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14
『おはよーございま~す!』
「ニウゥ!」
ARIAカンパニーの下に着いたケイトとハヤトが舟 の上からそう叫ぶと、アリシアが“あらあら”と手摺りから顔を出した。
「おはようケイトちゃん」
『おはようございます!』
「うふふ、ハヤト社長もおはようございます」
「ニィ!」
アリシアさんは、いつもの様に優しい笑顔のまま鞄を肩に桟橋へと降りてきた。
「灯里ちゃんを迎えに来たのね」
アリシアはケイトに“練習頑張ってね”と言うと自分の舟 で仕事へと出掛けた。
瞬間、ARIAカンパニーから電話の呼び出し音が聞こえた。
「あ、ケイトちゃん、ちょっと待っててね!」
『は~い、はい』
電話を取りに行った灯里を見送ったケイトは、肩に乗ったハヤトを優しく撫でた。
『そういえば明後日は‥』
「はひぃ!!」
『………はひぃ?』
声と共に出て来た灯里は、手摺りに手を掛けると身を乗り出した。
「あ、アリシアさーん!!!」
=不安な想い=
アリスからの“SOS”電話の為、灯里に連れられてアリシアとオレンジぷらねっとに来たケイトは、アリスとアテナの部屋に入った瞬間、目を見開いた。
『クロアさん!』
部屋の真ん中にあるソファーに、仕事に出た筈のクロアが座っていたからだった。
クロアの隣に座ったアリスの表情は何故か酷く暗い。
『アリスからケイト宛てに電話があったんだけど、ケイト居なかったから…』
どうやら颯 にもSOS電話がきたらしい。
「いらっしゃいませ、お友達の方ですね?お待ちしておりました…どうぞ」
「え…あ、どうも」
そう言ってお茶を出してくるアテナさんには変な違和感がある。
アテナさんがドジらないなんて…
それに“お友達の方”って‥
「実は‥」
「私、記憶喪失になってしまったのです」
『………は?』
アリスの言葉を遮ってそう言ったアテナに、ケイトは思わずそう返した。
アリスが今日の朝起きた事を話してくれたが…いまいち信じられない。
アテナさんがまぁ社長の新品の帽子を壊してしまって…アリスが部屋を出て行こうとした瞬間にアテナさんがいつもの様に転び、気絶。
気が付いた時には‥
「…記憶喪失に加えて人格まで変わってしまったと?」
「はい‥もう私どうしたらいいか分からなくて…」
確かに‥どうしたらいいか分からない。
頭打って記憶喪失って‥
「あ…アリスちゃん、病院には連絡した?」
「そっか、まずは病院ですよね」
“多分”と自信なさげに答える灯里とあたふたとするアリスをよそに、アテナはふとアリアの腹に触れた。
「にゅっ」
「アリア社長、もうちょっと痩せないとその内糖尿病になりますよ」
ん……あれ?
「あ、アテナさん、名前!」
「アリア社長の名前分かったんですか?」
「あ、はい‥何かするりと出てきました」
アリア社長の名前がするりと出てきた‥?
ケイトは腕を組むと、黙って事の成り行きを見守っているクロアの隣へと腰を降ろした。
瞬間、アテナに歩み寄ったアリシアはニッコリと微笑んだ。
「アテナちゃん」
アリシアはそう一言口にすると、じっとアテナを見据え、アテナは困った様に一・二歩後退った。
「な…なぁに、アリシアちゃん」
また思い出した‥アリスや灯里が騒ぐ中、アリシアは楽しそうに微笑んだ。
「クロアちゃん」
『ん…』
小さく唸ったクロアは、立ち上がるとアリシアに並んだ。
『一時的なものだろう。今日一日は様子を見なさい』
「うふふ‥それで駄目なら明日病院にね」
冷静な二人の言葉に、アリスは唯頷いた。
「じゃあ私達は仕事に行ってくるわね」
「あ、ありがとうございました!」
『クロアさん、今日も頑張って下さいね』
ケイトの言葉に微かに微笑んだクロアは、アリシアと共に部屋を出て行った。
『さて…どうしようか?』
「お散歩しない?」
『散歩?』
「お散歩がてら馴染みの場所を歩いてみるの。もしかしたらお部屋にいるより回復が早いかも」
『なるほど…行ってみようか、アリス』
「は、はい!」
僕達は直ぐにアテナさんを街へ連れ出した。
思い出の場所へ言ってみたり、馴染みのお店を回ったり…ネオ・ヴェネチアを歩き回ったり。
途中で休憩を取る為にアテナさんのお気に入りだったホットチョコレートを飲みながらゆっくりと話をした。
『クロアさん、只今帰りました』
ホットチョコレートを飲んだカフェで灯里達と別れたケイトは、買い物袋を片手にハヤトと共に颯 へと帰ってきた。
今日の夕食の当番はケイトな上、今日は夜の仕事が入ってるので夕食を早めに済ませて仮眠をとるのだ。
『御帰り、ケイト…アテナはどうだった?』
『僕、途中で別れちゃったんで…これから電話をして今日の結果を聞いてみます』
クロアが食材を仕舞う中、ケイトはARIAカンパニーへと電話を掛けた。
オレンジぷらねっとに電話しても良いんだが…呼び出してもらうのが面倒臭い。
『あ、もしもし‥灯里?ん…そうだな…‥ん‥』
電話越しの灯里は何だかとても楽しそうだった。
何か良い事があったんだろうか?
『アテナさんはどうだった?』
ケイトの問いに受話器の向こうの灯里は可笑しそうに小さく笑ってから答えた。
『はぁ?!』
灯里に別れた後に起こった出来事を聞いたケイトは“はぁ”と息を吐きながら受話器を置いた。
『どうだった?』
『アテナさんの演技だったそうです。アリスが自分に愛想を尽かしたんじゃないかと不安になったみたいで…』
『そうか』
可笑しそうにクスリと笑ったクロアがソファーに腰を降ろし、ケイトはその隣へと腰を降ろした。
『もしかしてクロアさん‥気付いてたんですか?』
『勿論』
クロアの笑顔に、ケイトは溜め息を吐きながら背凭れに身を沈めた。
『何ですかそれぇ~‥』
『アリシアも気付いてたぞ』
『嘘ぉ…』
何で僕らは一日歩き回ったんだろう。
クロアは優しく頭を撫でると口を開いた。
『三大妖精も所詮は女だ。可愛い後輩にどう想われてるか気になり、不安になる事もある』
“アテナも悪気は無いんだ許してあげなさい”と言うクロアさんに少し意地悪がしたくなった。
『クロアさんはどうですか?』
『え‥?』
『クロアさんは僕の事で不安になりますか?』
クロアさんが絶対に自分から言わないだろう事をわざと聞いてみた。
良い返事を貰えると思っていた。だから‥
『ならないな』
はっきりと言い切られてショックを受けた。
目に見えて落ち込むケイトを見て、クロアは可笑しそうに笑うと、自分の膝に飛び乗ったハヤトを優しく撫でた。
『お前は態度に出過ぎる。私には不安になる理由がない』
ケイトは小さく笑うと“そうですか”と言ってクロアの肩に頭を預けた。
『大好きです、クロアさん』
僕が貴女を嫌う事は絶対無い。
僕を救った貴女を‥
僕は何よりも大切に想ってる。
だから僕は‥
大切な貴女を護りたい——…‥
.
『おはよーございま~す!』
「ニウゥ!」
ARIAカンパニーの下に着いたケイトとハヤトが
「おはようケイトちゃん」
『おはようございます!』
「うふふ、ハヤト社長もおはようございます」
「ニィ!」
アリシアさんは、いつもの様に優しい笑顔のまま鞄を肩に桟橋へと降りてきた。
「灯里ちゃんを迎えに来たのね」
アリシアはケイトに“練習頑張ってね”と言うと自分の
瞬間、ARIAカンパニーから電話の呼び出し音が聞こえた。
「あ、ケイトちゃん、ちょっと待っててね!」
『は~い、はい』
電話を取りに行った灯里を見送ったケイトは、肩に乗ったハヤトを優しく撫でた。
『そういえば明後日は‥』
「はひぃ!!」
『………はひぃ?』
声と共に出て来た灯里は、手摺りに手を掛けると身を乗り出した。
「あ、アリシアさーん!!!」
=不安な想い=
アリスからの“SOS”電話の為、灯里に連れられてアリシアとオレンジぷらねっとに来たケイトは、アリスとアテナの部屋に入った瞬間、目を見開いた。
『クロアさん!』
部屋の真ん中にあるソファーに、仕事に出た筈のクロアが座っていたからだった。
クロアの隣に座ったアリスの表情は何故か酷く暗い。
『アリスからケイト宛てに電話があったんだけど、ケイト居なかったから…』
どうやら
「いらっしゃいませ、お友達の方ですね?お待ちしておりました…どうぞ」
「え…あ、どうも」
そう言ってお茶を出してくるアテナさんには変な違和感がある。
アテナさんがドジらないなんて…
それに“お友達の方”って‥
「実は‥」
「私、記憶喪失になってしまったのです」
『………は?』
アリスの言葉を遮ってそう言ったアテナに、ケイトは思わずそう返した。
アリスが今日の朝起きた事を話してくれたが…いまいち信じられない。
アテナさんがまぁ社長の新品の帽子を壊してしまって…アリスが部屋を出て行こうとした瞬間にアテナさんがいつもの様に転び、気絶。
気が付いた時には‥
「…記憶喪失に加えて人格まで変わってしまったと?」
「はい‥もう私どうしたらいいか分からなくて…」
確かに‥どうしたらいいか分からない。
頭打って記憶喪失って‥
「あ…アリスちゃん、病院には連絡した?」
「そっか、まずは病院ですよね」
“多分”と自信なさげに答える灯里とあたふたとするアリスをよそに、アテナはふとアリアの腹に触れた。
「にゅっ」
「アリア社長、もうちょっと痩せないとその内糖尿病になりますよ」
ん……あれ?
「あ、アテナさん、名前!」
「アリア社長の名前分かったんですか?」
「あ、はい‥何かするりと出てきました」
アリア社長の名前がするりと出てきた‥?
ケイトは腕を組むと、黙って事の成り行きを見守っているクロアの隣へと腰を降ろした。
瞬間、アテナに歩み寄ったアリシアはニッコリと微笑んだ。
「アテナちゃん」
アリシアはそう一言口にすると、じっとアテナを見据え、アテナは困った様に一・二歩後退った。
「な…なぁに、アリシアちゃん」
また思い出した‥アリスや灯里が騒ぐ中、アリシアは楽しそうに微笑んだ。
「クロアちゃん」
『ん…』
小さく唸ったクロアは、立ち上がるとアリシアに並んだ。
『一時的なものだろう。今日一日は様子を見なさい』
「うふふ‥それで駄目なら明日病院にね」
冷静な二人の言葉に、アリスは唯頷いた。
「じゃあ私達は仕事に行ってくるわね」
「あ、ありがとうございました!」
『クロアさん、今日も頑張って下さいね』
ケイトの言葉に微かに微笑んだクロアは、アリシアと共に部屋を出て行った。
『さて…どうしようか?』
「お散歩しない?」
『散歩?』
「お散歩がてら馴染みの場所を歩いてみるの。もしかしたらお部屋にいるより回復が早いかも」
『なるほど…行ってみようか、アリス』
「は、はい!」
僕達は直ぐにアテナさんを街へ連れ出した。
思い出の場所へ言ってみたり、馴染みのお店を回ったり…ネオ・ヴェネチアを歩き回ったり。
途中で休憩を取る為にアテナさんのお気に入りだったホットチョコレートを飲みながらゆっくりと話をした。
『クロアさん、只今帰りました』
ホットチョコレートを飲んだカフェで灯里達と別れたケイトは、買い物袋を片手にハヤトと共に
今日の夕食の当番はケイトな上、今日は夜の仕事が入ってるので夕食を早めに済ませて仮眠をとるのだ。
『御帰り、ケイト…アテナはどうだった?』
『僕、途中で別れちゃったんで…これから電話をして今日の結果を聞いてみます』
クロアが食材を仕舞う中、ケイトはARIAカンパニーへと電話を掛けた。
オレンジぷらねっとに電話しても良いんだが…呼び出してもらうのが面倒臭い。
『あ、もしもし‥灯里?ん…そうだな…‥ん‥』
電話越しの灯里は何だかとても楽しそうだった。
何か良い事があったんだろうか?
『アテナさんはどうだった?』
ケイトの問いに受話器の向こうの灯里は可笑しそうに小さく笑ってから答えた。
『はぁ?!』
灯里に別れた後に起こった出来事を聞いたケイトは“はぁ”と息を吐きながら受話器を置いた。
『どうだった?』
『アテナさんの演技だったそうです。アリスが自分に愛想を尽かしたんじゃないかと不安になったみたいで…』
『そうか』
可笑しそうにクスリと笑ったクロアがソファーに腰を降ろし、ケイトはその隣へと腰を降ろした。
『もしかしてクロアさん‥気付いてたんですか?』
『勿論』
クロアの笑顔に、ケイトは溜め息を吐きながら背凭れに身を沈めた。
『何ですかそれぇ~‥』
『アリシアも気付いてたぞ』
『嘘ぉ…』
何で僕らは一日歩き回ったんだろう。
クロアは優しく頭を撫でると口を開いた。
『三大妖精も所詮は女だ。可愛い後輩にどう想われてるか気になり、不安になる事もある』
“アテナも悪気は無いんだ許してあげなさい”と言うクロアさんに少し意地悪がしたくなった。
『クロアさんはどうですか?』
『え‥?』
『クロアさんは僕の事で不安になりますか?』
クロアさんが絶対に自分から言わないだろう事をわざと聞いてみた。
良い返事を貰えると思っていた。だから‥
『ならないな』
はっきりと言い切られてショックを受けた。
目に見えて落ち込むケイトを見て、クロアは可笑しそうに笑うと、自分の膝に飛び乗ったハヤトを優しく撫でた。
『お前は態度に出過ぎる。私には不安になる理由がない』
ケイトは小さく笑うと“そうですか”と言ってクロアの肩に頭を預けた。
『大好きです、クロアさん』
僕が貴女を嫌う事は絶対無い。
僕を救った貴女を‥
僕は何よりも大切に想ってる。
だから僕は‥
大切な貴女を護りたい——…‥
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