burrasca
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20
——本当に…良いんだね?
良いんです。
だって‥構わない‥
私は…私は全てを知っているのだから、これで良いんだ。
これで良い。
これで…
構わないんだ——…‥
=月=
灯里の提案で地球の日本行事“お月見”をする為に集まった合同練習メンバー。
アル君と合流した僕等は、ARIAカンパニーのデッキに座ってゆっくりと月を眺めた。
『まさかアル君を迎えに行った藍華がアル君と一緒に涸れ井戸に落ちてるとはねぇ…想像もして無かったよ』
「うっかり落ちちゃったのよ」
ケイトはマフラーの様に首に巻き付いてくるハヤトに灯里の用意した月見団子を食べさせると、自分の口にも団子を突っ込んだ。
口の中に団子の甘味が広がる。
『灯里ぃ』
「はひ?」
『この団子、二つだけ持って帰って良い?』
「良いよ~どうしたの?」
『クロアさんにも食べさせたくて』
クロアさんは甘いものが苦手そうに見えるが、実際は苦手では無い。寧ろ好きだ。
食が細いからそんなに食べれないけど…
ケイトは丁寧に団子を二つ包むと、すくっと立ち上がった。
「何…帰んの?」
「はひ、もう?」
『クロアさん寝てるから側に居たいんだ』
「……具合‥悪いんですか?」
『ん——…今日が悪いってわけじゃないんだ』
困った様に笑ったケイトは、ふと月を見上げた。
あぁ…火星 の月は何て不安定で儚いんだろう‥
『少しずつ…悪くなたり、良くなったりを繰り返してる気がするんだ』
倒れたあの日から‥不安定な体をしていると思う。
それなのに仕事は代わらず沢山入ってる…
クロアさんは“もう予約が入ってしまっているものだから”といってキャンセルしようとしない。
仕事が終わって帰ってきたら直ぐに夕食を取って、お風呂に入って、直ぐに寝たい筈なのに…
貴女は僕が寝るのを待っている。
何で‥何で貴女はそうやっていつも…
「でっかい心配です…」
『大丈夫だよ、アリス。僕が過保護なだけなんだ』
そう言って微笑んだケイトは、優しくアリスの頭を撫でた。
『クロアさんは大丈夫だよ』
何を言ってるんだろう、僕は…
何が大丈夫なんだろう‥
何が?
一体何が…
『お帰り、ケイト』
カタッとドアノブに何かが当たる音がして、そう声を掛けた。
ゆっくりと…そっとケイトが顔を出した。少し不機嫌そうな顔だった。
『起きてたんですか‥』
『眠れなくてね』
小さく溜め息を吐いたケイトは、ベッド脇に椅子を持ってくと静かに腰を降ろした。
『…月見団子‥食べますか?』
『月見団子?』
『灯里が用意してくれたんです』
そう言いながらケイトが取り出した小さな包みからは白くて丸い団子が二つ出てきた。私にちょうど良い量だった。
小さく微笑んだクロアは、体を起こして団子を一つ手に取ると、一口口にした。
『美味しい‥』
口に広がる仄かな甘味がちょうど良くてとても美味しい。
クロアはあいた手でもう一つの団子を手に取ると、そっとケイトの口元に持って行った。
『僕はもう食べましたよ』
『私はケイトと食べたいの』
“ぅ…”と小さく唸ったケイトは、一口で団子を口にし、クロアは嬉しそうに微笑むと、自分の分の団子の残りを口にした。
『美味しいな』
『‥はい』
ベッド脇の窓から見える月はじゃが芋の様にボコボコで歪で…いつか本の写真で見た地球 から見える月とは全然違っていた。
美しい地球 の月…
まん丸な体から綺麗に欠けていくその姿を見てみたいなと思った。
いつの日か…
「もう直ぐ治るだろう…」
いつの日か‥
きっと貴方と——…‥
.
——本当に…良いんだね?
良いんです。
だって‥構わない‥
私は…私は全てを知っているのだから、これで良いんだ。
これで良い。
これで…
構わないんだ——…‥
=月=
灯里の提案で地球の日本行事“お月見”をする為に集まった合同練習メンバー。
アル君と合流した僕等は、ARIAカンパニーのデッキに座ってゆっくりと月を眺めた。
『まさかアル君を迎えに行った藍華がアル君と一緒に涸れ井戸に落ちてるとはねぇ…想像もして無かったよ』
「うっかり落ちちゃったのよ」
ケイトはマフラーの様に首に巻き付いてくるハヤトに灯里の用意した月見団子を食べさせると、自分の口にも団子を突っ込んだ。
口の中に団子の甘味が広がる。
『灯里ぃ』
「はひ?」
『この団子、二つだけ持って帰って良い?』
「良いよ~どうしたの?」
『クロアさんにも食べさせたくて』
クロアさんは甘いものが苦手そうに見えるが、実際は苦手では無い。寧ろ好きだ。
食が細いからそんなに食べれないけど…
ケイトは丁寧に団子を二つ包むと、すくっと立ち上がった。
「何…帰んの?」
「はひ、もう?」
『クロアさん寝てるから側に居たいんだ』
「……具合‥悪いんですか?」
『ん——…今日が悪いってわけじゃないんだ』
困った様に笑ったケイトは、ふと月を見上げた。
あぁ…
『少しずつ…悪くなたり、良くなったりを繰り返してる気がするんだ』
倒れたあの日から‥不安定な体をしていると思う。
それなのに仕事は代わらず沢山入ってる…
クロアさんは“もう予約が入ってしまっているものだから”といってキャンセルしようとしない。
仕事が終わって帰ってきたら直ぐに夕食を取って、お風呂に入って、直ぐに寝たい筈なのに…
貴女は僕が寝るのを待っている。
何で‥何で貴女はそうやっていつも…
「でっかい心配です…」
『大丈夫だよ、アリス。僕が過保護なだけなんだ』
そう言って微笑んだケイトは、優しくアリスの頭を撫でた。
『クロアさんは大丈夫だよ』
何を言ってるんだろう、僕は…
何が大丈夫なんだろう‥
何が?
一体何が…
『お帰り、ケイト』
カタッとドアノブに何かが当たる音がして、そう声を掛けた。
ゆっくりと…そっとケイトが顔を出した。少し不機嫌そうな顔だった。
『起きてたんですか‥』
『眠れなくてね』
小さく溜め息を吐いたケイトは、ベッド脇に椅子を持ってくと静かに腰を降ろした。
『…月見団子‥食べますか?』
『月見団子?』
『灯里が用意してくれたんです』
そう言いながらケイトが取り出した小さな包みからは白くて丸い団子が二つ出てきた。私にちょうど良い量だった。
小さく微笑んだクロアは、体を起こして団子を一つ手に取ると、一口口にした。
『美味しい‥』
口に広がる仄かな甘味がちょうど良くてとても美味しい。
クロアはあいた手でもう一つの団子を手に取ると、そっとケイトの口元に持って行った。
『僕はもう食べましたよ』
『私はケイトと食べたいの』
“ぅ…”と小さく唸ったケイトは、一口で団子を口にし、クロアは嬉しそうに微笑むと、自分の分の団子の残りを口にした。
『美味しいな』
『‥はい』
ベッド脇の窓から見える月はじゃが芋の様にボコボコで歪で…いつか本の写真で見た
美しい
まん丸な体から綺麗に欠けていくその姿を見てみたいなと思った。
いつの日か…
「もう直ぐ治るだろう…」
いつの日か‥
きっと貴方と——…‥
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