とある武士道女の事情 〜『幕府の猫』と呼ばれた少女の物語



次の日
まりんが一番隊としている最後の日
まりんは沖田を起こすため沖田の部屋へ向かう




『 はぁ、初日は起きてきてたから大丈夫だと思ったけど、まさか次の日から全く起きてこないなんて……』



大きなため息をしながら声をかける



『 沖田さーん朝だよー!
開けるよー????』



中へはいるとアイマスクをしながら
ぐっすり眠る沖田の姿が



『 もー!!早く起きて!沖田さん!
今日は私が一番隊にいる最後の日なんですから!!足の怪我も治ったんで!見回り行くよ!』



体を思いっきり揺さぶり声をかけるが
一向に起きない


また、ハァ…… と大きなため息をつき
アイマスクに手をかけようとする
が、腕を掴まれ阻止される

沖田「寝込みを襲うとは何事でィ」



『 起きてるじゃない!てか、襲おうとなんてしてない!変な言い方しないでよね!?』




沖田「違ったんですかィ??」



『 違うわ!起きたんなら早く支度して』



だるそうな顔をしながら布団から出てくる



『 じゃあ私、門の前で待ってるから早く来てよね』


沖田「へーへー」


そう言うとまりんは部屋から出ていき
外へ向かう



『 抑音……覚悟しなさい……』





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈







沖田「待たせたな」



『 ううん、大丈夫だよ
じゃあ、行こっか』


2人で初めての見回りへ行く
まりんの顔は少し強ばっていた


沖田「なんでィ、緊張してるのか?
それとも俺と二人きりなのを意識してるとか」



『 そんなわけないでしょ、沖田さんだよ?
あの沖田さんに?私が?第一、一番隊にいる間はずっと一緒にいたじゃん』


沖田「貶されてるようにしか聞こえねぇ」



明らかに不機嫌な顔をする沖田



『 貶してないよ笑』



沖田「笑ってるじゃねぇか」




『これは、別に貶してるとかじゃなくて
ただ、沖田さんと一緒にいるのが、こうしてお話してるのが楽しいだけだよ』


まりんか続けて言う


『急に一番隊に入れられた時はどうなるのかと思ったけど、だって沖田さんドSだし
私のこと虐めるし、でも優しいところもあるし?何故か知らないけど、沖田さんと話してると懐かしく感じるんだぁ、なんでだろうね?』


まりんは首を傾げながら沖田に聞く


沖田「さぁな、俺とまりんは1週間前に初めて会ったしな」



『だよね』と、顎に手をあて眉をひそめる



沖田「そんな事考えてたらまた怪我するぞ」



沖田はまりんのおでこにデコピンする



『 いったい!!!!何するの!!』



沖田「ボーっとしてるからでィ笑」



『 前言撤回!!!このドS!!』



沖田「なんとでもいいな」



いつもと変わらず、言い合いをする2人
街の人の視線が集まる


『はぁ、早く見回り終わらせて帰ろ
明日からの特殊部隊の仕事に備えないとだし』



沖田「そう、だねィ」



『 ???』



どこか寂しそうな顔をする沖田を見て
不思議に思うまりん



(ううん、、そんなことより
早く、抑音を見つけないと……)



少し歩くと、土方に教えてもらった
例の目撃場所へ着く


(花屋の近くの路地……あ、あった)



そこには、情報通り路地があった



(いない……)



辺りを見回すが、抑音らしく人物は見当たらない


(やっぱり、人違いだったのかな……)



沖田「まりんーー何してるんでさァ
早く行きやすぜ」



『 あ、うん!ごめん、!今行く!』





??「抑音様!どちらへ?」



抑音「ん??ちょっと挨拶に、ね」






沖田の元へ向うため路地を離れようとすると
路地の方で視線を感じ後ろをむく



そこには黒髪の髪を高く結っている男が見えた
その瞬間、まりんの清祓瀬がカタカタと震えだす



(これは、共鳴……???
まさか!!!!!!)



まりんは、男が路地裏に入っていくことを確認しそれを追いかける



沖田「まりん!どこいくんでさァ!」


まりんに続き沖田も路地裏に入っていく



(間違いない!!あれは、抑音!!!)



見失わないように追いかけるまりん

すると少し広い場所へ出る
目の前には追っていた男が立っていた



『……抑音』




抑音「これは、誰かと思えば七瀬まりんさんじゃありませんか、お元気でしたか」



不気味な笑みを浮かべ呑気なことを言ってくる抑音に腹を立てる



『 お元気だったかですって??
あんた、自分の立場わかってんの?
私はずっとあんたを探してた、親の仇は絶対とる…!!』



抑音「そんな怖い顔しないでください
可愛いお顔が台無しですよ
私はただ挨拶をしに来ただけです
その、"刀"にもね」



清祓瀬に指を指す


『 やっぱり、これが狙いなのね……
あんたが持ってる"潔祓瀬"と双刀である清祓瀬を……』



抑音「そうです、清祓瀬を手にすれば私はさらに強くなれる
けど、その様子じゃ渡す気は無いようですねぇ」



『 当たり前じゃない、それに潔祓瀬は私の母親の愛刀……時期にあんたが受け継ぐと聞かされていたけどまさか、こんな使い方をするなんて、許さないわ、』


抑音「私は強さにしか興味無いのでね」


淡々と話す抑音に限界が来たまりんは
今までの恨みを隠しきれず
清祓瀬を抜く



『やっと、あんたに復讐する時が来たわ
抑音、覚悟しなさい!!!!』



まりんは抑音に向かって清祓瀬を振る


抑音「感情だけで動いててはいけませんよ」



まりんの攻撃を涼しい顔をして避ける抑音

抑音も潔祓瀬を抜き戦闘体制に入る


ふたつの刀がぶつかり合い、甲高い音が響く




沖田「まりん!!!!!!」



すると、まりんを追いかけてきた沖田が路地裏へ来る



抑音「邪魔ですね……
麗奈」



麗奈「はい、抑音様」




抑音が声をかけると、沖田の目の前に
灰白色の髪をしたポニーテールの女が現れる



沖田「ッッ!!どけ!!!!」



麗奈「あなたの相手は私です
抑音様には近づけさせない」



沖田は躊躇なく麗奈に刀を振るが
防がれてしまう



『 !!沖田さん!?』



抑音「よそ見とは随分余裕ですね」



沖田に気を取られたまりんは
蹴りをくらってしまう



『 ッッグハ!!!!!!』




沖田「!!!!
てめぇ!誰か知らねぇが邪魔でィ!!」




麗奈「ここを通りたければ私を倒してからです」



沖田(まりんが危ねぇのに!!!)




運悪く急所に当たってしまったまりんは
壁にもたれかかる


『 ハァッ……ハァ…』



抑音「こんなものですか
まりんさんの実力は」



『 ッ…舐めないで!!!!!』



抑音に向かって攻撃をするが
かする程度しかあたらない
色々な感情がまりんを邪魔し、清祓瀬と連携が取れてないのだ



抑音「このまま戦ってもまりんさんは時期に負けます
感情の整理が着いた頃にまた戦うとしましょう
その時は清祓瀬も頂きますが」



『 ふざけないで!!絶対に逃がさない!!』



抑音「しつこいですね」



抑音はまりんの背後に回りこみ
まりんを斬る



『 アガ……』



抑音「今日はここまで
清祓瀬の状態を確認できましたし
まりんさんも元気そうなので
麗奈、行きますよ」



抑音が麗奈に声をかけると
麗奈は沖田の刀を振り切り抑音の元に行く



抑音「それではまりんさん
またお会いしましょう」




抑音は建物に飛びそのままどこかへ行ってしまう



『 待ち……な……さい……』




まりんは起き上がろうとするが、体に力が入らずそのまま気を失ってしまった




沖田「おいまりん!しっかりしなせぇ!!」



駆けつけた沖田が声をかけるが
返事がない


沖田「くたばるんじゃねぇぞ!!!」



まりんを背負い屯所へ走る



沖田(あいつが、尊喃弚抑音……許さねぇ……)



まりんの目からは一粒の雫が流れた

5/14ページ
スキ