている。
本当に…癇に障る女だ。
『これは私の十三の時の姿…』
女が手を振ると、床に逆さに倒れていた俺の体がふわっと浮かび上がり、空中を移動して女の腕に納まった。
長い銀髪は肩よりも短く、体に張り付く様なズボンにロングブーツだった団服も、ショート丈のジャケットとワンピースになっている。
何よりその姿は…
幼くなっていた。
「フユ…カ、イだ…ハナせ」
『そんな事言わないの、パール』
クスリと笑って傷付いた身体をそっと撫でられると、傷口がジュッと音を立てて消え去った。
ダルさは残るが、痛みは随分消えた。
『姉妹喧嘩でも見てる気でいなさい』
リーバーに“大丈夫、何とかするから”と言う女を前に不機嫌そうにギリッと歯を噛み締めたレイが突っ込んで来るのと同時に、女は“ラビを”と言って俺を宙に放った。
直ぐに天井近くまで飛び上がる。
腹立たしい事だが…今は従うしかない。
この事態を何とか出来るとしたら、それはあの女なのだから…
《イノセンス発動“
そう叫ぶ様に鳴くと“バキン”という音と共に羽一本一本が厚みと硬度を増し、目元以外を鎧の様に包んだ。
「おや、随分重たそうになったねぇ」
「ソレがどうした」
デザイアスにそう返したブラックパールは“
この姿が重いだなんて…そんなのは俺には知った事では無い。
“
俺はいつも通り、自由に飛べる。
「ティキ!!!」
デザイアスの声にティキは直ぐに反応したが、それでも俺を避ける事は完璧には出来無かった。
対峙していたラビを突き飛ばす様にして突き放し、体勢を傾ける。
「ガッ…グ、ぅ…ッ」
狙い通り嘴を刺す事は出来無かったが、コイツには俺の体が酷く重く感じる筈だ。
重力も加わってかなりの負担がコイツの体には掛かっている。
体を伝って聞こえてきた骨を砕く音が耳に心地好い。
「パール!!」
そう声を掛けられてティキの元を離れたブラックパールは、ラビの所へ飛んで行くと、槌に止まった。
「助かったさ…今、俺ちょ~とヤバかったから」
「キをヌくなよ。あのオンナはツカえない…ジョリョクはナイとオモえ」
「…どういう意味さ」
「ジブンでカンガえろ。あのオンナ、イノセンスもツカわないキらしいからな、オレたちにカマってるヒマなどないだろ」
ふわりと飛び上がったブラックパールは、再びティキへと突っ込んで行き、ラビもそれに続いた。
あの女はきっと力を使い過ぎている。
だって…
あの女が万全であれば、ここに居る全員今頃…
揃って床に転がっているだろうから。
という事はだ。
あの女は力を使い過ぎている…その上、イノセンスを使おうとしていない。
それはレイを傷付けてしまう事を危惧しているのか…それとも力を消耗し過ぎて使えないのかは分からないが、あの女が今使えるのは体術のみという事になる。
それではレイをねじ伏せるのは…
レイを止める事は出来無い。
「何考えてんだ?」
瞬間、そういう声と共にティキの顔が目の前に現れ、ブラックパールはビクリと体を振るわせた。
しまった…!
「戦いながら考え事してたら死ぬぜ」
“じゃあな”と言ってニヤリと笑ったティキの手が体に触れた瞬間、俺の体は横殴りに飛ばされた。
「ガッ…ッ!!」
殴り飛ばされた体を空中で立て直して大きく翼を羽ばたかせる。
「大丈夫か、パール!」
空中で速度を殺して止まったパールに、ラビはそう声を上げた。
「あぁ…」
「済まねぇさ、間に合いそうに無かったから槌で殴らせてもらった!」
ダメージはあるが、殺されるよりは全然良い。
ティキから距離を取る様に跳んだラビは、パールの側まで来ると声を落とした。
「何考えてたかは知らねぇけど…後にするさ」
「あぁ…」
「相手はノアだ。一筋縄じゃいかねぇぞ」
「……あぁ」
ブラックパールは、ラビの肩にそっと足を掛けた。
瞬間、景色が一変してラビとブラックパールはティキの真上に居た。
ティキの槌が巨大化してその重さで一気に落ちる。
「お、話は終わったか?」
数歩後退ったティキが後方に跳ぼうとした瞬間、ティキはトンッと背中を押された感覚を覚えた。
槌がティキの足許に叩き付けられた瞬間、ラビはニヤリと口角を上げて笑った。
「“火判!!!”」
「ッ…!!」
足許から炎が燃え上がった瞬間、ティキの背後から飛び出したブラックパールがラビの腕に足を掛けた。そして飛ぶ。
次の瞬間目の前に広がったのは、巨大な火の蛇だった。
しかしその蛇は一瞬で消え去ってしまった。
「な…ナンだと」
「調子に乗るな、雑魚が」
そう声がした方を見ると、デザイアスがニヤリと笑っていた。
ふと隣を見ると、ラビが自分の首に両手を回していた。
クソ、デザイアスの能力に…
「ティキ~、大丈夫かい?」
「あぁ、さんきゅー」
あちこち燃えてしまったボロボロの服を“あ~ぁ”と摘んでいるティキをデザイアスが見ている隙に、ブラックパールは再び飛んだ。
デザイアスの目と鼻の先に飛ぶと、硬度を増した翼でデザイアスに襲い掛かる。
『“護れ!!!”』
瞬間、そう悲鳴にも似たアイリーンの声が響き、ブラックパールはピタリと動きを止めた。
とっさに目を向けてみれば、デザイアスの能力で壁に貼り付けになった科学班達の目の前に、捲り上がった床が壁の様に聳えていて、そこにはレイを囲う様に浮かぶ黒い穴から伸びた道管が何本も突き刺さる様にしてぶつかっていた。
そして床には…
「オンナ…」
「捕まえた」
そう低い声が響いたと同時に首を掴まれた。
視線を向けると、デザイアスが俺の首を掴んでニッコリと笑っていた。
イノセンスを使って飛ぼうとした瞬間、バキンッと音を立てて“聖騎士ノ鋼鎧”が砕けた。
「ナ…ッ!!?」
「ッ、パール!!」
ギリギリと首が絞まり、意識が遠退いてゆく…
「オマエの能力は厄介なんだよね…ワイズリーが取り込んでる今、オマエがどこに飛ぶかなんて分からないし、翼を硬くするイノセンスを発動してると僕の能力が効きにくい」
話しながら両方の翼を折られた。
首を絞められている所為で行き場を失った声が小さく…そして醜くノドからもれた。
「オマエは厄介だ、実にね」
そう言ってデザイアスはただニッコリと笑った。
《イ゛ノセ…ス、解…ほ…ぅ゙…》
「おや、カァカァ言っても僕には何の事だかさっぱりだよ」
俺はどうやっても嫌いだが…お前は大好きなんだろ?
大丈夫だ…レイ…
「さようなら、カラスくん」
《“
ゴキッ…
きっとあの女が助けてくれる──…