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8
『え…何つった?』
颯の玄関先で、ケイトはそう驚いた様にそう呟いた。
「何度も言わせないで下さい」
『はい‥』
一息吐いたアリスは、真っ直ぐにケイトを見据えると口を開いた。
「今日、泊まりに来て下さい」
=黄昏の惑星=
ティーカップを片手にソファーに腰掛けたクロアの隣に腰掛けたケイトは、目の前のソファーに座ったアリスを見据えた。
『で、何だって?』
「何度も言わせないで下さい」
“さっきも言いましたよね?”というアリスに、ケイトは“済みません”と口にした。
「泊まりに来て下さい」
『行ってきたら?』
ふと隣に座っていたクロアさんがそう口を開いた。
『でもバレたら‥』
『オレンジぷらねっとは二人部屋だから二人掛かりで庇ってくれから多分バレる事は無いわ』
「そうですよ、ケイト先輩。それに皆やってます」
『でもクロアさんが‥』
『私は大丈夫だ』
クロアさん、少し楽しんでる‥
クロアの膝に飛び乗ったハヤトが小さく“ニゥ”と鳴き、クロアは微かに口角を上げた。
『ハヤトが居るしな』
『……分かりましたよ~‥』
困った様に眉を寄せたケイトは、手早くパジャマと歯ブラシセットを鞄に詰め込むとシャワーを浴び、クロアとハヤトを颯 に残し、アリスと共にオレンジぷらねっとに向かった。
アリスの漕ぐ舟に揺られ‥更に歩いて辿り着いたのは、オレンジぷらねっと…の裏口だった。
『‥何で?』
「外部の人を泊めるのは禁止されてますから」
そう言いながらアリスは長い棒で器用に窓から裏口の扉の内側の鍵を開けた。
『それって遊びに来た事には出来無いの?』
「出て来て無いのがバレたらでっかいおしまいです」
『厳しいんだな‥』
人目に付かない様に廊下を進み着いた先は一つの部屋の前だった。
“ただいま帰りました”と言いながら部屋に入ったアリスに着いて部屋に入ると、見知った顔が窓際のソファーに腰掛けていた。
『アテナさん‥!』
アリスの同室の人ってアテナさんだったんだ‥
「こんにちは、ケイトちゃん」
『こ、こんにちは‥』
アテナさんに会釈をしていたら、目の前に白い物体を差し出された。
「ケイト先輩、それだと目立つんでこれに着替えて下さい」
差し出されたものを受け取って広げると、それはオレンジぷらねっとの制服だった。
『…アリスさ‥』
「はい?」
『僕を泊まりに誘うつもりだったんなら、最初から颯 にこれ持ってくれば良かったんじゃん?』
そうすれば裏口を通らず正門を通れるし、人目を気にする事も無かった。
黙り込んだアリスはくるりと身体の向きを変えると、部屋の扉に向かって歩き出した。
「夕食食べに行きましょう」
どうやら気付かなかったらしい。
手早くオレンジぷらねっとの制服に着替えて三人で食堂に向かった。
流石大手だ。広いし天井高いしメニュー豊富だし‥
いや、クロアさんと二人で居れるしクロアさんの手料理が食べられるから個人的には颯 の方が良いんだが。
『アリスってオムライス好きだよね』
「はい、でっかい好物です」
『ここのオムライス美味しい?』
「二番目くらいには」
二番なのか‥
どうやらアリスの一番お気に入りのオムライスはここのでは無いらしい。
和食プレートを手にアリスの向かいの席に着いたケイトは、ふとアリスの隣に腰掛けたアテナのハンバーグプレートに目をやった。
あれも美味しそうだな‥
『そういえば何でアリスは僕を誘ったんだ?』
「私が勧めたの」
『アテナさんが‥?』
ケイトの疑問にアテナが答え様とすると、アリスが“アテナ先輩‥”とアテナを肘で軽く小突き、そんなアリスを見たアテナは微笑むと口を閉じた。
「ケイト先輩は和食が好きなんですか?」
『え?』
そう言うアリスの指は僕の夕食、和食プレートを指差していた。
アリスの隣でアテナが首を傾げる。
「さっぱりした物が好き?」
『そんな事無いですよ。フレンチとかも好きです』
「フレンチですか」
『僕の家はフランス出身だから家庭料理にフレンチが多かったんだよ』
曾祖母の影響で日本料理も多いがフレンチの方が多い。
「でっかい初耳です」
『多分クロアさんしか知らないよ』
別に言う必要が無いと思ったから誰にも言わなかった気がする。
クロアさんにしか言った覚えが無い‥
「いっぱいですね‥」
『いっぱい?』
「ケイト先輩はクロアさんででっかいいっぱいです」
アリスの言葉にケイトは“だって‥”と呟くと笑った。
『僕、クロアさん居なかったら死んじゃうもん』
「死んじゃう‥?」
『うん、死んじゃう』
はっきりと言い切れる。
僕はクロアさんが居ないと駄目なんだ…‥だって‥
『クロアさんが居ないと寂しすぎる。どうしたら良いか分からない‥何の為に僕の世界が回ってるのか…』
全然分からない‥
「じゃあ私達、一番乗りね」
『え?』
「クロアちゃん除いたら私達が一番乗り‥」
そう言うアテナの言葉に、アリスはアテナに向けていた顔を真っ直ぐにケイトに向けた。
「でっかい一番乗りです!」
二人があまりにも真剣な表情で僕を見るから、思わず笑ってしまった。
『そうですね‥二人がでっかい一番乗りだ』
クロアさん…僕、クロアさんの他に好きな人つくっても良いかな…?
勿論好きの大きさが違うけど‥
この二人は何だか‥
何だかとっても‥
居心地が好いんです——…‥
『アテナさん…』
アリスが風呂に行った為に二人っきりになった室内で、ケイトはそう唐突に口を開いた。
「何、ケイトちゃん?」
『何でアリスに僕を泊める様に勧めたんですか?』
別に僕を泊める事に得等あまり無い筈だ。
いや、寧ろ無い。
『僕は‥』
「ケイトちゃんの事まだ良く知らないって」
僕の事を知らない?
「アリスちゃん‥ケイトちゃんの事まだ良く知らないって」
そう言われてみれば、ただ一緒に同じ時を過ごしているだけで、自分に関しては何も教えてない。
「だから“泊まりに来てもらったら?”って勧めてみたの」
“そうですか‥”と呟いたケイトは、手にしていた本を閉じるとアリスのベッドに横になった。
暫くするとアリスが風呂から戻ってきて、僕の隣へと潜り込んだ。
『いい湯だった?』
「別にいつも通りです」
『そっか‥』
そう返したケイトは、唐突にアリスの額にキスを落とした。
「な‥何ですか?」
『今日から僕はアリスの姉ちゃんだよ』
「‥は?」
『何でも聞きな、何でも話しな。僕はちゃんと頑張り屋で寂しがり屋なアリスに応えるよ』
そう言ったケイトはほらほらと両腕を広げて見せた。
『姉ちゃんに甘えな』
「っ‥でっかいお世話です!」
顔を真っ赤にしてそう言うアリスがあまりにも予想通りで…
「お姉ちゃんは譲れ無いかも」
と困った様に会話に入ってきたアテナさんも予想通りで。僕は声を上げて笑った。
散々騒いで、天上の謳声の中で眠りについたアリスを見ながら僕も夢へと落ちた。
ねぇ、アリス…
僕は君を見守り続けるよ。
黄昏の惑星のお姫様が‥
女王に変わるその日まで——…
.
『え…何つった?』
颯の玄関先で、ケイトはそう驚いた様にそう呟いた。
「何度も言わせないで下さい」
『はい‥』
一息吐いたアリスは、真っ直ぐにケイトを見据えると口を開いた。
「今日、泊まりに来て下さい」
=黄昏の惑星=
ティーカップを片手にソファーに腰掛けたクロアの隣に腰掛けたケイトは、目の前のソファーに座ったアリスを見据えた。
『で、何だって?』
「何度も言わせないで下さい」
“さっきも言いましたよね?”というアリスに、ケイトは“済みません”と口にした。
「泊まりに来て下さい」
『行ってきたら?』
ふと隣に座っていたクロアさんがそう口を開いた。
『でもバレたら‥』
『オレンジぷらねっとは二人部屋だから二人掛かりで庇ってくれから多分バレる事は無いわ』
「そうですよ、ケイト先輩。それに皆やってます」
『でもクロアさんが‥』
『私は大丈夫だ』
クロアさん、少し楽しんでる‥
クロアの膝に飛び乗ったハヤトが小さく“ニゥ”と鳴き、クロアは微かに口角を上げた。
『ハヤトが居るしな』
『……分かりましたよ~‥』
困った様に眉を寄せたケイトは、手早くパジャマと歯ブラシセットを鞄に詰め込むとシャワーを浴び、クロアとハヤトを
アリスの漕ぐ舟に揺られ‥更に歩いて辿り着いたのは、オレンジぷらねっと…の裏口だった。
『‥何で?』
「外部の人を泊めるのは禁止されてますから」
そう言いながらアリスは長い棒で器用に窓から裏口の扉の内側の鍵を開けた。
『それって遊びに来た事には出来無いの?』
「出て来て無いのがバレたらでっかいおしまいです」
『厳しいんだな‥』
人目に付かない様に廊下を進み着いた先は一つの部屋の前だった。
“ただいま帰りました”と言いながら部屋に入ったアリスに着いて部屋に入ると、見知った顔が窓際のソファーに腰掛けていた。
『アテナさん‥!』
アリスの同室の人ってアテナさんだったんだ‥
「こんにちは、ケイトちゃん」
『こ、こんにちは‥』
アテナさんに会釈をしていたら、目の前に白い物体を差し出された。
「ケイト先輩、それだと目立つんでこれに着替えて下さい」
差し出されたものを受け取って広げると、それはオレンジぷらねっとの制服だった。
『…アリスさ‥』
「はい?」
『僕を泊まりに誘うつもりだったんなら、最初から
そうすれば裏口を通らず正門を通れるし、人目を気にする事も無かった。
黙り込んだアリスはくるりと身体の向きを変えると、部屋の扉に向かって歩き出した。
「夕食食べに行きましょう」
どうやら気付かなかったらしい。
手早くオレンジぷらねっとの制服に着替えて三人で食堂に向かった。
流石大手だ。広いし天井高いしメニュー豊富だし‥
いや、クロアさんと二人で居れるしクロアさんの手料理が食べられるから個人的には
『アリスってオムライス好きだよね』
「はい、でっかい好物です」
『ここのオムライス美味しい?』
「二番目くらいには」
二番なのか‥
どうやらアリスの一番お気に入りのオムライスはここのでは無いらしい。
和食プレートを手にアリスの向かいの席に着いたケイトは、ふとアリスの隣に腰掛けたアテナのハンバーグプレートに目をやった。
あれも美味しそうだな‥
『そういえば何でアリスは僕を誘ったんだ?』
「私が勧めたの」
『アテナさんが‥?』
ケイトの疑問にアテナが答え様とすると、アリスが“アテナ先輩‥”とアテナを肘で軽く小突き、そんなアリスを見たアテナは微笑むと口を閉じた。
「ケイト先輩は和食が好きなんですか?」
『え?』
そう言うアリスの指は僕の夕食、和食プレートを指差していた。
アリスの隣でアテナが首を傾げる。
「さっぱりした物が好き?」
『そんな事無いですよ。フレンチとかも好きです』
「フレンチですか」
『僕の家はフランス出身だから家庭料理にフレンチが多かったんだよ』
曾祖母の影響で日本料理も多いがフレンチの方が多い。
「でっかい初耳です」
『多分クロアさんしか知らないよ』
別に言う必要が無いと思ったから誰にも言わなかった気がする。
クロアさんにしか言った覚えが無い‥
「いっぱいですね‥」
『いっぱい?』
「ケイト先輩はクロアさんででっかいいっぱいです」
アリスの言葉にケイトは“だって‥”と呟くと笑った。
『僕、クロアさん居なかったら死んじゃうもん』
「死んじゃう‥?」
『うん、死んじゃう』
はっきりと言い切れる。
僕はクロアさんが居ないと駄目なんだ…‥だって‥
『クロアさんが居ないと寂しすぎる。どうしたら良いか分からない‥何の為に僕の世界が回ってるのか…』
全然分からない‥
「じゃあ私達、一番乗りね」
『え?』
「クロアちゃん除いたら私達が一番乗り‥」
そう言うアテナの言葉に、アリスはアテナに向けていた顔を真っ直ぐにケイトに向けた。
「でっかい一番乗りです!」
二人があまりにも真剣な表情で僕を見るから、思わず笑ってしまった。
『そうですね‥二人がでっかい一番乗りだ』
クロアさん…僕、クロアさんの他に好きな人つくっても良いかな…?
勿論好きの大きさが違うけど‥
この二人は何だか‥
何だかとっても‥
居心地が好いんです——…‥
『アテナさん…』
アリスが風呂に行った為に二人っきりになった室内で、ケイトはそう唐突に口を開いた。
「何、ケイトちゃん?」
『何でアリスに僕を泊める様に勧めたんですか?』
別に僕を泊める事に得等あまり無い筈だ。
いや、寧ろ無い。
『僕は‥』
「ケイトちゃんの事まだ良く知らないって」
僕の事を知らない?
「アリスちゃん‥ケイトちゃんの事まだ良く知らないって」
そう言われてみれば、ただ一緒に同じ時を過ごしているだけで、自分に関しては何も教えてない。
「だから“泊まりに来てもらったら?”って勧めてみたの」
“そうですか‥”と呟いたケイトは、手にしていた本を閉じるとアリスのベッドに横になった。
暫くするとアリスが風呂から戻ってきて、僕の隣へと潜り込んだ。
『いい湯だった?』
「別にいつも通りです」
『そっか‥』
そう返したケイトは、唐突にアリスの額にキスを落とした。
「な‥何ですか?」
『今日から僕はアリスの姉ちゃんだよ』
「‥は?」
『何でも聞きな、何でも話しな。僕はちゃんと頑張り屋で寂しがり屋なアリスに応えるよ』
そう言ったケイトはほらほらと両腕を広げて見せた。
『姉ちゃんに甘えな』
「っ‥でっかいお世話です!」
顔を真っ赤にしてそう言うアリスがあまりにも予想通りで…
「お姉ちゃんは譲れ無いかも」
と困った様に会話に入ってきたアテナさんも予想通りで。僕は声を上げて笑った。
散々騒いで、天上の謳声の中で眠りについたアリスを見ながら僕も夢へと落ちた。
ねぇ、アリス…
僕は君を見守り続けるよ。
黄昏の惑星のお姫様が‥
女王に変わるその日まで——…
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