とある武士道女の事情 〜『幕府の猫』と呼ばれた少女の物語




朝、雀の鳴き声と共に目を覚ます
まだ慣れない朝
重たい体を起こすまりん


『 朝……起きなきゃ……』


隊服に着替えて鏡の前で身なりを整える
真選組に入隊の時に


近藤「女の子なんだから!全身が見える鏡があった方が良いだろう!!」


と、もらった姿見にはいつもと変わらない自分が写る



『 よぉし!!!頑張るぞぉ!!』


思いっきり自分の部屋の襖を開ける


沖田「あ」



『 ぎゃあ!!!!!!!!
出たあああ!!!!!』



沖田「朝から元気だな
土方さんからまりんは朝に弱いって聞いてな
ちゃんと起きたか確認しに来ただけでィ」



襖を開けたすぐに何気ない顔をして立っている沖田がいたのだ



『 え?私も土方さんに沖田さんは朝に弱いから起こしてやれって言われたから行こうと思ってたのに……』



沖田「たまたま早く起きただけでさァ
準備できてるなら行くぞ〜」


『 今日は何をするの??』



沖田「昨日、書くもん全部終わらせちまったからな
サボるか」



『 沖田さんは怪我してないんだから見回り行ったらどう???』



沖田「めんどくせぇ」




『 それでも一番隊隊長か!!!!』



特に何もしないまま屯所内を歩く2人
すると土方さんが走ってくる


土方「総悟おおぉぉ!!!!!!!
サボってんじゃねぇ!!見回り行くぞ!!」



沖田「嫌でさァ!!!!
土方さん一人で行ってくだせぇ!!!」



追いかけっこが始まり、そのまま外へ行ってしまった



『 なんやかんや言って、あのまま見回りが始まるんだろうなぁ』


見回りに行った土方と沖田が見えなくなり
まりんは自分に出来ることは無いかと
仕事を探す


『 ん???なにか聞こえるような』


物音が聞こえ、その場へ向かう



『 あれ、ザキじゃん
何してるの??』


山崎「あ!まりんちゃん!
副長に頼まれてたものを部屋に運ぼうとね」


山崎の目の前には、スーパーにあるものを全部買い占めましたと言わんばかりのマヨネーズが箱に詰まったいた


『 マヨラーなのは知ってたけど、ここまで来たら狂気ね』


山崎「まりんちゃんと初めて会った時を思い出すよこの光景」



山崎とまりんが初めて会ったのは、入隊してすぐのころ
副長の部屋への行き方が分からず迷っていたところを、マヨネーズを運んでいる山崎に教えてもらったのだ


『 その時もこのくらいのマヨネーズだったね……』



山崎「もう重くて大変だよ」



『 じゃあ、私手伝うよ!やることなくて困ってたの』



山崎「え、でも重いよ?俺でも大変なのに」



『 へーきへーき』


そう言うとまりんは、大量のマヨネーズが入った箱を軽々しく持つ


山崎「んええ!?!?!
まりんちゃん力持ちすぎない!?」


『 まぁね』



山崎「さすが、特殊部隊の隊長だよ
若いのにすごいなぁ」



『 ザキだっていつも潜入して、私の任務がスムーズにできるように手伝ってくれてるじゃん
感謝してるよ』



山崎「えへ、嬉しいな」



『 顔キモイよ』



山崎「あ、相変わらず、まりんちゃんは毒舌だなぁ……」



しばらく歩き、副長の部屋へ着く


『 じゃあここに置いておくね 』



山崎「まりんちゃん助かったよありがとう」



『 どういたしまして〜』



やることを終えたまりんはまた暇を持て余してしまう



『 ん〜〜何しようかなぁ』



ふと外を見ると雨が降っていることに気づく


『 さっきまで晴れてたのに
ッ……!!!まってまって』



急ぎ足で自室へ戻りテレビをつける
テレビをつけると結野アナがタイミングよく天気について話していた



結野アナ「今日のお天気は晴れると思いきや、だんだんと雨が降ってきます
雨は激しく降り、雷も鳴るでしょう」


結野アナの天気予報は必ず当たると言っていいほど当たるのだ
今日の天気を聞いたまりんはその場で崩れ落ちる


『 か、雷ぃぃぃぃ……』



そうまりんは雷がとても苦手なのだ
そして今、土方、沖田が不在の中頼れる人は数少ない


『 近藤さんは朝から不在だったし、、
ザキには雷怖いから一緒に居てなんて死んでも言えない……』


あたふたするまりんに合わせるかのように
雨が強くなっていく
そして


ピカンッ!!!




『 ッッッ!!!!!!』


外が光ると同時にまりんは素早く布団へ隠れる
光って数秒後大きな音が響く



『 ウウッ……』


布団を深く被り音が聞こえないように耳を塞ぐが、微かにも音が聞こえてくる


『 終わった……もうお布団から出れない……怖いよぉ……』



布団の中でプルプルと震えているまりん
しばらく雷に耐えたあと気づけば眠りについていた



数時間後───




沖田「土方を巻くために外へ出たが
まさかあんなに雨が降るとは」



激しい雨が降り、帰ってきた沖田は
びしょびしょだった


沖田「そーいや、まりんはどこだ?」



まりんを置いて出ていった沖田は
まりんを探す


山崎「沖田隊長!?どうしたんですか!?びしょ濡れじゃないですか!!!」



沖田「ザキか、そんなことよりまりんがどこいるか分かるか?」


山崎「まりんちゃんでしたら数時間前くらいに急いで自分の部屋に戻るのを見ましたけど……って沖田隊長!?!どこ行くんですか!?」




沖田「どこって、まりんの部屋に決まってらァ」



山崎「風邪ひいちゃうんでお風呂早く入った方がいいですよ!!」



沖田「俺に命令するな
山崎の分際で」


山崎「気を使ったのに……まりんちゃんといい沖田隊長といい……」



沖田は山崎と別れまりんの部屋へと向かう
朝は出てくるのを待っていたが、音がなく電気も消えていたので

沖田「まりん??居ますかィ?
俺でさァ」


と声をかける
が、中からは返事がない
沖田はそっと襖を開け中を確認する
すると大きく盛り上がった布団が目に入る


沖田「なんでィ……あれ……」



沖田は布団に近づき布団をめくる


沖田「寝てるのか??」


中からは体を丸くしながら寝ているまりんが出てきた
顔には涙の跡がある


沖田「泣いてた……??」


沖田はまりんを起こす


沖田「おい、まりん
仕事サボって寝るとはいい度胸でさァ
俺も今日はサボってねぇ」


体を揺さぶると、だんだん目が開いていく


沖田「早く起きなせぇ
次は叩くぞ」


すると起き上がったまりんは急に沖田に抱きつく
沖田は理解が追いつかず、まりんを見る



『 ウウウ……お、お母さん?、もう、、雷鳴ってない??大丈夫??』



沖田「お母さん??雷……??さっきまで鳴ってたがもう鳴ってねぇですぜ??」


『???』


不思議に思って顔を上げると、母親ではなく沖田がいた。


『沖田さん!?あ、いやこれは違くて』


そういうとまりんは、急いで沖田から離れる
そして少し距離を取る


沖田「まさか、雷が苦手とか?」

図星でまりんは何も答えれなかった


沖田「図星ですかィ??笑
まりんにも弱点があるんですねィ
こりゃいいこと知った」


にやにやとする沖田は何かを企んでるようだった



『 嫌な予感が……』



沖田「これから雷がなる時はまりんを1人に」



『 やだ!!やめてよ!!!私の秘密を知ってしまった沖田さんは私を雷から守るという仕事があるんだよ!?』



沖田「俺はSなんでねィ
強がりなまりんの弱点を知った今
じっとしてらんねぇ」



『 ふっ、今雷が鳴ってないなら私はもう大丈夫なのだよ
残念でした!!』



沖田「夜もなるらしいですぜ??」



沖田がまりんを脅しだす



『え、嘘だよね?沖田さん?嘘だと言って!!! 』



沖田「嘘でさァ」



『 やっぱり、、!!!!
沖田さんのドS!!!本当に怖いんだからやめてよ!!!』



沖田「面白くてつい」




雷は鳴ってないが震えているまりんを
沖田は頭をぽんぽんと叩いて落ち着かせる



『 子供扱いしないで!
後、服すごく濡れてるし、髪も!!早くお風呂入って来て』



沖田「へーへー」



沖田はまりんの部屋を出ていきお風呂場へ向かっていった




沖田(お母さん…ねィ……。しかもいきなり抱きつかれるとは…まりんが雷が苦手なのはいい収集だったけどねィ)



山崎「沖田隊長!!!顔真っ赤ですよ!!
早くお風呂入らないから風邪ひい」



沖田「ザキ黙ってろ」





次の日





『 沖田さんの嘘つき……!!!!
昨日の夜雷酷かったよ!?!』




沖田「あり、おっかしいなぁ〜」



結局その日の夜は雷が酷く
一睡も出来なかった




『 絶対に沖田さんの弱み握ってやる……!』



沖田「それは無理だな」




『 無理じゃないもん!今日は1日沖田さんの弱みを見つける作戦にする』




まりんはガッツポーズをする



沖田「仕事しろ」




土方「てめーの口からその言葉が聞ける日が来るとはな」



『 土方さんじゃないですか』



土方「ちょっと悪ぃが仕事を頼みたくてな」



『 任せてください!私と沖田さんで承ります!!』





沖田「勝手に何決めてんでィ
なんで土方の仕事をしないといけないんでさァ」




『 いまさっき私にサボるなって言った人は沖田さんでしょ』




土方「まぁ、簡単な仕事だ
買い物を頼みたくてな」



『 何を買うんです?』



土方「マヨe(((」




『 よーし、沖田さんーこれはサボって大丈夫だよーさぁーお昼寝しようか』



土方の言葉をさえぎり、沖田を連れていこうとする




土方「まてまて!!!あ!まりんお前好きな食べもんあったよな!?それも買っていいから!」



するとまりんの歩みが止まる



『 本当ですか??』



土方「ああ!買っていいから!」




『 し、仕方ないですねぇ〜
そこまで言うなら行ってあげなくもなくもないけど??』



沖田「まりん知ってますかィ?
ツンデレは漫画の世界でしか通用しないんですぜ???」



『 七瀬まりん!!!沖田さんと一緒にマヨネーズ買ってきます!
ほら!沖田さん!!!行くよ!!!』



一気に元気になったまりんは
沖田の手を引き外へ行く



沖田「まぁ、他の仕事に比べりゃ
楽か」



『 そうだよ!いやぁ、楽しみだなぁ!!』



沖田「んで、まりんの好きな食べ物ってなんでィ??」




『 ふふん!よくぞ聞いてくれた!!
私の好きな物はね、どら焼きだよ!!!』




沖田「どこぞのネコ型ロボットかよ」



『 あのふわふわの生地にぎっしり詰まってるあんこ!!あれはもう神の食べ物だよ!』



沖田のツッコミを無視してどら焼きを語る
その顔はとても輝いていた



沖田「そんなに好きなんですかィ?」




『 ん?好きだよ、大好き!!!!』



ドキッ



沖田(ドキッってなんでさァ……
別に俺に言ってる訳じゃねぇのに)



『 沖田さん?どうしたの??顔真っ赤だよ?もしかして熱中症!?!?』



沖田「違ぇ、んじゃ早くマヨ買ってどら焼き食べに行きやしょう」



『 え、うん』



(沖田さん本当に大丈夫かな)






マヨネーズを買った後に沖田とまりんは甘味処へ



『 よし、とりあえずどら焼き5個!』




沖田「とりあえずって量じゃねぇ
食べきれるのか??」



『 食べれる!!!
それより、沖田さんは何頼むの??』



沖田「俺はみたらしとゴマお願いしまさァ」




注文し終わり来るまで待つ
訪れた甘味処は出来たばかりなのかとても綺麗だった



『 沖田さんこんな素敵なところ知ってたんだね
以外』



沖田「見回り中(サボり)の時に見つけたんでさァ」



『 心の声漏れてるよ
まぁ、ここに連れてきてくれたからいいけど』




まりんはどら焼きの描かれたポスターを見ながら
早く来ないかなとソワソワしながら待つ


数分後まりんと沖田の前には
どら焼きとみたらしとごまが並べられた


『 美味しそう、見て沖田さん!!』



沖田「言われなくても見えてまさァ
それにしても、、ポスターに書いてある通りでかいな」



ここの甘味処はどら焼きに力を入れているらしく1つがとても大きいのだ


『 もう最高だよ……
いただきます!』


そういうとまりんはどら焼きにかぶりつく



『 ん〜〜!!!!やっぱ美味しい』



1個、2個、3個とありえないスピードで食べていくまりん



沖田「そんなに急がなくてもどら焼きは逃げたりしねぇからゆっくり食べなせぇ」



『 なんか、沖田さんお母さんみたい』



沖田「誰が母さんでィ」



そんな会話をしてるとお店の定員さんが
どら焼きを持ってくる


「今ねカップル限定でどら焼き1個サービスしてるのよ
良かったら食べて」



そういうと定員さんは戻っていく




『 か、かかかかか、カップル!?!?!
私と沖田さんが!?!』



沖田「まぁ、周りから見たら男女で甘味処に来てたらそう見えるんじゃねぇの」



『 いやいやいや!!ないない!わたしと沖田さんだよ?!?どこをどう見たらカップルに見えるの??
相手が沖田さん??いやいやいや』



全力で拒否するまりん



沖田「そんなに否定しなくてもいいじゃねぇか」



すると、沖田が急にへこみ出す



『 え?お、沖田さん?急になんで落ち込んでるの?』


落ち込んでる理由が分からず戸惑うまりん



『 え、もしかして私がカップルってことを否定しまくったから??
え、沖田さんってもしかして打たれ弱い?』



沖田「Sは打たれ弱いんでさァ
覚えとけ」



するとまりんが急ににやけだす



『 へーー笑
沖田さん打たれ弱いんだぁいいこと知っちゃった』



にまにまと沖田を見る



沖田「次なんか言ったら雷製造機の中に永遠に閉じこめる」



『 ごめんなさいそれだけはご勘弁を』



沖田「分かればいいんでィ」



そしていつも通りに戻る沖田をみてまりんは安心する


『 いや、なんというか私には沖田さんはもったいないなって
沖田さん顔はいいし』


沖田「顔だけかよ」




『 だってドSじゃん、人の不幸大好きじゃん
そんな人を性格いい!っていう人いる??』



沖田「まりんの中の俺はどうなってるんでさァ」



『 少なくても出会った人の中で一番悪魔だと思う
でもまぁ、優しいところも豆粒くらいはある??かな?
私には沖田さんはもったいないよ
それに沖田さんにも好きな人がいるだろうし』





沖田「俺に好きなやつはいねぇ」




『 え、以外』




沖田「そういうまりんは居んのかよ
好きなやつ」




『 私もいないよ
というか、人を好きになるってよく分かんなくて』



沖田「いつか分かりまさァ」



『 ??どういうこと??』



沖田「食べ終わったことだし、戻りますぜ」



『 あ、うん、』



まりんの問いには答えず、お金を払い甘味処を出る




『 お金、』



沖田「今日は俺の奢りでィ
次なんか奢れ」



『 仕方ないなぁ、いいよ』




さりげなく次の約束をし、2人は屯所へ帰る
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