第1章 始マリノ謳
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33
春休みも終わりに近付いたそんなある日。
書庫で読書に耽っていた麗の元に四通の手紙が届いた。
空色と漆黒、緋色と純白の四通だった。
──親愛なる麗―
一緒にダイアゴン横丁へ新学期の買い物に行かないか?良い返事を待ってるよ!
―アレン・マクスウェル──
──親愛なる麗―
元気にしているか私の麗、君が病気にでもなっていないか心配だよ。まぁ、君の事だから簡単には病気にはならないと思うが…
ところで明日我が家でパーティーを開くのだが来ないかね?
是非麗を招待したいのだが…
一緒にドレスが届いている筈だ。両親に麗の事を話したら是非と言っていてな。
では良い返事を待っている。
―ルシウス・マルフォイ──
──親愛なる麗―
明日ルシウスの家でパーティーがあるんだってさ。
俺、同伴麗が良いから…というか麗じゃなきゃ嫌だから一緒に来てよ。直ぐ返事頂戴。
―レギュラス・ブラック──
──親愛なる麗―
兄貴に聞いたんだけど、明日マルフォイ家でパーティーがあるみたいなんだ。だから一緒に行こうぜ!
レギュラスに誘われてもついてっちゃ駄目だぞ!!
―ラバスタン・レストレンジ──
困った。
流石にドレスを送られたのに断るのは気が引ける…が、仮にアレンの誘いを断ってマルフォイ家のパーティーをとったとしよう。
私は誰と行けば良いんだろう?
レギュラスと行ったらラバスタンが怒るし、ラバスタンと行けばレギュラスが怒る。
レギュラスと行った場合、レギュラスの兄であるシリウスに会ったらどうしたら良いだろうか?
ラバスタンと行った場合はラバスタンの兄であるロドルファスと話せて楽しさが二倍になるが、婚約者のベラトリックスに申し訳無い。
そもそも二人のどちらかと行っても良いんだろうか?
シリウスは一人だと思っているかも…?
『……ダメだ。分からない』
こうなるとアレンを優先したい。
教科書はもう全部揃っているけども、純粋にアレンと買い物を楽しんでみたいと思った。
書庫で頭を抱えて散々悩んだ麗は羊皮紙とペンを引っ張り出して返事を書き始めた。
=招待状=
『教科書はこれで全部よね』
麗はアレンと二人でダイアゴン横丁に来ていた。
「悪いな麗、俺の買い物に付き合わせて」
麗は趣味の書物を…アレンは新学期の教科書を持って本屋を出た。
『あら、謝るのは私の方よ。教科書を買ってあるのを言い忘れたのは私なんだから…それに私はアレンとの買い物を楽しみに来たのよ?楽しいから良いじゃない!』
「そうだな」
麗がニッコリと微笑むと、アレンも優しく微笑み返した。こういうのんびりした時間は大好きだ。
二人は魔法で本を仕舞いながら話し続けたが、暫く歩くと、麗がふと足を止め、風に乗った香りを辿った。
『ねぇアレン、御茶しよ?』
「良いけど俺の奢りな?」
麗は少し考えると微笑んだ。
『良いわよ。でも今度私の部屋に御茶しに来て私の作ったお菓子を食べる事が条件よ?』
そう言うと、アレンは笑いながら私の頭を撫でた。何故皆、私の頭を撫でるのかしら?
「分かった、今度行くよ」
麗は嬉しそうに笑ったが、何かを思いだし言い直した。
『やっぱり今度じゃなくて明日来て、宴の後にね』
「了解、姫さん」
二人は紅茶を飲みながら互いの寮やクィディッチについて話した。
時々授業の話になったが続きはしない。二人共特に勉強が好きと言うわけではなかった。
『薬学は特にダメなのよ…芋虫潰したりとは本当に辛くてもう…』
「でもスラグホーンに気に入られてなかったっけ?」
『あぁ、それが本当に意味が分からなくて…』
「麗」
そう呼ばれて顔を上げると、少し疲れた蒼が立っていた。
『蒼?何でここにいるの?』
「手紙が…きっと見た方がいい」
『まぁ、有難う』
ピアスの回線を切ってしまったので、この為に態々ホグワーツを出てダイアゴン横丁を探し回ってくれてのだろう。
本当に良い子なんだから…
『え』
手紙を開けた麗はそう洩らした。
「どうした?」
「……直ぐとは言わないが…もう少しで戻った方が良いだろう」
『蒼、開けないで良く分かったね』
「アイツは頭が回るししつこい」
何か失礼だが、確かにその通りだ。
「大丈夫、麗?急用?」
『あぁ…私、どうしたら良いかな分からないし、アレンと買い物したかったからパーティーの招待を断ったのよ』
「へぇ、パーティー…スリザリン?」
『えぇ、結果がコレよ』
麗に手紙を向けられ、アレンを身を乗り出して手紙を覗き込んだ。
「“アレンとの買い物って、それって昼だろ?19:00に迎えに行くから準備しといてね。あ、もし早く出れる様なら連絡してな”」
「アイツに誰とどこに行くか教えるから行けないんだ」
『だって、聞かれたから…』
「凄いな、ラバスタン!」
アレンは楽しそうに声を上げて笑った。
確かに凄い。断られて用事の内容を聞き、解決策?を提示してくるとは…
「嫌じゃ無かったら行ってやんなよ、麗!」
『御免なさいね、アレン』
「まぁ、俺も夕方には帰す予定だったし。仮にも校長先生のお孫さんだしなぁ」
『あー…』
確かにそういう設定ではあるけど、かなり放任だから関係無いと思う。
本当の孫じゃ無いし、私が守るべき対象で無い事をアルバスは知っているし…
「レギュラスとか怒りそうだけど」
『あぁ、それが一番怖いわ』
そう、私はルシウスとレギュラスの誘いを断ったのだ。
「まだ早いけど、もう帰って支度してやんなよ」
『本当に御免ね、アレン』
「良いよ、次の約束も出来たし」
麗は蒼の手を取ると一緒にカフェを後にした。
「あ!出て来…あ?何で蒼と居るんだ?」
ずっと静かに待っていたシリウスの声にジェームズは溜め息を吐いた。
「知らないよー」
あ──…お腹空いた。
ダイアゴン横丁に買い物に来ていた僕達、悪戯仕掛人は…現在、買い物を中断している。
「たく…そもそも何でこんな時に限って麗は紙園を肩に乗せて無いんだ?」
「ふふふ、何を考えてるんだろうね、翡翠達は」
シリウスとリーマスはさっきからずっとこの調子だ。
麗とマクスウェルが二人で買い物をしているのを見付けた途端、買い物を中断してこの騒ぎ…結果こっそり後をつけている。
「蒼に代わったからいいか」
「ほんと何でマクスウェルなんだろうねぇ」
僕も気になるけどさ…お腹が空いてそれ所では無い。しかもピーターが追い付けずに迷子状態だ。
捜すの面倒臭いな。そう思った瞬間…
「ッ…」
擦れ違い様に通行人にぶつかってしまった。
「済みません…あの、大丈夫でしたか?」
ぶつかった相手…黒いローブのフードをすっぽりと被った男は、ジェームズの話を聞いていなかった。
男は麗をじっと見、不機嫌そうに眉を寄せると、足早にその場を去って行った。
「麗のファンかな?」
この後三十分程…僕がお腹が空き過ぎて気持ち悪くなって、麗が蒼と漏れ鍋から姿を消すまでずっと、ストーカー紛いな行為が続いた。
そんなに好きならいっそ告白すれば良いのに…
春休みも終わりに近付いたそんなある日。
書庫で読書に耽っていた麗の元に四通の手紙が届いた。
空色と漆黒、緋色と純白の四通だった。
──親愛なる麗―
一緒にダイアゴン横丁へ新学期の買い物に行かないか?良い返事を待ってるよ!
―アレン・マクスウェル──
──親愛なる麗―
元気にしているか私の麗、君が病気にでもなっていないか心配だよ。まぁ、君の事だから簡単には病気にはならないと思うが…
ところで明日我が家でパーティーを開くのだが来ないかね?
是非麗を招待したいのだが…
一緒にドレスが届いている筈だ。両親に麗の事を話したら是非と言っていてな。
では良い返事を待っている。
―ルシウス・マルフォイ──
──親愛なる麗―
明日ルシウスの家でパーティーがあるんだってさ。
俺、同伴麗が良いから…というか麗じゃなきゃ嫌だから一緒に来てよ。直ぐ返事頂戴。
―レギュラス・ブラック──
──親愛なる麗―
兄貴に聞いたんだけど、明日マルフォイ家でパーティーがあるみたいなんだ。だから一緒に行こうぜ!
レギュラスに誘われてもついてっちゃ駄目だぞ!!
―ラバスタン・レストレンジ──
困った。
流石にドレスを送られたのに断るのは気が引ける…が、仮にアレンの誘いを断ってマルフォイ家のパーティーをとったとしよう。
私は誰と行けば良いんだろう?
レギュラスと行ったらラバスタンが怒るし、ラバスタンと行けばレギュラスが怒る。
レギュラスと行った場合、レギュラスの兄であるシリウスに会ったらどうしたら良いだろうか?
ラバスタンと行った場合はラバスタンの兄であるロドルファスと話せて楽しさが二倍になるが、婚約者のベラトリックスに申し訳無い。
そもそも二人のどちらかと行っても良いんだろうか?
シリウスは一人だと思っているかも…?
『……ダメだ。分からない』
こうなるとアレンを優先したい。
教科書はもう全部揃っているけども、純粋にアレンと買い物を楽しんでみたいと思った。
書庫で頭を抱えて散々悩んだ麗は羊皮紙とペンを引っ張り出して返事を書き始めた。
=招待状=
『教科書はこれで全部よね』
麗はアレンと二人でダイアゴン横丁に来ていた。
「悪いな麗、俺の買い物に付き合わせて」
麗は趣味の書物を…アレンは新学期の教科書を持って本屋を出た。
『あら、謝るのは私の方よ。教科書を買ってあるのを言い忘れたのは私なんだから…それに私はアレンとの買い物を楽しみに来たのよ?楽しいから良いじゃない!』
「そうだな」
麗がニッコリと微笑むと、アレンも優しく微笑み返した。こういうのんびりした時間は大好きだ。
二人は魔法で本を仕舞いながら話し続けたが、暫く歩くと、麗がふと足を止め、風に乗った香りを辿った。
『ねぇアレン、御茶しよ?』
「良いけど俺の奢りな?」
麗は少し考えると微笑んだ。
『良いわよ。でも今度私の部屋に御茶しに来て私の作ったお菓子を食べる事が条件よ?』
そう言うと、アレンは笑いながら私の頭を撫でた。何故皆、私の頭を撫でるのかしら?
「分かった、今度行くよ」
麗は嬉しそうに笑ったが、何かを思いだし言い直した。
『やっぱり今度じゃなくて明日来て、宴の後にね』
「了解、姫さん」
二人は紅茶を飲みながら互いの寮やクィディッチについて話した。
時々授業の話になったが続きはしない。二人共特に勉強が好きと言うわけではなかった。
『薬学は特にダメなのよ…芋虫潰したりとは本当に辛くてもう…』
「でもスラグホーンに気に入られてなかったっけ?」
『あぁ、それが本当に意味が分からなくて…』
「麗」
そう呼ばれて顔を上げると、少し疲れた蒼が立っていた。
『蒼?何でここにいるの?』
「手紙が…きっと見た方がいい」
『まぁ、有難う』
ピアスの回線を切ってしまったので、この為に態々ホグワーツを出てダイアゴン横丁を探し回ってくれてのだろう。
本当に良い子なんだから…
『え』
手紙を開けた麗はそう洩らした。
「どうした?」
「……直ぐとは言わないが…もう少しで戻った方が良いだろう」
『蒼、開けないで良く分かったね』
「アイツは頭が回るししつこい」
何か失礼だが、確かにその通りだ。
「大丈夫、麗?急用?」
『あぁ…私、どうしたら良いかな分からないし、アレンと買い物したかったからパーティーの招待を断ったのよ』
「へぇ、パーティー…スリザリン?」
『えぇ、結果がコレよ』
麗に手紙を向けられ、アレンを身を乗り出して手紙を覗き込んだ。
「“アレンとの買い物って、それって昼だろ?19:00に迎えに行くから準備しといてね。あ、もし早く出れる様なら連絡してな”」
「アイツに誰とどこに行くか教えるから行けないんだ」
『だって、聞かれたから…』
「凄いな、ラバスタン!」
アレンは楽しそうに声を上げて笑った。
確かに凄い。断られて用事の内容を聞き、解決策?を提示してくるとは…
「嫌じゃ無かったら行ってやんなよ、麗!」
『御免なさいね、アレン』
「まぁ、俺も夕方には帰す予定だったし。仮にも校長先生のお孫さんだしなぁ」
『あー…』
確かにそういう設定ではあるけど、かなり放任だから関係無いと思う。
本当の孫じゃ無いし、私が守るべき対象で無い事をアルバスは知っているし…
「レギュラスとか怒りそうだけど」
『あぁ、それが一番怖いわ』
そう、私はルシウスとレギュラスの誘いを断ったのだ。
「まだ早いけど、もう帰って支度してやんなよ」
『本当に御免ね、アレン』
「良いよ、次の約束も出来たし」
麗は蒼の手を取ると一緒にカフェを後にした。
「あ!出て来…あ?何で蒼と居るんだ?」
ずっと静かに待っていたシリウスの声にジェームズは溜め息を吐いた。
「知らないよー」
あ──…お腹空いた。
ダイアゴン横丁に買い物に来ていた僕達、悪戯仕掛人は…現在、買い物を中断している。
「たく…そもそも何でこんな時に限って麗は紙園を肩に乗せて無いんだ?」
「ふふふ、何を考えてるんだろうね、翡翠達は」
シリウスとリーマスはさっきからずっとこの調子だ。
麗とマクスウェルが二人で買い物をしているのを見付けた途端、買い物を中断してこの騒ぎ…結果こっそり後をつけている。
「蒼に代わったからいいか」
「ほんと何でマクスウェルなんだろうねぇ」
僕も気になるけどさ…お腹が空いてそれ所では無い。しかもピーターが追い付けずに迷子状態だ。
捜すの面倒臭いな。そう思った瞬間…
「ッ…」
擦れ違い様に通行人にぶつかってしまった。
「済みません…あの、大丈夫でしたか?」
ぶつかった相手…黒いローブのフードをすっぽりと被った男は、ジェームズの話を聞いていなかった。
男は麗をじっと見、不機嫌そうに眉を寄せると、足早にその場を去って行った。
「麗のファンかな?」
この後三十分程…僕がお腹が空き過ぎて気持ち悪くなって、麗が蒼と漏れ鍋から姿を消すまでずっと、ストーカー紛いな行為が続いた。
そんなに好きならいっそ告白すれば良いのに…