第2章 秘密ノ謳
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53
『ッ…!!』
真夜中に飛び起きた麗は、自分を抱き締める様にしてベッドの上で丸まった。
此の頃、身体の様子が可笑しい。
麗は隣で寝ている鼬の紙園を起こさない様に撫でると、飛び起きるまでしていた様に布団に潜り込んだ。
『大丈夫…』
=狼の願望=
《只今、50対10でハッフルパフがリード!!》
アレン・マクスウェルの破天荒な実況解説が何時もの様に響き渡る。
今日はグリフィンドール対ハッフルパフの試合だ。
だがいつもは圧勝するグリフィンドールが何故か今日は押されている。チェイサーのパス回しが崩れているからだった。
《グリフィンドールのチェイサー、麗の様子が可笑しいですね…調子が悪いんでしょうか?》
「麗、大丈夫なの?!」
「駄目よ~、体調は整えとかないと~」
アレンに見抜かれ、シーラとリザが近付いて来て、心配そうに麗の顔を覗き込んだ。
『大丈夫よ、姉様方』
麗はニッコリ微笑むが、内心は大丈夫ではなかった。
尋常じゃない程強烈な睡魔と動悸が麗を襲っていた。
『一気にケリをつけちゃいましょ、姉様方!!』
麗は再び微笑むと、リザからパスを受けてリザ、シーラと共に敵のゴールに突っ込んで行った。
私が倒れる前に終らせなければならない。
《麗の動きが戻りました!!グリフィンドールゴール!!!10点追加です!》
『眠…い……』
クィディッチの試合を終えた麗はユニフォームのまま翡翠、蒼と共にふらふらとした足取りでホグワーツの森を進む。
試合は、ジェームズがスニッチを取ってグリフィンドールが勝った。
「麗、お前寝た方が良いんじゃねぇか?」
『今寝たら夜が大変だもん…』
麗を抱き上げようとする翡翠の腕を擦り抜け、麗は喋り続ける。
『二人に頼み事があるの』
「何だ…?」
『蒼はアースの所、翡翠は魔法省に行ってほしいの…』
「分かった」
蒼は直ぐにそう返事をしたが、翡翠は嫌そうに表情を歪めた。
「魔法省なんて紙園に行かせろよ」
『紙園は今、アルバスの所に行ってるわ…私は用事があるから魔法省には行けないの…書類を取ってくるだけで良いから行ってきてくれない?』
「……分かった」
翡翠は渋々了承すると来た道をUターンし、ホグワーツに向かった。
『蒼、これ御願いね』
麗は翡翠を見送ると、懐から出した封筒を蒼に渡した。
「任せろ」
蒼は鷹に戻ると一気に上昇し、飛び去った。
御免ね…翡翠、蒼…
「上手い追い払い方やな」
蒼が見えなくなると、声と同時に麗の後ろに砕覇が現れた。
『砕覇が皆と仲良く出来たら追い払いは必要無いんだけど?』
「そないな事言うてもなぁ~俺は仲良ぉしとるつもりなんやけど」
砕覇は拗ねた様に頬を膨らますと、麗に後ろから抱き付いた。
『じゃあ、単に砕覇が皆の苦手な部類に入るだけか…』
「酷ッ!!」
砕覇の腕からすり抜けた麗は、膝から崩れる様に草原に座り込んだ。
『っ…まぁ、魔法省に呼ばれてたのは嘘じゃ無いし』
「何なん?書類なら梟に任せたら良ぇやん」
砕覇は麗の隣に寝転ぶと麗の腕を掴み、倒す様に引き寄せて抱き締めると擦り寄った。
『大事な書類なんだってさ…後、小父様が呼んでるんだって』
「何であんな奴の事“小父様”とか呼ぶん?アイツは呼び捨てで十分やで」
そうは言っても、甘くは無いし、礼儀というモノは必要だ。
『呼べ呼べ煩いんだよ彼奴は…煩い上にしつこい…』
「最悪やな」
不平等なあの人を正直、今直ぐにでも魔法大臣の座から引き摺り降ろしたい。
なにせ魔法大臣なのだ。全てを平等に見れる人が相応しい。
『でも彼だって欲に目が眩まなければ良い人だし、何より』
あぁ…眠い。
瞼が重い…
『彼も…役に…た…つ……と……く…が……‥』
麗は眠気を払おうとし喋り続けるが、勝てずに眠りに落ちた。
「やっと寝たな…」
砕覇は腕の中の麗の頭を一撫ですると、そっと離れて起き上がった。
「九尾と鷹と鼬は常日頃一緒に居るのに何で判らんのやろね?麗がこないに無理して頑張ぅてるのに……阿呆やね」
砕覇は胡坐をかくと麗の頭を愛おしそうに撫で続けた。
「俺は麗と居るのがいっちゃん好きなんや…麗と生きてて幸せや…
俺な、幸せでいたいんや。せやから頑張ってや、麗……麗が居らへんかったら話にならんやろ?」
何で…何で、何で…何で……
「最悪、俺が一緒になったるさかい…せやから絶対生きてや…麗……」
何でなんやろね…
何で麗は人間なんやろ。
何でこんなにも脆く崩れ易い…
儚い生き物なんやろ。
麗…
俺、別れるんは絶対嫌や…
触ってたいんや…
いつもみたいにふざけて、他愛もない話をして、笑いあって…抱き締めあって…
時には俺の為に怒ったり、泣いたり……
そうやってずっと…
ずっと───…
何で麗は死んでしまうモノなんやろね…
他のもんは全て滅んだって良ぇのに──…
『ッ…!!』
真夜中に飛び起きた麗は、自分を抱き締める様にしてベッドの上で丸まった。
此の頃、身体の様子が可笑しい。
麗は隣で寝ている鼬の紙園を起こさない様に撫でると、飛び起きるまでしていた様に布団に潜り込んだ。
『大丈夫…』
=狼の願望=
《只今、50対10でハッフルパフがリード!!》
アレン・マクスウェルの破天荒な実況解説が何時もの様に響き渡る。
今日はグリフィンドール対ハッフルパフの試合だ。
だがいつもは圧勝するグリフィンドールが何故か今日は押されている。チェイサーのパス回しが崩れているからだった。
《グリフィンドールのチェイサー、麗の様子が可笑しいですね…調子が悪いんでしょうか?》
「麗、大丈夫なの?!」
「駄目よ~、体調は整えとかないと~」
アレンに見抜かれ、シーラとリザが近付いて来て、心配そうに麗の顔を覗き込んだ。
『大丈夫よ、姉様方』
麗はニッコリ微笑むが、内心は大丈夫ではなかった。
尋常じゃない程強烈な睡魔と動悸が麗を襲っていた。
『一気にケリをつけちゃいましょ、姉様方!!』
麗は再び微笑むと、リザからパスを受けてリザ、シーラと共に敵のゴールに突っ込んで行った。
私が倒れる前に終らせなければならない。
《麗の動きが戻りました!!グリフィンドールゴール!!!10点追加です!》
『眠…い……』
クィディッチの試合を終えた麗はユニフォームのまま翡翠、蒼と共にふらふらとした足取りでホグワーツの森を進む。
試合は、ジェームズがスニッチを取ってグリフィンドールが勝った。
「麗、お前寝た方が良いんじゃねぇか?」
『今寝たら夜が大変だもん…』
麗を抱き上げようとする翡翠の腕を擦り抜け、麗は喋り続ける。
『二人に頼み事があるの』
「何だ…?」
『蒼はアースの所、翡翠は魔法省に行ってほしいの…』
「分かった」
蒼は直ぐにそう返事をしたが、翡翠は嫌そうに表情を歪めた。
「魔法省なんて紙園に行かせろよ」
『紙園は今、アルバスの所に行ってるわ…私は用事があるから魔法省には行けないの…書類を取ってくるだけで良いから行ってきてくれない?』
「……分かった」
翡翠は渋々了承すると来た道をUターンし、ホグワーツに向かった。
『蒼、これ御願いね』
麗は翡翠を見送ると、懐から出した封筒を蒼に渡した。
「任せろ」
蒼は鷹に戻ると一気に上昇し、飛び去った。
御免ね…翡翠、蒼…
「上手い追い払い方やな」
蒼が見えなくなると、声と同時に麗の後ろに砕覇が現れた。
『砕覇が皆と仲良く出来たら追い払いは必要無いんだけど?』
「そないな事言うてもなぁ~俺は仲良ぉしとるつもりなんやけど」
砕覇は拗ねた様に頬を膨らますと、麗に後ろから抱き付いた。
『じゃあ、単に砕覇が皆の苦手な部類に入るだけか…』
「酷ッ!!」
砕覇の腕からすり抜けた麗は、膝から崩れる様に草原に座り込んだ。
『っ…まぁ、魔法省に呼ばれてたのは嘘じゃ無いし』
「何なん?書類なら梟に任せたら良ぇやん」
砕覇は麗の隣に寝転ぶと麗の腕を掴み、倒す様に引き寄せて抱き締めると擦り寄った。
『大事な書類なんだってさ…後、小父様が呼んでるんだって』
「何であんな奴の事“小父様”とか呼ぶん?アイツは呼び捨てで十分やで」
そうは言っても、甘くは無いし、礼儀というモノは必要だ。
『呼べ呼べ煩いんだよ彼奴は…煩い上にしつこい…』
「最悪やな」
不平等なあの人を正直、今直ぐにでも魔法大臣の座から引き摺り降ろしたい。
なにせ魔法大臣なのだ。全てを平等に見れる人が相応しい。
『でも彼だって欲に目が眩まなければ良い人だし、何より』
あぁ…眠い。
瞼が重い…
『彼も…役に…た…つ……と……く…が……‥』
麗は眠気を払おうとし喋り続けるが、勝てずに眠りに落ちた。
「やっと寝たな…」
砕覇は腕の中の麗の頭を一撫ですると、そっと離れて起き上がった。
「九尾と鷹と鼬は常日頃一緒に居るのに何で判らんのやろね?麗がこないに無理して頑張ぅてるのに……阿呆やね」
砕覇は胡坐をかくと麗の頭を愛おしそうに撫で続けた。
「俺は麗と居るのがいっちゃん好きなんや…麗と生きてて幸せや…
俺な、幸せでいたいんや。せやから頑張ってや、麗……麗が居らへんかったら話にならんやろ?」
何で…何で、何で…何で……
「最悪、俺が一緒になったるさかい…せやから絶対生きてや…麗……」
何でなんやろね…
何で麗は人間なんやろ。
何でこんなにも脆く崩れ易い…
儚い生き物なんやろ。
麗…
俺、別れるんは絶対嫌や…
触ってたいんや…
いつもみたいにふざけて、他愛もない話をして、笑いあって…抱き締めあって…
時には俺の為に怒ったり、泣いたり……
そうやってずっと…
ずっと───…
何で麗は死んでしまうモノなんやろね…
他のもんは全て滅んだって良ぇのに──…