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35
『クロアさんが好きですから』
貴方は何度‥
私にそう告白したかしら…
私はその度に‥
何も言えなかった。
=星空の戦士=
ジョン・ハドルトソン改めケイト・ハドルトソンは優しく働き者で、良く気が効く子だった。
言われなくてもやる事はやっていたし、教えた事は直ぐに吸収し、自主稽古も良くしていた。
秀才というのはこういう子の事を言うのだろうと思った。
そんなケイトに病気の事がバレない様にするのは大変で、自然と私は騙す為の演技が上手くなった。
でも長く一緒に居ればそれに気付かれるのも当たり前で…
いつの間にかケイトは、私の体が何らかの病に襲われていると気付いた。
ケイトに気を遣わせるのが辛くて、元気だとアピールする為に仕事の合間や休みの日は料理や掃除等、出来る事を出来るだけやった。
「そろそろ結婚しようじゃないか、私のクロンティア」
私の体を心配をしたエルリックがそう言う回数も日に日に増えていった。
その度に私は“ケイトがプリマになったらね”と繰り返した。
でも…
私はとことん狡い。
ケイトの気持ちに応えられないのに側に置き、本当はプリマになれる実力があるのに直ぐにプリマにしなかった。
でもケイトにもエルリックにも…そして私にも限界が近いのも事実だった。
だから…
『ケイト、散歩に行こう』
そう言ってある朝、ケイトを散歩という名の昇格試験に誘い出した。
『危ないから私が行って少し経ってから来なさい』
朝霧の中、極度に狭い水路を先に進んだ。
朝霧の中、この通路を進めれば…私はケイトを独り立ちさせられる。
そしてケイトにはそれが出来る。
そう分かっていた。
だからケイトが通路を出て来た時は、嬉しくて…酷く悲しかった‥
『随分勢い良く出て来たのね』
静寂の中、私はそう言って笑った。
あぁ…“安心していける”と‥
水に吸い込まれる様なその感覚は酷く心地好かった。
舟 から水路に落ちたのだと直ぐに分かった。
限界だったのだ——…‥
でも嘘を吐き続けた。
偶々発作が出ただけだと言い、結婚式をする日にケイトに通り名を与えて引退するとエルリックに約束し、新居も決めた。
式は海との結婚の一週間後の予定だった。
ドクター以外に病状の悪化が気付かれない様に薬で痛みを誤魔化しながら過ごした。
しかし保たなかった‥
左目の色を失い、海との結婚の最中に倒れ…
目覚めた時にエルリックに初めて‥挙げ句、散々…怒られた。
『御免なさい、エルリック…』
「君を亡くしたら、私はどうしたら良いんだ‥」
『御免なさい…御免なさい、エルリック‥』
結婚式を体調が回復するまで延期し、取り敢えずエルリックの目に届く新居に移る事になった。
それを私は三日だけ遅らせて貰った。
ケイトに伝えられる事を伝えられるだけ伝えて、通り名を与える為に貰った時間だった。
『ねぇ、ハヤト…』
「ニィィ」
目覚めるとケイトが見当たらなくて、隣で寝ていたハヤトに声を掛けた。
『ケイトは御出掛け?』
「ニゥ」
『そう…』
あぁ‥
もう時間が無い——…
『ねぇ…ハヤト‥』
震える手で人工呼吸器を外すと、ハヤトを一撫でした。
『行きなさい…ハヤト』
早く‥ケイトが帰って来る前に…
『ケイトが見付けてくれたら…ケイトと‥颯 を繋ぎなさ、い』
「……ニゥ」
ハヤトはそう小さく鳴くと、クロアの額にキスを落として部屋を出て行った。
『バイバイ…大好きよ、ハヤト』
そう別れを口にした所までは覚えてる。
次に気付いた時は、ケイトの悲痛な声が響いていた。
『ア…アリスが昇格したんですよ‥しかもペアからプリマに…』
アリス…プリマになれたのか…
『ッ‥僕、見てきましたよ』
そう…だから居なかったのね‥
『アリスの旅立ちを‥』
声が震えてる。
駄目じゃないの、ケイト…
『クロアさ‥クロアさん…』
『泣くな‥ケイト…』
漸く開いた目でケイトを見据えると、そうケイトに声を掛けた。
『クロアさん‥』
ゆっくりとケイトの頭を撫でる。
『アリスの…通り名は‥?』
『“黄昏の姫君 ”』
『黄昏の惑星に姫君の誕生ね』
“はい”と言って涙を浮かべた目で嬉しそうに笑ったケイトに、クロアは優しく微笑んでケイトの目元の涙を指で拭った。
『クロアさん、僕‥』
『ハヤトを‥捜しなさい、ケイト』
『……え‥?』
『ハヤトを捜して…颯 を繋ぐの。ケイトの夢を叶えるのよ』
クロアの言葉に下唇を噛んだケイトは、ベッドへ横になっているクロアの顔の横に両腕を付いた。
『僕の夢には貴女が必要不可欠なんです…分かっている筈でしょ、クロアさん』
——僕はクロアさんが好きです…‥
『ねぇ…前に進みなさい』
『クロアさ‥』
『大好きよ‥私の大切な』
御免…
御免なさい…御免ね、ケイト‥
『“昊の騎士”』
『そらの‥きし…』
『“昊の騎士 ”』
ケイトの蒼色の瞳が見たくて、色が残ってる右目の眼帯を外した。
いつ見ても綺麗な‥
『私の‥明るく高い夏の空』
私の元気の元…
『謳って…ケイト‥貴方の歌を…‥』
ケイト‥貴方の気持ちに応えられなくて御免なさい…
大好きよ‥
優しくて楽しくて心配性な貴方が、私は大好きよ…
『…綺麗…‥ね‥』
ケイト‥
舟謳 も上手くなったのね…
良かった‥
良かった…
これで安心して‥
安心して逝ける——…‥
エルリック、御免なさい…
私‥あの家に行けない…
エルリック…
エルリック…‥
護ってくれてありがとう…
護らせてくれてありがとう‥
愛してくれて‥
ありがとう——…
私も愛してるよ——…‥
だから‥ごめんね——…
『クロアさんが好きですから』
貴方は何度‥
私にそう告白したかしら…
私はその度に‥
何も言えなかった。
=星空の戦士=
ジョン・ハドルトソン改めケイト・ハドルトソンは優しく働き者で、良く気が効く子だった。
言われなくてもやる事はやっていたし、教えた事は直ぐに吸収し、自主稽古も良くしていた。
秀才というのはこういう子の事を言うのだろうと思った。
そんなケイトに病気の事がバレない様にするのは大変で、自然と私は騙す為の演技が上手くなった。
でも長く一緒に居ればそれに気付かれるのも当たり前で…
いつの間にかケイトは、私の体が何らかの病に襲われていると気付いた。
ケイトに気を遣わせるのが辛くて、元気だとアピールする為に仕事の合間や休みの日は料理や掃除等、出来る事を出来るだけやった。
「そろそろ結婚しようじゃないか、私のクロンティア」
私の体を心配をしたエルリックがそう言う回数も日に日に増えていった。
その度に私は“ケイトがプリマになったらね”と繰り返した。
でも…
私はとことん狡い。
ケイトの気持ちに応えられないのに側に置き、本当はプリマになれる実力があるのに直ぐにプリマにしなかった。
でもケイトにもエルリックにも…そして私にも限界が近いのも事実だった。
だから…
『ケイト、散歩に行こう』
そう言ってある朝、ケイトを散歩という名の昇格試験に誘い出した。
『危ないから私が行って少し経ってから来なさい』
朝霧の中、極度に狭い水路を先に進んだ。
朝霧の中、この通路を進めれば…私はケイトを独り立ちさせられる。
そしてケイトにはそれが出来る。
そう分かっていた。
だからケイトが通路を出て来た時は、嬉しくて…酷く悲しかった‥
『随分勢い良く出て来たのね』
静寂の中、私はそう言って笑った。
あぁ…“安心していける”と‥
水に吸い込まれる様なその感覚は酷く心地好かった。
限界だったのだ——…‥
でも嘘を吐き続けた。
偶々発作が出ただけだと言い、結婚式をする日にケイトに通り名を与えて引退するとエルリックに約束し、新居も決めた。
式は海との結婚の一週間後の予定だった。
ドクター以外に病状の悪化が気付かれない様に薬で痛みを誤魔化しながら過ごした。
しかし保たなかった‥
左目の色を失い、海との結婚の最中に倒れ…
目覚めた時にエルリックに初めて‥挙げ句、散々…怒られた。
『御免なさい、エルリック…』
「君を亡くしたら、私はどうしたら良いんだ‥」
『御免なさい…御免なさい、エルリック‥』
結婚式を体調が回復するまで延期し、取り敢えずエルリックの目に届く新居に移る事になった。
それを私は三日だけ遅らせて貰った。
ケイトに伝えられる事を伝えられるだけ伝えて、通り名を与える為に貰った時間だった。
『ねぇ、ハヤト…』
「ニィィ」
目覚めるとケイトが見当たらなくて、隣で寝ていたハヤトに声を掛けた。
『ケイトは御出掛け?』
「ニゥ」
『そう…』
あぁ‥
もう時間が無い——…
『ねぇ…ハヤト‥』
震える手で人工呼吸器を外すと、ハヤトを一撫でした。
『行きなさい…ハヤト』
早く‥ケイトが帰って来る前に…
『ケイトが見付けてくれたら…ケイトと‥
「……ニゥ」
ハヤトはそう小さく鳴くと、クロアの額にキスを落として部屋を出て行った。
『バイバイ…大好きよ、ハヤト』
そう別れを口にした所までは覚えてる。
次に気付いた時は、ケイトの悲痛な声が響いていた。
『ア…アリスが昇格したんですよ‥しかもペアからプリマに…』
アリス…プリマになれたのか…
『ッ‥僕、見てきましたよ』
そう…だから居なかったのね‥
『アリスの旅立ちを‥』
声が震えてる。
駄目じゃないの、ケイト…
『クロアさ‥クロアさん…』
『泣くな‥ケイト…』
漸く開いた目でケイトを見据えると、そうケイトに声を掛けた。
『クロアさん‥』
ゆっくりとケイトの頭を撫でる。
『アリスの…通り名は‥?』
『“
『黄昏の惑星に姫君の誕生ね』
“はい”と言って涙を浮かべた目で嬉しそうに笑ったケイトに、クロアは優しく微笑んでケイトの目元の涙を指で拭った。
『クロアさん、僕‥』
『ハヤトを‥捜しなさい、ケイト』
『……え‥?』
『ハヤトを捜して…
クロアの言葉に下唇を噛んだケイトは、ベッドへ横になっているクロアの顔の横に両腕を付いた。
『僕の夢には貴女が必要不可欠なんです…分かっている筈でしょ、クロアさん』
——僕はクロアさんが好きです…‥
『ねぇ…前に進みなさい』
『クロアさ‥』
『大好きよ‥私の大切な』
御免…
御免なさい…御免ね、ケイト‥
『“昊の騎士”』
『そらの‥きし…』
『“
ケイトの蒼色の瞳が見たくて、色が残ってる右目の眼帯を外した。
いつ見ても綺麗な‥
『私の‥明るく高い夏の空』
私の元気の元…
『謳って…ケイト‥貴方の歌を…‥』
ケイト‥貴方の気持ちに応えられなくて御免なさい…
大好きよ‥
優しくて楽しくて心配性な貴方が、私は大好きよ…
『…綺麗…‥ね‥』
ケイト‥
良かった‥
良かった…
これで安心して‥
安心して逝ける——…‥
エルリック、御免なさい…
私‥あの家に行けない…
エルリック…
エルリック…‥
護ってくれてありがとう…
護らせてくれてありがとう‥
愛してくれて‥
ありがとう——…
私も愛してるよ——…‥
だから‥ごめんね——…