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15
『ハヤト社長…好い加減に降りてきて下さい』
屋根裏部屋で真上を向いたケイトは、梁に上って澄ましているハヤトにそう言ったが、ハヤトは聞こえないとでも言いたそうに澄ましている。
全くもう…
『クロアさんを呼んで来ますよ』
最後の手段でそう言えば、ハヤトは困った様に梁の上をウロウロと歩き回った。
=定期検診=
その日、それぞれの社長に年に一度の定期検診を受けさせる為、ケイト・灯里・藍華・アリスは病院に来ていた。
アリア社長は朝からずっと泣いている。余程注射が嫌いな様だ。
「でっかい混んでますねぇ」
『まぁ、皆来るからね』
皆一斉に受けるからこんな事になるんだよなぁ…もっと細かく分けてくれたら良いのにな。
「んじゃ、一番手ヒメ社長行きま~す!」
『行ってらっしゃい』
ヒメを抱えて意気込んだ藍華がそう言ってカーテンの向こうに消えた瞬間、カーテンが勢い良く開き、ヒメ社長が高々と飛び出して来た。
『と…飛んだ』
ヒメ社長は凄い早さで部屋の中を逃げ惑う…こんなに素早く動くヒメ社長は初めて見た。
俊敏だなぁ‥
「見てないで捕まえて!!」
藍華の叫び声に肩を震わせてびっくりした三人は、慌ててヒメを捕まえに掛かる。
「で、でっかい素早いです‥」
「はひぃ~」
『ヒメ社長、大人しく注射受けて下さい!』
四人掛かりで十分掛かって漸くヒメ社長は捕まった。藍華はヒメを掴む様に抱えると、医者に突き出す。
「お騒がせしました」
「ヒメ社長は毎年元気ね」
そんな二人のやり取りとヒメの注射を覗いて見ていた灯里とアリスはすっと青くなった。
「い…いつも冷静なヒメ社長でもあれなんて」
『さてと‥』
ケイトはそっと逃げようとしているハヤトを捕まえると、さっさとカーテンの向こう側へと入っていった。
後ろから灯里とアリスがそっとついて来た。
『こんにちは、先生』
「こんにちは、ケイトちゃん」
医師の前の椅子に座ったケイトは、手にしたハヤトを抱え直して差し出した。
「ハヤト社長、直ぐ終わりますからね」
「ニィイ」
医師の言葉に可愛らしく笑ったハヤトは、懸垂の様に腕に力を入れて腰を上へと勢い良く持ち上げて注射を避け、そのまま足をケイトの顎へと当てた。
『グハッ』
「ケイトちゃん?!」
「で‥でっかいクリーンヒットです」
『ハヤト社長…』
注射を避け続けるハヤトを自分の方に向けたケイトは、怖いくらいにニッコリと微笑んだ。
『後でクロアさんに言い付けちゃいますよ』
「…………………二」
ケイトの言葉にピタッと大人しくなったハヤトは、素早くケイトの手から抜け出ると、ケイトの首に巻き付いた。
『グ‥じま゙っでる゙ぅ』
「ケイトちゃ——ん!!」
「ででででっかいピンチです!」
『ぜんぜぃ、今のうぢに‥』
「はいはい」
冷静にハヤト社長に注射をした先生は楽しそうに笑っていた。
僕、首絞まってるのにな…
「ハヤト社長も相変わらずね。ケイトちゃんの首に巻き付くなんて」
「いつもの事なんですか‥」
「でっかいビックリしました」
ケイトは首から離れたハヤトを抱えると、口を開いた。
『ハヤト社長は自分が怖いと思った事には必死に抵抗して、最終的にクロアさんの言う事しか聞かないんだ。クロアさんが居ない時にクロアさんの名前を出して脅すと、言う事は聞くけど…見ての通りしがみついてくるんだよね』
何よりも怒ったクロアさんを恐れるハヤト社長は、僕にしがみつく。否、巻き付く。
『去年同じめにあって、今年はクロアさんが行くって言ってたんだけど…仕事がね』
クロアが相手なら巻き付かずに大人しくするからクロアが行くとの事だったが、急遽常連からの仕事の電話がきたので、ケイトは無理矢理クロアを送り出してきたのだ。
『あ~‥疲れた』
灯里とアリスを置いてカーテンの外へと出たケイトは、そう言いながら椅子に沈んだ。
肩では緊張が取れたハヤトが眠たそうにうとうとしている。
「お疲れ様、ケイト」
『ぅ゙~…何か甘いもの食べたい』
「帰りに食べていきましょ」
『行く~』
「まあぁぁぁあぁあぁぁ!!」
『………何、今の?』
「……さぁ‥」
まぁ社長の叫び声なのは確かだったが、敢えて二人で無視を決め込んだ。
それぞれの社長の注射で疲れきっているのでソファーでゆっくりと灯里達が出てくるのを待つ事にしたのだ。
さて…帰ったら何から話そうか?
クロアさん‥
ハヤト社長は僕の顎を蹴りました。
ハヤト社長は今年も避けました。
ハヤト社長は頑張りました。
ハヤト社長は…
相変わらず貴女が大好きで‥
貴女に弱いみたいです——…‥
.
『ハヤト社長…好い加減に降りてきて下さい』
屋根裏部屋で真上を向いたケイトは、梁に上って澄ましているハヤトにそう言ったが、ハヤトは聞こえないとでも言いたそうに澄ましている。
全くもう…
『クロアさんを呼んで来ますよ』
最後の手段でそう言えば、ハヤトは困った様に梁の上をウロウロと歩き回った。
=定期検診=
その日、それぞれの社長に年に一度の定期検診を受けさせる為、ケイト・灯里・藍華・アリスは病院に来ていた。
アリア社長は朝からずっと泣いている。余程注射が嫌いな様だ。
「でっかい混んでますねぇ」
『まぁ、皆来るからね』
皆一斉に受けるからこんな事になるんだよなぁ…もっと細かく分けてくれたら良いのにな。
「んじゃ、一番手ヒメ社長行きま~す!」
『行ってらっしゃい』
ヒメを抱えて意気込んだ藍華がそう言ってカーテンの向こうに消えた瞬間、カーテンが勢い良く開き、ヒメ社長が高々と飛び出して来た。
『と…飛んだ』
ヒメ社長は凄い早さで部屋の中を逃げ惑う…こんなに素早く動くヒメ社長は初めて見た。
俊敏だなぁ‥
「見てないで捕まえて!!」
藍華の叫び声に肩を震わせてびっくりした三人は、慌ててヒメを捕まえに掛かる。
「で、でっかい素早いです‥」
「はひぃ~」
『ヒメ社長、大人しく注射受けて下さい!』
四人掛かりで十分掛かって漸くヒメ社長は捕まった。藍華はヒメを掴む様に抱えると、医者に突き出す。
「お騒がせしました」
「ヒメ社長は毎年元気ね」
そんな二人のやり取りとヒメの注射を覗いて見ていた灯里とアリスはすっと青くなった。
「い…いつも冷静なヒメ社長でもあれなんて」
『さてと‥』
ケイトはそっと逃げようとしているハヤトを捕まえると、さっさとカーテンの向こう側へと入っていった。
後ろから灯里とアリスがそっとついて来た。
『こんにちは、先生』
「こんにちは、ケイトちゃん」
医師の前の椅子に座ったケイトは、手にしたハヤトを抱え直して差し出した。
「ハヤト社長、直ぐ終わりますからね」
「ニィイ」
医師の言葉に可愛らしく笑ったハヤトは、懸垂の様に腕に力を入れて腰を上へと勢い良く持ち上げて注射を避け、そのまま足をケイトの顎へと当てた。
『グハッ』
「ケイトちゃん?!」
「で‥でっかいクリーンヒットです」
『ハヤト社長…』
注射を避け続けるハヤトを自分の方に向けたケイトは、怖いくらいにニッコリと微笑んだ。
『後でクロアさんに言い付けちゃいますよ』
「…………………二」
ケイトの言葉にピタッと大人しくなったハヤトは、素早くケイトの手から抜け出ると、ケイトの首に巻き付いた。
『グ‥じま゙っでる゙ぅ』
「ケイトちゃ——ん!!」
「ででででっかいピンチです!」
『ぜんぜぃ、今のうぢに‥』
「はいはい」
冷静にハヤト社長に注射をした先生は楽しそうに笑っていた。
僕、首絞まってるのにな…
「ハヤト社長も相変わらずね。ケイトちゃんの首に巻き付くなんて」
「いつもの事なんですか‥」
「でっかいビックリしました」
ケイトは首から離れたハヤトを抱えると、口を開いた。
『ハヤト社長は自分が怖いと思った事には必死に抵抗して、最終的にクロアさんの言う事しか聞かないんだ。クロアさんが居ない時にクロアさんの名前を出して脅すと、言う事は聞くけど…見ての通りしがみついてくるんだよね』
何よりも怒ったクロアさんを恐れるハヤト社長は、僕にしがみつく。否、巻き付く。
『去年同じめにあって、今年はクロアさんが行くって言ってたんだけど…仕事がね』
クロアが相手なら巻き付かずに大人しくするからクロアが行くとの事だったが、急遽常連からの仕事の電話がきたので、ケイトは無理矢理クロアを送り出してきたのだ。
『あ~‥疲れた』
灯里とアリスを置いてカーテンの外へと出たケイトは、そう言いながら椅子に沈んだ。
肩では緊張が取れたハヤトが眠たそうにうとうとしている。
「お疲れ様、ケイト」
『ぅ゙~…何か甘いもの食べたい』
「帰りに食べていきましょ」
『行く~』
「まあぁぁぁあぁあぁぁ!!」
『………何、今の?』
「……さぁ‥」
まぁ社長の叫び声なのは確かだったが、敢えて二人で無視を決め込んだ。
それぞれの社長の注射で疲れきっているのでソファーでゆっくりと灯里達が出てくるのを待つ事にしたのだ。
さて…帰ったら何から話そうか?
クロアさん‥
ハヤト社長は僕の顎を蹴りました。
ハヤト社長は今年も避けました。
ハヤト社長は頑張りました。
ハヤト社長は…
相変わらず貴女が大好きで‥
貴女に弱いみたいです——…‥
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