クリスマスイヴ小説
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『アヤナミ様、今夜は何か予定とかありますか?』
今日は12月24日。
この数字を見ればわかると思うが、今日はいわゆるクリスマスイブというやつだ。
彼氏がいなかった頃は、この日は何処に行ってもカップルが居てやたらイライラするので、一年で最も嫌な日の一つだった。
しかし、今年は私もそのカップル達の仲間入りを果たす……はず!
とりあえず、上司であり恋人でもあるアヤナミ様の今日明日の予定を確認して、あわよくばディナーにでも誘ってみたりとか、デートに誘ってみたりとか、それが無理でもせめて二人っきりで過ごしてみたいなぁ…なんて思ったりしている今日この頃。
しかし、そんな期待は一瞬にして打ち砕かれた。
「ふむ……今夜は会議がいくつか入っているな」
……!!?
なっ……か、会議ですかっ!?
イブなのに会議ですか!!?
あ、ありえない…。いや、仕事中毒なアヤナミ様らしいといえばそうだけど…。
というか何でイブに会議があるの?!
上層部のジジイ共には彼女とか居ないの?!……いや、居たら居たで驚きだけどさ。
ディナーやら何やらの予定が全て御破算になってしまった私は、きっと燃え尽きた灰のように真っ白になっていることだろう。
そんな様子の私には気付いていないのか、アヤナミ様は既に書類仕事を再開している。
「##NAME2##たん、フラれちゃったねぇ~」
私の心の傷をえぐるような事を言ってあははっ☆と笑ったヒュウガ少佐には、腰に下げている長剣を投げつけておいた。
危なっ!!##NAME2##たん今心臓狙ったよね!?当たってたらオレ死んでたよ!?等の叫び声が聞こえるような気がするが、今はそれどころではない。
――どうする……どうするの私…?!
と、とりあえず予定の確認を……。
『ア、アヤナミ様…?』
「?何だ?」
『今日か明日、時間空いてます?』
「ふむ……今日は先程も言った通り会議だ。明日も予定が入っている」
……!!!?
…………ええ、分かっていましたよ。アヤナミ様がこんなイベントを気にするようなお方ではないということくらい分かっていましたとも。
でも……さすがにショックだなぁ……。
「アリス、用が無いのならさっさと仕事へ戻れ」
放心状態な私にアヤナミ様が無情な追い討ちをかける。
今度こそ本当に身も心も真っ白になってしまった私は、ふらふらとした足取りで自分のデスクに戻っていくのだった…。
* * *
カチッ……カチッ……カチッ……
静かな室内に時計の針の音が響く。
アヤナミ様は数時間前から会議に行っている。
既に勤務時間は終わっているので他の方々ももうここには居ない。
一人っきりの執務室で、私は溜め息を吐いた。
壁に掛けられている時計に目を向ける。
時刻はもうすぐ午前0時。
結局恋人らしいことは何も出来なそうだけど、せめて今日という日の最後にアヤナミ様と会いたいな、なんて思ってここで待っていたりする。
けれど、このままでは明日になってしまう。
思い描いていたクリスマスイブとは程遠い現実に、もう一度溜め息を吐いた。
今日も残り数分となった頃。
ギイ……と扉が開いた。
「…………まだ居たのか」
『アヤナミ様……』
部屋に入ってきたのはアヤナミ様だった。
誰も居ないと思っていたのだろう、彼は私を見て驚いたようだった。
『会議はもう終わったんですか?』
「ああ。今日はさっさと切り上げてきた。
…………お前は、何故ここに居る?」
『え、私ですか?私は……』
アヤナミ様を、待っていました。
そう言うと、彼はまた驚いたような顔になって、それから呆れたような表情になった。
『だって、せっかくのクリスマスなのにアヤナミ様は仕事でいっぱいなんですもん…。
忙しいのは仕方ないって、分かっているつもりです。
だけど、せめて今日の最後にアヤナミ様に会えたらいいなって、そう思って……』
改めて自分の気持ちを声に出してみると妙に恥ずかしくて、語尾がだんだん小さくなっていく。
そんな私を見て、アヤナミ様はハァと溜め息と吐いた。
「…アリス、お前は何か勘違いしているようだな。
教えてやろうか?」
そう言うと、彼はこちらへ歩み寄ってきて、ふわりと私を抱きしめた。
「私の明日の予定は、お前と一緒に過ごすことだ」
耳元でそんな事を囁かれて、私の胸はトクンと高鳴る。
「今夜は寝かせてやらないからな。覚悟しておけ」
そう言って、アヤナミ様は妖しく笑った。
.