短編
「しく~~~~……うっく、みぃて~~~っす」
ふらふらと私のランサーこと、原田左之助は酔っ払いながら私の部屋へと登場した。
「あ、左之助くん、またいっぱい飲んだんでしょう? あれだけふらふらになるまで飲まないでって言いましたのに!」
左之助くんはにんまりと珍しく口角をあげて、私に抱き着いた。この人は絡み酒なのだ、昔から。
「ひっく……しく~~~~……」
まぁあのダウナーな彼がこんなに名前呼びしてくれて、なおかつ甘えてくるのは珍しいからどきどきしてしまいますが、それはそれ、これはこれです。いくらサーヴァントとはいえ、身体に悪いことはめっなのです。
「左之助くん、ほらお水を持ってきますから、ベッドに座っててください」
「ん……」
彼に肩を貸し、そのまま私のベッドに座らせる。ぐにゃぐにゃで今にもころりんと寝転んでしまいそうだ。
「確か未開封のミネラルウォーターがここに……あった、左之助くん! ほら、これを飲んでくださいまし!」
突然、左之助くんは水を差し出した私の腕をぐいと掴み、もう片方の手で自分の上着を脱ぎ始めた。
もしかして、また左之助くんは。私にはわかる、これはいつものあの癖だ。
「しく……さわってくれる……っすか?」
そんな風に言う彼はお腹の傷を私にだけ見せるように晒した。
彼は酔った時に、私にお腹の傷を触って欲しい欲求があるらしい。とんだ悪癖である、が、私も実は嫌いじゃないの。だってああほらもう、左之助くんは上目遣いに真っ黒な瞳の奥から私だけを見て、こんなに可愛らしいおねだりをしてくるのよ。私だって耐えきれなくなっちゃうの、左之助くんが好きだから。
「もう……! 左之助くんはわるいこね」
そう言って掴まれた手の指の先で彼の傷をなぞる。皮膚と皮膚の間、少しがさりとして、ぴんと硬い組織の上を撫でる感覚。心無しか他の表皮よりごつごつとしていて、更にその奥の内臓にまで感じ取れるような、そんな感覚。もっと、もっとと求めてしまいそうなそんな時。
「志久ぅ……えっちなかお、してるっすね」
言われて私は身体で息をしていることに気づいた、自分の呼吸の音、彼にばれてしまっているのだ。
「ははっ……志久はわかりやすい、かーわい」
そして彼は私の腕を引き寄せ、膝の上に案内した。向かい合って、顔が近くて、今にも触れてしまいそうな。
「……んん……いぢわる、言わないで。あと、可愛くないです」
「意地悪なんて言ってないっすよ、可愛い、かわいー、かーわいー志久ってなんでこんなに可愛いんでしょうねぇ」
「知らないっ……」
「……ほら、志久、何して欲しいのか、言ってください。俺言われないとわかんないっすから」
見抜かれている、こんなに近いのに、接触しない方がおかしい、でも彼はちゃんと言葉で言うことに重きを置く。私のお願いがそんなに好きなのか、可愛いって何故彼から思われてるのかもわかんないし、本当に、ずるい男。
「……き、」
「ん? よく聞こえませんよぉ……」
「ち、ちゅー、したい、です」
「ふふっ」
私の目を見て、彼は笑った。
「おおせのままに、俺の可愛いハニー」
ちゅうと音がしたような、でも一度口付けてからは止まらない。角度を変えながら左之助くんは唇を甘く噛んで、私はただただ受け入れるがまま、口内に舌が浸入し、歯列をなぞる。私の舌をきゅうと吸い、頬の裏側も、まるで顔の全てが彼に食べられているようだった。
「ん……っ♡あっ……♡さ、のす、け……くっ……♡」
「あーあいかわらず、ちゅーのとき、いきするのへたすねーふふっ」
私の彼より小さな舌を蹂躙した彼は、離れて銀の糸が唇からつうと落ちてもまだ笑っていた。
「続きしたいんすけど、ね、志久」
「あ、う……♡」
「ちゅーだけでこんなふらふらになるの、かわい……ふぁー……」
左之助くんは私を抱きしめながら欠伸をした。どうやらお酒がまわって眠くなってきたようだ。
「続き、今度にしましょうか、俺も酔ってない時がいいっす……」
うとうと、くらくら、それぞれの擬音が飛びながら、彼は私をぎゅうと更に強く抱きしめた。
「志久の顔、よく見たいんで」
そう言うが最後、眠ってしまったようだ。私もそこで意識が途切れてしまった。
彼が傷を触って欲しい時は、左之助くんはひたすら甘やかされたくて、そしてひたすら私を甘やかしたいのだ。私の前でかっこぶってる彼はどうやら、そういうのが不得意らしい。だからって酒に頼らなくてもいいと思うのだけれど、でも、そんな彼を可愛いと思ってる私もいるのでした。
ふらふらと私のランサーこと、原田左之助は酔っ払いながら私の部屋へと登場した。
「あ、左之助くん、またいっぱい飲んだんでしょう? あれだけふらふらになるまで飲まないでって言いましたのに!」
左之助くんはにんまりと珍しく口角をあげて、私に抱き着いた。この人は絡み酒なのだ、昔から。
「ひっく……しく~~~~……」
まぁあのダウナーな彼がこんなに名前呼びしてくれて、なおかつ甘えてくるのは珍しいからどきどきしてしまいますが、それはそれ、これはこれです。いくらサーヴァントとはいえ、身体に悪いことはめっなのです。
「左之助くん、ほらお水を持ってきますから、ベッドに座っててください」
「ん……」
彼に肩を貸し、そのまま私のベッドに座らせる。ぐにゃぐにゃで今にもころりんと寝転んでしまいそうだ。
「確か未開封のミネラルウォーターがここに……あった、左之助くん! ほら、これを飲んでくださいまし!」
突然、左之助くんは水を差し出した私の腕をぐいと掴み、もう片方の手で自分の上着を脱ぎ始めた。
もしかして、また左之助くんは。私にはわかる、これはいつものあの癖だ。
「しく……さわってくれる……っすか?」
そんな風に言う彼はお腹の傷を私にだけ見せるように晒した。
彼は酔った時に、私にお腹の傷を触って欲しい欲求があるらしい。とんだ悪癖である、が、私も実は嫌いじゃないの。だってああほらもう、左之助くんは上目遣いに真っ黒な瞳の奥から私だけを見て、こんなに可愛らしいおねだりをしてくるのよ。私だって耐えきれなくなっちゃうの、左之助くんが好きだから。
「もう……! 左之助くんはわるいこね」
そう言って掴まれた手の指の先で彼の傷をなぞる。皮膚と皮膚の間、少しがさりとして、ぴんと硬い組織の上を撫でる感覚。心無しか他の表皮よりごつごつとしていて、更にその奥の内臓にまで感じ取れるような、そんな感覚。もっと、もっとと求めてしまいそうなそんな時。
「志久ぅ……えっちなかお、してるっすね」
言われて私は身体で息をしていることに気づいた、自分の呼吸の音、彼にばれてしまっているのだ。
「ははっ……志久はわかりやすい、かーわい」
そして彼は私の腕を引き寄せ、膝の上に案内した。向かい合って、顔が近くて、今にも触れてしまいそうな。
「……んん……いぢわる、言わないで。あと、可愛くないです」
「意地悪なんて言ってないっすよ、可愛い、かわいー、かーわいー志久ってなんでこんなに可愛いんでしょうねぇ」
「知らないっ……」
「……ほら、志久、何して欲しいのか、言ってください。俺言われないとわかんないっすから」
見抜かれている、こんなに近いのに、接触しない方がおかしい、でも彼はちゃんと言葉で言うことに重きを置く。私のお願いがそんなに好きなのか、可愛いって何故彼から思われてるのかもわかんないし、本当に、ずるい男。
「……き、」
「ん? よく聞こえませんよぉ……」
「ち、ちゅー、したい、です」
「ふふっ」
私の目を見て、彼は笑った。
「おおせのままに、俺の可愛いハニー」
ちゅうと音がしたような、でも一度口付けてからは止まらない。角度を変えながら左之助くんは唇を甘く噛んで、私はただただ受け入れるがまま、口内に舌が浸入し、歯列をなぞる。私の舌をきゅうと吸い、頬の裏側も、まるで顔の全てが彼に食べられているようだった。
「ん……っ♡あっ……♡さ、のす、け……くっ……♡」
「あーあいかわらず、ちゅーのとき、いきするのへたすねーふふっ」
私の彼より小さな舌を蹂躙した彼は、離れて銀の糸が唇からつうと落ちてもまだ笑っていた。
「続きしたいんすけど、ね、志久」
「あ、う……♡」
「ちゅーだけでこんなふらふらになるの、かわい……ふぁー……」
左之助くんは私を抱きしめながら欠伸をした。どうやらお酒がまわって眠くなってきたようだ。
「続き、今度にしましょうか、俺も酔ってない時がいいっす……」
うとうと、くらくら、それぞれの擬音が飛びながら、彼は私をぎゅうと更に強く抱きしめた。
「志久の顔、よく見たいんで」
そう言うが最後、眠ってしまったようだ。私もそこで意識が途切れてしまった。
彼が傷を触って欲しい時は、左之助くんはひたすら甘やかされたくて、そしてひたすら私を甘やかしたいのだ。私の前でかっこぶってる彼はどうやら、そういうのが不得意らしい。だからって酒に頼らなくてもいいと思うのだけれど、でも、そんな彼を可愛いと思ってる私もいるのでした。
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