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被験体-00001は生まれつき脳に重度の障害を負っていた。
一度もその目が開かれたことは無く、産声すらも上げぬまま、呼吸や栄養摂取などおよそ生命の維持に関わる大半のことを繋がれた機械に補助されて、ようやくそこに存在していた。
そんな不完全な生命を生命として成り立たせるためには、僅かに残る正常な脳機能をより効率良く、より正しく、より理想的に使い、健常者と同等の機能を持たせなければならなかった。
とある研究者は、その実現の方法としてAIの導入に一縷の希望を見出していた。
しかし、そのような夢物語が現実となる可能性はあまりにも低いことは誰の目にも明らかであった。
幾度もの思考と考察と実験と否定と逡巡とを繰り返し、研究者が頭を抱える日々は続いてゆく。
その研究者と同じ企業に所属する研究員がハノイプロジェクトなる構想を抱いていることを彼が知るのは、もう少し先の話であった。
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