原作沿い編 あらすじ
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【Ideal Future】
数年が経った頃。
ついに研究の成果を試す時が訪れた。
──今でこそ彼等自身の肉体は無いものの、他の分身達の魂は遊矢と柚子の中に未だ存在している。
ならば、カードに宿る精霊をリアルソリッドビジョンで実体化させるように、二人の中に居る分身達の魂もリアルソリッドビジョンで実体化することが理論上は可能なはずだ。
その仮説に基づいて作成した装置が、動作する時を迎えていた。
スタンダード次元のレオ・コーポレーションビル内の研究区画の広間にはかつて縁のあった者達も集まり、遊矢と柚子によって起動された機械の様子を固唾を飲んで見守る。
やがて、室内に横たわっていたカプセルの一つが開いた。
内部に充填されていたガスが抜け、その中から人影が現れる。
「ユート!!」
その姿を認めた瞬間、黒咲が駆け寄る。
他のカプセルも次々と開いていき、それぞれに縁のある者達が再会を喜び合っていた。
──成功だ。
ひとしきりその様子を見渡して、問題が無いことを確認してから澪織は歩き出した。
一歩、また一歩と進むうちにその足取りは速くなり、終いには半ば駆けるようにして並べられた一番奥のカプセルへ向かう。
そこから現れたのは、夢にまで見た彼の姿だった。
『ユーリくん…っ!!』
勢いもそのままに抱き着くと、少し驚きながらもユーリは澪織をしっかりと受け止める。
仄かに温かな体温、細身な身体の感触、それらが確かにそこに存在していることが実感できて、涙が溢れた。
「ああもう、泣かないでよ。最期に見たのも泣き顔だったし………………僕は、笑ってる顔のほうが好きだよ」
そう言って指先で涙を掬う彼に、澪織は余計に瞳を潤ませるのだった。
その後も、澪織は夢想する。
まだモデリングが完了していないし魂が何処かに存在しているかも定かではないが、いずれはまだ見ぬ姉であるレイや、ユーリ達の元となったズァークとも逢えるだろうかと。
──誰一人欠けることの無い未来は、きっともうすぐそこにある。
Fin.
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