burrasca
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3
「ねぇねぇ、藍華ちゃん、アリスちゃん、ケイトちゃん!」
「却下!!」
舟 でパソコンの画面を見ていた灯里の声に、舟 から降りてアリスに肩を揉んでもらっていた藍華は間髪入れずにそう応えた。
『いや、まだ灯里なんも言って無いし』
灯里の向かいに座っていたケイトがそう口にすれば、藍華はケイトに顔を向けた。
「どうせまた恥ずかしい話よ」
「今回は自信があります!」
自信があると言う灯里のパソコンを藍華、アリスと覗き込んだケイトは、微かに微笑んだ。
良い事、思い付いた。
=流星群=
舟謳 を謳いながら舟 を漕いでいたクロアは、謳の終わりに合わせて舟 を岸へ寄せた。
舟 は謳と共にピタリと止まる。
『サン・マルコ広場です。足元に御気を付け下さい』
そう言って岸に片足を付いたクロアは、客の手を取ると客の二人をサン・マルコ広場へと降り立たせた。
「飛び込みだったのにありがとうございました…舟謳 まで歌って頂いて」
『楽しんで頂けましたか?』
「凄く楽しかったです!案内も漕ぎも丁寧で、歌も素敵で…何より飛び込みでクロアさんの舟 に乗れたなんて‥私達は幸運でした!」
楽しそうに笑いあう客の女性二人はとても可愛らしかった。
『楽しんで頂けたなら嬉しいです…ネオ・ヴェネツィアの夜もどうぞ御楽しみ下さい』
「はい!」
「ありがとうございました」
『こちらこそ、御利用有難う御座いました』
軽く頭を下げてサン・マルコ広場へ歩いて行く二人に、ふとクロアは“御客様”と声を掛けた。
『今日は流星群が見れますよ。特別な夜を御過ごし下さい』
“はい!”と言って嬉しそうに笑う二人に向かって微笑んだクロアは、サン・マルコ広場から離れた。冷たい風に撫でられながら颯に向かってゆっくりと舟 を漕ぐ。
飛び込みの客全てに対応していたら遅くなってしまった。
こんな時間まで仕事を受けられるのは小規模会社であるアリア・カンパニーとウチしか無いのだから仕方無いといえば仕方無いか…
颯に帰ると、真っ暗だった。
『もう寝たか‥』
昼間に合同練習を行っているケイトは疲れてもう寝ている筈だ。
舟 をポールに繋いだクロアは、颯の扉を開くと目を見開いた。
真っ暗な室内に小さなろうそくが点々と置かれていたからだ。
ろうそくを辿る様に歩くと、通り過ぎたろうそくが順に消えていった。足元を見ると、通り過ぎたろうそくを順にハヤトが消していた。
『ハヤト社長…』
クロアはハヤトが先に行くのを待ったが、ハヤトは決してクロアを追い越そうとはしなかった。
仕方無しにハヤトをおいてろうそくを辿ると、ろうそくは二階のベランダへと繋がっていた。
ベランダへ繋がる扉を開けば、ベランダのテーブルには背の高いろうそくを中心に、ワインボトルとワイングラスが置かれていた。
『お疲れ様です、クロアさん』
そう聞き慣れた声が響き、振り返ると、ケイトがパスタとピザを手に立っていた。
その表情は嬉しそうに笑っている。
『ケイト、これは‥』
『さぁ、座って下さい!料理が冷めちゃいますよ!』
料理をテーブルに置いたケイトは、クロアの背と肩を押して椅子に座らせ、そっとブランケットを膝に掛けた。
そして向かいの席に着くと、直ぐにワインを注ぐ。赤ワインの香りが辺りに香る中、ケイトは自分のグラスに葡萄のサイダーを注いだ。
『へへ、気分だけでもです』
『フフフ…そうね』
『あ、もう始まりますよ!』
『え‥?』
瞬間、無数の星が雨の様に降り注いだ。
そうか…今日は流星群だ。
さっき自分で客に言ったのに…
『ケイト、これ‥』
『今日はクロアさんの日ですから』
空を流れる星達は本当に綺麗だった。
今日は‥私の日か…‥
『ケイト』
『はい』
『ありがとう』
クロアの嬉しそうな微笑みを見たケイトは、手にしていたグラスをクロアの持つグラスに当てるとクロアと同様、嬉しそうに笑った。
『はい!』
『早く大人になって…今度は一緒にお酒を飲もう』
『はい!クロアさん』
あたたかいろうそくの光の下‥
手作り料理と‥
弾けた甘いサイダーと…
薔薇の様に赤いワインを片手に‥
二人で星の雨を浴びよう——…
.
「ねぇねぇ、藍華ちゃん、アリスちゃん、ケイトちゃん!」
「却下!!」
『いや、まだ灯里なんも言って無いし』
灯里の向かいに座っていたケイトがそう口にすれば、藍華はケイトに顔を向けた。
「どうせまた恥ずかしい話よ」
「今回は自信があります!」
自信があると言う灯里のパソコンを藍華、アリスと覗き込んだケイトは、微かに微笑んだ。
良い事、思い付いた。
=流星群=
『サン・マルコ広場です。足元に御気を付け下さい』
そう言って岸に片足を付いたクロアは、客の手を取ると客の二人をサン・マルコ広場へと降り立たせた。
「飛び込みだったのにありがとうございました…
『楽しんで頂けましたか?』
「凄く楽しかったです!案内も漕ぎも丁寧で、歌も素敵で…何より飛び込みでクロアさんの
楽しそうに笑いあう客の女性二人はとても可愛らしかった。
『楽しんで頂けたなら嬉しいです…ネオ・ヴェネツィアの夜もどうぞ御楽しみ下さい』
「はい!」
「ありがとうございました」
『こちらこそ、御利用有難う御座いました』
軽く頭を下げてサン・マルコ広場へ歩いて行く二人に、ふとクロアは“御客様”と声を掛けた。
『今日は流星群が見れますよ。特別な夜を御過ごし下さい』
“はい!”と言って嬉しそうに笑う二人に向かって微笑んだクロアは、サン・マルコ広場から離れた。冷たい風に撫でられながら颯に向かってゆっくりと
飛び込みの客全てに対応していたら遅くなってしまった。
こんな時間まで仕事を受けられるのは小規模会社であるアリア・カンパニーとウチしか無いのだから仕方無いといえば仕方無いか…
颯に帰ると、真っ暗だった。
『もう寝たか‥』
昼間に合同練習を行っているケイトは疲れてもう寝ている筈だ。
真っ暗な室内に小さなろうそくが点々と置かれていたからだ。
ろうそくを辿る様に歩くと、通り過ぎたろうそくが順に消えていった。足元を見ると、通り過ぎたろうそくを順にハヤトが消していた。
『ハヤト社長…』
クロアはハヤトが先に行くのを待ったが、ハヤトは決してクロアを追い越そうとはしなかった。
仕方無しにハヤトをおいてろうそくを辿ると、ろうそくは二階のベランダへと繋がっていた。
ベランダへ繋がる扉を開けば、ベランダのテーブルには背の高いろうそくを中心に、ワインボトルとワイングラスが置かれていた。
『お疲れ様です、クロアさん』
そう聞き慣れた声が響き、振り返ると、ケイトがパスタとピザを手に立っていた。
その表情は嬉しそうに笑っている。
『ケイト、これは‥』
『さぁ、座って下さい!料理が冷めちゃいますよ!』
料理をテーブルに置いたケイトは、クロアの背と肩を押して椅子に座らせ、そっとブランケットを膝に掛けた。
そして向かいの席に着くと、直ぐにワインを注ぐ。赤ワインの香りが辺りに香る中、ケイトは自分のグラスに葡萄のサイダーを注いだ。
『へへ、気分だけでもです』
『フフフ…そうね』
『あ、もう始まりますよ!』
『え‥?』
瞬間、無数の星が雨の様に降り注いだ。
そうか…今日は流星群だ。
さっき自分で客に言ったのに…
『ケイト、これ‥』
『今日はクロアさんの日ですから』
空を流れる星達は本当に綺麗だった。
今日は‥私の日か…‥
『ケイト』
『はい』
『ありがとう』
クロアの嬉しそうな微笑みを見たケイトは、手にしていたグラスをクロアの持つグラスに当てるとクロアと同様、嬉しそうに笑った。
『はい!』
『早く大人になって…今度は一緒にお酒を飲もう』
『はい!クロアさん』
あたたかいろうそくの光の下‥
手作り料理と‥
弾けた甘いサイダーと…
薔薇の様に赤いワインを片手に‥
二人で星の雨を浴びよう——…
.