prologue
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『久しぶりに来たな~』
鉄で出来た大きな門の前で、巨大な屋敷を見上げながら思わず呟いた。
数年前に一人暮らしを始めてからは来る事もなくなっていたその邸宅。
すっかり貧乏庶民生活に馴染んでしまったせいか、昔に見た時以上にそれは大きく感じられた。
『(で、これって入ってもいいのかな…?)』
キョロキョロと辺りを見渡すと、巨大な鉄の門の近くに居たメイドさんと目が合った。
「お久しぶりです、お嬢様」
彼女はうやうやしく頭を下げた。昔からこの屋敷で働いている人だ。見覚えがある。
「お待ちしておりました。どうぞお入りください」
そして、音を立てて門が開かれた。
――よかった。入れるみたいだ♪
『それじゃ、行きますか』
そう呟いてから、私は広大な敷地の中に足を踏み入れた。
* * *
『で、なぜ急に私をこんな所に呼び出したりしたんですか?』
出されたお菓子を頬張りながら、相手に尋ねる。
「あぁ、それなんだが……」
目の前に居る人物は、少し間を開けてから言った。
「君には帝国陸軍士官学校に編入してもらうことになった」
『……え?』
予想もしていなかった言葉に、思わず聞き返す。
『それは、どういう…?』
「そのままの意味だよ。ほら、これが制服で、こっちが教材一式。それから……」
そう言いながら手際良く机に物を並べ始めた。
一体いつの間にそんな物を集めたのだろうか。
『……なんで既に準備されてるの、おじいちゃん』
「ははは、当たり前だよ。早速明日から学校だからね」
…ちょっと待て。
今、聞き捨てならない発言があったよね?
『今、明日って言った?』
そう問うと、彼はさも当たり前といった顔で、
「あぁ、そうだよ」
と答えた。
『いやいやいや、私の意見は聞かないの?何故私の知らない所で話を進めてるの?』
「そう言われてもなぁ……もう決まった事だから……」
『え、えぇーーっ!?』
どうやら、本当に私には拒否権が無いようであった。
かくして私は、まことに不本意ながら陸軍士官学校に通う事となったのだった。
……おじいちゃんのバカヤロー!!
.