第5章 二人の女王
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『嫌になっちゃうよね』
『あらあら…じゃあ、戦うの止めたらどうかしら?怪我が増えるだけよ、お姫様』
“違うよ”と言って薄っすらと不気味に笑ったレイの周りにポッカリと空いた無数の穴から何本もの生き物の様にうねる道管が伸び、アイリーンを襲った。
アイリーンは、それを叩き落したり手刀で斬ったりしながら避ける。
しかしいくら壊し続けてもそれは次々と穴から出て来てアイリーンを襲った。
『私は戦いたいんだもん。ただねぇ…おばさん、無駄に強いから首を焼き難いなと思ってさ』
アイリーンが次々と襲い来る道管の相手をしているのを見ながら、レイは口元に手を当ててニッコリと笑った。
『動けなくなるまでボロボロにしてから首を焼いてあげるねぇ♪』
=ひとつだけ願うなら=
「うっわぁ~…レイの奴、何か怖い事言ってんな」
ティキはラビを弾き飛ばしてそう口にし、ラビは受身を取りながら槌を構え直した。
「誰の所為だと思ってるさ!」
「え~、俺がやった訳じゃねぇもん」
そう言って、ティキは困った様に頭を掻いた。
「方舟の中で少年に斬られて意識とんで…気が付いたらレイはあぁなってたんだ。俺だって忘れられてて困ったんだぜぇ?」
可愛いのは変わり無いけど記憶がなぁ…
ラゼルとキラの…俺達の記憶を俺だけしか持っていないというのが悲しい。
「でも戻すワケにはいかない」
でも、今のレイが純粋に俺を家族として受け入れてくれているのも嬉しい事実だった。
今、一番辛いのはレイが…記憶が無いとはいえ、自分の大好きな月と戦っている事だ。
千年公が何をしてレイの記憶をいじったのかは分からない。
その記憶が、もし何かの拍子に…例えば誰かを…特に月を殺した瞬間にレイに戻ったら…?
レイは耐えられるのか?
いや…
耐えられるワケ無い。
「悲しい事だけどな…アイツの為にも今のままが良い」
“分かってくれよな、眼帯くん”そう言ってニッコリ笑ったティキは、再びラビに襲い掛かった。
月を無かった事にする力は俺には無い。
どうやったってアイツの方が強いから…でもエクソシストや人間なら俺の手でも殺せる。
「レイの為だ眼帯君」
レイの目の前から消せる。
もう二度と目の前に現れない様に出来る。
“無かった事に”出来る。
「レイの記憶が戻る原因になる前に、サクッと死んでくれ」
ニッコリと笑ったティキを睨み付けたラビは、床を槌で叩く様にして殴ると“天判”と叫んだ。
一方アイリーンは、レイの周りを取り囲む黒い穴から伸びる何本もの道管とレイの攻撃を避け続けていた。
飛び回る様に逃げ続けるアイリーンを、レイは楽しそうに笑いながら追い掛けた。
『凄い凄い!!チィ、人間にもこれだけ動けるのがいるのね!』
「レイ♡あまり調子に乗ってはダメですヨ♡」
『分かってるよぉ~でもこれだけ攻撃しても殆ど当たらないなんて…しかもこのおばさん、攻撃自体は全然効いてないんだもん!』
道管を避けながら小さく笑ったアイリーンは、手元に刀身まで真っ黒な刀を呼び出すと、襲ってくる道管を全て斬り捨てた。
『御褒め有難う、御嬢さん』
ニッコリと笑うアイリーンを見て口角を上げて笑ったレイは、スッと滑る様に空中に浮かんだ。
『世界に終焉を与える準備運動には丁度良いよ、おばさん』
“ちょっとムカツクけどね”と言うレイの周りを取り囲む黒い穴から再び何本もの道管が伸びアイリーンを襲う。
『まあ、切りが無いわね』
『このゲートはね、方舟に繋がってるの!』
『成る程ね…』
いくら斬っても切り無く生え出て来るって事か……しかしまぁ…
『邪魔は邪魔』
そう言ってアイリーンは再び道管を全て斬り落とした。
『少し話すから引っ込めてなさい』
『はぁ?』
『言っておく事があるのよ。ねぇ、レイ』
アイリーンは手にしていた刀を落とした。
落ちた刀は床に当たった瞬間、アイリーンの影に吸い込まれる様にして沈んで消える。
『私はね、きっと貴女の毒なのよ』
そう言ってアイリーンはふわりと笑った。
『何があっても笑ってなさい』
アイリーンの言葉を聞いてハッと馬鹿にした様に鼻で笑ったレイは、何本もの道管と供にアイリーンに突っ込んで行った。
『当ったり前じゃない!!』
一気に間を詰めて来た目と鼻の先に居るレイにニッコリと微笑むと道管を弾き飛ばしてレイに向ける。
少し押されながらも道管を避けたレイに左頬を殴り飛ばされた。
飛ばされた先の道管を掴んで自らの身体を上方向へと軌道修正すると、道管達を足場に飛び上がる。
今は分かっていない…でもそれで良い。
記憶が戻った時にその意味を分かればそれで良いのだ。
『私はノア、エクソシストであるアンタは毒よ!』
『そうね。じゃあ私を殺す気で来なさい!』
“さて、行動を起こそう”そう思ったのに、レイはクスリと小さく笑うとニヤリと口角を上げて笑った。
『それにね…私はアンタだけじゃなくて、そこに突っ立ってる人間共も殺さないと!!』
瞬間、アイリーンを襲っていた道管が壁沿いに並べられた科学班達に向かった。
『っ!!』
自分の事に力等使っていられなかった。
地面に向かって落ちて行きながら、苦しそうに表情を歪めたアイリーンは、科学班達に向かって大きく手を振るった。
『“護れ!!!”』
絶対に…
傷付けやしない──…
『嫌になっちゃうよね』
『あらあら…じゃあ、戦うの止めたらどうかしら?怪我が増えるだけよ、お姫様』
“違うよ”と言って薄っすらと不気味に笑ったレイの周りにポッカリと空いた無数の穴から何本もの生き物の様にうねる道管が伸び、アイリーンを襲った。
アイリーンは、それを叩き落したり手刀で斬ったりしながら避ける。
しかしいくら壊し続けてもそれは次々と穴から出て来てアイリーンを襲った。
『私は戦いたいんだもん。ただねぇ…おばさん、無駄に強いから首を焼き難いなと思ってさ』
アイリーンが次々と襲い来る道管の相手をしているのを見ながら、レイは口元に手を当ててニッコリと笑った。
『動けなくなるまでボロボロにしてから首を焼いてあげるねぇ♪』
=ひとつだけ願うなら=
「うっわぁ~…レイの奴、何か怖い事言ってんな」
ティキはラビを弾き飛ばしてそう口にし、ラビは受身を取りながら槌を構え直した。
「誰の所為だと思ってるさ!」
「え~、俺がやった訳じゃねぇもん」
そう言って、ティキは困った様に頭を掻いた。
「方舟の中で少年に斬られて意識とんで…気が付いたらレイはあぁなってたんだ。俺だって忘れられてて困ったんだぜぇ?」
可愛いのは変わり無いけど記憶がなぁ…
ラゼルとキラの…俺達の記憶を俺だけしか持っていないというのが悲しい。
「でも戻すワケにはいかない」
でも、今のレイが純粋に俺を家族として受け入れてくれているのも嬉しい事実だった。
今、一番辛いのはレイが…記憶が無いとはいえ、自分の大好きな月と戦っている事だ。
千年公が何をしてレイの記憶をいじったのかは分からない。
その記憶が、もし何かの拍子に…例えば誰かを…特に月を殺した瞬間にレイに戻ったら…?
レイは耐えられるのか?
いや…
耐えられるワケ無い。
「悲しい事だけどな…アイツの為にも今のままが良い」
“分かってくれよな、眼帯くん”そう言ってニッコリ笑ったティキは、再びラビに襲い掛かった。
月を無かった事にする力は俺には無い。
どうやったってアイツの方が強いから…でもエクソシストや人間なら俺の手でも殺せる。
「レイの為だ眼帯君」
レイの目の前から消せる。
もう二度と目の前に現れない様に出来る。
“無かった事に”出来る。
「レイの記憶が戻る原因になる前に、サクッと死んでくれ」
ニッコリと笑ったティキを睨み付けたラビは、床を槌で叩く様にして殴ると“天判”と叫んだ。
一方アイリーンは、レイの周りを取り囲む黒い穴から伸びる何本もの道管とレイの攻撃を避け続けていた。
飛び回る様に逃げ続けるアイリーンを、レイは楽しそうに笑いながら追い掛けた。
『凄い凄い!!チィ、人間にもこれだけ動けるのがいるのね!』
「レイ♡あまり調子に乗ってはダメですヨ♡」
『分かってるよぉ~でもこれだけ攻撃しても殆ど当たらないなんて…しかもこのおばさん、攻撃自体は全然効いてないんだもん!』
道管を避けながら小さく笑ったアイリーンは、手元に刀身まで真っ黒な刀を呼び出すと、襲ってくる道管を全て斬り捨てた。
『御褒め有難う、御嬢さん』
ニッコリと笑うアイリーンを見て口角を上げて笑ったレイは、スッと滑る様に空中に浮かんだ。
『世界に終焉を与える準備運動には丁度良いよ、おばさん』
“ちょっとムカツクけどね”と言うレイの周りを取り囲む黒い穴から再び何本もの道管が伸びアイリーンを襲う。
『まあ、切りが無いわね』
『このゲートはね、方舟に繋がってるの!』
『成る程ね…』
いくら斬っても切り無く生え出て来るって事か……しかしまぁ…
『邪魔は邪魔』
そう言ってアイリーンは再び道管を全て斬り落とした。
『少し話すから引っ込めてなさい』
『はぁ?』
『言っておく事があるのよ。ねぇ、レイ』
アイリーンは手にしていた刀を落とした。
落ちた刀は床に当たった瞬間、アイリーンの影に吸い込まれる様にして沈んで消える。
『私はね、きっと貴女の毒なのよ』
そう言ってアイリーンはふわりと笑った。
『何があっても笑ってなさい』
アイリーンの言葉を聞いてハッと馬鹿にした様に鼻で笑ったレイは、何本もの道管と供にアイリーンに突っ込んで行った。
『当ったり前じゃない!!』
一気に間を詰めて来た目と鼻の先に居るレイにニッコリと微笑むと道管を弾き飛ばしてレイに向ける。
少し押されながらも道管を避けたレイに左頬を殴り飛ばされた。
飛ばされた先の道管を掴んで自らの身体を上方向へと軌道修正すると、道管達を足場に飛び上がる。
今は分かっていない…でもそれで良い。
記憶が戻った時にその意味を分かればそれで良いのだ。
『私はノア、エクソシストであるアンタは毒よ!』
『そうね。じゃあ私を殺す気で来なさい!』
“さて、行動を起こそう”そう思ったのに、レイはクスリと小さく笑うとニヤリと口角を上げて笑った。
『それにね…私はアンタだけじゃなくて、そこに突っ立ってる人間共も殺さないと!!』
瞬間、アイリーンを襲っていた道管が壁沿いに並べられた科学班達に向かった。
『っ!!』
自分の事に力等使っていられなかった。
地面に向かって落ちて行きながら、苦しそうに表情を歪めたアイリーンは、科学班達に向かって大きく手を振るった。
『“護れ!!!”』
絶対に…
傷付けやしない──…