burrasca
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36
『あぁ、やっと見付けた…』
君が好きだったあの景色を‥
何度見たいと思っただろう…‥
大好きな君の…
大好きなあの景色を——…‥
=疾風=
クロアさん、そちらはどういう所なんでしょうか?
やっぱり小説とかで出て来るでっかいお花畑とかがあるんでしょうか?
私はでっかい綺麗な所だと信じてます。
最近の御報告なんですが…
誰からにしましょう‥
……灯里先輩からにします。
灯里先輩は…正直前とあまり変わりません。
アリシアさんが引退してしまってARIAカンパニーを独りで切り盛りしていて大変そうですが、灯里先輩のぽやぽやパワーの所為でしょうか?
相変わらずのまったりペースの所為で前と変わらない様に見えます。
対照的に愛華先輩は目に見えて忙しそうです。
プリマとして、そして姫屋の支店長として奮闘しています。
そして私は、そんな二人と休日を合わせて“一緒に遊びに行こう!”ルールを日々やり続けてます。
これが中々難しくて燃えます。
クロアさんの大事な仲間であるお三方も元気ですよ。
アリシアさんはARIAカンパニーを寿退社して、舟 協会でお仕事をされてます。
晃さんは現役一のプリマとして大活躍されてます。
アテナ先輩は…なんと歌劇で舞台デビューしました!
舞台で謳うアテナ先輩を見て少し泣いてしまったのはでっかい秘密です。
そう言えば…
暁さんが泣いていましたよ。
クロアさんが日々考えていた事も、病気の事も…
“クロアが苦しんでたのに何一つ気付いてやれなかった自分が情けない”って泣いてました。
ムックンが慌てふためいて‥アルさんが慰めてる時に、晃さんとエルリックさんが同時に暁さんに蹴りを入れてました。
“皆同じ気持ちなんだよウジウジ泣くな、鬱陶しい”だそうです。
丁寧な言葉を使わないエルリックさんを始めてみました。
そんなエルリックさんの所に私は毎日通ってます。
朝起きて、エルリックさんとクロアさんの御屋敷に行って、お庭のクロアさんの所に行って挨拶して、エルリックさんとお話をしながら紅茶を頂いてから仕事に行くのが日課です。
「君は毎日来るな、チビッコ」
「毎朝クロアさんに会いに来てるんです」
「じゃあ何故リビングに居る」
「紅茶とお菓子が無いとでっかい素敵な一日が始まりません」
侍女のハンナさんが作るお菓子と、夕さんが入れる紅茶が絶品です。
ハンナさんと夕さんは覚えてますか?
“クロンティアの実家から引き抜いたメイドだ”とエルリックさんが言ってました。
お二人共、クロアさんに一度しか会えなかったのが悲しいと嘆いてました。
あ、そうそう…
最近エルリックさんが変です。
「チビッコ、うちの娘にならないか?」
「意味が分かりません」
「うちには子供がいないからね…張り合いが無いじゃないか」
「そうですか」
「つれないねぇ。あぁ‥でも仮にチビッコが娘になったとして、ハドルトソンの小僧が婿に来たら嫌だな‥」
「何でそうなるんですか。それはでっかい誤解ですよ」
「子供欲しかったなぁ…クロンティアと私の子供だからね、美男・美女が産まれただろうな」
「………いくら考えてもエルリックさんの良さが分かりません…クロアさんはエルリックさんの何が良かったんでしょう?」
「…結構言うね、君も」
エルリックさんの良さが分かりません。
でも…クロアさん一筋なのは素晴らしいと思います。
クロアさんのお墓の周りを花でいっぱいにしたりする所も…
本人には言いませんが。
クロアさん‥私はエルリックさんに近付けたんでしょうか?
最近、エルリックさんにクロアさんの話を聞きました。
クロアさんがどれだけの涙の海を越えてきたのかを…
でもクロアさん‥
私には分かりませんでした。
制限された生活が‥
反対されて飛び出した事が‥
おばあさんを殺された感覚が…
真実を知った絶望感が‥
警察に入った決心が…
病に冒された痛みが…
仇の息子を受け入れた意味が‥
護る為に復讐を和らげたのが…
痛みに堪えて笑う理由が‥
平凡に生きてきた私には何一つ分かりませんでした。
エルリックさんは“それで良いんだよ”と笑ってたけど…
じゃあ何で私に話したんでしょうか?
私には何も分かりません…
「さっきから熱心に何を書いてるんだね、チビッコ」
そう言ってエルリックさんが覗き込んできたので、私は慌てて本を閉じた。
「何でもありません。でっかい秘密です」
「まぁいい‥それにしても相変わらずの量だな、君へのファンレターは」
「あまり興味がありません…そういう物には返事を書いた方が良いんでしょうか?」
ファンレターはどうしたら良いか分からなくて困る。
「クロンティアは目を通すだけだったよ…彼女の手紙の量は尋常じゃなかったからね。
でも誰がどんな内容の手紙をくれたかは大体把握してたね…そして客として来た時に“御手紙有難う御座いました”と礼を言うんだ」
改めてクロアさんは凄いなと思った。
私に届く何倍もの手紙をちゃんと一通一通読んで、把握してただなんて…
困るだなんて考えてたのが馬鹿みたいだ‥
「おや…これは宛名が無いよ、チビッコ」
「どれですか?」
エルリックさんから受け取った差出人の分からない手紙…
何となく気になって封を切って中を見てみた。
入ってたのはたった一枚の写真だった。
青年を中心に、男性が二人と女性が一人写っていた。
男性のは少し手を加えられていたが、女性の制服に見覚えがあった。
そして中心に移った青年の首に掛かったネックレスは…
「これ…ッ」
「ちょ…どこ行くんだ、アリス!?」
急に立ち上がって部屋を出て行ったアリスはあんなに慌ててどこへ行ったのだろう?
アリスが残した本と手紙の山の一番上にあった写真を手に取って見たエルリックは、不機嫌そうに眉を寄せた。
見覚えのあるムカツク顔の男の首には同じく見覚えのある青い石のネックレスが掛かっていた。
「なるほどな…」
また面倒臭い事になりそうだ。
「君が側に居なくて酷く寂しいけど…暇にはならなそうだよ」
あぁ…会いたい。
会いたくて堪らないよ‥
「クロンティア——…‥」
御客様‥
御客様‥
御待ちしておりました。
御待ちしておりました。
颯 のジョン・ケイト・ハドルトソンです。
颯 のクロンティア・心葉・ヴァータジアークにございます。
ケイトと御呼び下さい。
クロアと御呼び下さい。
さぁ…
さぁ…
御手をどうぞ——…‥
御手をどうぞ——…‥
fin.
『あぁ、やっと見付けた…』
君が好きだったあの景色を‥
何度見たいと思っただろう…‥
大好きな君の…
大好きなあの景色を——…‥
=疾風=
クロアさん、そちらはどういう所なんでしょうか?
やっぱり小説とかで出て来るでっかいお花畑とかがあるんでしょうか?
私はでっかい綺麗な所だと信じてます。
最近の御報告なんですが…
誰からにしましょう‥
……灯里先輩からにします。
灯里先輩は…正直前とあまり変わりません。
アリシアさんが引退してしまってARIAカンパニーを独りで切り盛りしていて大変そうですが、灯里先輩のぽやぽやパワーの所為でしょうか?
相変わらずのまったりペースの所為で前と変わらない様に見えます。
対照的に愛華先輩は目に見えて忙しそうです。
プリマとして、そして姫屋の支店長として奮闘しています。
そして私は、そんな二人と休日を合わせて“一緒に遊びに行こう!”ルールを日々やり続けてます。
これが中々難しくて燃えます。
クロアさんの大事な仲間であるお三方も元気ですよ。
アリシアさんはARIAカンパニーを寿退社して、
晃さんは現役一のプリマとして大活躍されてます。
アテナ先輩は…なんと歌劇で舞台デビューしました!
舞台で謳うアテナ先輩を見て少し泣いてしまったのはでっかい秘密です。
そう言えば…
暁さんが泣いていましたよ。
クロアさんが日々考えていた事も、病気の事も…
“クロアが苦しんでたのに何一つ気付いてやれなかった自分が情けない”って泣いてました。
ムックンが慌てふためいて‥アルさんが慰めてる時に、晃さんとエルリックさんが同時に暁さんに蹴りを入れてました。
“皆同じ気持ちなんだよウジウジ泣くな、鬱陶しい”だそうです。
丁寧な言葉を使わないエルリックさんを始めてみました。
そんなエルリックさんの所に私は毎日通ってます。
朝起きて、エルリックさんとクロアさんの御屋敷に行って、お庭のクロアさんの所に行って挨拶して、エルリックさんとお話をしながら紅茶を頂いてから仕事に行くのが日課です。
「君は毎日来るな、チビッコ」
「毎朝クロアさんに会いに来てるんです」
「じゃあ何故リビングに居る」
「紅茶とお菓子が無いとでっかい素敵な一日が始まりません」
侍女のハンナさんが作るお菓子と、夕さんが入れる紅茶が絶品です。
ハンナさんと夕さんは覚えてますか?
“クロンティアの実家から引き抜いたメイドだ”とエルリックさんが言ってました。
お二人共、クロアさんに一度しか会えなかったのが悲しいと嘆いてました。
あ、そうそう…
最近エルリックさんが変です。
「チビッコ、うちの娘にならないか?」
「意味が分かりません」
「うちには子供がいないからね…張り合いが無いじゃないか」
「そうですか」
「つれないねぇ。あぁ‥でも仮にチビッコが娘になったとして、ハドルトソンの小僧が婿に来たら嫌だな‥」
「何でそうなるんですか。それはでっかい誤解ですよ」
「子供欲しかったなぁ…クロンティアと私の子供だからね、美男・美女が産まれただろうな」
「………いくら考えてもエルリックさんの良さが分かりません…クロアさんはエルリックさんの何が良かったんでしょう?」
「…結構言うね、君も」
エルリックさんの良さが分かりません。
でも…クロアさん一筋なのは素晴らしいと思います。
クロアさんのお墓の周りを花でいっぱいにしたりする所も…
本人には言いませんが。
クロアさん‥私はエルリックさんに近付けたんでしょうか?
最近、エルリックさんにクロアさんの話を聞きました。
クロアさんがどれだけの涙の海を越えてきたのかを…
でもクロアさん‥
私には分かりませんでした。
制限された生活が‥
反対されて飛び出した事が‥
おばあさんを殺された感覚が…
真実を知った絶望感が‥
警察に入った決心が…
病に冒された痛みが…
仇の息子を受け入れた意味が‥
護る為に復讐を和らげたのが…
痛みに堪えて笑う理由が‥
平凡に生きてきた私には何一つ分かりませんでした。
エルリックさんは“それで良いんだよ”と笑ってたけど…
じゃあ何で私に話したんでしょうか?
私には何も分かりません…
「さっきから熱心に何を書いてるんだね、チビッコ」
そう言ってエルリックさんが覗き込んできたので、私は慌てて本を閉じた。
「何でもありません。でっかい秘密です」
「まぁいい‥それにしても相変わらずの量だな、君へのファンレターは」
「あまり興味がありません…そういう物には返事を書いた方が良いんでしょうか?」
ファンレターはどうしたら良いか分からなくて困る。
「クロンティアは目を通すだけだったよ…彼女の手紙の量は尋常じゃなかったからね。
でも誰がどんな内容の手紙をくれたかは大体把握してたね…そして客として来た時に“御手紙有難う御座いました”と礼を言うんだ」
改めてクロアさんは凄いなと思った。
私に届く何倍もの手紙をちゃんと一通一通読んで、把握してただなんて…
困るだなんて考えてたのが馬鹿みたいだ‥
「おや…これは宛名が無いよ、チビッコ」
「どれですか?」
エルリックさんから受け取った差出人の分からない手紙…
何となく気になって封を切って中を見てみた。
入ってたのはたった一枚の写真だった。
青年を中心に、男性が二人と女性が一人写っていた。
男性のは少し手を加えられていたが、女性の制服に見覚えがあった。
そして中心に移った青年の首に掛かったネックレスは…
「これ…ッ」
「ちょ…どこ行くんだ、アリス!?」
急に立ち上がって部屋を出て行ったアリスはあんなに慌ててどこへ行ったのだろう?
アリスが残した本と手紙の山の一番上にあった写真を手に取って見たエルリックは、不機嫌そうに眉を寄せた。
見覚えのあるムカツク顔の男の首には同じく見覚えのある青い石のネックレスが掛かっていた。
「なるほどな…」
また面倒臭い事になりそうだ。
「君が側に居なくて酷く寂しいけど…暇にはならなそうだよ」
あぁ…会いたい。
会いたくて堪らないよ‥
「クロンティア——…‥」
御客様‥
御客様‥
御待ちしておりました。
御待ちしておりました。
ケイトと御呼び下さい。
クロアと御呼び下さい。
さぁ…
さぁ…
御手をどうぞ——…‥
御手をどうぞ——…‥
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