プルルルと、呼び出しコール音が聞こえる
数度繰り返されたかと思えば、ガチャリと接続された音が聞こえてくると、男の声が通話口スピーカーから響いてきた


「…蛇王じゃおうか」


男の言葉に、携帯を持つ少年が通話口をトンッと、一度叩く


「一般人の保護か?それとも情報か?」


問いかけに再び少年は一度だけ、トンッと叩いた


「それは大人か?子供か?」


今度はトントンッと、二度叩く


「人数は?」


その問いかけにはトントントンッと三度、軽快に叩いた
なるほど、これは賢い会話だと思った
誰が考えたかはわからないが、声を出さない少年との会話の為、相手はイエスかノーで答えられるような簡単な問いかけを何度か繰り返し、情報を得ていく
イエスノーで答えられないものは、二択か、おそらく三択くらいまでのものを用意し、少年が叩いた回数でどの択が正解かを判断するのだろう
最初の保護かどうか、あとは大人か子供かの質問がそれに当たる
上手く考えられた会話術だ

そうこうと考えていると、男が再び、会話は周りに聞こえているかと問いかけ、少年がイエスを示す、一度の叩きノックを返す
そうか、と小さく呟くと、男は少年ではなく、こちらに対して問いかけてきた


「今居る場所が判るか?」


その問いに、一瞬、誰が答えるかという戸惑いを含め、三人は目を見合わせていると、少年が携帯を指差す
おそらく先程教えた場所を言え、という意味だろう
ボソリと呟くようにして「第三港倉庫」と場所を言うと、男も沈黙する
聞こえなかったかと心配したのも束の間、男が三十分で行くと答えた
どうやらこちらに向かう算段を考えていたらしい
そして、用心の為にも蛇王から、電話口の奴から離れるなという釘を刺される
聞き慣れない名ではあったが、蛇王というのが目の前に立つ少年の名前であろうことは察することが出来た
ツーツーっと、通話が切れた音が聞こえてきたかと思えば、少年はコートに携帯をしまう
そしてしっかりとこちらを向き、手招きをする
不思議に思いながらも少年の後を追っていくと、すぐに大きな倉庫へとたどり着く
ガラガラと音を立てて倉庫の扉を開けると、少年が遠慮なく中へ入ったかと思えば、ぴょんぴょんと軽快に、音を立てることなく積み上げられた箱の上に飛び乗る
1番上の箱に乗ると、片膝を立てた姿で座り、僅かに顔を下に向けて固まってしまう
どうしようかと迷ったが、扉の前で立ち止まるわけにもいかないので、倉庫の中の何もない場所に三人固まって座ることにした
そこで今わかっていることの、現状確認をすることにしたのだった
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