第2章 秘密ノ謳
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「初めましてディーヴァ、御見知りおきを」
麗は一礼した男に倣い、自分も一礼する。
『御会い出来て光栄ですわ』
光栄なんかでは無かった。
私はこの人達の事を知らないし、きっと大抵の参加者は私の友達達を見下すと分かっていたから。
情報収集の為でなければ…
この人達等、正直どうでも良いのだから。
=闇の中へ=
新学期開始三日前…
麗はルシウス・マルフォイの招待により、マルフォイ家のパーティーに一人来ていた。
人脈を広げる為に来たが、家族は誰も連れて来なかったし、今日はレギュラスもラバスタンもロドルファスも居ないのできっと後で怒られるだろう。
「ディーヴァは今後の事はどうお考えで?」
『今後…将来的な問題でしょうか』
「卒業後ですな」
麗は持っていたグラスに口を付けた。
ブラック、レストレンジ、カロー、仲は良いと思っていたのだが…どこも招待されていないのは“そういう事”なのだろう。
特にマルフォイからしたらブラックが居ては不利な事もある。まぉ、私も個人的に人脈を広げ様と来たのだから何も言えないが。
『特には…まだ時間もありますし考え中で』
「我が家に来ませんか」
『はい?』
「聞きました所、ディーヴァはダンブルドアの養子とか。息子がディーヴァの五つ上で…私が言うのもなんですが、良い奴でして」
このパターンは初めてだ。皆、私をルシウスの恋人か何かだと思って話し掛けてくるから…
「麗、退屈かね?」
そう黙っていたルシウスが口にした瞬間、結婚話を持ち掛けた男はビクリと肩を震わせた。
『そんな事ないわ…それに貴方がいるから大丈夫』
隣に立ったルシウスの腕に頭を預けながら、麗はそう返した。
「休むか?静かな部屋へ案内するが」
そう言ってルシウスが麗の頭にキスを落とすと、そわそわとしていた男は一人、その場を離れて行った。
「馬鹿者め、人のテリトリーで交渉をするなど」
「はは、ディーヴァを義娘にねぇ…悪くないが場所も選べぬか。次は無いな」
『ふふ、御二人共辛口ね』
「あまり絡まれぬ様にな。純血では無いとはいえお前は容姿も力も魅力的だ」
ルシウスはそう言って麗のグラスを取った。
「待っていろ、新しい飲み物を持ってくる 」
『有難う、ルシウス』
ルシウスは話をしていた二人の魔法使いに一礼すると立ち去り、麗もルシウスに倣って一礼した。
ドレスの裾を掴んで軽く頭を下げると、少し離れた壁際に立った。
そして一通り会場を見回すと、目を閉じた。意識を集中させて会場の会話を盗み取る。
勿論、全て聞き取る事は出来無いし、聞き取れても断片的なものもある。
血と金と権力、妬み憎しみ牽制。具体的な内容は分からないが、聞こえてくる声の中には死喰い人も居るだろうと思った。
「詰まら無いのか?」
『ト…!』
反射的に目を開いた麗が声の主の名前を口にしようとした瞬間、その口は大きな手で塞がれてしまった。
「余り大きな声でその名前を呼ぶな、麗…まぁ、その名で無くても困るがな」
そう言うと声の主はゆっくりと麗の口を塞いでいた手を離した。
『御免なさい、トム』
「金曜ぶりだな、麗」
『そうね…トムは何で此処にいるの?』
「招待を受けた。いつもは受けないんだが良い事がある予感がしたからな」
そう言うとトムは持っていたワインを口にした。アルコールの香りがふわりと香る。
『良い事はあった?』
トムはグラスから口を離すと麗を見て微笑んだ。
「あぁ、あったぞ」
『そう、良かった』
麗が微笑むとトムは麗の頬にキスを落とした。
トムの顔が近付いてワインの香りが強くなった。酔いそうだ…
「麗がルシウスと知り合いだとは知らなかった」
知らなかった…?
という事はルシウスは私の事をトムに話していない事になる。
『…トムはルシウスと知り合いなの?』
「あぁ、ちょっとな」
トムは麗の頬に再度キスすると、優しく頭を撫でた。
「俺はもう帰る…次の金曜にいつも所でな、麗」
『えぇ、分かったわ』
瞬間トムは消え去り、麗は飲み物を手に戻ってきたルシウスと共に再びパーティーに参加した。
翡翠達を連れて来なくて良かった。
少しであろうとあの子達を人間の汚い闇の中に置きたくは無かった。
願わくばこの先も関わらせたくは無いが、そんな事は勿論無理だろう。
現に関わらせてしまっていた過去があるのだから…
あの子達はきっと…いや、絶対に。
私を助けようとする──…
「初めましてディーヴァ、御見知りおきを」
麗は一礼した男に倣い、自分も一礼する。
『御会い出来て光栄ですわ』
光栄なんかでは無かった。
私はこの人達の事を知らないし、きっと大抵の参加者は私の友達達を見下すと分かっていたから。
情報収集の為でなければ…
この人達等、正直どうでも良いのだから。
=闇の中へ=
新学期開始三日前…
麗はルシウス・マルフォイの招待により、マルフォイ家のパーティーに一人来ていた。
人脈を広げる為に来たが、家族は誰も連れて来なかったし、今日はレギュラスもラバスタンもロドルファスも居ないのできっと後で怒られるだろう。
「ディーヴァは今後の事はどうお考えで?」
『今後…将来的な問題でしょうか』
「卒業後ですな」
麗は持っていたグラスに口を付けた。
ブラック、レストレンジ、カロー、仲は良いと思っていたのだが…どこも招待されていないのは“そういう事”なのだろう。
特にマルフォイからしたらブラックが居ては不利な事もある。まぉ、私も個人的に人脈を広げ様と来たのだから何も言えないが。
『特には…まだ時間もありますし考え中で』
「我が家に来ませんか」
『はい?』
「聞きました所、ディーヴァはダンブルドアの養子とか。息子がディーヴァの五つ上で…私が言うのもなんですが、良い奴でして」
このパターンは初めてだ。皆、私をルシウスの恋人か何かだと思って話し掛けてくるから…
「麗、退屈かね?」
そう黙っていたルシウスが口にした瞬間、結婚話を持ち掛けた男はビクリと肩を震わせた。
『そんな事ないわ…それに貴方がいるから大丈夫』
隣に立ったルシウスの腕に頭を預けながら、麗はそう返した。
「休むか?静かな部屋へ案内するが」
そう言ってルシウスが麗の頭にキスを落とすと、そわそわとしていた男は一人、その場を離れて行った。
「馬鹿者め、人のテリトリーで交渉をするなど」
「はは、ディーヴァを義娘にねぇ…悪くないが場所も選べぬか。次は無いな」
『ふふ、御二人共辛口ね』
「あまり絡まれぬ様にな。純血では無いとはいえお前は容姿も力も魅力的だ」
ルシウスはそう言って麗のグラスを取った。
「待っていろ、新しい飲み物を持ってくる 」
『有難う、ルシウス』
ルシウスは話をしていた二人の魔法使いに一礼すると立ち去り、麗もルシウスに倣って一礼した。
ドレスの裾を掴んで軽く頭を下げると、少し離れた壁際に立った。
そして一通り会場を見回すと、目を閉じた。意識を集中させて会場の会話を盗み取る。
勿論、全て聞き取る事は出来無いし、聞き取れても断片的なものもある。
血と金と権力、妬み憎しみ牽制。具体的な内容は分からないが、聞こえてくる声の中には死喰い人も居るだろうと思った。
「詰まら無いのか?」
『ト…!』
反射的に目を開いた麗が声の主の名前を口にしようとした瞬間、その口は大きな手で塞がれてしまった。
「余り大きな声でその名前を呼ぶな、麗…まぁ、その名で無くても困るがな」
そう言うと声の主はゆっくりと麗の口を塞いでいた手を離した。
『御免なさい、トム』
「金曜ぶりだな、麗」
『そうね…トムは何で此処にいるの?』
「招待を受けた。いつもは受けないんだが良い事がある予感がしたからな」
そう言うとトムは持っていたワインを口にした。アルコールの香りがふわりと香る。
『良い事はあった?』
トムはグラスから口を離すと麗を見て微笑んだ。
「あぁ、あったぞ」
『そう、良かった』
麗が微笑むとトムは麗の頬にキスを落とした。
トムの顔が近付いてワインの香りが強くなった。酔いそうだ…
「麗がルシウスと知り合いだとは知らなかった」
知らなかった…?
という事はルシウスは私の事をトムに話していない事になる。
『…トムはルシウスと知り合いなの?』
「あぁ、ちょっとな」
トムは麗の頬に再度キスすると、優しく頭を撫でた。
「俺はもう帰る…次の金曜にいつも所でな、麗」
『えぇ、分かったわ』
瞬間トムは消え去り、麗は飲み物を手に戻ってきたルシウスと共に再びパーティーに参加した。
翡翠達を連れて来なくて良かった。
少しであろうとあの子達を人間の汚い闇の中に置きたくは無かった。
願わくばこの先も関わらせたくは無いが、そんな事は勿論無理だろう。
現に関わらせてしまっていた過去があるのだから…
あの子達はきっと…いや、絶対に。
私を助けようとする──…