burrasca
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
1
素敵な出来事は…
ため息橋で起りました。
=ため息橋=
藍華ちゃん、アリスちゃんとの合同練習が無いある日の昼下がり。
アリア社長を連れて自主練習に出掛けた私は途中、休憩の為のんびりゆっくりと舟 を漕いでいました。
ぽかぽかな日差しを浴びて、ゴロゴロと寝転がるアリア社長を見ながらゆったりまったりと流れる時間…そんな時間を満喫していた私達がため息橋を通過した直後に、私の頭目掛けて……猫さんが降って来ました。
「はひ?!ね、ねねね猫さん?!!」
頭に覆い被さった猫を慌てて抱き上げると、手足が短くて胴と耳の長い可愛らしい火星猫さんでした。
「はひ…こんにちは、猫さ」
『くぉら——ッ!!!』
「はひっ?!」
短く悲鳴という名の奇声を上げた灯里は、頭上から降り注ぐ怒鳴り声の主を確認する為、橋を見上げた。
肩口で切り揃えられた薄茶色の髪に蒼眼の少女が橋の手摺りから身を乗り出していた。
『社長、むやみやたらに橋から飛ば無いで下さい!通行人に迷惑ですし、僕も思わず巻き舌に…って、アリア社長!』
「ぷぃにゅ~」
少女はアリア社長を知っているらしく、名前を呼ばれたアリア社長は、いつもの様に可愛らしく返事をした。
橋から降りて舟 に着地した少女を乗せた灯里は、再び舟 を漕ぎ出した。
少女はアリア社長を抱き締めたりして遊んでいたが、ふと灯里に顔を向けた。
『ごめん、名乗ってなかったね…僕は颯 のケイト、この胴長はハヤト社長。君はARIAの新人さんの水無 灯里でしょ?』
「はひ、そうです」
自己紹介序での僕の質問に、灯里はそう答えた……はひって何だろ?
僕は立ち上がると灯里のオールに触れ、ニッコリ笑って見せた。
『僕が漕ぐよ』
灯里が座ったのを確認すると、灯里から受け取ったオールを一振りし、舟 を漕ぎ出しす。
速度は少し早めに…
お腹が空いてるから早く帰りたかった。
ARIAカンパニーの帰り道沿いの丁度良い所まで乗せて貰おう。
「ケイトちゃん、上手だね!」
灯里の言葉に腕と言わず、身体全体が固まったのが自分でも良く分かった。あと、凄く鳥肌が立った。
『あ‥のさ…呼捨てで良いよ』
ちゃん付けは慣れない。くすぐったいし、気恥ずかしい。ゾワゾワする。ゾワゾワ…
「はひ…ケイト…‥ちゃん」
今度は灯里が固まる番だった。
『うん‥無理しなくて良いや』
僕が慣れる事にするよ、うん。だってきっとその方が早いし…
似たり寄ったりな水路を暫く漕ぐと、見慣れた分れ道に辿り着いた。
左に行けばARIA、右に行けば颯だ。
どう考えてもここが限界だ。
オールを灯里に投げる様に手渡したケイトは、ハヤトを肩に乗せると舟 を飛び降りた。帽子に手を添えて、カツンとヒールの音を立てて着地する。
あぁ、お腹空いた。
『バイバイ、灯里』
「あ‥ケイトちゃん!!」
軽く手を振って帰路につこうとしたケイトは、声を掛けられて後ろを振り返った。灯里はオールを抱き締めて話を切り出した。
「よかったら!えっと…私と合同練習しない?」
『合同練習?』
「あのね今、姫屋の藍華ちゃんとオレンジぷらねっとのアリスちゃんの三人でしてるの!」
姫屋の藍華っていえば姫屋の跡取り娘だし、オレンジぷらねっとのアリスってもしかして天才少女の…?
…楽しそうじゃん。
『良いよ』
それに一人で練習するよりはいくらかは良い筈だ。
「じゃあ、明日の朝ARIAカンパニーに来てね!藍華ちゃん達も来る予定だから」
『了~解』
ケイトは軽く手を振ると、颯に向かって歩き出した。
肩に乗ったハヤト社長が眉間に皺を寄せて頬擦りをしてきた。
『大丈夫。バレやしないよ、社長』
颯に帰ると、美味しそうな香りが漂っていた。僕の遅めの昼食の筈だ。
僕はレストランで食べるよりもこっちが良い。美味しいし、何より大好きな人が待っていてくれるから…それに大好きな人が作った食事だしね。
『御帰り、ケイト』
出迎えてくれたのは大好きな人、クロアさん。
短い銀髪と蒼い瞳が綺麗な、右目に眼帯を付けた美人さんだ。
『遅くなりました、クロアさん。突然ですが僕、明日から合同練習に参加してもいいですか?』
今日のメニューはカルボナーラらしい。
話しながらもクロアさんの手は止まらず、皿に盛られたパスタのてっぺんに半熟卵が落とされる。
『合同練習って‥』
『ARIAカンパニーの新人と姫屋の跡取り娘‥後、オレンジぷらねっとの天才少女と一緒に』
『…‥そう、いいわ。不思議な組み合わせね』
クロアがパスタの乗った皿をテーブルに置き、フォークを二本手に取ったケイトは席に着いてクロアにフォークを一本手渡した。
『ですよね!僕も少し驚きました』
“運命ってあるんでしょうか”と問い掛けてくるケイトに、クロアは“さぁ”と答えると、水の入ったグラスを二つ、テーブルに置いて椅子に腰掛けた。
“いただきます”と言って美味しそうに食べるケイトを見て、クロアは優しく微笑んだ。
『そう言えば…天才少女ってどういう風に天才なんでしょうね?』
知識があるのか‥それとも技術があるのか。
『お前も一応は天才だ』
そう言ってパスタを口に運んだクロアを、ケイトは不服そうに見据えた。
『一応ってなんですか、一応って‥』
一応ってかなり微妙だ。もっとはっきりしてほしい。
『一応は一応。私は後十五分で午後の予約運営開始‥自主練習するなり、店番をするなり好きになさい』
ケイトとは比べ物にならない程少ない量のパスタを完食したクロアは、皿を片付けると、制服の一部であるポンチョと帽子を身に付けた。
『行ってくる』
『はい。じゃあ、僕は自主練習しておきます』
クロアはケイトの頭を一撫ですると、颯を後にした。
御待ちしておりました。
颯のクロンティア・心葉・ヴァータジアークにございます。
クロアと御呼び下さい。
さぁ…
御手をどうぞ——…‥
.
素敵な出来事は…
ため息橋で起りました。
=ため息橋=
藍華ちゃん、アリスちゃんとの合同練習が無いある日の昼下がり。
アリア社長を連れて自主練習に出掛けた私は途中、休憩の為のんびりゆっくりと
ぽかぽかな日差しを浴びて、ゴロゴロと寝転がるアリア社長を見ながらゆったりまったりと流れる時間…そんな時間を満喫していた私達がため息橋を通過した直後に、私の頭目掛けて……猫さんが降って来ました。
「はひ?!ね、ねねね猫さん?!!」
頭に覆い被さった猫を慌てて抱き上げると、手足が短くて胴と耳の長い可愛らしい火星猫さんでした。
「はひ…こんにちは、猫さ」
『くぉら——ッ!!!』
「はひっ?!」
短く悲鳴という名の奇声を上げた灯里は、頭上から降り注ぐ怒鳴り声の主を確認する為、橋を見上げた。
肩口で切り揃えられた薄茶色の髪に蒼眼の少女が橋の手摺りから身を乗り出していた。
『社長、むやみやたらに橋から飛ば無いで下さい!通行人に迷惑ですし、僕も思わず巻き舌に…って、アリア社長!』
「ぷぃにゅ~」
少女はアリア社長を知っているらしく、名前を呼ばれたアリア社長は、いつもの様に可愛らしく返事をした。
橋から降りて
少女はアリア社長を抱き締めたりして遊んでいたが、ふと灯里に顔を向けた。
『ごめん、名乗ってなかったね…僕は
「はひ、そうです」
自己紹介序での僕の質問に、灯里はそう答えた……はひって何だろ?
僕は立ち上がると灯里のオールに触れ、ニッコリ笑って見せた。
『僕が漕ぐよ』
灯里が座ったのを確認すると、灯里から受け取ったオールを一振りし、
速度は少し早めに…
お腹が空いてるから早く帰りたかった。
ARIAカンパニーの帰り道沿いの丁度良い所まで乗せて貰おう。
「ケイトちゃん、上手だね!」
灯里の言葉に腕と言わず、身体全体が固まったのが自分でも良く分かった。あと、凄く鳥肌が立った。
『あ‥のさ…呼捨てで良いよ』
ちゃん付けは慣れない。くすぐったいし、気恥ずかしい。ゾワゾワする。ゾワゾワ…
「はひ…ケイト…‥ちゃん」
今度は灯里が固まる番だった。
『うん‥無理しなくて良いや』
僕が慣れる事にするよ、うん。だってきっとその方が早いし…
似たり寄ったりな水路を暫く漕ぐと、見慣れた分れ道に辿り着いた。
左に行けばARIA、右に行けば颯だ。
どう考えてもここが限界だ。
オールを灯里に投げる様に手渡したケイトは、ハヤトを肩に乗せると
あぁ、お腹空いた。
『バイバイ、灯里』
「あ‥ケイトちゃん!!」
軽く手を振って帰路につこうとしたケイトは、声を掛けられて後ろを振り返った。灯里はオールを抱き締めて話を切り出した。
「よかったら!えっと…私と合同練習しない?」
『合同練習?』
「あのね今、姫屋の藍華ちゃんとオレンジぷらねっとのアリスちゃんの三人でしてるの!」
姫屋の藍華っていえば姫屋の跡取り娘だし、オレンジぷらねっとのアリスってもしかして天才少女の…?
…楽しそうじゃん。
『良いよ』
それに一人で練習するよりはいくらかは良い筈だ。
「じゃあ、明日の朝ARIAカンパニーに来てね!藍華ちゃん達も来る予定だから」
『了~解』
ケイトは軽く手を振ると、颯に向かって歩き出した。
肩に乗ったハヤト社長が眉間に皺を寄せて頬擦りをしてきた。
『大丈夫。バレやしないよ、社長』
颯に帰ると、美味しそうな香りが漂っていた。僕の遅めの昼食の筈だ。
僕はレストランで食べるよりもこっちが良い。美味しいし、何より大好きな人が待っていてくれるから…それに大好きな人が作った食事だしね。
『御帰り、ケイト』
出迎えてくれたのは大好きな人、クロアさん。
短い銀髪と蒼い瞳が綺麗な、右目に眼帯を付けた美人さんだ。
『遅くなりました、クロアさん。突然ですが僕、明日から合同練習に参加してもいいですか?』
今日のメニューはカルボナーラらしい。
話しながらもクロアさんの手は止まらず、皿に盛られたパスタのてっぺんに半熟卵が落とされる。
『合同練習って‥』
『ARIAカンパニーの新人と姫屋の跡取り娘‥後、オレンジぷらねっとの天才少女と一緒に』
『…‥そう、いいわ。不思議な組み合わせね』
クロアがパスタの乗った皿をテーブルに置き、フォークを二本手に取ったケイトは席に着いてクロアにフォークを一本手渡した。
『ですよね!僕も少し驚きました』
“運命ってあるんでしょうか”と問い掛けてくるケイトに、クロアは“さぁ”と答えると、水の入ったグラスを二つ、テーブルに置いて椅子に腰掛けた。
“いただきます”と言って美味しそうに食べるケイトを見て、クロアは優しく微笑んだ。
『そう言えば…天才少女ってどういう風に天才なんでしょうね?』
知識があるのか‥それとも技術があるのか。
『お前も一応は天才だ』
そう言ってパスタを口に運んだクロアを、ケイトは不服そうに見据えた。
『一応ってなんですか、一応って‥』
一応ってかなり微妙だ。もっとはっきりしてほしい。
『一応は一応。私は後十五分で午後の予約運営開始‥自主練習するなり、店番をするなり好きになさい』
ケイトとは比べ物にならない程少ない量のパスタを完食したクロアは、皿を片付けると、制服の一部であるポンチョと帽子を身に付けた。
『行ってくる』
『はい。じゃあ、僕は自主練習しておきます』
クロアはケイトの頭を一撫ですると、颯を後にした。
御待ちしておりました。
颯のクロンティア・心葉・ヴァータジアークにございます。
クロアと御呼び下さい。
さぁ…
御手をどうぞ——…‥
.
1/36ページ