SS デュエルリンクス
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※スマホゲーム「遊戯王デュエルリンクス」既プレイ前提
※シリーズ本編とは別の(PD3から分岐した?)時間軸
遊戯王デュエルリンクス。
簡単に言えば、仮想空間の中で世界中のプレイヤーとデュエルをすることができるゲームである。
現在世間で爆発的に流行しているゲームだが、私自身はさほど興味は無かった。
手軽にデュエルを楽しみたいデュエル好き達のためのゲームなのだからそれも当然であろう。
…………零児君に関してはこのゲームそのものに興味があるようで、何やら熱心に調べているらしかったが。
そんな奇特な趣味は持ち合わせていない私はその流行を冷ややかに見つめていたわけだけれど、それはある日を境に一変することとなった。
「ユートに会った」
その言葉をきっかけに、私は意を決してデュエルリンクスの世界に飛び込んだ。
デュエルリンクス内には幾つかのワールドがあり、ゲームを進めミッションを達成することで行ける場所が増えていく。
デュエルをするためのゲームなので、悲しいことにデュエルからは当然逃れられない仕様になっているのだ……。
ミッション達成のための低レベルNPCとのデュエルなら、事故の起こしようが無いような下級モンスターだけのデッキでも勝つことができたから、私でもどうにかこうにかゲームを進めることができた。
そうやって少しずつ行けるエリアを増やしては、沢山のプレイヤー達の中でたった一人を探し続ける。
次の日も。
次の日も。
そのまた次の日も。
ユート君に会った。セレナちゃんに会った。ユーゴ君に会った。瑠璃ちゃんとリンちゃんに会った。
その度に希望は大きくなって、けれども目的の人にはまだ会えていない。
そんな日が何日も何日も続いた頃。
私はついに、探し続けた姿を見付けた。
「あれ、澪織さん?何でこんなところに?」
振り返った彼はあの頃のまま、本当につい昨日ぶりに会ったかのようだ。
きょとんとしている彼は、きっとこちらの気持ちなどまるで分かっていないのだろう。
これまでの、ユーリ君がいなくなってしまってからのことが一気に込み上げてきて、視界が滲んでいく。
『…………ユ…………ユ…………ユーリく〜〜〜〜んっ!!!!』
勢いのままに、がばりと彼に抱き付いた。
『うぅっ……会いたかった……会いたかったよ〜〜〜〜……』
「ちょっ、なにこれ、感動の再会ってやつ?」
『そうだよ!!ずっとずっと待ってたんだから…っ!!』
「っ……、」
歳上の威厳なんてあったものではないが、今だけはそんなことを気にしてはいられない。
おそらくは呆れ果てているであろうユーリ君をよそに泣き続けていると、彼がおずおずと抱きしめ返してくれて。
そのことが嬉しくて、余計に涙が溢れてきて、私はひとしきり泣き腫らしたのであった。
「さて、澪織さんも落ち着いたところで…………早速デュエルしようか」
『いや、しないよ?』
「えっ」
自然な流れでデュエルディスクを構えたユーリ君は、私の返答に目を丸くした。
すぐにデュエルをしたがるところも相変わらずで、このやり取りも相変わらず。
良い加減に私はデュエルが苦手なのだということを覚えてもらいたいものだ。
「だって、デュエルリンクスに居るってことは澪織さんもデュエルするようになったってことでしょ?」
『するようになったつもりは無いんだけど……NPC戦だけはね……。対人戦は一度もやってないよ』
「NPCとはデュエルしたんでしょ。酷くない?この僕を差し置いて他の奴とデュエルするなんて」
『それは、ユーリ君を探すために仕方無く……!』
「なのに肝心の僕とはデュエルしないわけ?」
『肝心なのはユーリ君に会うことだから』
「会ったらデュエルするでしょ普通」
『見解の相違がありすぎない?』
「僕とデュエルしてくれたらジェムとかアイテムとかもあげるよ」
『私はそういうの無くていいから……』
「今回は初心者向けのデッキも持ってきたんだよ。ほらどう?これなら澪織さんでも勝てそうな気がしない?」
『えぇ…?うーん……でも……』
「ね?デュエルしよう?ほら早く」
ユーリ君に圧されて、だんだん私の意思が揺らいできた。
彼のデュエル好きは嫌というほど知っているし、せっかくまた会えたのだから少しくらい言うことを聞いてあげてもいいかな、という気持ちに傾いてしまうのも仕方の無いことかもしれない。
「ねーえー、デュエルしようよー」
それに加えて、一向に諦める気配の無い彼の視線がひたすら突き刺さってくる。
しばらくは耐えていたものの、穴が開くほど見つめられては流石の私も観念する他無かった。
『はぁ……。わかった、一回だけね』
「本当!?」
ぱあっと笑顔になった彼を見て、こんなに喜んでくれるならまあ良いか、なんて思ってしまう私も昔と変わらず単純なものである。
「そうと決まれば早くやろう!やっぱりやめるとか言っても認めないからね。ほら構えて」
『わかってるってば、もう…………いくらなんでもはしゃぎすぎじゃない?』
「そうかな」
既に位置に着こうとしていたユーリ君は、虚を突かれたように目をぱちくりさせた。
暫し考えた後。
「……僕もまさか澪織さんとここで会えるとは思わなかったから、びっくりはしたけど結構舞い上がってるのかもね」
微かにはにかんだ表情をした彼に、私もまた胸が跳ねるのを感じた。
この後フライ・ヘルにボコボコにされて泣く羽目になることを、この時の私はまだ知らない。
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