第1章 ノアの少女
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9
『ふぁあぁぁぁ…』
安宿の一室で、そう欠伸をしてグッと大きく伸びをしたレイは、ベッドから起き上がるとテーブルの上の烏を見た。
テーブルから少し浮かび上がった烏は、一点を見つめて何かに耐えているようだった。
『大丈夫〜?』
「モンダイない」
『大分辛そうだけどねぇ…まぁ、大分保つようになったか』
レイは椅子に掛けてあったジャケットを手に取ると、ニッコリと笑った。
『そろそろ実戦いっとく?』
=初めての訓練=
『あー…やっぱりそうだよね〜』
空を見上げて歩きながらそう口にしたレイを肩に止まった烏はただ不思議そうに見た。
『ん〜、教えるって大変だ』
フフフと笑ったレイは、小さな街を抜けて森へと入った。
「……さっきからヒトリゴトがオオいが…」
『あぁ、烏くんは別に良いかなって』
『ふふ、今日は烏くん』
小さな笑い声と一緒に、その声は背後から聞こえた。
一人と一羽か振り返ると、長い銀髪に緋色の瞳の美しい女が立っていた。
『出て来ちゃったの?』
『出て来ちゃったのって…貴女が烏くんに隠す気が無かったんじゃないの』
「オマエ、ドコから…」
『烏くん、この人は私のママよ』
「ウソだな」
『バレた〜』
『あらあら』
威嚇をする烏に対し、女は楽しそうに笑うだけだ。
「どうヤッタのかはシラナイが、コイツとハナシテいたのか」
『そうだよ〜烏くんの訓練内容とかね〜…私、人材育てるの初めてだし!』
『烏くんは時を扱えるんだから先ずは維持・拡大・制御、次に応用、最後に戦闘訓練だって話をしてたんだ』
『でもさー、必殺技みたいな?そういうやつするのにさ、どういうのが向いてるか知りたいじゃない?だから、どういう風に応用するか決めるのに、実戦挟んでみようかと思って!』
『必殺技って…それでコレはずいぶん荒療治ね。まぁ、暫く撤退に使えそうなものは必要だけども』
時を操るにしても色々ある。烏くんが使えるものが時間を移動するだけとは限らないし、もしかしたら過去限定の移動かもしれないし、誰かを連れて飛べるかも知れない。
『よーし!じゃあ、ちょっと頑張ってみよ〜!大丈夫、危ない時はちゃんと助けるから』
“あんまりやりたくないんだけど”と小さく口にしたレイは、真っ直ぐに街のある方を向くとピタリと動きを止めた。
──この街のアクマおいで…森にエクソシストが居るよ…
「…ダマッテどうした」
『ん〜ノアの力でアクマと交信できるんだよ』
チィにバレない様に気を使うから凄く疲れるんだよね…
『帰るかな』
『えぇ〜もう?』
レイと烏に向かって歩き出した女は、一人と一羽を通り過ぎるとレイの影の上に立った。
『貴女の生徒だもの、私は極力口を出さないわ』
『まぁ、そうだけどぉ』
『一応見てるわ』
『大丈夫だよぉ、ノア相手じゃないんだし』
女は楽しそうに笑うと、レイの影に沈んで消えた。
そんな影に手を突っ込んだレイは、中からヴァイオリンを取り出すと、構えた。
『烏くん、肩から頭に』
「み〜ぃつけた〜」
耳元でそう声がした瞬間、レイは飛び退いた。
『意外と早いなぁ』
「ノア様がイナイけど…お前がノア様が言ってたやつだよね、エクソシストぉ」
ノア様が言ってたと言うか、私が言ってた事だけども…アクマ達が気付く訳がない。
『お客さんは五人かぁ、一人ずつ相手しようか』
「お前、何ブツブツ言って…」
『眠れ良い子、微睡みの中へ』
レイが奏でるヴァイオリンの音色と共に、四体のアクマがピタリと動きを止めた。
『沈め、深く。安息の地へ』
シュルシュルと巻き付く植物に吊り下げられる様に持ち上げられた四体を見て、五体目はレイを睨み付けた。
「エクソシストぉぉお、何をシタ!!!」
『少し気分が悪いけど仕方無いね。一体ずつ壊そうか』
レイは答えない。アクマを無視して楽しそうに笑うだけだ。
『さぁて、烏くん』
頭に乗っていた烏が飛び立ち、レイはニヤリと口角を上げて笑った。
『一回戦の始まりだ』
『ふぁあぁぁぁ…』
安宿の一室で、そう欠伸をしてグッと大きく伸びをしたレイは、ベッドから起き上がるとテーブルの上の烏を見た。
テーブルから少し浮かび上がった烏は、一点を見つめて何かに耐えているようだった。
『大丈夫〜?』
「モンダイない」
『大分辛そうだけどねぇ…まぁ、大分保つようになったか』
レイは椅子に掛けてあったジャケットを手に取ると、ニッコリと笑った。
『そろそろ実戦いっとく?』
=初めての訓練=
『あー…やっぱりそうだよね〜』
空を見上げて歩きながらそう口にしたレイを肩に止まった烏はただ不思議そうに見た。
『ん〜、教えるって大変だ』
フフフと笑ったレイは、小さな街を抜けて森へと入った。
「……さっきからヒトリゴトがオオいが…」
『あぁ、烏くんは別に良いかなって』
『ふふ、今日は烏くん』
小さな笑い声と一緒に、その声は背後から聞こえた。
一人と一羽か振り返ると、長い銀髪に緋色の瞳の美しい女が立っていた。
『出て来ちゃったの?』
『出て来ちゃったのって…貴女が烏くんに隠す気が無かったんじゃないの』
「オマエ、ドコから…」
『烏くん、この人は私のママよ』
「ウソだな」
『バレた〜』
『あらあら』
威嚇をする烏に対し、女は楽しそうに笑うだけだ。
「どうヤッタのかはシラナイが、コイツとハナシテいたのか」
『そうだよ〜烏くんの訓練内容とかね〜…私、人材育てるの初めてだし!』
『烏くんは時を扱えるんだから先ずは維持・拡大・制御、次に応用、最後に戦闘訓練だって話をしてたんだ』
『でもさー、必殺技みたいな?そういうやつするのにさ、どういうのが向いてるか知りたいじゃない?だから、どういう風に応用するか決めるのに、実戦挟んでみようかと思って!』
『必殺技って…それでコレはずいぶん荒療治ね。まぁ、暫く撤退に使えそうなものは必要だけども』
時を操るにしても色々ある。烏くんが使えるものが時間を移動するだけとは限らないし、もしかしたら過去限定の移動かもしれないし、誰かを連れて飛べるかも知れない。
『よーし!じゃあ、ちょっと頑張ってみよ〜!大丈夫、危ない時はちゃんと助けるから』
“あんまりやりたくないんだけど”と小さく口にしたレイは、真っ直ぐに街のある方を向くとピタリと動きを止めた。
──この街のアクマおいで…森にエクソシストが居るよ…
「…ダマッテどうした」
『ん〜ノアの力でアクマと交信できるんだよ』
チィにバレない様に気を使うから凄く疲れるんだよね…
『帰るかな』
『えぇ〜もう?』
レイと烏に向かって歩き出した女は、一人と一羽を通り過ぎるとレイの影の上に立った。
『貴女の生徒だもの、私は極力口を出さないわ』
『まぁ、そうだけどぉ』
『一応見てるわ』
『大丈夫だよぉ、ノア相手じゃないんだし』
女は楽しそうに笑うと、レイの影に沈んで消えた。
そんな影に手を突っ込んだレイは、中からヴァイオリンを取り出すと、構えた。
『烏くん、肩から頭に』
「み〜ぃつけた〜」
耳元でそう声がした瞬間、レイは飛び退いた。
『意外と早いなぁ』
「ノア様がイナイけど…お前がノア様が言ってたやつだよね、エクソシストぉ」
ノア様が言ってたと言うか、私が言ってた事だけども…アクマ達が気付く訳がない。
『お客さんは五人かぁ、一人ずつ相手しようか』
「お前、何ブツブツ言って…」
『眠れ良い子、微睡みの中へ』
レイが奏でるヴァイオリンの音色と共に、四体のアクマがピタリと動きを止めた。
『沈め、深く。安息の地へ』
シュルシュルと巻き付く植物に吊り下げられる様に持ち上げられた四体を見て、五体目はレイを睨み付けた。
「エクソシストぉぉお、何をシタ!!!」
『少し気分が悪いけど仕方無いね。一体ずつ壊そうか』
レイは答えない。アクマを無視して楽しそうに笑うだけだ。
『さぁて、烏くん』
頭に乗っていた烏が飛び立ち、レイはニヤリと口角を上げて笑った。
『一回戦の始まりだ』