第1章 ノアの少女
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1
——ン…——ン…——……
『今の…』
「何だ?」
『……何でも無い』
誰にも聞こえない…
「大丈夫~?」
『うん、何でも無いの』
低過ぎず…
高過ぎず…
「準備デキましたカ?」
『うん、バッチリ~』
「ウフフ♡今日も素敵デスヨ」
覚えが無いのにどこか引っ掛かるソレは…
「我輩の可愛イ可愛いオ姫様♡」
“有り得無い”ソレは…
気の所為…なのかな──…
=隠された少女=
広い、広い屋敷の一番奥の部屋。
壁から家具から何から何まで黒と少しの白で統一された部屋の一番奥に置かれた大きなベッドの上にその少女は寝転んでいた。
身丈より長い緩く巻かれた艶の良い黒髪に褐色の肌、額には十字の傷が複数ある。寝転ぶ少女の傍らには少女と同様、黒髪に褐色の肌…額に十字傷のある少年が腰掛けていた。
「んじゃ、俺もう行くわ」
ベッドに胡座 をかいて座っていた少年がそう言ってベッドを降り、少女は不機嫌そうに眉を寄せると少年の服の裾を掴んだ。
『デビットいないと話し相手がいないから暇』
「ロードあたりが来るだろ。それに俺はジャスデロ待たせてあるからなぁ」
“ジャスデロ”という名前を聞くと、少女は大人しく少年、デビットの服を離した。
『ん、分かった。じゃあね、デビット』
少女はニッコリ笑って見せるとバイバイと手を振った。
ジャスデロに迷惑を掛けたく無かった。
「…またな、レイ」
デビットは少女、レイの額にキスを落とすと部屋を後にした。
『暇…』
私はこの部屋から出た事が殆ど無い。
時々部屋から抜け出す事があったが、毎回屋敷内を見回っているうちに捕まってしまった。捕まる様にしていたのかもしれない。兎に角、私は…
“外”に行った事が無かった。
一定の人と、護衛やメイドのアクマにしか会わない日々。チィによって用意された服、靴、装飾品、化粧品、本…その他諸々。不便な事は無い。
けど暇で暇で仕方無いし、私は…
外の世界を見て見たかった。
この黒と白だけの部屋はもう見飽きた。窓から見える景色にも、部屋を出入りする人々も…全て飽きた。
何より私には…
「レイ、暇なのぉ?」
いつの間にか部屋に入ってきたロードがベッドに寝転んだレイにそう聞きながら擦り寄った。
『そう、暇なのぉ』
暇過ぎて死にそうよ…何だろう。原因は説明し難いが簡単に言えばアレだ、死ぬ。
「家出しちゃえばぁ?」
『家出…?』
ロードの急な誘いに、少し声が裏返った。
「そうだよぉ~ただ抜け出すんじゃなくて、ユエを連れて家出すんの。もし捕まってもユエが一緒なら千年公もそんなに怒ん無いんじゃん?」
『家出ねぇ…』
レイは少し考えた。
抜け出る時は決まって一人で扉から出て行っていた。馬鹿正直に。
結果大抵ユエに連れ戻される。
『…約束があるしなぁ』
「でも外が見たいんでしょ~?」
『見たいっていうか…最近、私』
呼ばれてて──…
「レイ、そこまで千年公に従うことないんじゃない?」
『……』
「ユエは千年公の言い付けでレイを連れ戻すけど…レイが本気で望めば、ユエはレイに従うよぉ?」
ユエはチィが認めた私の護衛アクマだ。
一緒にいて不利な事は無いし、何より私はユエを信頼している。無知な私をユエは助けてくれるだろう。
『確かめに行ってもいいのかな…』
約束を破る事になる。
でも私は我慢が…もう、出来無い──…
「見ておいでよ、広い世界を」
レイはふと部屋の奥の更に奥の部屋に向かって声を掛けた。
断る筈が無いと確信を持って。
『ユエ、一緒に行く?』
すると奥の部屋から一人の青年が現れた。
長い髪と碧眼が美しいレイ専属の護衛アクマ、ユエだ。
「レイが出て行くなら付いて行く」
『ん…なら行こうか』
こんな詰まら無い所に何十年も閉じ込めておくチィが悪いんだ。私は退屈で退屈で仕方無い。
それに私は知りたい。
何度も何度も、私を呼ぶモノの正体を…
レイは部屋の窓を開け放つと、ユエを手招きして側へ呼んだ。
『バイバイ、ロード』
「何、当分帰って来ない気ぃ?別に良いけど、僕には近い内に会いに来てよぉ」
ポケットから取り出した棒付キャンディーを口に含みながらロードはヒラヒラと手を振った。
『分かってるよ、ロード』
レイはユエの手を取ると、ユエと共に窓から外へと飛び出した。
『行ってきます』
その“声”を知る為に──…‥
——ン…——ン…——……
『今の…』
「何だ?」
『……何でも無い』
誰にも聞こえない…
「大丈夫~?」
『うん、何でも無いの』
低過ぎず…
高過ぎず…
「準備デキましたカ?」
『うん、バッチリ~』
「ウフフ♡今日も素敵デスヨ」
覚えが無いのにどこか引っ掛かるソレは…
「我輩の可愛イ可愛いオ姫様♡」
“有り得無い”ソレは…
気の所為…なのかな──…
=隠された少女=
広い、広い屋敷の一番奥の部屋。
壁から家具から何から何まで黒と少しの白で統一された部屋の一番奥に置かれた大きなベッドの上にその少女は寝転んでいた。
身丈より長い緩く巻かれた艶の良い黒髪に褐色の肌、額には十字の傷が複数ある。寝転ぶ少女の傍らには少女と同様、黒髪に褐色の肌…額に十字傷のある少年が腰掛けていた。
「んじゃ、俺もう行くわ」
ベッドに
『デビットいないと話し相手がいないから暇』
「ロードあたりが来るだろ。それに俺はジャスデロ待たせてあるからなぁ」
“ジャスデロ”という名前を聞くと、少女は大人しく少年、デビットの服を離した。
『ん、分かった。じゃあね、デビット』
少女はニッコリ笑って見せるとバイバイと手を振った。
ジャスデロに迷惑を掛けたく無かった。
「…またな、レイ」
デビットは少女、レイの額にキスを落とすと部屋を後にした。
『暇…』
私はこの部屋から出た事が殆ど無い。
時々部屋から抜け出す事があったが、毎回屋敷内を見回っているうちに捕まってしまった。捕まる様にしていたのかもしれない。兎に角、私は…
“外”に行った事が無かった。
一定の人と、護衛やメイドのアクマにしか会わない日々。チィによって用意された服、靴、装飾品、化粧品、本…その他諸々。不便な事は無い。
けど暇で暇で仕方無いし、私は…
外の世界を見て見たかった。
この黒と白だけの部屋はもう見飽きた。窓から見える景色にも、部屋を出入りする人々も…全て飽きた。
何より私には…
「レイ、暇なのぉ?」
いつの間にか部屋に入ってきたロードがベッドに寝転んだレイにそう聞きながら擦り寄った。
『そう、暇なのぉ』
暇過ぎて死にそうよ…何だろう。原因は説明し難いが簡単に言えばアレだ、死ぬ。
「家出しちゃえばぁ?」
『家出…?』
ロードの急な誘いに、少し声が裏返った。
「そうだよぉ~ただ抜け出すんじゃなくて、ユエを連れて家出すんの。もし捕まってもユエが一緒なら千年公もそんなに怒ん無いんじゃん?」
『家出ねぇ…』
レイは少し考えた。
抜け出る時は決まって一人で扉から出て行っていた。馬鹿正直に。
結果大抵ユエに連れ戻される。
『…約束があるしなぁ』
「でも外が見たいんでしょ~?」
『見たいっていうか…最近、私』
呼ばれてて──…
「レイ、そこまで千年公に従うことないんじゃない?」
『……』
「ユエは千年公の言い付けでレイを連れ戻すけど…レイが本気で望めば、ユエはレイに従うよぉ?」
ユエはチィが認めた私の護衛アクマだ。
一緒にいて不利な事は無いし、何より私はユエを信頼している。無知な私をユエは助けてくれるだろう。
『確かめに行ってもいいのかな…』
約束を破る事になる。
でも私は我慢が…もう、出来無い──…
「見ておいでよ、広い世界を」
レイはふと部屋の奥の更に奥の部屋に向かって声を掛けた。
断る筈が無いと確信を持って。
『ユエ、一緒に行く?』
すると奥の部屋から一人の青年が現れた。
長い髪と碧眼が美しいレイ専属の護衛アクマ、ユエだ。
「レイが出て行くなら付いて行く」
『ん…なら行こうか』
こんな詰まら無い所に何十年も閉じ込めておくチィが悪いんだ。私は退屈で退屈で仕方無い。
それに私は知りたい。
何度も何度も、私を呼ぶモノの正体を…
レイは部屋の窓を開け放つと、ユエを手招きして側へ呼んだ。
『バイバイ、ロード』
「何、当分帰って来ない気ぃ?別に良いけど、僕には近い内に会いに来てよぉ」
ポケットから取り出した棒付キャンディーを口に含みながらロードはヒラヒラと手を振った。
『分かってるよ、ロード』
レイはユエの手を取ると、ユエと共に窓から外へと飛び出した。
『行ってきます』
その“声”を知る為に──…‥
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