とある武士道女の事情 〜『幕府の猫』と呼ばれた少女の物語


近藤さんに怪我が治るまで一番隊副隊長を任せられたまりんは沖田と屯所を歩いていた


『 あの、お、沖田さん?どこにいくの?』


沖田「どこって俺の部屋でさァ
怪我してるんだから見回りは出来ねーだろ
やらなきゃいけねぇ書き物が沢山あるんでィ」


そう聞いたまりんは、沖田が真面目に仕事をする人間だと思った


『 なーんだ、さっきサボる〜とか言ってたから本当に仕事をサボる人なんだと思ってたけど』


沖田「何いってんでィ、書き物はまりんがするんですぜ???」


『 え???』


沖田「一番隊副隊長なんだから当たり前でさァ、期待してますぜ??」



ニヤニヤとした顔でまりんを見る沖田


『 っ、、そういうことね、、
私を副隊長にしたのは仕事をサボるため…、』



沖田「ほら、早く行きますぜ」


『 いーやーだ!!』


拒否するも腕を掴まれずるずると引きずられる
足を怪我してるせいで大きく抵抗することも出来ない

沖田「それに、まりんの事もっと知りてぇ」



『 私のこと???え?なになに?
私に一目惚れしちゃった???』


次はまりんが沖田の事をニヤニヤしながら見る


沖田「勘違いすんじゃねぇや雌豚
一番隊の一員として情報を知っとくだけでィ」



『 雌豚ぁぁ?!?!誰がいつ豚になったの!!私豚じゃない!』


沖田「そんなに暴れると両足使えなくなるぞ」


そう言われ落ち着くまりん
そして沖田の部屋へと着く

部屋は至ってシンプルな必要最低限のものしか置かれてない


『それで、私はなにを』

沖田「その刀、なんでィ?」


話を遮られたことに少しイラッとしたが、真剣な目で見られたまりんは刀の話をしてきた沖田は勘が鋭いと感じた


『 真選組の最強剣士って呼ばれるだけあるね
私の刀に触れるなんて』


沖田「んで、その刀は」



『……… この刀はね、七瀬家に代々伝わる刀なの
私の前はお父さんとお母さんが刀の所有者だったわ
この刀は少し特殊なものなの』


沖田「特殊?」



『 この刀は清祓瀬といって、刀が持ち主を認めない限り鞘から抜くことすら出来ないの』



試しにほら と、まりんは清祓瀬を沖田に渡す


沖田「ほんとでィ、抜けねぇ」


『 私は清祓瀬の最後の所有者なの』


沖田は黙ったまま、まりんの話を聞く


『 詳しい話は出来ないけれど、この清祓瀬は私とってとても大切な物なの
親の形見なの』


清祓瀬を優しく撫でるまりんを沖田はずっと見つめている
しばらく沈黙が続く
その沈黙に耐えれなくなったまりんが口を開く


『 はい!この話は終わり!!
仕事仕事〜〜〜』

そういうとまりんは書き物をする


沖田「その先が知りてェんでィ…」


『 ん???何か言った???』



沖田「いやなんでもねぇ」


沖田はまりんの隣に座り、書き物をし始める



しばらく時間が経ち気づけばあたりは暗くなり始めていた




『 沖田さん、書き物も終わったし、食堂にご飯食べに行かない??』



沖田「名案でさァ」


そして二人並んで食堂へ向かう


沖田「んで、まりんはなんでスカートなんでさァ??」


『 え、だってスカートの方が可愛いから?』


沖田「そんなの履いてるとめくられるぞ」


沖田が急に止まり、まりんのスカートへ手を伸ばす


沖田「なんでィ、見せパンかよ」



『 !?!?!何してるの!!!!!』


スカートを握ってる腕を振りほどき
まりんは沖田のみぞおちを殴る


沖田「ぐふぉ!!!!!何するんでィ!!!」



『 それはこっちのセリフ!!!スカートめくるな!!!沖田さんのあほばか!!!!!』



沖田「スカートなんか履くからだろィ!!」



『 スカートだからってめくっていい理由になってない!!!!』



食堂前で騒ぐ2人を隊士達はざわざわしながら見る
まりんを初めて見る隊士たちが騒ぎ出す

「女の子!?、?」
「沖田隊長の彼女か!?、」


という声が食堂に響く




土方「あいつら、今日初めて会ったんだよな??にしては仲良さそうだが」


近藤「総悟にも春が来たか」


土方「いやあれは嵐だろ」



まりんは怒りながら、沖田はボロボロになりながら食堂へと入っていく
近藤さんたちの存在に気づき、足に負担がかからないように急ぎ足で向かうまりん


『 近藤さんたちもご飯ですか??
一緒にいいですか!!』



近藤「ああ!いいぞ!座れ座れ!」


『 わーい!!』



沖田「じゃあ俺も」


沖田は当たり前かのようにまりんの隣へ座る

『沖田さん嫌!離れてよ!』


沖田「嫌でィ」


まりんは沖田を押すが、ビクともせず諦める


『 あの、さっきから周りの視線がこっちに集まってる気がするんだけど』



土方「隊士たちはまりんのこと知らないからな、今大体は集まってる事だし
自己紹介したらどうだ?」


『 そう、ですね、』



まりんは立ち上がり隊士達の注目を集める
隊士達の中にはまりんのことを見ながら何か話している者もいる



沖田「……」



『 え、ええっと、存在は知ってる人もいるかと思いますが私、七瀬まりんと言って真選組特殊部隊隊長を務めております!訳あって今は特殊部隊隊長兼、一番隊副隊長として沖田さんと一緒に行動することになりました、みなさんと関わる機会も増えていくと思うのでよろしくお願いします、!』



丁寧にお辞儀をして座る
すると隊士たちはまりんの周りに来てまりんを一気に囲む


「ガチの女の子じゃん!!!」


「顔小さ!!!!!」



「さすが沖田隊長の彼女!!!」


と、様々な声が聞こえてくる


『 え、まってまって、私沖田さんの彼女じゃないですよ???』


すると、隊士たちの目がより一層輝く


「え!ちがうの!!」


「ってことは俺たちにもまだ希望はあるのか!」



まりんの事で盛り上がる隊士たち
まりんはどうすればいいのか分からずにいた
すると突然手を引っ張られる


『 え、???』



沖田「まりんと俺はこれからやることがあるんでここまで、じゃ」


またずるずると引っ張られながら、まりんは沖田に連れていかれた



『 ちょ、沖田さん!!離して!まだご飯食べてないー!!』



沖田「外、一緒に食べに行きやしょう」


『 え!沖田さんの奢りですか!!!
行く!!!!』



沖田「誰も奢るなんて言ってねぇ」


『 あ!!私まださっきのスカートめくったこと怒ってるんだからね!!お詫びに奢って』


まりんは沖田の袖を掴んで歩き出す



沖田(これが無意識だから怖ぇや
まりんといると調子狂う)



沖田の耳が少し赤くなっていた
それにまりんが気づくのはまだ少し先の話
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