第2章 秘密ノ謳
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図書室の閲覧禁止の棚に一番近い、窓際の静かな席は…
大好きな場所の一つだ。
=放課後の図書室=
放課後の図書室の一角…
閲覧禁止の棚に一番近い窓際の席。そこが麗の好きな席だが、セブルスと勉強する時は大抵、二人は窓際に並んだ席の真ん中辺りを使っていた。
繰り広げられる薬学の話…近くを通る生徒はその内容に驚き、聞きたくないとばかりに手で耳を塞ぎながら、足早に二人の座っている席を通り過ぎる。
「俺はもう帰るからな」
セブルスが手早く荷物を纏めて席を立ち、麗は随分と長くなった前髪を掻き上げながら顔を上げた。
『御疲れ様、セブルス…今度、部屋に遊びに来てね。御茶しましょ』
「…ポッター達と鉢合わせするのは嫌だぞ」
麗は軽く溜め息を吐くと、開いていた本を閉じた。
『相変わらず…仲良くはなれないのね』
「無理に決まってるだろう」
『……それもそうね。時間を知らせるからその時間に来て、ジェームズ達が来ても上手く追い払っておくから』
「なら良い。じゃあな、麗」
『えぇ、セブルス』
麗は立ち去るセブルスを手を振って見送ると、お気に入りの席に移動し、鞄からレターセットと万年筆を取り出し手紙を書き出した。
手紙を書きながら耳に付いたピアスにそっと触れた。多少回復してきた今、動物用の笛を吹いて蒼を呼ぶよりピアスを使った方が会話も出来るし便利だ。翡翠や紙園が近くに居ても嫌な顔をしないし。
手紙を書き終わり、レターセットや万年筆を鞄に終っていると図書室の窓から大鷹が入って来た。
大鷹…蒼は麗の肩に足を掛けて止まると首を傾げた。
『“アース”の所まで御願いね』
軽く頷いてみせた蒼は、麗の握っていた手紙を加えると、窓から飛び去って行った。
蒼を見送った麗は、閲覧禁止の棚から手頃な本を持ち出し、ゆっくりと読書に耽 ける。
いくら図書室といえど多少は煩いものだが、此の席は禁書の棚に近い為、人気が無く静かで好きだ。
静かな上、アルバスに禁書を読むのを許可されているので都合が良い。筈だった。
「麗、何読んでんだ?」
いきなり現れたアレンが、そう言いながら後ろから本を覗き込んできた。
『アレン…珍しいわね、生徒が…アレンがここまで来る何て』
アレンは向かいの席に座るとニカッと歯を見せて笑った。
「麗がいるから来た」
『…何で私がいるって分かったの?』
癖で常に気配を消している私の気を感じ取る事は家族しか出来無い筈だし、第一気を感じとるなんてアレンには出来無い筈だ。
「何かこの頃、麗が何処にいるか分かる様になってきたんだ」
分かる…感じるって事?私を?
『あぁ…』
そうか…そうなんだ──…
『蘇生の影響だわ』
「蘇生の…?」
麗は頷くと読んでいた本をパタンと閉じた。
『アレン、貴方の命は私の命を分けた様な形になっているわ。私の術の所為でね…だから私の命と貴方の命が同調しちゃってるのよ』
術というモノは成功すれば強大な威力をもたらすモノだ。
そしてそれ相応の代価が必要となる。
『だから貴方は私の存在を感じとる事が出来る様になった』
私の力は精神が不安定だと暴走するから…それに今の私はまだ力が麻痺している。
麗は読んでいた本を持って立ち上がると、禁書の棚の元あった所に返した。
「そっか…って麗、お前禁書読んでたのかよ」
『許可は取ってあるわ』
麗は元の席に着くとアレンを見据えた。
『ねぇ、アレン…貴方、闇の力をどう思う?』
「闇の力?そうだな…どう考えても良いもんには見えねぇけど」
アレンは何と言ったら良いか分からないらしく、眉を寄せて考え込んだ。
『服従の呪文をかけられてしまっている人と、本当はかけられていないけどかけられた演技をしている人…貴方はどうやって見分ける?』
「開心術とか…」
『そうね…でも、相手が使い手だったら意味が無いわ』
麗にあっさり返され、アレンは再び悩み出した。
『…不公平よね。闇を求める方法は簡単に見付かるのに…光を求める方法は簡単には見付から無い…寧ろ倍難しいわ』
だから人は迷い、踏み違える。
自分に“何故か”と問い掛けながら…
『闇は進み良くとも後戻りは出来ず…光は進みは難しいが抜ける事は楽だ…』
麗は窓の外で手を振っている仕掛人達を見付け、微笑みながら軽く手を振り返した。
『何故、人は禁忌を犯さずにはいられないのかしらね…禁忌の先には破滅しか待ってないのに』
アレンは何も言えず、何処か自分の手の届かない所に行ってしまいそうな…そんな麗の手を離さないように堅く握り締めた。
私にも禁忌の代償が…
破滅が訪れる…
近い未来に──…
図書室の閲覧禁止の棚に一番近い、窓際の静かな席は…
大好きな場所の一つだ。
=放課後の図書室=
放課後の図書室の一角…
閲覧禁止の棚に一番近い窓際の席。そこが麗の好きな席だが、セブルスと勉強する時は大抵、二人は窓際に並んだ席の真ん中辺りを使っていた。
繰り広げられる薬学の話…近くを通る生徒はその内容に驚き、聞きたくないとばかりに手で耳を塞ぎながら、足早に二人の座っている席を通り過ぎる。
「俺はもう帰るからな」
セブルスが手早く荷物を纏めて席を立ち、麗は随分と長くなった前髪を掻き上げながら顔を上げた。
『御疲れ様、セブルス…今度、部屋に遊びに来てね。御茶しましょ』
「…ポッター達と鉢合わせするのは嫌だぞ」
麗は軽く溜め息を吐くと、開いていた本を閉じた。
『相変わらず…仲良くはなれないのね』
「無理に決まってるだろう」
『……それもそうね。時間を知らせるからその時間に来て、ジェームズ達が来ても上手く追い払っておくから』
「なら良い。じゃあな、麗」
『えぇ、セブルス』
麗は立ち去るセブルスを手を振って見送ると、お気に入りの席に移動し、鞄からレターセットと万年筆を取り出し手紙を書き出した。
手紙を書きながら耳に付いたピアスにそっと触れた。多少回復してきた今、動物用の笛を吹いて蒼を呼ぶよりピアスを使った方が会話も出来るし便利だ。翡翠や紙園が近くに居ても嫌な顔をしないし。
手紙を書き終わり、レターセットや万年筆を鞄に終っていると図書室の窓から大鷹が入って来た。
大鷹…蒼は麗の肩に足を掛けて止まると首を傾げた。
『“アース”の所まで御願いね』
軽く頷いてみせた蒼は、麗の握っていた手紙を加えると、窓から飛び去って行った。
蒼を見送った麗は、閲覧禁止の棚から手頃な本を持ち出し、ゆっくりと読書に
いくら図書室といえど多少は煩いものだが、此の席は禁書の棚に近い為、人気が無く静かで好きだ。
静かな上、アルバスに禁書を読むのを許可されているので都合が良い。筈だった。
「麗、何読んでんだ?」
いきなり現れたアレンが、そう言いながら後ろから本を覗き込んできた。
『アレン…珍しいわね、生徒が…アレンがここまで来る何て』
アレンは向かいの席に座るとニカッと歯を見せて笑った。
「麗がいるから来た」
『…何で私がいるって分かったの?』
癖で常に気配を消している私の気を感じ取る事は家族しか出来無い筈だし、第一気を感じとるなんてアレンには出来無い筈だ。
「何かこの頃、麗が何処にいるか分かる様になってきたんだ」
分かる…感じるって事?私を?
『あぁ…』
そうか…そうなんだ──…
『蘇生の影響だわ』
「蘇生の…?」
麗は頷くと読んでいた本をパタンと閉じた。
『アレン、貴方の命は私の命を分けた様な形になっているわ。私の術の所為でね…だから私の命と貴方の命が同調しちゃってるのよ』
術というモノは成功すれば強大な威力をもたらすモノだ。
そしてそれ相応の代価が必要となる。
『だから貴方は私の存在を感じとる事が出来る様になった』
私の力は精神が不安定だと暴走するから…それに今の私はまだ力が麻痺している。
麗は読んでいた本を持って立ち上がると、禁書の棚の元あった所に返した。
「そっか…って麗、お前禁書読んでたのかよ」
『許可は取ってあるわ』
麗は元の席に着くとアレンを見据えた。
『ねぇ、アレン…貴方、闇の力をどう思う?』
「闇の力?そうだな…どう考えても良いもんには見えねぇけど」
アレンは何と言ったら良いか分からないらしく、眉を寄せて考え込んだ。
『服従の呪文をかけられてしまっている人と、本当はかけられていないけどかけられた演技をしている人…貴方はどうやって見分ける?』
「開心術とか…」
『そうね…でも、相手が使い手だったら意味が無いわ』
麗にあっさり返され、アレンは再び悩み出した。
『…不公平よね。闇を求める方法は簡単に見付かるのに…光を求める方法は簡単には見付から無い…寧ろ倍難しいわ』
だから人は迷い、踏み違える。
自分に“何故か”と問い掛けながら…
『闇は進み良くとも後戻りは出来ず…光は進みは難しいが抜ける事は楽だ…』
麗は窓の外で手を振っている仕掛人達を見付け、微笑みながら軽く手を振り返した。
『何故、人は禁忌を犯さずにはいられないのかしらね…禁忌の先には破滅しか待ってないのに』
アレンは何も言えず、何処か自分の手の届かない所に行ってしまいそうな…そんな麗の手を離さないように堅く握り締めた。
私にも禁忌の代償が…
破滅が訪れる…
近い未来に──…