第2章 秘密ノ謳
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62
悪い意味で‥
しつこい者は嫌いだ。
==
『後はセブルスとリーマスね』
十二月のある日、麗は椿と凌だけを連れてホグズミードに来ていた。クリスマスプレゼントを買いに来たのだ。
ホグズミードの道を歩きながら、宙に浮かせた沢山のプレゼントを魔法で消し、自室に送る。
『セブルスには…今年も本を上げて、リーマスは脱狼用のオルゴールを改良させてもらおうと思うの』
「俺等には何くれるの~?」
「椿、それは聞くものじゃ無いよ」
『凌の言う通りよ、椿』
二人に上げる物は既に決っていた。
だがプレゼントという物は、当日まで黙っていた方が良い物だ。
「今日は、姫」
『また貴方達なの…?』
会話を楽しんでいた三人を黒子の集団が取り囲む。
前よりも人数が増えている。
「麗様‥」
「麗、コイツ等何?」
麗を庇う様に凌が麗の前に立ち、椿が麗と背中を合わせる様に後ろに立つ。
『多分アレンを襲った方の下っ端で…私のストーカーさんよ』
そう言うと、目の前の凌がピクリと反応した。
「ストーカーとは穏やかでは無いですね、姫」
黒子は困った様に頬を掻くが、困っているのはこっちだ。
『間違ってはいないわ。貴方達は私の前に二回程しつこく現れている』
「はぁ~?おい、テメェ等ふざけ…」
「殺しますか」
『止めなさい、凌』
麗は凌の腕に自分の腕を絡めると、凌が暴走するのを止める。
凌は私に甘くて困る…でも気持ちは凄く嬉しい。
『昼間にこんな所に集団で来ちゃって良いのかしら?凄く目立ってるわよ、貴方達』
何も言わない黒子達を見て麗は溜め息を吐いた。
『ついて来なさい、場所を変える』
麗は凌の腕を離すと、一歩前へ出て二人を振り返った。
『二人は此処に』
「麗様!」
「麗、それはいくら何でも駄目だよ」
『私がこの者達より劣ると?』
黒子達が多少反応したが、気にする気は無い。
「そうではありませんが…麗様、どうか」
『なら大丈夫じゃない。必ず貴方達の所へ戻るわ』
「麗様…」
「……凌…麗の好きに」
「…分かった」
二人は本当に優しい。
『行ってくるね』
麗は微笑むと黒子達と共にその場を後にし、ホグズミードの森へと歩いて行った。
さりげなく自分に有利な…程良く木々が生えている所に誘導した。
『それで…何用で来たの?また何時もと同じ理由?』
「はい、姫…御主人様は此の間のライブにて、更に姫を手に入れたくなった様で…」
『あら、居らしてたの?…まあ、良いわ。
私には行く気はありません。
行く意味等無いのだから』
「いえ、御主じ‥」
『もう言う事はありません。
私は帰ります。
還るべき場所へ…』
言うべき事だけを述べて立ち去ろうとする麗を、黒子達は逃がさない様に取り囲んだ。
「来て頂きます」
『退きなさい』
麗は黒子を見据えると、再び口を開いた。
『私は“刹”の誇りかけて、私が認めた者以外の手には落ち無い。
力が劣った訳でも、心奪われた訳でも無い…
しかも自分の姿を見せない者なんか私は会いたくも無い』
「しかし…」
『しつこい。
私は失せろと言っているんだ』
「っ…」
麗の冷たい瞳を見、黒子達は思わず数歩後退った。
必死なのは分かるが、こういう他人に迷惑を掛けるしつこさは嫌いだ。
「黙って聞いていれば…
本当にしつこい奴等じゃの‥」
そう声と共に近くの木陰から桜華が現れ、黒子達は驚いて目を見開いた。
麗と瓜二つの少女が気配も無しに立っていたのだ、驚くのも無理は無かった。
「久々の刺客じゃと思ったのに何じゃ、此の腰抜の雑魚共は」
桜華は鼻で笑うと片膝を付き、片手の掌を地に付けると呟く。
「“我が兄弟達よ‥
我が妖力を乗せて詠え…
我等が為に舞え…
妾に力を貸しておくれ”」
瞬間、樹々の枝‥そして地を突き破って伸びてきた根が黒子達を捕らえる様に巻き付く。
悲鳴を上げながら逃げ惑う黒子達が次々と捕まっていく中、一人の黒子が枝や根の間をすり抜け魔法で木に火を放った。
『“霹麗”!!』
麗が叫ぶと一瞬にして天から雨が降り注ぎ、木に燃え移った火を綺麗に消した。
「済まぬな、麗」
『後で燃えてしまった部分を治してやろう‥な、桜華』
「そうじゃな」
桜華は麗に向かって微笑むと“さて”と呟き、黒子達を睨み付けた。
「雑魚が…
妾の兄弟に火を放ちおって‥
まさか生きて帰れるとは思っとらんじゃろな?」
「ひ…ッ」
火を放った黒子にも枝や根が巻き付く。
首を絞めそうな‥
へし折りそうな勢いだった。
『桜華、殺してはならん。
生かしておけ…
無駄な殺生は好かん』
「…‥勿論じゃ‥
だが、殺しはせぬが妾の好きにさせてもらうぞ」
『好きにしろ。
私は椿と凌の所に戻る』
好きにしろと言われた桜華はニッコリ微笑むと麗を見送った。
麗が見えなくなると枝が空中に椅子を造り、桜華を持ち上げ、そこに座らせる。
「さて、雑魚共…
覚悟は出来とろうな?
妾は麗の様に優しくは無いぞ」
「こちらで全てで宜しいですか?」
麗は凌に髪飾りを付けてもらいながら、店員に向かって微笑んだ。
『はい、御願いします』
椿は他の店員に何かしてもらっている様だ。
楽しそうに何かしている。
「50500ガリオンになります。
お荷物の方はどうなさいます?
御届け先へ送りましょうか?」
『いえ、届けてくれる子達がいますんで』
「かしこまりました」
「麗、見て~!」
そう言うと同時に麗に抱き付いた椿の頭には、可愛らしいリボンが付いていた。
どうやら店員にこれを付けてもらっていたらしい。
『あら、可愛い』
正直、凌が付けた方が似合いそうだが、椿が付けても十分可愛い。
麗に“可愛い”と言われた椿は嬉しそうに表情を緩めると麗を更に抱き締めた。
「麗、帰ってケーキ作るんだろ~?
俺、チョコシフォンが良い!!」
『はい、はい、チョコシフォンね。
凌は何が良い?』
「いえ‥麗様が大変ですので私は結構で…」
『凌は林檎のトルテが好きだったわよね』
断ろうとした凌の言葉を遮り、麗が告げた言葉に、凌は嬉しそうに微笑んだ。
「はい、麗様」
麗はプレゼントの御勘定を済ませると、荷物を魔法で消し、ホグワーツの森へと向かった。
此処には沢山友達が居る‥
『皆、御願いね』
「宜しくな~」
「鳥の皆さん、御気を付けて」
クリスマスイヴの夜‥
ホグワーツの森の鳥達が荷物を一つずつ持ち、空へと飛び立つ。
『さぁ、帰りましょう』
ホワイトクリスマスに‥
なると良いな――…‥
悪い意味で‥
しつこい者は嫌いだ。
==
『後はセブルスとリーマスね』
十二月のある日、麗は椿と凌だけを連れてホグズミードに来ていた。クリスマスプレゼントを買いに来たのだ。
ホグズミードの道を歩きながら、宙に浮かせた沢山のプレゼントを魔法で消し、自室に送る。
『セブルスには…今年も本を上げて、リーマスは脱狼用のオルゴールを改良させてもらおうと思うの』
「俺等には何くれるの~?」
「椿、それは聞くものじゃ無いよ」
『凌の言う通りよ、椿』
二人に上げる物は既に決っていた。
だがプレゼントという物は、当日まで黙っていた方が良い物だ。
「今日は、姫」
『また貴方達なの…?』
会話を楽しんでいた三人を黒子の集団が取り囲む。
前よりも人数が増えている。
「麗様‥」
「麗、コイツ等何?」
麗を庇う様に凌が麗の前に立ち、椿が麗と背中を合わせる様に後ろに立つ。
『多分アレンを襲った方の下っ端で…私のストーカーさんよ』
そう言うと、目の前の凌がピクリと反応した。
「ストーカーとは穏やかでは無いですね、姫」
黒子は困った様に頬を掻くが、困っているのはこっちだ。
『間違ってはいないわ。貴方達は私の前に二回程しつこく現れている』
「はぁ~?おい、テメェ等ふざけ…」
「殺しますか」
『止めなさい、凌』
麗は凌の腕に自分の腕を絡めると、凌が暴走するのを止める。
凌は私に甘くて困る…でも気持ちは凄く嬉しい。
『昼間にこんな所に集団で来ちゃって良いのかしら?凄く目立ってるわよ、貴方達』
何も言わない黒子達を見て麗は溜め息を吐いた。
『ついて来なさい、場所を変える』
麗は凌の腕を離すと、一歩前へ出て二人を振り返った。
『二人は此処に』
「麗様!」
「麗、それはいくら何でも駄目だよ」
『私がこの者達より劣ると?』
黒子達が多少反応したが、気にする気は無い。
「そうではありませんが…麗様、どうか」
『なら大丈夫じゃない。必ず貴方達の所へ戻るわ』
「麗様…」
「……凌…麗の好きに」
「…分かった」
二人は本当に優しい。
『行ってくるね』
麗は微笑むと黒子達と共にその場を後にし、ホグズミードの森へと歩いて行った。
さりげなく自分に有利な…程良く木々が生えている所に誘導した。
『それで…何用で来たの?また何時もと同じ理由?』
「はい、姫…御主人様は此の間のライブにて、更に姫を手に入れたくなった様で…」
『あら、居らしてたの?…まあ、良いわ。
私には行く気はありません。
行く意味等無いのだから』
「いえ、御主じ‥」
『もう言う事はありません。
私は帰ります。
還るべき場所へ…』
言うべき事だけを述べて立ち去ろうとする麗を、黒子達は逃がさない様に取り囲んだ。
「来て頂きます」
『退きなさい』
麗は黒子を見据えると、再び口を開いた。
『私は“刹”の誇りかけて、私が認めた者以外の手には落ち無い。
力が劣った訳でも、心奪われた訳でも無い…
しかも自分の姿を見せない者なんか私は会いたくも無い』
「しかし…」
『しつこい。
私は失せろと言っているんだ』
「っ…」
麗の冷たい瞳を見、黒子達は思わず数歩後退った。
必死なのは分かるが、こういう他人に迷惑を掛けるしつこさは嫌いだ。
「黙って聞いていれば…
本当にしつこい奴等じゃの‥」
そう声と共に近くの木陰から桜華が現れ、黒子達は驚いて目を見開いた。
麗と瓜二つの少女が気配も無しに立っていたのだ、驚くのも無理は無かった。
「久々の刺客じゃと思ったのに何じゃ、此の腰抜の雑魚共は」
桜華は鼻で笑うと片膝を付き、片手の掌を地に付けると呟く。
「“我が兄弟達よ‥
我が妖力を乗せて詠え…
我等が為に舞え…
妾に力を貸しておくれ”」
瞬間、樹々の枝‥そして地を突き破って伸びてきた根が黒子達を捕らえる様に巻き付く。
悲鳴を上げながら逃げ惑う黒子達が次々と捕まっていく中、一人の黒子が枝や根の間をすり抜け魔法で木に火を放った。
『“霹麗”!!』
麗が叫ぶと一瞬にして天から雨が降り注ぎ、木に燃え移った火を綺麗に消した。
「済まぬな、麗」
『後で燃えてしまった部分を治してやろう‥な、桜華』
「そうじゃな」
桜華は麗に向かって微笑むと“さて”と呟き、黒子達を睨み付けた。
「雑魚が…
妾の兄弟に火を放ちおって‥
まさか生きて帰れるとは思っとらんじゃろな?」
「ひ…ッ」
火を放った黒子にも枝や根が巻き付く。
首を絞めそうな‥
へし折りそうな勢いだった。
『桜華、殺してはならん。
生かしておけ…
無駄な殺生は好かん』
「…‥勿論じゃ‥
だが、殺しはせぬが妾の好きにさせてもらうぞ」
『好きにしろ。
私は椿と凌の所に戻る』
好きにしろと言われた桜華はニッコリ微笑むと麗を見送った。
麗が見えなくなると枝が空中に椅子を造り、桜華を持ち上げ、そこに座らせる。
「さて、雑魚共…
覚悟は出来とろうな?
妾は麗の様に優しくは無いぞ」
「こちらで全てで宜しいですか?」
麗は凌に髪飾りを付けてもらいながら、店員に向かって微笑んだ。
『はい、御願いします』
椿は他の店員に何かしてもらっている様だ。
楽しそうに何かしている。
「50500ガリオンになります。
お荷物の方はどうなさいます?
御届け先へ送りましょうか?」
『いえ、届けてくれる子達がいますんで』
「かしこまりました」
「麗、見て~!」
そう言うと同時に麗に抱き付いた椿の頭には、可愛らしいリボンが付いていた。
どうやら店員にこれを付けてもらっていたらしい。
『あら、可愛い』
正直、凌が付けた方が似合いそうだが、椿が付けても十分可愛い。
麗に“可愛い”と言われた椿は嬉しそうに表情を緩めると麗を更に抱き締めた。
「麗、帰ってケーキ作るんだろ~?
俺、チョコシフォンが良い!!」
『はい、はい、チョコシフォンね。
凌は何が良い?』
「いえ‥麗様が大変ですので私は結構で…」
『凌は林檎のトルテが好きだったわよね』
断ろうとした凌の言葉を遮り、麗が告げた言葉に、凌は嬉しそうに微笑んだ。
「はい、麗様」
麗はプレゼントの御勘定を済ませると、荷物を魔法で消し、ホグワーツの森へと向かった。
此処には沢山友達が居る‥
『皆、御願いね』
「宜しくな~」
「鳥の皆さん、御気を付けて」
クリスマスイヴの夜‥
ホグワーツの森の鳥達が荷物を一つずつ持ち、空へと飛び立つ。
『さぁ、帰りましょう』
ホワイトクリスマスに‥
なると良いな――…‥